[4708] 2019年を振り返る◇Adobe Creative Cloudの価格改定◇エセー物語

投稿:  著者:  読了時間:28分(本文:約13,600文字)



《ソフトを使い倒します!》

■羽化の作法[76]現在編
 2019年を振り返る
 武 盾一郎

■LIFE is 日々一歩(89)[ウェブ]
 Adobe Creative Cloudの価格改定について思うこと
 森 和恵

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[29]
 御殿山みなみさんの短歌の話
 所沢のドラゴン
 海音寺ジョー




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■羽化の作法[76]現在編
2019年を振り返る

武 盾一郎
http://bn.dgcr.com/archives/20190108110300.html
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こんにちは。武盾一郎です。今年もよろしくお願いします!

新年最初のデジクリなので、今年の抱負を述べるテキストになるのですが、その際に現在を基点にするのではなく、年末に2019年を振り返った時にどういう状態でいたいかという未来を基点に考えてみました。

●13月世大使館について

今年はいよいよ工事中のギャラリー「13月世大使館」を完成させて、オープンさせる予定です。去年の1月にアトリエにしてた小屋部分を改装して、ギャラリーにしようと動き始めました。ガブリエルガブリエラのアカウントからも、そのことをアナウンスしました。

「12月世の皆様こんばんは プップです 13月世と12月世を繋ぐ大使館として2018年いよいよ《ガブリエルガブリエラアトリエショップ》をオープンします 古より光と影の女王チェーニ様の《祈り》でもありました 《12月世の皆様と13月世の精霊達逢瀬の間》お楽しみに」


ところが工事が中断してしまいました。12月に地元業者のアイプロさんにお願いして、ようやく室内の大工工事が終わりました。

「13月世大使館 今年の工事は27日で終了 28日午前中に片付けて完了年明けにひさしを外して作り変える工事と室内外の塗装を行います」


28日で年内工事終わりと思いきや、アンティークのドアノブがきちんと付かなくて、大晦日にドアノブを一旦取り外す工事になりました。

「13月世大使館工事 ドアノブはいったん取り外しました」


これからまたアイプロさんの工事が入ります。ドアノブと室内外の塗装と外装の改装工事を行います。

アイプロさんの工事が終わったら、自分たちの工事があります。まず、台所の食器棚などをすべて白く塗ります。そして居間と台所の床に、市松模様のタイルを貼ります。居間の照明も取り替えます。

それから、ギャラリーの窓のロールカーテン、棚のカーテン、ギャラリーと居間の仕切りのカーテンを取り付けます。そして、シャンデリアを取り付けて、アンティーク・ソファとアンティーク棚を配置し、エアコンを取り付けます。

これでようやくギャラリーの完成です。庭部分がまだですが、それはもうちょっと先になると思います。

当初予定していたヤマネに頼む工事は、彼のスケジュールがタイトだったのと、アイプロさんの工事も残っていたので、まとめてアイプロさんにお願いすることになりました。

今はまだ、この工事が完成することすら実感が湧かない状態ですが、今年こそ本当に完成させて、生まれ変わった空間をお披露目したいです。

2019年を振り返る時、「13月世大使館、試験的に運営を始めましたがおかげさまで大盛況が続いております! これからもよろしくお願いします!」という記事が書けるようにしたいです。

●線譜について

ところで、私は「線譜と名付けた音楽を描く線画」を制作してますが、そもそも「音楽」とはなんでしょうか?

普通は音楽と言うと「曲」のことをイメージしますよね。しかし私は、「耳に聞こえない音楽」も「曲として聞こえない音楽」もある、としています。「聞こえない音楽」とは私のアイデアはなくて古代ギリシアにあった考えです。

「古代ギリシャより、天体の運行が音を発し、宇宙全体が和声を奏でているという発想があり、これが『天球の音楽』と呼ばれた。その響きはきわめて大きいが、つねに鳴り続けているため人間の耳には気づかれないとされる。」
http://artscape.jp/artword/index.php/%E5%A4%A9%E7%90%83%E3%81%AE%E9%9F%B3%E6%A5%BD

「曲として聞こえない音楽」とは、自然音(アンビエント)やノイズですね。風の音や虫の声、または車の音などなど、自然・人工問わずそれらも音楽だと解釈しています。

つまり楽曲とは音楽の一部で、音楽=楽曲ではなくて、音楽>楽曲なのです。また「楽曲」は絵と違って何かを描写することはほとんどありません。例えば、薔薇の花とか近所の犬とか山とか、そういう目に見えるものを音楽で表現することはあんまりありません。

確かに「ドナウ川」や「隅田川」や「津軽海峡」といった曲はあるにはあります。しかし、基本的に音楽は絵のように現実の風景を「再現」する為のものではありません。

自分が描いてる絵は、目に見えるモノの「再現」ではないと常々思ってきたので、音楽の「再現の仕事はほぼない」ところに、自分の描く絵と音楽の共通性を感じていたのです。というか、最近になってようやくこのことに気が付いたのです。

だからなのか具象をあまり描いてなかったのですが、ここのところハッキリと具体的な「誰か」や「どこか」や「なにか」を描くようになってきました。

例えば、遠藤ミチロウさんであるとか

上尾の風景だとか

母の家に来る野良猫だとか


「私は絵ではなく音楽を描いてる」とか言っておいて、これこそストレートに絵だしスケッチではないか、と自分でもツッコミを入れるのですが、「音楽として風景を見てみる」とか、「音楽として猫を見てみる」とか、意外な面白さを感じているので、この方向を続けてみたいと思ってます。

そしてこの「地元上尾の風景」は、実は自分が本当に描きたいモチーフだったりします。しかし、私はずっとずっと昔から風景画が大嫌いでした。印象派が嫌いだったのは、主に風景画だったからです(今は印象派好きですが)。

よく市役所みたいなところに行くと、地元の人による地元の風景の油絵が飾ってあったりしませんか? ああいうのを観ると、心底、本当に、全身全霊をこめて「つまらない!」と思っていました。

芸術から最も遠い絵画は「風景画」だとさえ思ってました。それは真理だと信じていました。信仰と呼べるほどに強いものでした。

その自分に「地元の上尾の風景を描きたい!」という衝動が湧いてしまうのです。本当に自分とは困った生き物です。で、あっさり「風景画嫌い」を辞めたのでした。

ところが、カタチを描く場合、「構図を決めて、下書きをする」という段取りが必要になってきます。私はそれが苦手だったので、行き当たりばったりに即興で描いて完成させる方法をなんとか確立させてきました。増殖していって秩序に辿り着くイメージです。

例えば、線譜『無題』


そんな感じの「無形」的な描き方と、風景や具象の「有形」的な描き方は「即興」と「構築」のように対照的です。

音楽で例えると、構築された音楽とは楽曲のことです。その一部分に即興の小節を割り当てます。そんな曲はよくあります。なので線譜でも有形と無形をミックスするのは全然アリでしょう。構図と下書きという段取りがもっとスムースにできるようになれば良いだけです。

最初は楽曲とは違う音楽を描いてきたのですが、徐々に楽曲的な線譜も描けるようになってきたのがここ最近の流れです。

今後は、即興・ノイズとミックスした楽曲の線譜がメインになると思います。例えば、この線譜『ノイズの中のボク.』もカタチと即興が混ざってます。


『ノイズの中のボク.』のイメージは5分くらいのノイジーでメローなシューゲイザー、な感じです。

そして最近よくイメージするのが「ロックのような線譜」です。バロックではなくてロックです。ロックの魅力はいろいろありますが、最もインパクトあるのが誰もが「俺にも弾けそう!」と感じた、ということだと思うのです。

クラシックや雅楽が眠たくなるのは、身近ではないっていうのが最大の原因だと思いますが、自分の身体とは無関係だと感じてしまうのも大きいと思っています。

芸術のほとんどが通常の人間の身体性を逸脱した形式です。それはそれで人間の身体可能性を拡張してるし、そこに人間に超越性を感じたりできるのでとても意味深いことではありますが、それだけではきっかけが掴めなくてつまらなく感じてしまうこともあるように思います。

ロックには「無意識的に共感する身体性をもつ形式」があったのだと思います。ルールや手続きや文脈を知らなくても身体的に共鳴できる形式、それがロックの最大の発明だったのだと私は思ってまして、そういう形式を表現できるようになりたいと思ってます。

また、具体的なカタチというのもあります。音楽に例えるとフレーズになりますでしょうか。気持ち良いカタチを描きたいと言う欲望もすごくあります。

私の場合、そのカタチの中は「空(くう)」が良いです。意味とかメタファーとかをカタチに籠めたくないのです。ただ単に、スコーンと突き抜けるような「心地良いカタチ」を出したい。そんな欲望があります。そうすれば観る側が意味を自由に与えたりできますし。

「心地良いカタチ」と「描けそう! と感じさせるスタイル」、これがこれから線譜で描いていきたい方向性です。

かつては「引っかかるカタチ」と「こんなの描けない! と感じさせるスタイル」を指向していました。「ここに留まらせようとする力」と言ったらいいでしょうか。それに対して「心地良いカタチ」と「描けそう! と感じさせるスタイル」は「軽やかにかけぬけてゆく状態」なので、両方できれば表現の幅が広がります。

今年を振り返った時「表現の自由度が格段に上がったので制作がうんと楽しくなった!」と思えるようにしたいです。

●ネットの活用について

「13月世大使館」と「線譜」について書きました。3つ目は「ネット活用」についてです。

現在、ツイッターとフェイスブックのSNSとブログを使っています。
https://twitter.com/Take_J
https://www.facebook.com/take.junichiro
https://take-junichiro.blogspot.com/

また、「タイムバンク」(スマホのみのサービス)、「バリュー」( https://valu.is/ )といったプラットフォームに上場しています。それから、アーティストのためのサービス、「Casie/かしえ」
https://casie.co.jp/ )や「mecelo/メセロ」( https://mecelo.com/ )にも登録しています。しかし、これらのネットのサービスをきちんと使いこなせていない歯がゆさがあります。

ツイッターは2007年4月と割と早くから使っていたのですが、かつてのツイッターとは世界線が変わってしまったので、扱い方を変えないとならない感じがしています。昔は本当にくだらない今を報告する楽しいツールでした。

とは言うものの、ツイッターはまだまだポテンシャルの高いツールだと思うので、有効なやり方はないかと試行錯誤しています。

フェイスブックは高齢者の憩いの場として、これからも変わらない感じはしますので、基本このままでいいと思ってます。ブログはもっと活用のしようがあるでしょう。積極的に発信していきたいです。

タイムバンクとバリューは、投機などの市場原理が分かってないとまったく活用できないプラットフォームです。悲しいかな、今のところまるで使い勝手が分かってない状態です。まずマネーゲームに面白みを見い出すマインドを持つ必要がありそうです。

どうも私は資本主義を悪とする信仰を持ってるみたいなのです。その信仰による呪縛によって貧困に陥って、こっぴどく苦しんで来ました。なのでこんな信仰さっさと手放したいのに、こびりついてなかなか取れないのです。

これは結構根深いワタクシ問題で、タイムバンクやバリューといった超資本主義「お金2.0」的なサービスのコンセプトやクオリティの問題ではないと思います。変わりたい。

アーティスト向けのプラットフォームである「かしえ」と「メセロ」ですが、本当に「これでもか!」と思うくらい、アーティストとアートを楽しむ人を結び付けようとしている良心的なサービスです。これもタイムバンクやバリューと同様に、新しく登場したプラットフォームなので何分実験的な要素もあるでしょう。可能性は未知数ですが、新たな収入源となって欲しいです。

ちなみに、かしえでは最近線譜のレンタルが決まりました。「絵画レンタル/販売のCasie かしえさん @Casie_jp で取り扱って頂いてる線譜『無題』がレンタルされました。どうも有り難うございます。」


これからですね。今年の年末に「ネットでベーシックインカム分を確保できるようになりました!」と報告できるようにしたいです。

以上です。本年もよろしくお願い申し上げます! あなたにとって素晴らしい一年となりますように!

【武盾一郎(たけじゅんいちろう)/断酒できるかな?】

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装丁画を担当しています!『星野智幸コレクション・全四巻』(人文書院)

星野智幸コレクションI スクエア
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226418.html

星野智幸コレクションII サークル
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226413.html

星野智幸コレクションIII リンク
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226414.html

星野智幸コレクションIV フロウ
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b278897.html


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■LIFE is 日々一歩(89)[ウェブ]
Adobe Creative Cloudの価格改定について思うこと

森 和恵
http://bn.dgcr.com/archives/20190108110200.html
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あけましておめでとうございます。森和恵です。今年もよろしくお願いします。

今年の抱負は「生きる」としました。生命力というか「生きぬくチカラ」を出していきたいなと思います。

歳を重ねていくと人生が終盤に近づいていく気がしてきて、「どうせ○○だし……」とやる前から諦めることが増えていたのですが、今年はちょっとだけパワフルに進めていきたいです。

手始めに健康的になりたいなと思い、年末から運動&食べたものを記録するレコーディングダイエットを始めました。

【あすけん | あすけんダイエット - 栄養士が無料であなたのダイエットをサポート】
http://www.asken.jp/

【Fit Boxing/フィットボクシング】
https://www.imagineer.co.jp/package_game/fitboxing/

【コンフォートバイクII|フィットネスバイク】
https://www.alinco.co.jp/product/fitness/detail/id=4175

さて。今回は、年末から話題になっていた「Adobe Creative Cloudの価格改定」についてお話しします。

●Adobe Creative Cloud の価格改定のお知らせ

年末に「Adobe Creative Cloud」の価格改定の予告が、アドビ システムズ社から発表されました。今年2月初旬より、新規契約・契約更新時の価格改訂されるそうです。

【価格改定に関するお知らせ - Adobe Blog】
https://blogs.adobe.com/japan/general-adobe-prenotification-updates-pricing/

詳細は1月9日に発表予定だそうですが、代理店のボーンデジタル社の記事によるとグループ版が1,000円値上げされるとのことですので、個人版も値上げされるのではと思います。

【Adobe 製品の価格改定に関するお知らせ | ボーンデジタル】
https://www.borndigital.co.jp/software_news/12352.html

●値上げを遅くするには、いまのうちにオンラインコードを購入

アドビ システムズ社と直接契約して、クレジットカードから引き落としになっている場合は、一年以上の契約はできないし、更新のタイミングも変更できません。

ですが、Amazonなど他社で販売しているオンラインコード・パッケージコードを購入し、『引き換えコード』を使えば、契約期間が延長できます。

【Adobe Creative Cloud コンプリート|12か月版|オンラインコード版:ソフトウェア】
https://www.amazon.co.jp/dp/B00FOHQZPI/

私の場合は直接契約をせず、Amazonセールのタイミングで購入したコードを二年分登録していて、現在は2020年までの契約になっています。

新規契約・契約更新時の価格改訂ということなので、契約期間を延長しておいても、差額を取られたりすることはないと予想しています(オンラインコード購入時に、値上げの時の但し書きはなかったと記憶しています)。

値上げする前にオンラインコードを購入しておけば、少しの間でも値上げを回避できるかもしれません。とはいえ、その引き換えに先に大きな金額を支払うことにはなりますが。

ちなみに、直接契約の途中でもオンラインコードを使って期間を延長することができるようです(わたしは試したことがないので、自己責任でお願いします)。

【【Adobe CC】年間プランの契約期間中にAmazonで購入したコードで期間を
追加する ─ toybucket blog】
https://y-harada.net/wordpress/?p=6783

●アドビのソフトは高いのか?

「値上げのタイミングで、アドビ離れをしようかどうか?」という人を周りでちらほら見かけました。

【Adobe Creative Cloudデスクトップアプリ | Adobe Creative Cloud】
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/catalog/desktop.html

現時点では、個人でコンプリートプランを契約する場合、一年なら59,760円(4,980円/月)、月単位なら7,980円です。

【Creative Cloudの価格とメンバーシッププラン | Adobe Creative Cloud】
https://www.adobe.com/jp/creativecloud/plans.html

仮に1,000円アップしたとして、月に6,000円。これを払い続けるのは、趣味利用では継続がむずかしいかもしれません。ですが、日々の仕事にフル活用したとしたら、高くはないのでは? と私個人は考えています。

写真補正にPhotoshopとLightroom。ウェブコーディングにDreamweaver。ベクターデータ作成や一枚もののレイアウトにIllustrator。企画書のPDF提出にAcrobat。映像加工にPremiere Rush。データの管理に、CCライブラリと
Creative Cloud。

……と、アドビ ソフトを起動しない日は、ほぼありません。使えないとなると、仕事ができないといってもいいと思います。なので、今回の値上げをきっかけに、使えるソフトをもっと増やしていこう!と考えることにしました。ソフトを使い倒します。

冊子などページもののレイアウトに、InDesignを使えるように(今度の技術書典6にも出たいし)。動画編集に、PremiereとAfter Effectsを使えるように。この秋にフォント数無制限で使えるようになったAdobe Fontsで、憧れのモリサワフォントを使ってみたり。

ソフトがきっちり使えるようになれば、仕事の幅も広がって月々の稼ぎもアップするのではと思っています。結局のところ、ソフトが高いか安いかは、利用者側で感じる価値の違いなのだろうなと思います。

●継続するユーザーが、求めること

ここまでの話だと「アドビの肩を持ちすぎじゃないの?」と思われるかもしれないので、最後に苦言も書いておきます。

これだけアドビソフトに入れ込んでる私が、なぜAmazonでオンラインコードを購入していて、直接契約をしないのかというと、継続するユーザーに対する恩恵がないというのが理由です。

たとえば、一年分を一括に支払ったら少し割引があったり、三年契約をすれば割引があったりなどの制度があれば、他社で購入するなどの煩わしいことはしていないと思います。

クラウド式になってから、ソフトの充実、サービスの充実は、本当によくなったなと感じています。サポート体制もよくなって、ユーザーの声が届きやすくなったのも、うれしかったです。

次は、継続ユーザーへの還元を期待したいなと思います。価格改定の発表は、明日ですね。どんなことになるのやら、見守っております。

ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)

【森和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail: r360studio@gmail.com
YouTube: https://www.youtube.com/r360studio
サイト: http://r360studio.com/


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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[29]
御殿山みなみさんの短歌の話
所沢のドラゴン

海音寺ジョー
http://bn.dgcr.com/archives/20190108110100.html
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◎御殿山みなみさんの短歌の話

以前紹介した語彙消失歌会の話の余談になりますが、会に参加した時に司会の一人、御殿山みなみさんが掲出された短歌に触れ、唐突に蘇ってきた思い出話を今回は書いてみます。

かつて「うたの日」というインターネット歌会掲示板で首席を獲った、こんな作品だった。

幸せが歩いてこない 吉野家の並はこんなに早く来るのに (御殿山みなみ)

歌会の時は「わかるー」「牛丼は早くくるもんねー」とワイワイ盛り上った。語彙消失の歌会なので、あまり細かいことは言わない、という縛りもあったのだが、ぼくは口を開きかけて、すぐに発言を諦め、7年前の東日本大震災のことを思い出していた。

当時、東京都のベッドタウン東大和市に住んでいて、文京区大塚にあるラーメン屋に通勤してたのだが、震災の翌日も交通の大混乱は続いていて、政府から計画停電の方針が打ち出されたのだった。

通勤ルートだった西武新宿線拝島線もその影響で、新宿から出る電車は田無までの限定区間運転となった。ぼくの家は田無より埼玉よりにあるので、どうしたらええんや? と、田無駅に降り立ち、途方に暮れた。

以前勤めてた所沢店舗の同僚に電話をして、田無までバイクで来て送ってくれないか、と助けを頼んだ。そしてどこかで時間をつぶそうと思い、改札を出た。

田無駅前では、吉野家だけ営業してて他の店は軒並み閉まっていた。ボロ混みだった。店に入ると張り紙がしてあって、「仕入ルートの事情により牛丼の並と大盛りだけの提供とさせていただきます」とあった。

店内はごった返していた。店員さんがホール二人、厨房(よく見えなかったがたぶん)二人が忙しく立ち回っていた。ぼくも当時外食産業で働いてたので、こんな日にまで営業してくれて、ほんまありがたいありがたい、という思いだった。

二十分近く待ってると大盛り牛丼が運ばれてきて、「大変お待たせいたしました」と侘びられ「いえ、とんでもない。ありがとうございます」と応じ、いただいた。周りの客も黙々と丼飯を口に運んだり、じっと到着を待っていた。

14時を回っていたが、混雑は続いていた。そこに一人のスーツ姿の中年男性が入店してきた。牛皿とビールを注文し、店員にすみません、今日は牛丼しか出来ないんですと説明され「何だって?」と顔をゆがめた。「何でねーんだよ?」とごね出したが、周りの客がその中年を睨み上げて、その怒気に怯んだのかスッと大人しくなった。

大惨事の最中に、自儘に振る舞ったことを恥じたのだろう、目線を落としてその後は大人しく牛丼の来るのを待っていた。

御殿山さんの短歌を目にした時、ふっとその時の光景が脳裏によぎって、「いや、牛丼。早く来ないこともあるんですよ。いや、かつてあったんですよ」と、口をはさみたくなったのだった。だが和気あいあいとした場の空気を乱すのを恐れて、結局言い出せなかった。暫らくして、場は次の歌の評に移った。

その牛丼を食べた後、所沢店の同僚がバイクで迎えに来てくれて、無事に東大和の公社住宅まで帰った。友よ、貴重なガソリンを使い、送ってもらってどうもありがとう。その恩も、いまだに忘れられない。


◎所沢のドラゴン

所沢駅前から、斜めに延びるプロペ通り。その歓楽街にて、ひときわ大きなビルの一階をテナントとした中華メダカ屋はドラゴンの店と呼ばれ、界隈の同業者から畏れられていた。

店長、性格は極めて穏便であったが、確かに眼がテニスボール大の、髭が顔全体からニョキニョキと太く生えている奇相であった。そしてその麺上げの技は豪快であり、人々をたまげささずにはおかなかった。

『店長、オーダー入りました!』
『むう〜』
『中華リャン、アジタマ、、トンチャー、タマ味噌、タンタン、す』
『むう〜』

店長はおもむろにタボに麺をぶち込む。と同時に指と指の間にレードルを差し込み、電光石火の早業で丼にカイシ(各タレ)をシュルルルと充填する。

『おお!』

店員とグルーピーが固唾を呑んで、そのアートとも呼べる神技に見惚れている。カッキリ90秒後に茹で麺機から麺をジョワ! と6タボいっぺんに揚げ、店長は『むう!』と低く叫びながら、麺を6丼に一気に滑らせた。麺に絡まっていた熱湯がベジェの曲線を作り、幾重もの放物線を描いて店じゅうに飛び散る。

『アチャッ!』
『アチャチャチャ!』
『アッチャー!』

店じゅうの客が泣き叫ぶが、ドラゴンの店は連日大繁盛なのであった。

(追記)御殿山みなみさんは、現在短歌連作を公募して、ネット内の連作サークル「あみもの」を主宰されてます。提出義務や入会退会のない、「自由参加型の結社」とでも言ったらよいのか、めっちゃ斬新な取り組みです。

毎月60人前後の参加者がおられ、ぼくも第2回から寄せてもらってます。今年からは、歌だけでなく評も募集をかけるとのこと。短歌、最近気になってるね〜んという方がおられましたら、ぜひ覗きに来て下さい!

【海音寺ジョー】
kareido111@gmail.com
ツイッターアカウント
kaionjijoe@
kareido1111@

御殿山みなみさんのツイッターアカウント 1ookat2@
連作サークルあみもののツイッターアカウント tanka_amimono@
あみもののブログのアドレス http://amimonotanka.blogspot.com/


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編集後記(01/08)

●偏屈映画案内:「イノセント・ブラッド」は1992年のアメリカ映画。ホラー・コメディ。主役はピッツバーグにやって来たフランスの吸血鬼・マリー。彼女のルール1:「ごちそう」と遊ばない。いきなりヤクザの首筋に齧りつくつく。ルール2:「ごちそう」を始末する。喉元に銃弾を一発ぶち込み歯形を消す。

この美貌の吸血鬼にはそんな節操があって、狙うのは悪党だけ。吸血した後はすぐに殺して、吸血鬼として甦るのを防いできた。自ら暗黒街の帝王と名乗るサル・マルチェリの誘いに乗って、彼の邸宅に同行する。ごちそうとして出されたのが、なんと吸血鬼の苦手とするニンニクをきかせたムール貝だ。うまい。

マリーはサルに襲いかかる。目が赤く光る。首筋にかぶりつき顔中血だらけ。腹に一発、銃弾をくらう。マリーがとどめをさせずに脱出したため、サルは強力なパワーを備えた吸血鬼として蘇えった。相談役や部下に噛みつき、吸血鬼化する。敵対組織を壊滅させるため、バンパイア軍隊を組織しようと目論む。

サルは強力で悪辣でユーモラスな怪演で、とっても素敵だ。主役はマリーだが、ほぼ主役というべきなのが、サルの部下で実は覆面捜査官だったという(安易な設定だ)ハンサムなジョーであり、マリーと恋仲になる(ホントに安易な設定だ)。吸血鬼が日光を浴びると身体が焦げ崩れる、というのはお約束だ。

吸血鬼が仲間を増やす首筋かぶりつきのシーンでは、背景のテレビがドラキュラ映画やヒッチコック映画をやっている。ほとんどジョークだ。恐怖感を追求するより、ユーモラスなアクションや、いい味のスプラッターや特殊メイクに傾注しているようだ。それでも、美貌の吸血鬼の表情のメリハリは利いている。

マリー(アンヌ・パリロー)のアクションはみごとなもので、教会のてっぺんから落ちてきたり、瞬間移動したり、フロントグラスをたたき割ったり、腕だけでビルをよじ登ったり、すごい力で人の首を折り、人を投げ飛ばしたりする。そうとうな美女がとんでもない暴力をふるう。稀に見る素敵な殺人鬼である。

「血より愛が欲しい」と、自ら後ろ手に手錠をかけてジョーを誘う全裸のマリー。目が金色に光る。「愛してる」「吸血鬼よ」「いいさ試してみるよ、相棒のいる人生を」……「彼はわたしの希望だもの。生きるのも悪くないわ」なんて、全然ひねりのない終わり方なのが残念だ。ほんとにこれでいいのか?

一方、ニンニク大好きなサルは、そのおかげとタイミングでとどめをさされず、血まみれの生ける屍として甦り、前にも増して〈生き生きと〉マフィアのボスとして采配をふるうのがユーモラス。いちばん元気はつらつ。これは確かにホラー・コメディである。感情移入してはならない。できないが。 (柴田)

「イノセント・ブラッド」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005UDDF/dgcrcom-22/


●トイレの注意書き。日本人には1行なのに、中国語は2行。繁体字と簡体字ってことなのかしら。あとは英語、ハングル。ここまでやるならスペイン語も入れたらいいのに。スペイン語圏なら英語もできる……かな。地球上には200カ国、7,097言語あるらしい。

「世界で最も使用される言語ランキング」の母語話者・第二言語話者・言語習得者の全てを合わせた数は、英語15億、中国11億、ヒンドゥー6億5千、スペイン4億2千、フランス3億7千、アラビア3億ときて、ロシア、ポルトガル、ベンガル、ドイツ。

地理力、経済力、コミュニケーション力、知識&メディア力、外交力で評価した「最強言語ランキング」だと、英語、中国語、フランス、スペイン、アラビア、ロシア、ドイツ、日本、ポルトガル、ヒンドゥーの順で、日本がランクインしたわ。

2050年の予測では、英語、中国語、スペイン、フランス、アラビア、ロシア、ドイツ、ポルトガル、ヒンドゥー、日本の順なんだって。 (hammer.mule)

世界の言語ランキング【決定版】!最強の言語【TOP10】を紹介します。
https://e-student-ph.com/worldwide-languages-ranking-1780.html

数で見る中国語の種類│文字は2種類・方言は7種類・発音は1300音!?
https://cn-seminar.com/chinese-variety-11060