[4757] 貸本屋の人気作家だった【青空娘/源氏鶏太】◇「Sparkle」を使う

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《HPリニューアル完成!》

■日々の泡[006]
 貸本屋の人気作家だった
 【青空娘/源氏鶏太】
 十河 進

■グラフィック薄氷大魔王[603]
 Webエディタ「Sparkle」を使ってみた
 吉井 宏




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■日々の泡[006]
貸本屋の人気作家だった
【青空娘/源氏鶏太】

十河 進
http://bn.dgcr.com/archives/20190320110200.html
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我が家は職人の家だったから、僕が子供の頃、二階に住み込みの弟子がいた。多いときでも二人くらいだったけれど、その職人見習いさんたち(みんな十代半ばだった)に遊んでもらった記憶もある。

中には安物のギターを持っていて、流行歌を弾き、歌ってくれた人もいた。彼らの部屋には月刊平凡や月刊明星、付録の歌謡集などが転がっていた。源氏鶏太の小説は、そんな雑誌の連載で読んだのかもしれない。

昭和三十年代、源氏鶏太は雑誌、新聞などの連載小説をひっきりなしに書いていた。当時の流行作家は多くの出版社や新聞社からの注文を受け、一ヶ月に書く原稿枚数はものすごい量にのぼったという。

源氏鶏太は長くサラリーマン(住友系の大企業)と作家の二足の草鞋を履いていたはずだが、あの頃はもうサラリーマンを辞めていたのだろうか。長いサラリーマン経験を生かして書く小説は、世の多くのお父さんたちに受け入れられたのだった。

有名なのは、戦後の流行語にもなった「三等重役」だろう。占領軍の指令によって経営者たちの多くが公職追放になったため、いきなり企業トップになった「三等重役」を描いた小説で、映画化されて広く知られることになった。

映画化された「三等重役」(1952年)で新米社長を演じたのは河村黎吉だったが、調子のよい秘書課長のような役を演じた森繁久彌の人気が出た。その人気が後の「社長」シリーズにつながるのだが、森繁独特の軽妙な演技は「三等重役」から始まったのかもしれない。

昭和二十年代後半から昭和四十年代初めまで、西暦で言えば一九五一年から一九六七年までの十六年間で、源氏鶏太の小説は八十作以上が映画化されている。凄いことだ。テレビドラマを加えれば、一体どれほどの数になるだろう。

僕がよく憶えている源氏鶏太原作のテレビドラマは、森繁久彌主演「七人の孫」である。「七人の孫」は、先日亡くなった樹木希林が一般に顔を知られるようになったドラマである。当時の名前は、悠木千帆だった。

悠木千帆はお手伝いさん役で、森繁とのトボけた掛け合いが話題になった。余談だが、その頃、悠木千帆は演劇仲間の岸田森と結婚していた。岸田森もテレビドラマ「氷点」のヒロインの兄役で人気が出る。

森繁が唄う主題歌が好きで「七人の孫」を欠かさず見ていた僕は、源氏鶏太という名前になじみがあったのだろう、貸本屋で何冊かを借りて読んだことがある。「青空娘」「意気に感ず」といったタイトルが甦ってくる。貸本屋の人気作家だった。

その頃、石原裕次郎も源氏鶏太原作のサラリーマンものを撮っている。相手役は芦川いづみがつとめることが多く、芦川いづみファンだった僕は「喧嘩太郎」(1960年)や「堂々たる人生」(1961年)がとても好きだった。

「堂々たる人生」の裕次郎は倒産しかかっている玩具会社の社員で、ファーストシーンは浅草寺境内での芦川いづみとの出会いだった。彼は社内の陰謀を暴き、関西財界の大物に気に入られて資金援助を受け会社を救う。

同時期に、高倉健も源氏鶏太のサラリーマン小説の映画化作品で主演している。「天下の快男児 万年太郎」(1960年)と「万年太郎と姐御社員」(1961年)である。この二本には、自民党の大物代議士になった山東昭子が出演している。

万年太郎は喧嘩早くて、何かというと上司を殴って左遷されるのだが、そういう主人公が現実の会社では上司に逆らえない観客に受けたのだろう。その頃、日本の企業は終身雇用で年功序列。上司の命令は「絶対」だった。

昭和二十二年の出世作「たばこ娘」以来、源氏鶏太にはタイトルに「娘」がつくシリーズがある。映画化された作品で見ると、「ひまわり娘」(1953年)「見事な娘」(1956年)「青空娘」(1957年)「娘の中の娘」(1958年)などである。どのヒロインも明朗快活、いつも顔を上げて生きている印象がある。

特に増村保造監督がデビュー作「くちづけ」(1957年)に続いて監督した二作目「青空娘」は、若尾文子の溌剌とした演技で気持ちのよい作品になった。彼女が演じたのは、高校を卒業し、東京の父の家に寄宿することになった娘である。

しかし、父には正妻があり、腹違いの兄と姉、それに弟がいる。継母にとっては、夫の愛人の娘だ。彼女は、彼らから使用人扱いされる。しかし、彼女が東京の父の家にいくことにしたのは、行方不明の母を捜す目的があったからだった。

彼女を愛することになるのは、高校時代の教師(菅原謙二)と、腹違いの姉が恋をしている金持ちの御曹司(川崎敬三)である。御曹司は性格のよい若者で、ヒロインも次第に惹かれていく。どちらも好漢である菅原謙二と川崎敬三の「恋のライバル関係」も爽やかに描かれる。

薄幸のヒロインが持ち前の素直で明るい性格で人生を切り開き、すべてがハッピーになって終わる単純明快な物語(晩年の作品以外、源氏鶏太作品はすべてそうだ)ではあるけれど、いつ見ても懐かしさがあふれてくる。

昭和三十年代の貧しさを僕はよく憶えているので単純に「昔はよかった」とは思わないが、日本の社会や人間関係は複雑になりすぎたのではないか、とも思えてくる。今から見ると源氏鶏太の小説は能天気ではあるけれど、それを受け入れ、多くの人が愛読した時代もあったのだ。

そうでなければ、十六年の間に八十数本も映画化されるわけがない。「素直で明朗闊達な性格の主人公が人生を切り開き、すべてがハッピーエンドで終わる単純明快な物語」を、そのまま受け入れる素直な読者が無数に存在したのである。今や、絶滅危惧種だろうけど---。


【そごう・すすむ】
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■グラフィック薄氷大魔王[603]
Webエディタ「Sparkle」を使ってみた

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20190320110100.html
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●Adobe Museの後釜をどうする? 問題再燃

Apple純正のiWebが終了し、しかたなく移行したAdobe Museも終了。Museはしばらくの間は使い続けられるだろうけど、ホームページを今から一新するにはちょっと不安。

Adobe PortfolioやWixに移行するか、簡単なトップページのみ作ってブログやBehanceやSNSへのリンクだけ載せる形にしようか……。

トップページだけなら一時期使ってたこともあるDreamweaverでイケるかな。インストールしてみたら、この画面を見て一瞬で挫折。ムリ!w
http://www.yoshii.com/dgcr/dreamweaver_gamen.jpg

●Webエディタ「Sparkle」

「Sparkle」というのをMac App Storeで見つけた。
https://itunes.apple.com/jp/app/sparkle-visual-web-design/id863015334

公式サイト https://sparkleapp.com/

下記リンクによれば、『SparkleはAppleが開発を終了したiWebのユーザーを救済するために作成されたアプリ(rescuing iWeb refugees app)』だそう。僕にピッタリだ。
https://applech2.com/archives/42449701.html

無料版・機能制限版・プロ版と3段階あるが、機能的には無料版ではむずかしいだろうし「Sparkleで作成しました」の表示も入る。HTMLファイルを書き出すには最高位のプロ版を使うしかない。入れてみた。

画像をドラッグ&ドロップで挿入したり、テキストを打ち込んだり、リンクを張ったり、そのあたりはiWebやMuseなどと変わらない使い勝手。とても使いやすい。

仮のトップページを簡単に作成して各デバイスでプレビューしたら、スマホでの表示が崩れてておかしい? と思ったら、パソコンやスマホやタブレット(縦横それぞれ)の画面用に調整する機能もあるのね。

僕的に肝心な機能といえば「問い合わせフォーム」。昔のようにメールアドレスを不用意に公開できなくなってるので、フォームの有無は営業的に最重要なのだ。やってみたが、やはりむずかしい。

メールボタンさえうまく働かない……と思ったら、ちゃんとサーバーにアップしないと動かないのだった。手こずるようだったら、新しくメールアドレスを作って載せ、問い合わせ専用に使うかな。メールリンクはやめてSNSのメッセージに誘導してもいいし。

そうこうするうちに、公式サイトにフォームの説明を発見。やってみたらちゃんと動いた! ツールの「その他」の中にフォーム作成に必要なパーツが入ってるのに気づかなかったのだった。
https://sparkleapp.com/docs/forms.html

送信後に表示される「Thank youページ」が「.php」に変換されるのとか意味よくわからんけど、とりあえずちゃんと動いてる。

「問い合わせ内容のテキスト」「送信者のメールアドレス」を収集してsubmitボタンで送信、「Thank youページ」が表示され、ちゃんとメールで届くようにできた。
http://www.yoshii.com/dgcr/sparcle_form2.png

iWebやMuseでは問い合わせフォーム一式を、いきなり挿入できたのに比べればややこしいけど、日本語の説明なしでできたから相当簡単だと思う。これでようやくHP改造に取りかかれるぞ。

○追記。後で気づいたんだけど、Sparkleで作成したメール送信のリンクをカーソルオンしても、メールアドレスは表示されない。JavaScriptの処理になってる模様。iWebやMuseではアドレスは表示されてた。ってことは、フォームを使わなくてもメールアドレスを自動収集される危険はいくらか少なそう。

あと、Adobe Portfolioでもデフォルトで用意されてるContactのページにフォームがあるのね。試してみたら、ちゃんと送れた。

●HPリニューアル完成!

3〜4日もあればリニューアルできると思ったのに、Adobe Portfolioに手こずったり、そこに載せるためにあらかじめBehanceにアップしなきゃいけなかったり、新しく載せるものを集めてまとめたり、ブログの抜けてる項目を追加したり……。やることがどんどん拡大してしまい、3週間以上かかってようやく公開できた。

http://www.yoshii.com/

SparkleでトップページとBio/Contactの2ページのみ作り、他はAdobe PortfolioのWORKSに全部放り込んだ。

トップページは「スマホで使いやすいこと」を最優先。本来やりたかったのに、次第に要素が増えてグチャグチャになってたのを、振り出しに戻した。シンプルすぎてちょっと古く見えるのは追々なんとかするつもり。

WORKSの半数はBehanceからの読み込み。基本、英語表記(欧米人は漢字など異国の文字があるだけで引き返して見もしないという話を聞いたので)。E/J切り替えを作るのは面倒。でも、日本語を入れないとマズいとも思うので、最小限の説明を入れた。


【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com/
http://yoshii-blog.blogspot.com/

ApplePencilが使えるiPad miniとAirの発表! miniはiPhoneやスマホとかぶるけど、モノとしては魅力的だなあ。ここまでペンを推すんだったら、MacBook Proの画面でApplePencilを使えるようにしてくれたっていいじゃんねw

しかし、こうなってくるとiPad Proの小さいほうがかわいそうだw 何か特別な強みってあったっけ? と思ったら、発表された2機種で使えるペンは旧ApplePencilだった!

○吉井宏デザインのスワロフスキー、新製品がいくつか出ました。

・見ざる聞かざる言わざるの「三猿」
https://bit.ly/2UF4LzF

・フクロウHOOT、踊りたい気分! 「HOOT LET’S DANCE」
https://bit.ly/2Dc6p4Z

・恋に落ちたフクロウHOOTたち「HOOT WE ARE IN LOVE」
https://bit.ly/2BlyBC4

○MyMiniFactory
3Dプリンタ用のデータを売ってます。
https://www.myminifactory.com/users/Yoshii

【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com
http://yoshii-blog.blogspot.com/


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編集後記(03/20)

偏屈BOOK案内:「歴史の遺訓に学ぶ 日本を拓いた偉人たち」渡部昇一・堺屋太一

堺屋太一、渡部昇一、竹村健一、妙にウマの合った三人は「三ピン」と呼ばれた。この本で対談する二人は故人。渡部のあとがきに平成二十八年二月下浣とある。下浣とは下旬のこと、初めて知った。この対談は、日本の基礎を築いた偉人たち、戦後日本を発展させた政治・経済・文化のリーダーたち、日本の進路を見定める、三部構成である。28人の偉人について存分に語り合う。

堺屋著の「日本を創った12人」では、聖徳太子、光源氏、源頼朝、織田信長、石田三成、徳川家康、石田梅岩、大久保利通、渋沢栄一、マッカーサー、池田勇人、松下幸之助。渡部著の「理想的日本人『日本文明』の礎を築いた12人」では、聖徳太子、紫式部、西行、源頼朝、織田信長、徳川家康、松尾芭蕉、大久保利通、伊藤博文、松下幸之助、野間清治、岸信介。共通する人が何人も。

この二人の著作に戦後の豊かな日本をつくった人という見方で、付け加えるとしたら、所得倍増計画の池田勇人、沖縄を取り戻した佐藤栄作。産業界では豊田英二と豊田章一郎。二人に異論はない。二人とも「松下さんが英雄」という。

バブル崩壊後に衰退する「現在の日本」の責任者たちも挙げなければならない。堺屋はその代表として戦後の官僚達たちを「悪の凡庸」として挙げた。渡部は「古事記」を編纂した太安万侶の努力が仮名を生み、「源氏物語」が生まれたと説く。堺屋も日本語の基礎をつくった太安万侶は抜かせないと同意する。

というわけで、28人の偉人と関係する人たちを交えた「日本を支えた偉人」たちを語る。紫式部・光源氏=流行の先端にいる人たちを驚かせた「源氏物語」の世界観(渡部)。日本のトップは何も決定しないという伝統を作った光源氏(堺屋)。世界中で日本だけが一民族一国家一文明であることを象徴するのが「源氏物語」だ。こうなったら、橋本治「窯変源氏物語」完読に挑戦するかな。

江戸時代の石田梅岩は知らなかった。滅私奉公的な日本人の労働観を支えてきた人であり、宗教を相対化して心を磨く大切さに重きをおいた人でもある。日本人の感受性は松尾芭蕉の「わび」「さび」によってつくられた。西郷と比較されて人気薄の大久保利通だが、なりふりかまわず殖産興業を実現し、新日本の基礎をつくった大胆な改革者がこの人。大久保の後継者が伊藤博文である。

そして、戦後日本を発展させた政治・経済・文化のリーダーたちが続々と現れる。「所得倍増計画」の池田勇人。日本の高度成長を実現させた岸信介の安保改定。万国博覧会と沖縄返還、日本の青春時代のリーダー・佐藤栄作。国民的英雄になった、世界でも珍しい実業家・松下幸之助。名前を知る人ばかりだ。

この本の偉人は中学校の日本史教科書ではどう扱われているか。図書館で調べた。東京書籍の2016「新しい社会 歴史」には、渡部・堺屋の選んだ28人中13人しか入っていない。太安万侶、石田梅岩がいない。松下幸之助、小林一三、堤康次郎、五島慶太、豊田英二・章一郎、中内功、鈴木敏文、岡田卓也、松永貞一郎などの実業人は全滅。いくら左傾出版社といってもなあ。(柴田)

「歴史の遺訓に学ぶ 日本を拓いた偉人たち」渡部昇一・堺屋太一
2016 致知出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800911052/dgcrcom-22/


●「カルメン サンディエゴを@googleearthで見つけました。次はあなたが足取りを追う番です。幸運を、刑事さん。https://g.co/carmensandiego」。読み込み画面の単位が砂、大気圏、海水だったり。

/ポケモン名前辞書(ATOK、IME用)をインストールした。2013年のXYまで対応している。公開してくれた方に感謝! ポケモンGOは現在シンオウ地方で、XYはカロス地方だから、あと1〜2年は変換に苦労しなくて済むはず。

甥らとフレンドになっていて、たまに文章でやり取りをする。たとえば「ホエルコ」が「吠える子」になって地味に面倒くさかった。

「パッチールのタスクがカーブグレート5連続だけど、いま家から届く範囲にホエルコが定期的に出てくるので、簡単にクリアできたよ〜」「デオキシスのディフェンスフォルムが来週から出てくるよ〜」「レックウザは三日間だけだよ〜」みたいなことを書く時があるのだ。

甥のうち年長二人はとっくに飽きていて、珍しいのがゲットできたら報告してくれる程度。ママの方が真面目にやっている感じ。共通の話題なんてない甥らと会話できるだけでも、このゲームありがたいです、はい。(hammer.mule)

ポケモン名前辞書(ATOK、IME用)ポケモンXYに対応
http://monja49.blog40.fc2.com/?m&no=370

https://ja.wikipedia.org/wiki/ポケットモンスターの地名一覧
カントー、ジョウト、ホウエン、シンオウ、イッシュ、カロス、アローラ、ガラル、オレンジ、オーレ