クリエイター手抜きプロジェクト[571]IoT編 二回目のマイクロビット講座は一回目とは違っていた
── 古籏一浩 ──

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今回は先月末に行った、マイクロビット講座についてです。昨年も一度マイクロビットの講座を行っていますが、当初の募集人数よりも多かったため、二回に分けたという経緯になっています。

講座で使う機材や進め方は一回目も二回目も同じです。しかし、子供達によって講座の中身が変わってしまうということがあり、なかなか興味深い体験を得ました。

一回目はLEDなどをブレッドボードに差し込んで、どうなるか確認したり、どちらかというとハードウェア的なものと、ピアノボードなど音楽に興味を持つ子供が多くいました。

ところが、二回目は女の子が多かったせいか(人数の約半分)、音楽やグラフィック方面に興味を持つ子供が多いような感じでした。ちなみにグラフィックはマイクロビット用の専用のものがあり、160×128ドット65536色まで表示できます。

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音楽は無線通信を使いタイミングさえあわせれば、マイクロビットで同時演奏が可能です。二人でタイミングあわせて演奏するようにしていましたが、少し苦労していたみたいでした。

マイクロビットの講座は3時間で、1時間目が基本操作の学習、2時間目は好きな項目を選んで学習、3時間目が全員で信号機を制御します。3時間前は簡単なプロジェクトです。

一回目は人数が多かったのでふたつの班に分けましたが、二回目は人数が微妙だったので、全体でひとつのプロジェクトを実現することにしました。

一回目はプロジェクトリーダーがいませんでしたが、二回目は関わる人数が多いため、二人の女の子がプロジェクトリーダーをやることになりました。(ちなみに小学4年生です)

プロジェクトの目標は、交差点の信号を作るというものです。簡単なものですが信号の点灯時間や、どういう交差点にするかを決めなければいけません。普通は講師からアドバイスとかするんじゃないかと思いますが、ここは基本ほったらかしです。

時間は1時間弱なので手際よくやらないといけません。女の子二人は初めてのプロジェクトリーダー(マネージャー)なので、思いついたところからやりはじめました。

どういう交差点にするかを、紙に描き始めました。本番用の紙ではなく下書きとしてです。この交差点のお絵かきに30分近くかかりました。その間、他の人への指示はまったくなし。その後、二人でプレゼンが行われました。そして、信号機を何秒間点灯させるかの仕様が決まった段階で、残り20分弱。

ここで面白かったのが、残りの人の行動です。信号機を作るという目的は決まっていますが、作成する信号機は4つ。信号機を作らない子供は何か交差点に関するものを作らないといけません。

プロジェクトリーダーの二人の女の子は、交差点で流す音楽を作成すると公言していましたので、残りの人は何か別のものを作る必要がありました。しかし、誰が信号機を作って、誰が他のものを作るのか、ほとんど決まらず進行していきました。

ここで講師の出番。こういう事態は実際のプログラム開発/プロジェクトではよくあることだと説明。そこで、こんな場合に、作成する側はどう対処したらよいかをアドバイスしました。

どのみち信号機を作ることは決まっているので、あらかじめ組み立てて用意しておくのがポイントです。プログラムも仕様が未確定でも、ある程度動くものを用意しておく。この時、小学4年生の女の子がなかなかいい質問をしてくれました。

「待ち時間が0msecのブロックは消した方がいいの?」

待ち時間が0msecということは、消しても動作には影響がありません。しかし、今回のような仕様が確定していない場合、このような意味のないブロックは残しておく必要があるとアドバイスしました。仕様変更で待ち時間が変わってしまったり、追加されてしまうことがあるためです。

プロジェクトリーダーが全体の進行状況を把握することをしていないので、残り時間だけ適度にアナウンスするようにしました。

仕様通りに信号機制御のプログラムを作った女の子が、とあることに気づきました。それも5分前に。

「仕様がおかしい」

実は赤色→青色→黄色となる場合の、時間配分が間違っていました。プロジェクトリーダーは気づかなかったのです。そして、ここでどうすべきか? が議論されました。

(1)プロジェクトリーダーに伝える
(2)プロジェクトリーダーには伝えず、制作側で口裏をあわせて仕様を無視して動くように作る

結局のところ(1)が選択されました。そうなると、当然仕様変更がかかります。結局1台(1人)は対処できず、動くプログラムをコピーして使うという案配になりました。

ゲームプログラマになりたいという男の子がいたのですが、せっかくなので一番難しい液晶モジュールを使ったグラフィックに挑戦してもらいました。苦戦しながらも、どうにか簡単なグラフィックを表示することができました。交差点の大型ディスプレイっぽいような感じです。

時間を5分ほどオーバーしたところで、ようやく信号機が配置され、動くものができました。無事に動くものができてよかったのですが、4人で作るか7(+1)人で作るかで、かなり違いました。それでも、小学4年くらいでいろいろ学べるマイクロビット講座でよかったんじゃないかな、と思いました。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/


ロボットを制御したい、という子もいました。マイクロビット用のロボットもいくつか出ています。まあ、来年度もこういうマイクロビットの講座があるかどうかはわかりませんが……。

二月なのに寒い長野県塩尻市で雨が降るという、異常気象っぽい状態。天候不順だと農業系困るんですよねぇ。

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