グラフィック薄氷大魔王[607]「板タブ苦手な自分のための注意事項」増補版
── 吉井 宏 ──

投稿:  著者:



昨年書いた「板タブ苦手な自分のための4つの注意事項」に新項目を追加して、わかりやすく整理、理由も書いてみた。

・「ちゃんと拡大・回転表示する」

結局、面倒くさがらずに拡大縮小・回転表示をして描くほうが、早く思い通りに描ける。多少右上がりのほうが、スムーズに描けてラク。

・「板タブの回転角度を微調整する」

右利きの場合、タブレットを反時計回りに数度〜10度程度回す。姿勢や椅子の位置によっても変わるので、いつも微調整する。





・「手に余計な力が入っていないか意識する」

手に力が入ると、手首が固まり掌が動かしにくくなるから。

・「ペンを動かすスピードを意識してゆっくり目にする」

速すぎると不正確になって、何度もストローク描き直すことになる。

・「腕全体で描いている時に、指先の動きやスナップを加えて微調整をしない」

細部では指先の動きは重要だけど、大きく描いているときに細かい動きをすると却って不正確になる。むしろ、手首から先は固めて描くほうがきれいで、滑らかな線が描けるっぽい。

・「Lサイズの板タブを使ってる場合は、中央部のみで描く」

周辺部ではペンを持つ手が体の中心から遠くなり、思い通りに描ける範囲から外れてしまう。その意味で、MサイズやSサイズはその心配が少ないので、それで大丈夫な人がうらやましい。

・「板タブは十分遠ざけて使う」

これには最近気がついた。重力の影響を受けないように、腕を垂らす形になるように板タブをなるべく体の近くに寄せたのだが、画面の下半分より上半分のほうが明らかに描きやすい。寄せすぎて右手が不自然に縮こまってたのだった。

板タブの中心で、腕が十分伸びているように距離を調整する。上向きの円弧がすごく描きやすくなった。

↑こういった注意が続く間は、そこそこ描きやすい。描きにくいと感じたら、たいてい何か忘れてる。

以下、雑記。

・清書やトレースのような精密な作業では液タブを使いたくなるけど、「ちゃんと拡大・回転表示」を守ってさえいれば、板タブでもそれほど苦労しない。Photoshopブラシの「滑らかさ」やHej Stylus!も併用すれば、ゆっくり描くかぎり液タブに引けを取らない。

・結局、完全に確実に思い通りに描くには、できるだけ拡大してゆっくり描くしかない。紙とペンでのスケッチも、ごく簡単なサムネール的アイディアスケッチならともかく、形をちゃんと描くには大きく描かなきゃムリ。

・姿勢がラクな板タブの最大の利点は、「長時間描いても疲れない」こと。仕事では丸一日どころか、2か月ぶっ続けでドローイングすることもある。最近は紙とマーカーを使うことも多いけど、板タブでアイディア出しから全部やれたら相当ラクになりそう。

・27年も板タブを使ってて、思い通りに描けない僕が特殊なのか?w シャープペンで細かい絵を描けるタイプの人が板タブが得意っぽい。うらやましい。しかし、「描く作業」といえば液タブやiPadを使うのが当たり前の時代
になり、入門時から液タブって人も多いだろうな。


【吉井 宏/イラストレーター】
http://www.yoshii.com/

http://yoshii-blog.blogspot.com/


「スター・ウォーズ/エピソード9」の予告編が出た!
「The Rise of Skywalker」は「スカイウォーカーの復活」? ルーク、それとも親子? キャリー・フィッシャーは未使用フィルムにより出演。ランド・カルリジアンが帰ってきた! でも「ハン・ソロ」で若い姿を見たから、ジジイになってるのが不思議な気がw

○吉井宏デザインのスワロフスキー、新製品がいくつか出ました。

・見ざる聞かざる言わざるの「三猿」
https://bit.ly/2UF4LzF


・フクロウHOOT、踊りたい気分! 「HOOT LET’S DANCE」
https://bit.ly/2Dc6p4Z


・恋に落ちたフクロウHOOTたち「HOOT WE ARE IN LOVE」
https://bit.ly/2BlyBC4