[4782] 名古屋がフォントの国になった日◇人生が時めかないドケチ魔王

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《♪ダイナマイトなバディでもいいんじゃない》

■もじもじトーク[106]
 名古屋がフォントの国になった一日
 関口浩之

■歌う田舎者[63]
 人生がときめかないドケチの魔王
 もみのこゆきと




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■もじもじトーク[106]
名古屋がフォントの国になった一日

関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20190425110200.html

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

4月21日(日)に、名古屋で夢のようなイベントを開催しました。イベント名は「中村書体と筑紫書体」です。

本日のもじもじトークから数回に渡り、セミナーレポートを書きたいと思います。今日は、「ナール」「ゴナ」という20世紀の金字塔書体を制作した、中村征宏さんのお話です。

●「今、時代は動いた」の現場

「中村書体と筑紫書体」セミナーに、100名以上の方に参加いただきました。ありがとうございました。

名古屋以外からの参加率がなんと8割でした。その日、日本全国から、活字やフォントが好きな方々が名古屋に集結したのです。名古屋がフォントの国になった一日でした。

僕が、このイベントの発起人となりました。主催者の一人でしたが、聴講者として、お二人のお話に完全に引き込まれてしまいました。

僕が大好きな、中村征宏さんと藤田重信さんの二人をお招きして講演、対談トークしていただくという企画は、5年前から実現したいと思ってました。今回、その企画が実現できて、夢のようでした。

中村さんは1970年代に「ゴナ」「ナール」で、新書体の時代を切り開いた書体デザイナーのレジェンドであり、また、藤田さんは筑紫書体でデジタルフォント時代の新境地を、今まさに切り開いている書体デザイナーなのです。

そんな新時代を切り開いたお二人のお話を、多くの方に聞いて欲しかったのです。参加者全員で「今、時代は動いた」の現場に立ち会ったという感覚になったイベントだったと思います。

●ライオン看板店での修業時代

中村征宏さんは、1942年、三重県生まれ。1957年に、三重県四日市市のライオン看板店に弟子入りしました。

中村さんが師匠と仰ぐ店主の藤田美義さんは、非常に美しい文字を書く方だったそうです。僕は1960年生まれなので、ちょうどその頃、中村さんは、師匠が書いた看板文字やバイクや車に書いた文字を眺めたり、文字のフチ取りをしていたのですね。

ライオン看板店に勤務した3年間、中村さんは実際に文字を看板に書くことは、ほとんど許されなかったそうです。数分で乾いてしまうラッカー塗料を使って看板に文字を入れるので、失敗は許されません。書き直しや修正液で直すことができないので、師匠のみができる作業だったということです。

この3年間、毎日、中村さんが目にした美しい文字が、中村さんのその後の書体作りに影響を及ぼしたのではないか、とお話されてました。

その後、印刷関係の会社に勤務します。オフセット印刷機の紙差し作業というのがあって、3分以内に次の紙に空気を入れ、印刷機に滑り込ませるという職人技が要求されたようです。「でも、その作業ができなかったので、私は3か月でやめた」とお話され、会場は笑いに包まれました。

●名古屋テレビでテロップ文字を制作

1962年の頃、字幕テロップの制作をやりたくなったそうです。開局したばかりの名古屋テレビに、自分が書いたテロップ文字の見本を持参したら、すぐに、その仕事に就けたそうです。

1960年代、テレビ映像の中のテロップ文字がどのように制作されたかを、想像できる人いますか? では、お見せしましょう。ジャーン!
http://bit.ly/nakamurasyotai001


すごいでしょ! 黒い厚紙の上に、白い文字を手書きして、それをカメラでフィルム取りするわけです。これらはすべて、1960年代に、中村さんが手書きによるフリーハンド文字なのです。

味わいがあっていいですよね。しかも、すごく完成度が高い。いま見ても新鮮です。テロップの写真の中で、「テレビのおばちゃま」がありますが、その文字、「ナール」に似ていませんか?

みなさんは、古い映画や昔の時代劇の再放送を見たことありませんか。字幕の文字や出演者の名前が流れるエンドロールで、手書き風の文字を見たことありませんか。それが、中村さんが行なっていた仕事なのです。

現在では、デジタルフォントが搭載されたテロップシステムから、文字を表現できるようになったので、手書き文字を使用することはありません。

当時のテロップの仕事は、手書きで何枚も書くので、ときどき、間違うこともあったそうです。「国定公園」と書くべきところ、「国宝公園」と書いてしまって、それが放送されちゃったそうです。視聴者からクレームの電話がテレビ局に入りました。

「放送する前に、テレビ局の編集の人、ちゃんとチェックしてほしかったな」とというひとことに、会場は爆笑でした。

「テレビのおばちゃま」の「お」について、会場から質問がありました。「『お』の点が見慣れない場所に打たれてますよね。どうしてですか?」

中村さんの回答は、『「お」の一画目の横棒を長く書いてしまったので、点をそこに置くしかなかったんです」でした。会場のみんな、爆笑でしたが、「なるほどなぁ~」って思いました。

●フィニッシュ原稿(版下)制作の仕事

その後、中村さんは制作会社で仕事をしたそうです。レタリング文字や写植文字をハサミで切って貼り付けして、文字詰め作業をすることを主にやっていたそうです。Before/Afterはこんな感じです。
http://bit.ly/nakamurasyotai002


もし、文字詰めする必要がない文字があったら、版下制作が楽になるのではないかと、中村さんはその当時思ったそうです。

その効率化の発想から、漢字/平仮名/カタカナが仮想ボディ(文字のマス目)に、目いっぱいの文字があれば、切り張り作業がなくなるのではないかと思ったことが、ナール誕生のルーツになったそうです。

●活字は重要な日本の文化財

1970年頃までは、石井明朝や石井ゴシックなどに代表される、伝統的な書体が中心だったのですが、「タイポス」もそうですが、中村書体である「ナール」や「ゴナ」が、新書体ブームのきっかけになりました。

1970年以降の写植メーカー「写研」のフォントは、中村書体に人気が集まりました。今でも、デジタルフォント化が望まれますが、これら写植活字は、日本の文化であり、後世にしっかり伝承すべきものだと思います。

また、鋳造活字、写植を活用した組版や文字詰めの知見を深めること、そして、それらの歴史を学ぶことで、デジタルコンテンツやウェブコンテンツ制作において役立つことは、たくさんあるのではないかと思います。

フォントおじさん、まだまだ修行中ですが、伝道師(エバンジェリスト)として、それらの知見や文化を伝承していきたいと思っています。

●本イベントの関連記事

「中村書体と筑紫書体」のセミナーが終わって、数日ですが、関連記事をいくつか紹介します。

イベントフライヤー
http://bit.ly/nakamura-fujita-leaflet


ツイッターまとめ
https://togetter.com/li/1340366


フォントダスさんと中村さんの対談記事
https://fontdasu.com/2659


●フォントイベント情報

5月18日(土)に、東京の大崎にて、大きなフォントイベントがあります。

イベント名:
CSS Nite LP61「これからのフォントとウェブでの組版を考える日」

イベント概要と申し込みページ:
https://cssnite.jp/lp/lp61/


日時:2019年5月18日(土)13:30-19:00(開場13:10)
会場:大崎ブライトコアホール
   東京都品川区北品川5-5-15 大崎ブライトコア 3F

出演者:
藤田重信(フォントワークス)
松田直樹(まぼろし)
木龍歩美(砧書体制作所)
山田和寛(nipponia)
吉田大成(アドビ)
越智亜紀子(フォントワークス)
関口浩之(ソフトバンク・テクノロジー)
鷹野雅弘(スイッチ)

9社のフォントメーカーがブース出展します。これだけ、多くのフォントメーカーが一堂に会するのは、今まで見たことがありません。そして、フォントメーカー13社の書体見本帳を参加者全員に配布します。

また、5月にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
フォントおじさん
https://event.fontplus.jp/about/hiroyuki_sekiguchi.html


1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、オトナンサー等のWebメディアにて、文字に関する記事を連載中。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/



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■歌う田舎者[63]
人生がときめかないドケチの魔王

もみのこゆきと
https://bn.dgcr.com/archives/20190425110100.html

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1番、齋藤選手に代わりまして、もみのこ選手。バッターはもみのこ選手、背番号54番。

編集長より、「齋藤選手が火急の用件にて出場がかなわなくなったため、ここは一肌脱いで代打を務めてはいただけまいか」との矢文が届いた。

いやはや、編集長のためなら、一肌と言わず、全裸で務めを果たすのが義理人情に厚い吾輩である。Twitter界隈には、昔から全裸中年男性ネタが転がっているが、ここは全裸中年女性となって、日ごろの恩を売る……いや返す時だ。

そんなわけで、ゴージャス&ファビュラスなランジェリーを脱ぎ捨て、ステージに上がろうとしたところ、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。後輩をかばい、すべての責任を負ったもみのこに対し、車の主、暴力団員谷岡に言い渡された示談の条件とは……。

……などという、Twitter廃人以外には通用しないクラシックなネタを繰り出して、忍法目くらましの術などかけてみた平成最後の月。皆様、いかがお過ごしでありましょうや。



吾輩、4月より再び勤め人となり、秘密基地で極秘任務を遂行しているのだが、ここには制服なるものがある。制服は、出勤にも使ってしまえば、着替える時間も削減できるわ、洋服買わんでいいわで、大変にありがたいものである。

しかし、ババアの制服は痛い。制服とは、卒業証書抱いた傘の波にまぎれ、4月から都会に行ってしまう男子に打ち明けたいと、やきもきする女学生しか着てはいけないと松田聖子が歌っているシロモノなのだ。

しかも何を間違ったか、パンツのサイズが15号なのである。人生初の15号ホームラン。いや、サイズは何も間違っていないのだが、人生は間違っているかもしれない。

同年代の女ボスは、7号を着てウエストが余っているらしい。吾輩も15号を着て多少余っているので、まあ「余っている」という点では一緒である。一緒ですよね。誰か一緒だと言って!

♪ダイナマイトなバディでもいいんじゃない
♪でもいいんじゃない 愛があふれ~てる~

ほら、かつてSMAPパイセンもそう歌っていたではないか。ダイナマイトなバディでも愛があふれていればいいんである。……よくねえよ! 15号っていったいどういうことだよ!

編集長に恩を売ろうと、ゴージャス&ファビュラスなランジェリーを脱ぎ捨て、ステージに上がろうと思ったのに、脱げない。脱げないのだ。体形の変化で。それを如実に思い知ったのは、代打依頼当日。高校の同窓会が主催する「夜の文化祭」に出場したときである。

「夜の文化祭」……なんて淫靡な響き。
♪ちょっとだけよ~♪とウインクし、焦らしながらスカートの裾から太ももを覗かせ、♪あんたも好きねえ♪と煽る会なのか。誰だ、名前つけたの。

このダイナマイトな太ももを見たいとは、因果な会よのう。……と思っていたら、単に同窓生が文化系の芸を披露する会ということであった。なんだ、期待したのに(何をだよ)。

しかしながら、吾輩、ろくな人生を送っていない日陰者なので、同窓会なるものには一度も参加したことがない。吾輩クラスの年齢になると、同窓会に出席するには、ノーベル賞とか、国民栄誉賞とか、紫綬褒章とかもらっていなければならぬのだ。白胡椒とか黒胡椒とか白黒ショーじゃダメなんである。

そのため、かたくなに同窓会には近寄らないようにしていたのだが、所属しているジャズダンスチームが出るとのことで、文字通り、重い腰を上げ、参加することにしたのだった。

当日は12:30にリハーサル、18:30に本番となっていた。吾輩、休日も着る服を考えるのが面倒なので、いつも同じジーンズを穿いているのだが、その日は洗濯していたので、仕方なく別のジーンズを手に取った。

んー、ちょっときついな。そういえば、このジーンズ、腹がきついから、出かけてもお茶一杯しか飲めないジーンズなんだよな。でも飲食しないから、まあいいか。ちなみに買ったのは10年ほど前である。

きつくて穿かないなら捨てりゃあいいのだが、吾輩はドケチなのだ。お茶一杯の外出なら穿けるということは、そういう機会に使えばいいではないか……そう思うと捨てられない。

サイズが合わなくなった微妙な下着も、旅先で使って現地で捨てようと取ってあるのだが、実際に旅で使うと、次回の旅でも使えるじゃないかと、結局捨てずに持ち帰り、箪笥の肥やしとなっているのである。

ついでに言えば、穴のあいたパンツ(ズボンではなくてパンティーの方である)も捨てていない。穴のあいたパンツを穿く悲しみを自分の肉体で味わうことによって、いつか吾輩が小説をものすことができるかもしれないではないか。将来の芥川賞作家の目を摘んでどうする。

しかし、年老いた母は、「そんなパンツを穿いてるときに、倒れて病院に運ばれたらどうするの!」と、穴のあいたパンツも捨てられない娘を持つ悲しみに暮れている。

そのようなわけで、以前はお茶一杯なら大丈夫だったはずのジーンズで、リハーサルに出かけたのだが、苦しい。お茶一杯も飲める気がしない。どういうことだ。

着替えが大変面倒な衣装だったので、上だけ着替えて、下半身はそのままでリハーサルに臨んだのだが、4分のダンスシーンに、食い込むジーンズ、悲鳴を上げる小腸大腸、止まる呼吸、高鳴る動悸。ダメだ、死ぬ、吐きそう><これは、きついジーンズで腸捻転だか腸閉塞だかになったんじゃないのか;;

リハーサル後、本当に具合が悪くなって、すぐにでもジーンズを脱ぎ捨てたかったのだが、パンツ一丁で帰るわけにもいかない。とりあえずウエストのボタンとジッパー全開でバスに乗り込み帰宅。玄関を開けるが早いか、ジーンズを脱ぎ捨てベッドに倒れこみ、回復に一時間以上もかかったのであった。

お茶一杯のジーンズ、捨てておくべきだったのだろうか。確かにもう何年も穿いていなかった。でも痩せたらどうする? 手持ちのジーンズとしては、ローライズはこれしかないので、何かのときに役に立つかもしれぬではないか。心の中のもったいないオバケが、そう囁く。

いや、でも死にそうだったのだ。ああ、捨てるべきか捨てぬべきか、それが問題だ。

神はなぜこのような苦難を吾輩に与え給うたのか。答えの出ない問いに身もだえするも、本番の時間は刻々と近づいている。現実は吾輩を人生への高尚な問いの中にとどまらせてはくれない。

Tomorrow is another day. 辛いことは明日考えましょう。明日は明日の風が吹くわ。もちろん今度はウエスト総ゴムのワイドパンツで行くわよ。失敗に学ぶ。これこそ、人生を善く生きるための秘訣ね。

♪ゴム~のパンツは いいパンツ~
♪ゆるいぞ~ ゆるいぞ~
♪ウエ~スト ゴムでできている~
♪ゆるいぞ~ ゆるいぞ~

そうそう、今回は本番だから、下半身も本番用にダンスタイツとレッグウォーマーをもっていかなきゃね。会場で着替えるのも面倒だから、家から着ていくわ。あらやだ、ダンスタイツのつま先が破れてる。こんなのマニキュア塗って止めておけば無問題ね。ドケチは恥だが役に立つものよ。

……うっ、ぐぐ……なんだかきついわ、このダンスタイツ。ああ、これは15年くらい前に買ったタイツね。ダンスタイツって結構締め付ける力が強いのよね。でも穿けないことはないの。それを捨てちゃいけないわ。

IT技術者としては、システム設計をホットスタンバイで考えるというのは実に正しいこと。システムが壊れても、待機しているダンスタイツがすぐに仕事をしてくれるんだもの。

さあ、なんだかお腹が痛いけど、本番よ!

……食い込むダンスタイツ、悲鳴を上げる小腸大腸、止まる呼吸、高鳴る動悸。死ぬ、死ぬ、死んでまう;;

お、お、お客様の中に、お医者様はいらっしゃいませんか。ドケチのため、酸欠で瀕死の踊り子がおります。お医者様がいらっしゃれば、お申し出ください。

てゆーか、捨てろよ! 入らないもの捨てろよ! 3年使ってないもの捨てろよ!

本番後、腹が痛くて再び速攻帰宅し、脱いだダンスタイツはすぐにゴミ箱に捨てた。腹痛からの回復には、また1時間かかった。クソ痩せたい。

洋服箪笥を開けてみる。20代や30代の頃に買った服が、まだまだ幅をきかせている。そこにときめく人生はない。パンツやスカートのウエストが、まっっっったく閉まらないものは捨てるのだが、無理すれば入るものは捨てられずに、引き出しの中に眠っている。9号を身に付けていたのは、白亜紀くらい遥か昔のこと。

最近はシャツやジャケットもパツパツになり、着なくなったものがたくさんあるのだが、いつか何かの役に立つかもしれないと、脳内でもったいないオバケが発動するので、そんな服が箪笥の中をわが物顔で占領している。しかし、実際に役に立ったためしはない。

下着の箪笥を開けると、そこには今やまったく着ないガードルが10枚もある。まだピチピチのうら若き女子であった頃に買ったものだ。

販売員の「今のままでも素敵なスタイルですが、ガードルでお腹周りや太ももを引き締めれば、より素敵になれますよ」とか、「穿くだけで痩せる効果があるんですよ」とかの言葉に、「いやいや、参ったな。これ以上吾輩を美女にしてどうするつもり?」と、石田ゆり子になった気分で調子こいて財布を開けてしまった結果である。

だいたい体を締め付けるものは苦しくて嫌いなので、買ったところで10回も身に付けていないのだ。ガードルなんぞ穿いたら、腹が苦しくて死ぬではないか。てゆーか、そもそも腹が苦しくないように痩せろよ!

ダイナマイトなバディでもいいかもしれない。しかし、そのダイナマイトがおっぱいならまだしも、腹ではいかん。体に合わないきつい服で、腸閉塞とか心臓麻痺とか窒息したらどうするのだ。少年隊もこのように歌っている。

♪きっとお前も~ 悩めるマドンナ~
♪捨てな 捨てな きつい洋服を~今は~

墓標に「人生がときめかないドケチの魔王、ここに眠る」と書かれないように、GWは入らない服を捨てることにする。捨てるったら捨てる。ほんとだってば。

※「制服」松田聖子

※「Dynamite」SMAP

※「ちょっとだけよ~」8時だよ!全員集合

※「鬼のパンツ」

※「仮面舞踏会」少年隊



【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

秘密基地に勤める前の、フリーランス時にやってた物書き仕事を、たまにはPRなど。
[KANAN TOKUNOSHIMA]
https://kanan.blue/

[きららの楽校]
https://kiraranogakko.jp/



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■4781号のお詫びと訂正:吉井 宏さんの連載のタイトルを間違えました。不注意でうっかり前回のタイトルをコピペしてしまいました。お詫びして訂正いたします。

グラフィック薄氷大魔王[608]
(誤)「板タブ苦手な自分のための注意事項」増補版

グラフィック薄氷大魔王[608]
(正)モデリングペーストは意外にスゴイ


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編集後記(04/25)

●偏屈映画案内:ハリーとトント 1974 アメリカ

45年も前の映画だ。第47回アカデミー賞において、アート・カーニーが主演男優賞を受賞している。全然知らない俳優だけど。オープニングのタイトルバックは街なかのじいさん、ばあさんの姿だけである。72歳のハリーは妻に先立たれ、3人の子供はそれぞれ独立しているので、マンハッタンのアパートで猫のトントと暮らしていた。ところが、区画整理で強制退去の憂き目に。

ハリーは粋な帽子に蝶ネクタイの素敵な年寄りで、新聞スタンドでNYタイムスを求めるインテリ、元教師。一緒のトントは抱かれているか、首輪にひもつきで歩く。猫の扱いが日本とはずいぶん違う。抱かれたトントだって安楽そうではないが、アメリカではあれが正しいのだろう。何となく落ち着かないが。

ハリーとトントが3人の子供の家を訪ねるロードムービー。最初は長男が自宅に呼んでくれたが、その妻は歓迎していないのはありありだから、じつに居心地がよくない。近所で家を捜すが猫付きはお断りばかりだ。そこでシカゴに住む娘の家に行くことにする。長距離バスに無理やり乗りこむが、途中でトントのオシッコのため無理やり停めて降りてしまう。中古車を250ドルで買う。

自分の免許証は失効しているので、運転免許を持つヒッチハイカーを拾って運転を任せる。16歳の明朗で賢い家出少女を乗せる。シカゴ着、長女は書店の経営者、そこには長男の家で会った、ハリーにやさしかった無言の孫がいた。あのときは寡黙の行をしていたのだという。しかし長女は、4度も結婚に失敗した依怙地な性格で、ハリーの何でも茶化すところが気に入らないご様子。

家出少女、孫、トントと3人1匹でアリゾナに向かう。意気投合した二人の若者はコロラドに行くというので乗っていた中古車を与え、ハリーとトントは再びヒッチハイカーになる。道中では怪しい健康食品行商や高級娼婦などに拾われて、ラスベガスに到着。路傍の立ち小便で留置所入り、アイアンサイドやローンレンジャー(わたしは両方リアルタイムで見た)の話をする宗教男と同房であった。

留置所を出ると、たまたま巨大なオープンカーに乗った次男と遭遇する。ハリーとはうまがあう。事業者として成功したと聞いていたが、なんとなく油断のならない感じがする。いい住まいにいい身なりをしているが、実は会社が倒産して一文無しだという。お互いに甘えてはいけない、同居はしないが金は出すと約束する。トントの様子がおかしい。病院に連れて行くがあっさり死ぬ……。

11歳だった。人間なら77歳になる。いい一生だった。スモッグもなく治安のいい、西海岸の海辺でくつろいでいるハリー、貯金と年金の生活者か。週3回は高校で教えているらしい。この映画、変に作り込んでいないところがいい。「人生の哀感が情感豊かに演出された傑作ロードムービー」だとパッケージにある。小津安二郎「東京物語」の影響があるという人もいるが、違うだろう。

むりやりな演出もある。家出少女の勧めで50年前のガールフレンドに会いに行く話。その行為自体ばかげているが、一度も来たことのないはずの田舎町で、あっさり介護施設にいることを突き止め、会いに行ったが彼女はボケていたというエピソード。全体にもっとトントの出るシーンが欲しかった。(柴田)

ハリーとトント 1974 アメリカ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B001O4MD0Q/dgcrcom-22/



●もみのこさん、ありがとうございます!

/大阪ダブル選挙続き。消費税は上がるし、食料品の値上げが続いている。子供がいないので、大阪府市の助成対象でもないし、福祉対象でもない。

都構想だと、大阪市民はなんだか損しそうな気もするけれど、府と市が同じ方向を向いていると、いろいろと進むものだなぁと思ったよ。

それならと概ね賛成だが、区割り案に躊躇してしまう。なので住民投票は、都構想と区割りとの二本建てにして欲しい。多分前者賛成多数で、後者は反対優勢だと思う。

何はともあれ、大阪景気よ、早く私の元に来て(笑)! 自分ができる範囲は頑張るからっ。(hammer.mule)