crossroads[62]デジタルの良いところと悪いところ/若林健一

投稿:  著者:  読了時間:5分(本文:約2,300文字)



こんにちは、若林です。

先日、奈良県の生駒市で開催しているCoderDojoに、71歳の女性が参加してくれました。高齢だからといって特別扱いするのは間違っているかとは思いますが、71歳という年齢で且つ職業プログラマーでもなかった方が、プログラミングをされているということについては素朴に驚いています。

Word/Excelだけでは飽き足らず、子供たちがやってるプログラミングに挑戦してみようということで、数年前から始められたとのこと。

Javaにも挑戦したけれど挫折し、今はScratchを楽しんでいるということで、そのチャレンジ精神に驚きを隠せません。デジタルの世界は楽しさと難しさの両面がありますが、楽しさを感じてもらえるようにしっかりサポートしていくつもりです。





■デジタルの良いところ

自主的にコンピューターやプログラミングに取り組む方がいる一方で、「私はアナログ人間なんで、デジタルはまるっきりダメなんです」という方も少なくありません。私は、デジタルなんて道具にすぎませんよ、ということを常に訴え続けています。

今、人間が関わっていることはすべてアナログであり、デジタルという道具を使って一部を置き換えているにすぎません。基本は全部アナログです。

では、なぜデジタルに置き換えるか? というと、その理由は圧倒的にコストが安いからです。

たとえば、写真。アナログの時代はフィルムを買い、現像とプリントをしなければなりませんでした。一枚の写真を撮るためのコストが高かったので、あたりかまわずバシャバシャ撮るわけにはいかなかった。

これがデジタルになって、フィルムを買わなくてよくなり、残り枚数を気にせず写真を撮れるようになりました。プリントは今でもコストがかかりますが、必ずしもプリントしなくても楽しめるようになったおかげで、プリントも必須ではありません。

複製がしやすくなったのも大きいですね。フィルム時代は、写真を焼き増しして遠くの友人なら送料もかかりました。今は、取った写真をLINEで送って終わりです、このコストの差はひとりで考えると小さなものですが、世界中の人間の単位で考えると莫大な金額になります。

もうひとたとえるなら、本。アナログしかなかった時代は、紙に印刷しなければなりませんでしたから、生産や輸送に大きなコストがかかっていました。さらに昔の手書きの時代になれば、そのコストたるや想像を絶します。

文章や図、画像をデジタルで扱えるようになって、印刷以外の手段が使えるようになり、出版にかかるコストが大幅に下がりました。電子書籍はもちろんですが、自分の書いたものを自由に発信する手段と考えれば、webサイトやSNS、メールマガジンもそのひとつです。

デジタル化によって、コストが安くなると一気に敷居が下がり、誰でもできるようになります。色んなアイデアを実現しやすくなるので、社会変革が起こりやすくなり、実際にいくつかの変化が生まれました。

これがよくいう「デジタル革命」というやつです。人工知能やIoTばかりがもてはやされますが、デジタル革命は生活の色々なところで起こっているのです。

■デジタルの悪いところ

その一方で、その変化の多さや速さについていけなくなった方々が「デジタル疲れ」を起こしています。必ずしも年齢の高い低いによるものではなく、一応IT系の私でもちょっと疲れたなと思うことがあります。かつては他人事だった「デジタルデバイド」も、今や他人事ではなくっています。

先に述べたように、人間が関わることはすべてアナログであり、その一部をデジタルに置き換えているだけ。本来道具のはずのデジタルによって、人間が疲れてしまうというのは本末転倒ですよね。

少し話はかわりますが、Twitterで2つの写真の添付された投稿がタイムラインに流れてきました。


一枚は2019年の入社式のものとされる写真で、もう一枚は1986年の同じく入社式のものとされる写真です。(写真の出所が確認できないので「される」としています)

1986年は私が就職した年で、本当にこんなに自由だったかな? という思いはありますが、2019年の写真に見られるほど画一的ではなかったと思います。少なくとも「リクルートスーツ」といった言葉は無く、髪型ももっと自由だったはず。

1986年、インターネットはおろか携帯電話もありませんでしたから「みんなで同じものを着よう」といっても難しい時代でした。

そんな時代でしたが、1984年に発売されたサザンオールスターズの曲「ミス・ブランニュー・デイ」では、流行に流されて画一的なファッションを楽しむ若者を揶揄しているように、当時でも個性は失われつつあったのです。2019年の若者を当時のサザンオールスターズが見たら、驚くでしょうね。

これもまた、デジタルが巻き起こした情報流通の変化によって生まれたものと考えられます。そう考えてみていたら、2019年の若い人たちが「コピー&ペースト」で増殖されたように見えませんか。人間そのものがデジタルの波に飲み込まれているようで恐ろしくなりました。

デジタルの良いところと悪いところを、しっかりと使い分けていける社会にすることが、道具を作っている私たちIT系の人間の役割だなとあらためて感じさせられました。


【若林健一 / kwaka1208】
https://croads.jp/aboutme/

子供のためのプログラミングコミュニティ「CoderDojo」
https://croads.jp/CoderDojo/
貧困問題に取り組みお寺の福祉活動「おてらおやつクラブ」
https://otera-oyatsu.club/