[4704] 少子高齢化対策にスバラシク効果のある法案

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《ニュー高齢者とニュー子ども》

■ショート・ストーリーのKUNI[240]
 スバラシク効果のある法案
 ヤマシタクニコ




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■ショート・ストーリーのKUNI[240]
スバラシク効果のある法案

ヤマシタクニコ
http://bn.dgcr.com/archives/20181206110200.html
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とある国。某月某日の国会中継。

野党第一党・ポケポケ党党首「そもそも、少子高齢化に対してどう対処していくのか、まったく方向性が見えないじゃないですか! こうしている間にも少子高齢化は進むんですよ! 総理! 一体何を考えてるんですか!」

「内閣総理大臣〜」の声。

「えー、少子高齢化というのはですね、まさに、少子と高齢化を合わせた言葉でありまして、少子というのは、子が少ないと書くわけで、あります。つまり、子どもが少ないのが少子で、ありまして、高齢化は文字通り高齢化しているのでありますが、何が高齢化しているのかといいますと、これはもう、国民の皆さまはご承知かと思いますが、子どもではないので、あります。少子と高齢化はですね、切り離すべき問題、であります。少子が高齢化しているわけではない、このことをしっかりと、踏まえたうえで、議論していただきたい」

わかっとるわーい! という野次がとぶ。

「そこで、高齢化でありますが、私は、このたび、素晴らしい方法を思いついた、のであります。高齢化が進んでいるというとき、それは例えば、65歳以上の人口が増えた、ということを示しております」

あたりまえだー! という野次が飛ぶ。

「これはまさしく、硬直化した思考と申すべきで、あります。例えば、高齢者を85歳以上と定義すればどうでしょう。65歳以上の人口は現在、3000万人を超えております。しかし、85歳以上だとせいぜい550万人です」

「なんですと! 高齢者の定義を変えようと言うのですか!」

ポケポケ党首はたちまちいきり立った。

総理はすまして。

「何か問題でもあるんですか。そもそも65歳以上を高齢者としているのも、別に神様が決めたわけじゃなし。あなた、頭が硬いんじやないですか。もっと柔軟に考えましょうよ」

「そういう問題じゃない!」

「私はまじめに言っているのです。これの、どこがそういう問題じゃないのか、おっしゃっていただけませんか。これは画期的な解決法じゃありませんか! 高齢者が一挙に数分の一に減るんですよ。もはや高齢化問題はなくなったといっても過言ではない」

議場はざわつくどころではない。わあわあと大騒ぎになった。


某月某日。夜のニュース。

ポケポケ党首「高齢化問題についての真摯な議論を根底から覆そうとするものであり、断じて許せません!」

野党第二党のムルムル党首「ひどいですね。話になりません」

野党第三党のフガフガ党首「感情に流されることなく、じっくり話し合いたいと思います」

総理「丁寧な議論を重ねていけば、必ずご理解いただけると、そう思って、おります」


某月某日の国会中継。

野党第二党ムルムル党首「高齢者を85歳以上とするなんて、本気でおっしゃってるんですか。そもそもそれで、問題が解決すると思ってるんですか」

総理「いまはですね、60代、70代といっても皆さん、非常に元気です。まだまだ社会で活躍できる。そういった人たちを高齢者ということばで縛り付け、可能性を狭めることこそおかしいので、あります。私はそういった状況を、しっかりと、変えていきたい。そう思っているので、あります」

ムルムル党首「まさか年金も85歳からと言うんじゃないでしょうね!」

「年金問題は高齢者問題と不可分で、あります」

わあわあわあ。

「何か問題があるんですか。不満なら対案を出してから言っていただきたい!」

わあわあわあわあ。


某月某日。深夜のニュース解説

「今夜は、総理が突然明らかにした、『高齢者85歳以上案』を取り上げたいと思います。先週からこの問題が論議を呼び、国会が混乱しているわけですが、これのどこが問題かと申しますと、まず高齢者問題というのは、非常に多岐にわたっておりまして、総理がいうほど簡単に解決するものではない、つまり、やや現実味を欠いてみえるということがひとつ。

しかし一方で、現政権が発足して以来むちゃくちゃなことが続いておりまして、国民の間では『ギャグ内閣』『わけわから内閣』『まるでばかじゃ内閣』とおちょくられており、おもしろがっている人たちが一定割合いるということが、あげられます。

かの有名な政治家・ブッテンバーギンは、大衆というものは常におもしろいことを欲しているものだと、その著書に記しました。状況は、意外な方向に進むかもしれず、予断を許しません。いずれにしましても、この問題、一見些末なようで、わが国の今後を左右する重要な問題であるように思われます。今夜はこのへんで」


某月某日。国会中継。

ポケポケ党首「先日、私は総理に『少子高齢化問題についてどう考えているのか』と言った。ところが、例によってわけのわからない論法ではぐらかして、あげくのはてに高齢者を85歳にするとかなんとか言い出した。では、少子化のほうはどう考えているんですか。ちっとも考えていないじゃありませんか!」

「内閣総理大臣〜」の声。

「いまお話にあった少子化、の問題でありますが、これはもう、高齢化問題が片付けば少子化問題もほとんど片付いたようなもので、あります。ですが、ご不満なようでしたら、さらに、さらに、私は考えて、おります。『子ども』は40歳未満ということにしようじゃあ、ありませんか!」

「なんですと!」

「子どもが何歳までというのも、いってみれば、適当なものなのです。現に『児童』という言葉も、法令によって異なる。それなら子どもが40歳でもいいじゃないですか」

「むちゃくちゃだ!」

「どこがむちゃくちゃなのか、おっしゃっていただきたい!」

「40前のむさ苦しいおっさん、おばはんをつかまえて、子どもというのがおかしくないというほうがおかしい!」

問題発言だ! セクハラだ! と野次が飛ぶ。

「おかしくないですよ。40前の女性がみんなむさ苦しいというんですか。美魔女という言葉をご存知ないんですか。だからポケポケ党は古い、頭が硬いと言うんです。もちろん、むさ苦しい方もおられますが。

そもそもこんな区分に意味はないんです。そうだ。85歳以上は『ニュー高齢者』、40歳までは『ニュー子ども』ということにしましょう。こうすれば既存の法令と並存できる。

われながらすばらしい。そうだ、40歳までの国民には毎年5月5日に柏餅をプレゼントしましょう! ちまきでもいいですよ! どうですみなさん、少子高齢化問題は解決した! わが国には子どもがいっぱいいるのです!」

フガフガ党首「ニュー高齢者にニュー子ども。なんという希望に満ちた斬新なネーミングでしょう。これなら広く国民の支持を得られるものと思われます。柏餅がいいかそのほかのスイーツがいいかどうかは、また検討すればいいことだ。製菓業界も歓迎するでしょう」

あほかー! と野次。

ムルムル党首「フガフガ党には失望した。もはや野党ではない! 柏餅を一人一個ずつか三個ずつか、つぶあんかこしあんかも決まってないのに安易に賛成するとは!」

ポケポケ党首「まったく意味がない! 国民を愚弄している!」

某月某日。7時のニュース。

通行人A「え、40歳未満はニュー子ども? 何それ笑える〜」
通行人B「柏餅はあまり好きじゃないんで、できたらケーキにしてほしい」
通行人C「柏餅って葉っぱがおいしくないでしょ。え? 葉っぱは食べないものなんですか?!」


そして、月日は流れた。


30年後の某月某日深夜のニュース解説

「視聴者の皆さんの中にはご記憶の方もおられるかもしれませんが、今日は、ある法案が成立して30年になります。その法案とは、今ではすっかり当たり前になってしまった『高齢者85歳以上法案』であります。

いわゆるニュー高齢者、ニュー子どもという名称はこれ以降に広まったものでありますが、法案成立後、従来から子どもと呼ばれていた年齢層からの不満が募り、各地で流血を伴うデモも発生したことから『本子ども』『純子ども』という名称もできたこと、高齢者の場合はもっと熾烈で、従来から高齢者と呼ばれていた年齢層の不満がこれを機に爆発、『年金問題をごまかすな!』『医療費削るな!』『われら元祖高齢者に勝利を!』とのスローガンのもと、各地でゲリラ戦が発生する事態になったことは皆さんご承知の通りであります。

ゲリラ戦はいまなお完全に収まっておらず、国土は荒れ放題、すでに関西では元祖高齢者連合が実権を握ったとの報道もありますが、その実態は定かではありません。また、これに対する中央政府の対策が『ニュー中年の創出』『輝くニュー初老』など、まだ言うか的なものばかりであることについては、まったく落胆せざるを得ません。

さて、一説によりますと、そもそも『高齢者85歳以上法案』は、その当時あるメールマガジンに連載していたアマチュア作家が年末の忙しさでアイデアに詰まり、苦し紛れに書いた小説にあったもので、これがどこでどうなったものか、政権に利用されたということであります。

真偽のほどはともかく、その小説を書いた作者は現在『ニュー高齢者』となっており、今日の放送にあたりコメントを取ろうとしたところ、『何も覚えていない』ということでした。今夜はこのへんで」


【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net

http://midtan.net/
http://koo-yamashita.main.jp/wp/

すいません、そういうわけで、今年もろくなものが書けず、申しわけありません(汗)。来年こそは!

最近、故障続きの我が家。玄関の照明のスイッチが壊れたらしく、つかない。その前は安物のマウスの充電ケーブルがぶちっと切れた。MacBook ProにSDカードを入れても読んでくれなくなった等々、こんなふうに書き出すとちっさなことばかり(?)だけど、急ぎの用があるときなど「あー、もう!」っと思いますよね。あと、最近の出来事としては、メルカリでフォロワーさんができてびっくりしました。


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編集後記(12/20)

●孫2号が小学生の頃、ボクはゆうちゅーばーになるんだ、と言っていた。ソニー生命保険の2017調査では「男子中学生が将来なりたい職業」の第3位が「ユーチューバーなどの動画投稿者」となっている。わたしはSNS系には殆ど近寄らないが、岡田斗司夫「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」は興味深く読んだ。この本は、中学生になった彼にも読ませないと。

ネットのメディアにはブログ、ツイッター、ユーチューブなどがある。ブログは新聞、ツイッターはラジオ、ユーチューブはテレビといえる。テレビ番組の制作はテレビ局に独占されていたが、一般大衆に開放されたものこそユーチューブである。20世紀型オールドメディアである新聞、ラジオ、テレビは「終わった」とまではいえないが、新しい情報を提供するメディアではなくなった。

テレビの進化形であるユーチューブで、テレビタレントのようなポジションを目指しているのがユーチューバーだ。しかし、10年後、日本で活躍しているユーチューバーは誰一人生き残っていないかもしれない。彼らが金銭的に、知名度的に、大成功する可能性は限りなく低くなっている。なぜか。10年後には一部の人を除いて、外国語を勉強する必要はなくなると考えられるからだ。

スマートスピーカーは言語データーを蓄積し、機械翻訳や音声認識の精度はさらに高まる。機械翻訳によって言語の壁は次第に溶けてなくなる。日本にはアニメ、マンガ、アイドルといった豊富で強いコンテンツがあるから、機械翻訳の日本語対応は早い。そうなると、ユーチューバーたちはどうなるのか?

日本のユーチューバーは、必然的に海外のユーチューバーとの競争に放り込まれる。海外のユーチューバー自身が、キャラクターに応じた流暢な日本語で話しているように見える。そんな世界で、日本人のユーチューバーにどの程度のアドバンテージがあるのか。10年後の世界では「日本だけ」の商品やコンテンツはどんどん少なくなっていく。1億3400万人が対象では中途半端過ぎる。

ユーチューブは、グローバルでの熾烈な競争が展開される競技場になる。ハリウッド俳優やセレブに荒らされる。それより前の日本では、既にある程度知名度を得ている人たちがユーチューブに流れてくる。日本人ユーチューバーの市場は、これから2、3年でアイドルや芸人に荒されることになる。そして、面白いものをパクろうと待ち構えている世界中の人々……レッドオーシャンだ!

そして10年後、人間ユーチューバーはAIユーチューバーに淘汰される。彼らの武器は「面白さ」「可愛らしさ」「毎日100回更新するマメさ」などであり、人類の日常生活における興味関心を占有してしまう。人工知能が支配する、のではなく、人工知能が人間のフォロワーを独占する、ということになるのだ。

筆者は断言する。「今の僕たちは過去の映像コンテンツなんてどうでもよくなっているんです」「次から次へと新しいコンテンツを生み出し、配信できるサービスに人が引き寄せられていく」「僕たちが関心を持っているのは『最新』『今』だけなんです」「その時点での『今』をいかにうまく提供できるかでしょう」。人間ユーチューバーはAIユーチューバーに殺される……。(柴田)

岡田斗司夫「ユーチューバーが消滅する未来 2028年の世界を見抜く」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569841880/dgcrcom-22/


●ちょっとした故障、多いです。アプリがちゃんと動かないとかも。モノを持つと、使うと、便利な反面、管理やメンテが大変だなぁと反省したフリしてます(笑)。

/ユーチューバーはカタカナでもいいのだが、ユーチューブは別物のように思える。YouTubeという文字全体を漢字のように認識しているわ。/音楽フェスは拡大しているし、ミュージカル人気だし、生のものに対する評価が上がっているようで嬉しい。

/昨日の補足。仕事もくもく会があってもいいな。フリーランスやSOHOのために。業務内容を外に漏らすわけにはいかないから、もくもく会。Slackでありそう。

/先月、Apple Watchが夕方になると落ちる現象があった。充電は残っていて、落ちた後に充電器に乗せると70〜80%を指す。依存しているつもりはなかったのに、ないと困ってしまった。つい腕を見てしまう。ちょっとした時にiPhoneを取り出すことは苦にならないのに、チラ見での便利さに慣れすぎていたようだ。

時間がわからない。通知を見られない。Standlandでの15日連続スタンドチャレンジ中だったので、記録が途切れそうなのにも困った。

改札に行って、Suicaが使えないことに気づき、慌てて券売機に並んだ。現金で切符を買うのっていつ以来だろう。切符をなくさないようにと気をつけるのも久しぶり。帰宅してすぐにiPhone側にもSuicaを入れた。続く。
(hammer.mule)