装飾山イバラ道[245]初めての一般参賀/武田瑛夢

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令和のゴールデンウィーク、今回は特に旅行の計画もなかった。一般参賀と言えば、毎年行列がニュースになりとても大変そうだ。しかし正月に比べて暖かいこのシーズンなら、行けそうな気がした。

私は初めての一般参賀で、新しい時代の幕開けに、行っておいたら記念になりそうだと思ったのだ。本来はもっと厳かな気持ちで行くべきなのかもしれないけれど、夫婦ともに体調も大丈夫そうだったので行くことになった。

結果ずっと立ちっぱなしなので大変だけれど、貴重な経験ができて良かったと思う。夫も私も疲れた以外の、健康上の問題もなく帰ってくることができたのも幸いで有難い。早朝に出発して、お昼ご飯を東京駅で食べることができた。その後帰宅して爆睡だったのは言うまでもない。





●お出ましの時間

皇居宮殿の前の広場は、宮殿東庭と呼ぶらしい。よくテレビで見る場所だ。ここが思っていた以上に広かった。長和殿は南北に全長163mの建物で、これまた物凄く大きいし長い。高さがさほどないので、平たい印象。

この長和殿のベランダに天皇陛下は、皇后陛下・皇族方と共にお出ましになられる。

前に進もうにも人でぎっしりだ。一回目の10時のお出まし時間の前に、宮殿前の広場に入れたのは幸運なのかもしれない。だがしかし、そんなに甘くはなかった。

数回のアナウンスで、どのような段取りになるかの簡単な説明がある。お出ましの時間になると、一斉に日の丸の旗が振られ、ワーっという人の声。私の立っている所からは、この第一回目にお出ましの姿は、肉眼では見ることができなかった。

・日の丸の旗
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日の丸に隠れて何も見えない状態というのは、一般参賀に行った人の大半が経験する光景なのかもしれない。私たちも日の丸の旗をバシバシ振った。あちこちからお祝いの声がする。

何も見えないけれど、iPhoneカメラのズームを利かせて、やっとお立ちになっている天皇陛下と皇后陛下、皇族方の姿が映るといった具合だ。モニターも用意されていたので、状況は確認できた。

その後、お出ましをご覧になった人は退出を~とアナウンスで促される。少しづつ前へ移動して、次のお出ましに備える人が大半だった。最初は後ろすぎて何も見られず、前へ押し出されて次のお出ましの回でやっと見えるようになる感じだ。

ここまで既に1時間~2時間待っている人たちは、次回が50分後でも待つ覚悟がある人がほとんどのようだった。

●体調管理

ニュースでよく取り上げられる、倒れたり搬送される人がいるというのは実際に数人を目撃した。自分たちの目の届く範囲でも数人なので、全体からするとかなりの数になるのは想像できる。

具合の悪い人が出ると、周りの人が協力して手を挙げてスペースを作って、人の列から出すといった感じだ。宮殿の前では列というより、縦も横もない群衆。日傘を差すようなスペースの余裕はほぼない。

体調不良の原因としては、直射日光や気温、行列の中での圧迫などが考えられる。飲み物と帽子は必ず用意していった方がいいと思う。

私も色々なイベントで行列を経験するけれど、今回の経験はキツイ方の部類に入ると思った。

キツイ理由の一つは、美術展等で並びの列に用意されているテントのような日を遮る工夫がないこと。これは舗装されている道路から砂利の敷かれた内部の道まで、行列の長さがとても長いためで致し方ない。皇居という場所柄、日陰は少なく、空が大きく開かれているのだ。

そして、トイレも用意されているけれど、行列を離れてまで行こうという気になるのは、切迫した状況の時だけかもしれない。

人の流れは混乱なく制御されていたと思う。他の催事のようにイベントスタッフではなく、制服の警察官が誘導しているので、信頼感と緊張感が違うせいかもしれない。

あの日あの場に、一体何人の警察官が集まっていたのだろう。荷物預かり所のテントにいる人たちまで、何人もの制服警官なのだ。本当に初めて見る光景だった。確かにどのポジションであっても、適当ではならないというのは想像できる。

行きの手荷物検査では、ペットボトルの飲み物は一口飲んで見せて、飲み物であることを確認していた。ボトルは燃える液体の持ち込みの危険性が考えられるので、厳重なチェックが必要なのだ。バッグの中身も確認される。

警察官でなさそうな人は、日の丸の旗を渡してくれるボランティアの方々、黒いスーツの、宮内庁関連の方々だろうか。紙製の旗は私たちは記念に持ち帰ったけれど、不要な旗は出口付近で回収もしていた。

アナウンスされた通りに待ち、前に進む人がほとんどだった。他のイベントで見かけるような、不満爆発の人を私は見かけなかった。お祝いに来ているのだから、穏やかなマインドの人が多いせいだろうか。待てないなら帰ればいいだけなのだ。

●予想のつくこと、つかないこと

お出ましの時間ははっきりと決まっているので、どれだけ待てばいいのかという時間的不安がないのが救いだ。

私たちは朝の回と違って、かなりはっきりと肉眼で見ることができる位置につけた。お出ましになって、お言葉が始まり、皇族の方が中へ戻られるまではとても短い時間だった。その後は、そのまま退出の流れに乗った。そこへ残る人の流れと、帰る人の流れ。

もしまた一般参賀に参加する時は、もっと朝早く出かけると思う。私たちは比較的体力があったので、疲れたぐらいで済んだけれど、体調不良になる人が出るのも無理はないと思った。

しかし、行きたいと心から思う時にはすでに高齢で、体調に自信がなくなっているというのは、何とも言えないものだ。初めて行くのなら屋外での体調の予想は、どんな年齢の人でも難しいと思う。

自分の前にも後にも大量の人間がいるという状況で、ずっと立ちぱなしなのだ。一か所に留まる時間も長い。歩けて景色が変わってくれるだけで、だいぶ体もほぐれ、気持ちが晴れた。

できれば体力に自信のあるうちに一回参加して、どの程度の行程になるかを体験しておくことが良いかもしれない。経験値を貯めて、流れの予測がつくようにしているだけでも心持ちがぜんぜん違うと思う。

気温や日照は日によって変わるし、行列の進行具合もどの門から入ったかなどで変わり、予想がつかない。常に何かを改善しているとすれば、次に来た時には同じではないのだ。

こういった予想のつかない条件は、受け入れるしかない。一旦人の流れに組み込まれたら、その中の一部になるしかないのだ。

そして状況によっては途中で諦めて帰るという選択も、良い判断だと思う。無理そうなら帰ろうと、事前に話し合っておくのだ。

一般参賀には最近は若い人も増えたという。もしかすると、若い人はディズニーランドのような180分待ちなどを経験しているので、案外楽勝かもしれない。ただ、待っている間に楽しめるようなキャラクターの人形はない。もちろん皇居の門や壁の造りは美しく、立派な木々も多いので、写真を撮りたくなる個所は山ほどある。

私も帰りに何気なく撮った皇居の石垣の写真が、思いのほか気に入った。一般参賀感がないじゃないと思うでしょ。しかし左奥の人の流れの多さに、しっかりとその日が写っている感じがするのだ。

・皇居の石垣
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・帰る人々-部分拡大
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【武田瑛夢/たけだえいむ】
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

令和でもよろしくお願いします。そして、新一万円冊。諭吉何枚って言い方があるように、これからは栄一何枚となるのかな。既にその事は言いづらさで話題になっていた。笑。