装飾山イバラ道[238]「エースをねらえ!」的全豪オープン決勝/武田瑛夢

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,200文字)



最近はテニスで錦織選手と大坂選手が頑張っている。スポーツ中継のテレビ観戦というと、やっぱり生放送で手に汗を握って応援したい。

WOWOWとNHKや他の局でLIVEの試合を放映している場合、どちらで見るか何度か画面を切り替えて検討することがある。解説者が変わるだけで、同じ試合なのに受け取るものが変わるからだ。

私は錦織選手の試合なら、試合が終わった後の番組で、松岡修造氏の話を聞きたくなる。やはり熱く語る姿を見たいのだ。試合中は冷静な実況の方がいいけれど……。





●全豪オープン決勝

今回の全豪での錦織選手は、途中棄権で残念だった。長時間の試合が続いていたので、しょうがなかったかもしれない。しかし、大坂選手は順調に勝ち上がり、決勝戦まで残った。これは見逃すわけにはいかない。

クビトバ選手と大坂選手の女子全豪オープン決勝は、日本では土曜日夜のちょうど良い時間で、視聴率も高かったはずだ。

この日私は、インスタライブやYouTubeなど、面白そうな生放送が多くて何を見るかを選ぶのが大変だった。大坂選手の試合はもちろん優先順位高めだったので、とにかく体はテレビ前にいようと思った。

1セット目は大坂選手が取った。ギリギリだったので本当にホっとした。若い大坂選手に1セット目を取られるのは、クビトバ選手にはプレッシャーになったのではないだろうか。

●お蝶夫人の焦り

私は途中から、クビトバ選手が「お蝶夫人」に見えて仕方がなかった。お蝶夫人とは少女漫画「エースをねらえ!」の、あのお蝶夫人だ。髪型は違うけれど、クールな美形でなんだか似ている。大坂選手は岡ひろみとは似ていないけれど、若くて勢いがあるという共通点で、今日は私のイメージの中では岡ひろみ役だ。

「エースをねらえ!」は昭和のテニスブームの火付け役となった漫画で、この漫画の精神論は松岡修造氏によって、今も語り継がれている。とにかく熱血なスポ根漫画の王道だ。

お蝶夫人は主人公の岡ひろみが憧れる高校テニス部の先輩、竜崎麗香。お父様は庭球協会理事長で、生粋のお嬢様だ。お蝶夫人は日本の高校生らしからぬ高貴な存在で、当時は誰もが憧れた。

なぜか金髪に見えるゴージャスな縦ロールの髪型も、漫画をマネして描けるように練習したものだ。巻き髪に大きなリボンは、マリーアントワネットや姫川亜弓など、別格な女性の髪型の定番だ。少女マンガの描写練習では、高難度の部類。

全豪オープン決勝では、クビトバ選手は大坂選手にエースを決められてしまう度に、一瞬顔を歪める。しかし、すぐに表情を平静に戻す雰囲気がカッコよかった。押されていても顔には決して出すまいという意思の強さ。

私はここで、自分に憧れていた岡ひろみがテニスの腕を上げて、いつしか脅威になっていく、お蝶夫人の焦りを思い出したのだ。

お蝶夫人が素直だから可愛がってきた、下級生の岡ひろみと試合で対決するシーン。「あなた、いつの間にそんなに強くなって?」という驚き。お蝶夫人の独特の言い回しが懐かしい。クビトバ選手は大坂選手とは初対戦なのに、勝手な妄想が止まらない。

途中でクビトバ選手がヘアバンドを外して出てきた時も、お蝶夫人のリボンが解けてヒラヒラしたような、そんなシーンを思い出した。

「私を本気にさせたわね。」とかなんとか、お蝶夫人のあの声で思っていそうだった。このセリフも完全に適当に、私が当時を思い出してイメージしたものだけれど。

最初の大坂選手のマッチポイントのシーンも、もう優勝だと浮かれた気分で見ていた人もいたはずだ。ポイントの貯金もだいぶあったし、大坂選手のサーブが崩されるとは思わなかった。

しかし、クビトバ選手は決してあきらめない気持ちの強さで、ポイントを許さなかった。勝てば自分が世界ランク1位なのだから、あきらめるわけがなかったのだ。

「私が負けるわけがない。だって私なのだから。」と思っていそうだった。(セリフはイメージです)

結果的には大坂選手が優勝。その後のクビトバ選手のインタビューは、大坂選手を丁寧に讃える素晴らしいもので、胸が熱くなった人は多いはずだ。

「クビトバ姉さん、やっぱりお蝶夫人だった~(泣)。」が私の感想だ。

お蝶夫人も自分を超える強さを持つ岡ひろみを支え続けた、素晴らしい人格者だったのだ。誇り高きお蝶夫人がいたからこそ、「エースをねらえ!」は品格のあるスポ根漫画になりえたのだ。

それにしても、「エースをねらえ!」を好きな人が語る話って、熱すぎてねらいがわかりにくくなりがちだ。我ながら「ねらいを絞れ!」である。

上の文章を自分で読み直しても、人物が混ざりあっているのでひどいなと反省する。

本当はここに宗方コーチとか、藤堂さんとかも入れたかったけれど、自重したので許してほしい。スポ根の恋を禁止されるシチュエーションは、昭和的で良かったんだよなー。

話を戻して、今回は本当に大坂選手にはおめでとうと言いたい。全豪オープン優勝で世界ランク1位。私はテニスをしないので、普通に試合をレビューすることができなかったけれど、感動の試合をありがとう。


【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

少女漫画の縦ロールに加えて、フリルやリボンの布の重なりの描写をよく練習した。キャンディ・キャンディの髪型はカールされた段カットのツインテールで、実際の髪の毛では再現できないとか。画像検索してみると、今見ても可愛い。毛の描写って深いなぁ。