[4771] ROMICS、ユーロマンガコース、私のマンガ◇舞い上がる粉との戦い

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《マジに粉地獄》

■ローマでMANGA[141]
 「ROMICS」、ユーロマンガコース、私の新企画マンガ
 Midori

■グラフィック薄氷大魔王[606]
 舞い上がる粉との戦い
 吉井 宏




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■ローマでMANGA[141]
「ROMICS」、ユーロマンガコース、私の新企画マンガ

Midori
https://bn.dgcr.com/archives/20190410110200.html

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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりしていきます。

今回は、近況報告みたいな形でお題が三つあります。
(一)4月5日から8日まで開催された、毎年恒例のローマのコミックスフェア「ROMICS」の話
(ニ)学校のユーロマンガコースの話
(三)私の新企画マンガの話

■(一)ROMICS■

ここで何度も書いたコミックスフェア。年二回ローマちょっと郊外、国際空港のフューミチーノ空港にほど近いフェア会場で開催される。

前回から4日全部ではなく、土日の2日だけ顔を出すようになった。フェアに顔を出す数少ない講師の一人、ということで重宝され、毎回学校の名前で開催するイベントの一つを割り当てられる。

今回は学校開催のイベントだけでなく、ROMICS事務所からもイベントの依頼があった。学校のイベントが土曜日、ROMICSのイベントが日曜日。金曜日は学校の授業があるからどっちみち行かず、木曜日は家での仕事に割り当てた。

回を重ねるごとに、キャラフェスの様相の方が強くなって行くフェアでもある。

土曜のお昼少し前に会場に到着。ローマっ子の中には、うちの旦那みたいに有料駐車場という選択を一切しない人がいるが、私は駐車できる場所を探す手間より有料を選ぶ。

フェア会場の駐車場は一律5ユーロだったのが、なんと、無料になっていた。その代わり(?)会場内のエスカレーターがことごとく停止していた。なにか関係があるのかどうかは不明。

ちょっと遅い時間に着いたので、広々した駐車場のかなり奥の方に車を停めることになった。車の置き場所を忘れないように、何度も「出口のロータリーの次のゾーンで、県道に近い一画」と唱えてから車を後にした。

一度、車を置いた場所を忘れて歩き回ったことがあるのだ。セクションごとに小さな表記があるけれど、セクションがかなり広くてあまり役に立たない。

私はゲストなので、切符売り場に並ばなくていいのが助かる。入るとすぐに、いや、駐車場から延々と会場入り口に、歩きながらすでにたくさんのコスプレイヤーに遭遇する。

コスプレって、やるのもエネルギーがいるけど、見るのもエネルギーがいるなぁと感じた。「きゃー!〇〇だ!」と声を上げる女の子を尻目に、写真を撮る気も起こらずに、醒めた思いでコスプレイヤー達を追い抜いて行った。

こちとら、3月に65歳になったばかり。立派な老人だからそういうことには気持ちが向かわなくなっている。自分たちで工夫して丹念に大仰な武器など作って、すごいなーとは思うのだけど。

あぁ、そうか。多分、多くのコスプレイヤーが題材にとるキャラクターそのものを私は知らない、というのも気持ちが入り込めない理由なのかもしれない。

ROMICS開催のイベントは、若き(28歳。日本のmanga界だと若くないかもしれない)マンガ家の、エリーザ・メニー二さんとのセッション。

彼女は去年「NIPPON FOLKLORE」という本を出して、その斬新な手法にかなり注目を浴びている。「NIPPON」がらみで私も呼ばれたのだ。

まぁ、エリーザさんが主体なわけだけど(彼女とその本がなければこのセッションはなかった)フェアの主催者が主催するイベントに呼ばれたという事実が、認められたという快感をもたらしてくれたのであった。

エリーザが主体、ということはわかっていたので、なるべく彼女を持ち上げるようにしようと思っていたのだけど、司会者がmangaの技法などの質問を私に投げかけるので、ちょっと喋りすぎたかもしれないと反省している。

学校のブースでも、顔を出すと「ミドー、すぐに席を用意するからね」とお絵かき(私の場合は似顔絵)の要請があって、これも「認められた」快感で今回のROMICSは気持ちよく過ごせた。

エリーザさんの本(出版社のサイト)
https://www.oblomovedizioni.com/libri-nippon-folklore.php


エリーザさんとのセッション風景
https://photos.app.goo.gl/qWFhUT9nyj7pfBcq9


学校のブースでお絵かき中
https://photos.app.goo.gl/LQJQEmk7pUioFJj4A


出してもいいよ、と言ってくれたダリオ氏と似顔絵
https://photos.app.goo.gl/qQTBtzM7aQBvGZgY8


学校主催のもう一つのイベント、「天才的な企画」の発表
https://photos.app.goo.gl/4VeUjhJT7enkW4yg7


■(ニ)ユーロマンガコース■

我がユーロマンガコースでは、コアミックス(600万部を売り上げた頃の「少年ジャンプ」の編集長の堀江信彦氏、manga家の原哲夫氏、北条司氏、次原隆二氏が設立したmanga出版社)が主宰するサイレント・マンガ・オーディションへの参加を授業の一環にしている。

春の回は3月末日締め切り。1月にアイデア出しから始まって、どうにかこうにか14人中13人が仕上げて提出した。ここでも、優秀生徒の4人は締め切りの前に仕上げ(原稿のレベルもなかなか高い)さっさと提出してしまっていた。もちろん、その前にネームのお直しも十分にしている。

初めて自分のmanga作品を仕上げた生徒が半分以上。マンガ家になりたいと思っていながら、なぜ作品を描いてみようと思わない生徒がいるのかなと不思議でしょうがない。もっとも、ヨーロッパでマンガ家というと、作画家の意味であることの方が多いので仕方ないのかもしれない。

生徒の中で一人、休みがちで、休んだ授業の日に何をやったのか聞くでもなく、ただ登録してるだけの生徒がいて、その生徒がただ一人参加しなかった。高い授業料を払って、何をしたいのかよくわからない。捨てるお金があるならくださいと言いたくなってしまう。

サイレント・マンガ・オーディションの発表は8月か9月。4人のうち誰かが、賞に引っかかるんじゃないかと期待してるのだけど。

この作品作りを通じて、14人中の2人が独自の作風を表に出した。これは嬉しい収穫。コアミックスには受けないかも知れないけれど、うまく育てていけば、ヨーロッパで通用すると思う。

■(三)私の新企画マンガの話■

2年前に出たアイデアで、こうの史代さんの「この世界の片隅で」を知った時はびっくりしてしまった。「母が生きた大東亜戦争の話」というコンセプトが同じだったから。

あの戦争のことを様々な方向から語ってよいのだ、という時世になってきたのだと思う。だから、私は私で私の語り方で作品を作る。

絵の技法としては、墨絵っぽくしたいと思っている。こういう感じ↓
https://photos.app.goo.gl/Ra7BmCf8vjrMdPVz9


でも、墨絵っぽい絵でページをコマ割して描いていくと、あまりにも絵の情報量が多くなって重くなりすぎるし、分かりにくくなる。

ともかく、技法をちゃんと身につけようと、話の内容に合いそうな写真をダウンロードしては、スケッチしながら構想を練っていた。

時々ネームをササっと描いてみるのだけれど、どうもピンとこない。結局、いわゆるmanga風のコマ割ではうまくいかないと結論付けた。あれこれ思いを巡らせていくうちに、江戸時代の黄表紙に思いが至った。
黄表紙↓
https://edo-g.com/blog/2016/03/kibyoshi.html


コマ割りができないのだから、コマ割りしないでいけばいいじゃん。このアイデアを友人で学校の副校長の、ジョルジャに相談してみた。先月の中間考査の話の投稿に出てきた彼女だ。
https://bn.dgcr.com/archives/20190314110100.html


いたく気に入ってくれて、絶対面白い! と言ってくれた。後は、セリフが必要な時に、吹き出しで白く抜くのはおかしいから、どうやってセリフを置くかだね、というサジェスチョンしてくれた。彼女は私の編集者。

manga構築法の講師だけど、その構築法から離れて構成することになるのが愉快で仕方がない。

この話が出たのがROMICSたけなわで、でも授業があるので行かなかった金曜日。土曜、日曜と認められた気がして気分良く過ごし、気分の良いまま今に至る。


【Midori】
マンガ家/MANGA構築法講師/新しいmanga、マンガの表現法を探す人
イタリアの畜産における動物虐待精通者

ここでは私は外国人で、EU以外の国だから、滞在許可証というものが必要になる。私のそれはかなり昔に発行のもので、期限がないもので気にせずに持っていた。

2年前に里帰りした際、空港で警察にこれは古すぎるから更新して、と言われた。今は5年ごとに更新するのだそうだ。まぁ、考えてみたら、顔も状況も変わるから更新は当然だよね。

ただ、一体どこでどのように更新手続きをとるのかわからない。滞在許可証は国家警察の担当なので、警察のサイトで「移民」のページを見てもわからない。結局管轄の警察署へ行って方法を聞き出すことができた。

警察署でも誰に聞いたらいいかわからなかったりして、イタリアで公文書を発行してもらうのは大変なんです。

郵便局で滞在許可証発行願いのモジュールをもらい、記入して、パスポートと今持ってる滞在許可証のコピー、婚姻証明、印紙、発行手数料を払ってその領収書を一緒にまた郵便局へ持って行って、書留で出す。領収書がわりにアポの日付と時間を書いた紙を受け取る。

そして、その日が来たので行ってきましたよ。でもまだ新しい滞在許可証はもらえない。滞在の原因である旦那も一緒に行き、「私が扶養してます」という書類、警察でモジュールに書いてあることをすべてコンピューターに入力し、持って行った写真もスキャンし、10本全部の指の指紋を取り、そして、「こっちから電話をかけるからそれまで待ってて」とのこと。

実際に書類を作るのはまた別の組織なのだそうだ。「15日でできてくることもあるし、6か月かかったケースもある」そうで。なんで、そう複雑にしたがるんだろう。

[注・親ばかリンク] 息子のバンドPSYCOLYT


MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
https://www-indies.mangabox.me/episode/58232/


主にイタリアの食べ物の写真を載せたブログを書いてます。
http://midoroma.blog87.fc2.com/


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■グラフィック薄氷大魔王[606]
舞い上がる粉との戦い

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20190410110100.html

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3Dプリンタ利用作品「大きめ分割出力6点」を制作中。この連載にはほとんど書いてこなかったけど、2017年秋からハマってる「FDM方式の3Dプリンタの出力物の積層痕を消す表面処理をし、水性塗料やリキテックスで塗装」の一環。

ブログにだいたいのことは書いてるので興味あったらどうぞ↓
https://yoshii-blog.blogspot.com/search/label/3D%20Printer


●粉がひどい

今回もモデリングペースト(とジェッソの混合物)を塗り、表面を磨いていたのだが……。
http://www.yoshii.com/dgcr/3dprinter-IMG_1819

もう耐えきれん! 粉がひどすぎる!!

今までも3個を同時進行でモデリングペースト削りをやったことあるけど、今回はサイズが大きい。表面積は2倍どころじゃないだろう。それを6個分だから、粉の量が半端ない。マジに粉地獄。

マスク必須。机も床も服も白くなるし、部屋中にうす〜く積もる粉がやっかい。そもそも、パソコンを使う部屋で粉が出る作業なんて野蛮すぎる。以前、アルミMac Proを開いたら、中が粉だらけでゾッとしたことがあるw

リキテックスのモデリングペーストを下地に使う方法は、溶剤臭無しで手軽で早くて良かったが、大きめのものには向かないな。もうやめることにする。粉出し放題の作業部屋でもない限り無理だわ。

何がダメかというと、サンドペーパー作業に水を使えないこと。ポリエステルパテや溶きパテなら、水でジャブジャブ濡らしながら磨けるので粉は飛ばない。

なぜやってなかったかといえば、キツい臭いのポリパテの使用を最小限にしたかったから。う〜ん、多少の臭いはまあしかたない。粉地獄よりマシ。

アクリル絵具系なんだから、一度乾燥させれば水をつけても大丈夫でしょ?と思われるかもしれないけど、以前やってみたら、思いっきりベロベロ剥がれたのです(泣)
http://www.yoshii.com/dgcr/3DPrinter_IMG_0673

リキテックスで塗装する下地にサーフェイサーでは食いつきが不安だが、粗めに磨いた上にジェッソを塗れば大丈夫だろう。一度テストしてみないと。あるいは、シタデルカラーかファレホに切り替えるか。

●粉フリーを目指す

そういえば2006年頃に、石粉粘土でフィギュアを作り始めたときも粉が手に負えず、横に空気清浄機を置いて「強」にして削ってた。フィルタが粉でびっしりコーティングされたみたいにw

以前、リューターという電動工具でバリバリ削る作業でやってたように、箱の中で作業するのも良さそう。段ボールの手前と左に手を突っ込む穴をあけて、上に透明アクリル板。小さいものの作業に限ればけっこう良かった。
http://www.yoshii.com/dgcr/2006_DSCN1507

今回は前半、90リットルのゴミ袋の中で作業してたけど、袋の内側に溜まった粉が、何かするたびに舞い上がって閉口w

もうちょっと手軽に粉がなるべく出ない方法をやってみた。舞い上がるのは削ってるときよりも、表面に溜まった粉をブラシで落とす時がひどいのだ。溜まった粉を固く絞った濡れ雑巾で拭き、水分が蒸発するまで別のものを作業する。舞い上がる粉は最小限。

昨日からその方法を徹底、15分ごとに本体と作業台の粉を拭いてる。イケるっぽい。

そもそも、モデリングペーストを分厚く塗って一気に削ろうとするから削る量が増え、粉が多くなる。加減がむずかしいんだけど、薄塗りを何度か削るほうがいいだろうな。

○おまけ、神ヤス

「GodHand 神ヤス!」っていう優れモノがある。スポンジやすりの一種なんだけど、とにかく砂が取れにくくて丈夫! 切れ味と耐久性が他のスポンジやすりとぜんぜん違う。いろいろはかどる。
https://www.godhandtool.com/products/ks


目が詰まっても洗えば3〜4回は平気。最近は小さく切って、電動ペンサンダーの先につけて使うことも多い。

以前買った在庫が少ししかなくなって、チビチビと使ってた。他の使いかけの紙ヤスリも消費してしまいたいし……。と思ったけど、ガマンしきれず大量購入。これでしばらく大丈夫w
http://www.yoshii.com/dgcr/kamiyasu-IMG_1833


【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com

https://yoshii-blog.blogspot.com/


2月に齋藤浩さんの連載に、シタデルやファレホが出てきてびっくりw 書かれてたように、最近はシタデルカラーやファレホなどの水性塗料が注目されてて、僕も昨年試してみたのでした。そのうち書きたい。

○吉井宏デザインのスワロフスキー、新製品がいくつか出ました。

・見ざる聞かざる言わざるの「三猿」
https://bit.ly/2UF4LzF


・フクロウHOOT、踊りたい気分! 「HOOT LET’S DANCE」
https://bit.ly/2Dc6p4Z


・恋に落ちたフクロウHOOTたち「HOOT WE ARE IN LOVE」
https://bit.ly/2BlyBC4



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編集後記(04/10)

●偏屈BOOK案内:車谷長吉の人生相談 人生の救い

「運、不運で人生がきまるの?」と問う、就職活動でまだ内定がない22歳の大学生。その回答は3ページにわたって、回答者・車谷長吉の自分と弟の不運語りに尽きる。兄弟とも遺伝性蓄膿症で鼻呼吸ができない。「不運な人は、不運なりに生きていければよいのです」と突き放すのが回答というんだから、人生相談として不成立のような気がする。相談者を返り討ちするような回答もある。

回答者としてどうよ、車谷長吉。人間としてどうか、とまで言われかねない辛辣な対応。ほんとにこれが人生相談なのか。全部創作ではないのかと思ったくらいの、異色の人生相談が実在した。朝日新聞別刷に掲載された人生相談をまとめた本がコレ。“最後の文士”にして“反時代的毒虫”たる著者、というのがセールスポイントである。相談者に“寄り添わない”潔いスタイルが素敵!

「老後の夫婦が円満に生きるための秘訣を知りたい」という、まとも過ぎる質問。わたしもちょっと気になる。それにどう応じたか。回答「円満の秘訣など人生にひとかけらもなし」ときた。車谷は結婚したら妻から、家を買ってくれ、高級洋服を買ってくれ、船で世界一周の旅に連れて行け、など様々な要求をされて、53歳で脅迫神経症に罹り、10年近くの神経科病院通いになったという。

散々自分語りをしておいて、最後に「いままでのところ、あなたはなまくらな人です。世の9割の人は、そういう人ですが」。そうくるかい。まるで回答になっていない。「いろいろ心配にとりつかれている」という相談に、「つまり、人生には救いがないということです。その救いのない人生を、救いを求めて生きるのが人の一生です」って、まったく救いがない。加えて余計なことを。

「うちの嫁はんの女友だちを見ていると、まず8割は虫のいい女です。地道に働いて、なるべくお喋りをしない、という覚悟がない」。書かんでもいいことを。田舎の母親は親類の男から「あんたの伜に悪う書かれた」と棒で殴られ半殺しの目にあわされた。「小説を書くにはある程度覚悟はいります」って……。

「小説を書きたい」という71歳の向学心ある年金生活者。回答は「善人には小説は書けません」。人の頭脳は4種類、頭のいい人、頭の悪い人、頭の強い人、頭の弱い人。この中で絶対に小説を書けないのが「頭のいい人」だ。人には真、善、美、偽、悪、醜の6要素が備わり、頭のいい人は偽、悪、醜について考えると頭が痛くなるからだという。善人と頭脳の種類は別の話だと思うがなあ。

「人生の目標の立て方は?」と真摯に問う46歳・主婦。回答はまず「中高年に人生の目標などなくて当然であるから、迷いの段階で必ずより困難な道のほうを選んでいけば、そこから新しい道が開けてくる」と格好いいこと、無責任なことを言いながら、結局は自分一人で何かを楽しむことを見つけることが大事です、と平凡にまとめるんだから、筆者らしからぬ投げやりな対応である。

「車谷長吉の人生相談」と銘打っているが、質問者によりそった優しい回答者とは思えない。質問を無視して自分語りをすることが度々。先生のことなんか聞いてません、もっとわたしの悩みを聞いてください、対面でなら相談者はきっとそう言うだろう。車谷の小説はこわいからわたしは近寄らない。(柴田)

「車谷長吉の人生相談 人生の救い」朝日文庫 2012
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4022646934/dgcrcom-22/



●大阪ダブル選挙続き。対立候補者らは党の垣根を越えて「反維新」で結束していたが、そもそも全然意見が違うはずで、具体的な施策を伝えきれなかったように思う。本来支持していた人たちも、なぜそこと組むのだと疑問を持ち、そっぽ向いたのではないか?

「都構想が実現したらどうなるかわからないよ」というようなメッセージを示してはいたが、「それってアカンの?」「もしかしたら良くなるかもしれないよね?」と言う市民がTVに出ていた。

大阪以外の人から見ると、橋下さんが離れ、国政でも票を獲得できずゴタゴタした面からも、維新は弱っているように思っていたのではないか? けれど大阪市民は、特に子育て世代には、不支持の理由はなかったと思われる。(hammer.mule)