[4801] だから「ユーロマンガ」なのだ◇気が進まなかったシド・ミード展

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《「ユーロマンガ」で日本へ行けるか》

■ローマでMANGA[143]
 だから「ユーロマンガ」なのだ
 Midori

■グラフィック薄氷大魔王[612]
 「気が進まなかったシド・ミード展」他
 吉井 宏




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■ローマでMANGA[143]
だから「ユーロマンガ」なのだ

Midori
http://bn.dgcr.com/archives/20190605110200.html
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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行きます。

●生徒の将来は「じゃあね〜!」じゃない!

イタリアの学校は6月が学年末。今、必死で製作中の卒業制作課題二編(一編は実際に資料集めが可能な現実的な話。もう一編はファンタジー、想像上の物語で小道具か登場人物・マスコットなどの小動物に、オリジナルの想像上のものを入れる)各20ページが終わると、卒業試験に当たる講評を経て、すべての行程を終える。つまり、社会へ出る。

マンガ学校を終えて社会に出る、ということは、すなわちプロのマンガ家になる、ということだ。もちろん、学校を終えたからといって、出版社が校門で卒業生が出てくるのを手ぐすね引いて待ってるわけではない。校門ないし。

ここで困るのは、私に自分をマネージメントして売り込んでいく、という経験がないことだ。特に漫画家としては。驚いちゃうけど本当なのだ。

なぜmanga家になりたいという夢を持ちながら、そういった経験をして来なかったのか、避けてきたのか、という問に対して、今や私は答えを持っているのだが、ここで述べると冗長になるし、ちょっと話題が違うので割愛する。

私に漫画家として売り込む経験がない、という事実をベースに、ユーロマンガというジャンル自体がイタリアおよびヨーロッパのマンガ界で新しい分野だ、という事実をここで取り上げることにする。この二件の事実は、生徒の卒業後の行方の指導を難しくしている。

難しいと言ってそのまま「じゃあね〜!」と生徒を放り出すのは、専門学校の講師にあるまじき行為だと思う。昨年の一年目は結局「じゃあね〜!」で済ませてしまった。初めての正式コースの、すべてのプログラムが終わってホッとしてしまった。

今年は、なにか役に立つ現実的な案を幾つか提示した上で、「じゃあね〜!」と言いたい。

●「ユーロマンガ」というジャンル

mangaが持つ構築法、というか文法というのは、読者の感情移入を可能にして読者がキャラと一緒にその物語を生きるという、とっても楽しいエンタメとなっている。

しかも、どんな文化を持つ人にも共通の人間の感情をベースに、誰もが気持ちが良いと感じる「友情」とか「達成感」とか「他との共感」とかを、声高にではなく物語の底に流している。

だからこそ、日本のmanga、及びそれをベースにしたアニメが、文化の違いを超えて世界中の人々に受け入れられているのだ。本物のグローバル。

90年代に私が「海外支局ローマ」を請け負った、講談社週刊モーニングの「海外作家に日本市場向けに描き下ろしてもらう」企画はとっても意味があったのだ。ただ、その時は誰もmanga言語とマンガ言語が違うということに、すぐには気が付かなかった。

その詳しい話は別に譲るとして(過去にも書いたし)、基本的にmanga言語を使ってマンガを制作する、というのは可能なはずなのだ。

ではマンガとは何か、というと、日本人以外のマンガ作家がそれぞれのビジュアルスタイルを持って、それぞれのジャンル、SFとかお笑いとか、ヒーロー物とか、で制作されたもの。コマ割りされたページ上に、絵と台詞で進めていく物語。

ここで言うmangaとはmanga言語のことであり、マンガは外国人が制作した漫画作品ということになる。つまりmanga言語を使用して、世界中の誰もが漫画作品を作れるか、ということなのだ。

昔は無条件に「できる!」と考えていた。今は違う。原因は二つあって(今のところ)一つは言語。日本語、イタリア語、英語等々、普段コミュニケーションに使う言語の違い。もう一つは出版界の違い。

「読者がキャラに感情移入して物語を生きる」ことを可能にするmanga構築は、日本語の特徴をおおいに駆使して発達した。日本語の特徴とは動詞だけで表現が成り立つこと。

ヨーロッパ言語では、必ず主語・動詞・述語の3点セットでなければ意味が通じなくなる。その例として、「バガボンド(井上雄彦・講談社)」第1巻から。
http://bit.ly/2ERBVqi

右ページの下段大ゴマに、主人公の横顔アップと、太字で「殺してやる」と一言。イタリア語版の場合、動詞だけでは意味が通じなくなるので、「お前を俺が殺すであろう」と、ちゃんと述語も主語もあり、おまけに動詞では時制をはっきりさせないといけないので、丁寧に未来形になっている。

つまり、日本語だと動詞だけでよく、しかも、漢字と平仮名の組み合わせで、「殺してやる」の5文字、発音6個分を頭の中で発音しなくても、「殺」の一文字の意味がわかる。

つまり、「殺してやる」というセリフを見た瞬間、台詞の意味がわかり、しかも大文字、そしてフキダシの形が通常発音(ギザギザだと怒鳴っている)なので、読者はキャラがこの台詞をはっきりゆっくり発音していると受け取って、そのように読む。顔のアップもあり、この瞬間はちょっとスローになって、キャラの狂気を認識するのだ。

イタリア語だと文字数が多くなることもあって、フォントをあまり大きくできない。述語・動詞・主語が連なり、日本語に比べて冗長になる。

つまり、日本語バージョンとヨーロッパ言語バージョンでは、このコマのニュアンスが若干変わるのだ。つまり、この一件を以てしてもmanga構築法を100%他国へそのままもっていけないことがわかる。

だから「ユーロマンガ」なのだ。

一般に「ユーロマンガ」というと、こちらでは主に絵柄のことだと思われている。mangaが絵柄のことだと思われているのと同じように。

つまり、mangaを特徴付ける、ちょっとデフォルメした大きな目を持つキャラクターが、表情豊かに、多彩な形態と大きさを持つコマの中で、バトルを繰り広げる、という認識だ。

ここでは構築法の話。絵柄がmangaの影響を受けていなくても、manga構築法で構成されていればユーロマンガだ。先に言ったように100%manga言語/構築法は使えないので、ユーロマンガ。

今回は、生徒の将来の話なので、「ユーロマンガ」で日本へ行けるか、という話になる。

●「ユーロマンガ」で日本へ行けるか

日本のmangaとアニメに憧れて、manga家になりたいと思って専門学校に通う子達の夢は、日本で出版することだ。

manga言語を駆使して作品を使っても、日本のmanga界で一般に通用する作品にならないのは先に書いたように、使用する言葉が違うので100%mangaにならない。つまり、日本の市場に持ってくるとちょっと違和感がある。

もう一つ、mangaは生モノ。「今」、mangaの読者層が使う言い回しとか、笑いのツボがまったく押さえられない。

日本のmanga家志望者のように、作品を作って編集部に見せるとしても、編集者と日本語で話ができないと話にならない。

日本で我らが生徒がユーロマンガで出版できる方法の一つが、サイレントマンガオーディションに応募し、賞を取って、担当編集者が付き、何度もダメをくらいながらショートをWebに掲載してもらうことだ。

そのために、サイレントマンガオーディションの編集部には、様々な国の編集部員がいて、イタリア人もいる。他の出版社では、そこまで時間や出費をして外国人のmanga家を探すところはない。

もう一つは「ラディアン」の後を追うこと。
http://bit.ly/2WBPMLJ

フランスのmanga家が、当初からフランス語とは逆の、日本語の読み方向で作成した少年漫画。

これが、東京在住のフランス人で、フランスマンガをこよなく愛し、日本でフランスマンガを出版すべく立ち上げた出版社、ユーロマンガ合同会社のオーナー、フレデリック氏の目に止まり、ユーロマンガ合同会社/飛鳥新社から出版され、あまつさえNHKでアニメになって昨年10月から放映に至っている。

ユーロマンガ Wikipedia
http://bit.ly/2WBPWmj

ユーロマンガ合同会社のサイト
http://www.euromanga.jp/

ただ、日本の他のmanga出版社のように新人を育てたり、新作を上げたりしない。あくまでも他社(特にフランス)で出版されたものを、訳して出版する業務に徹している。

ということは、我が生徒たちは、まず、イタリアでオリジナルの作品を出版することから始めるのが道だ。日本のmanga家志望者が、頼まれもしないのに読み切りを描き上げては、編集部に持ち込んだり、賞に応募したりする行程と変わらない。賞に漏れたり、編集部でダメと言われたら、その原稿はお蔵入りになるのだ。作家としての血となり肉となるけどね。

●イタリアで「ユーロマンガ」の作家になる

これはもはや夢でも何でもない。

まずあまり大きくないところで「マンガ先輩」「カサオバケ」「ショックドム」「デンティブル」の4社がある。少年マンガ、少女マンガ、ボーイズラブなど。(ここでのお約束は、日本のマンガを「manga」ソレ以外を「マンガ」と表記するのだけど、ユーロマンガなので「マンガ」と表記する)

https://mangasenpai.blomming.it/shop
https://www.kasaobake.it/news/

ショックドムとデンティブルは、mangaの影響を強く受けたユーロマンガにはこだわらない。

https://www.e-shockdom.com/home
https://www.facebook.com/EdizioniDentiblu/

昨年ユーロマンガコースを卒業した二人が組んで、「マンガ先輩」に企画を見せ、「全編できたら見せて」と言われて懸命に製作中。

ユーロマンガコースの前身、mangaセミナーに参加した三人のうち一人がショックドムから全7巻、残りの二人がコンビで作品を作ってデンティブルから全3巻の作品を出した。

以下のリンクを張った3社は、ヨーロッパで「グラフィックノベル」と呼ばれるジャンルのマンガを出版している。日本でいうところの劇画、青年漫画だ。

外国の既成のマンガを翻訳して出版するだけでなく、オリジナル作品を出版しているので、「劇画」つまり、大人向けの物語を発表したい新人向け。この3社は他のヨーロッパ諸国の出版社も注目してるので、イタリアからさらに広がるかも。

https://baopublishing.it/
http://www.fandangoeditore.it/categoria-prodotto/marchi-editoriali/coconino-press/
http://www.oblomovedizioni.com/libri.php

ということは、道はある。ひたすら、作品を作っては提案しに行く、ということを繰り返す、日本の新人さんと同じことをする、ということだ。


【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師/】

「“やる気”と“健康長寿”をつかさどる『テストステロン』とは何か?」という見出しにつられて、ウェブ上の記事を読んだ。還暦を過ぎて数年経つと、あちこちに故障が出るし、やる気がなくなるっていうのが怖いなぁと思うこともあるので。

記事に行ってみると、釣られたタイトルには続きがあって、「体を作るだけでなく、ライフスタイルにも影響する男性ホルモンの真実」とか。
https://emira-t.jp/special/6788/

「テストステロン」は主に男性に分泌されるホルモンなのだ。

「例えば、男性は狩りに出掛け、獲物を捕らえ、帰ってくるということを古代より行ってきました。この行動の元、つまりエネルギー源となっているのがテストステロンなんです。」

「つまり見た目の男性らしさだけでなく、チャレンジしたり、集団の中で自分
を表現したり、意思を主張する上で必要なホルモンが、テストステロンだとい
うのだ。」

んじゃ、あたしには関係ない記事か、と思いきや……

「女性にとっても、決断力や判断力、さらにリスクを取るという行動につながっています。また、女性にとってテストステロンの影響が強くなるのは、閉経後が多いといわれています。そのころになると女性ホルモンが減っていくのですが、テストステロンの量は大きくは変わりません」

「その結果どうなるかというと、考え方が男性的になっていくのだという。例えば、よりアクティブになって社会貢献活動をするようになったり、友人と連れ立って旅行に出掛けるようになったり。その行動原理はテストステロンの特性を考えれば説明できる。」

そっか、最近とみに昔からの性癖である、他の顔色を窺って、イニシアチブを取らず、我を引っ込める、という事をやめて我を出す、やりたいと思ったことに手を出す、ようになったと思ったら、閉経して女性ホルモンが減った結果なのね。育った環境から押し殺すようになった自分らしさを取り戻すのに、女性ホルモンが邪魔だったとはね。

息子のバンドPSYCOLYT [注・親ばかリンク] (活動停止中)


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主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
http://midoroma.blog87.fc2.com/

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http://bn.dgcr.com/archives/midori/


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■グラフィック薄氷大魔王[612]
「気が進まなかったシド・ミード展」他

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20190605110200.html
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●気が進まなかったシド・ミード展

平日としては最終日の先週金曜、アーツ千代田 3331の「シド・ミード展」に行ってきた。

いや、スルーする気満々だったんだけど、みなさんFacebookなどで絶賛してたり、「この展覧会に行かなければ今後メカデザインを語る資格はない」とか書いてる人がいたり、プレッシャーが強いw

(メカデザインはともかく)見に行かずに何か言うの気が引けるというか、ずっと後悔し続けるのもイヤだし。しかたなく出かけた。
http://www.yoshii.com/dgcr/SydMead-IMG_1998.jpg

そりゃもう、シド・ミードといえば、「スターログ」誌でSFビジュアルにあこがれたのがきっかけで、イラストレーターになった僕としては、「ブレードランナー」の頃から「神々」のひとり。画集も「センチネル」と「オブラゴン」買ったし。金属や自然の描き方なんかけっこう真似した。

「センチネル」表紙の原画もあった!
http://www.yoshii.com/dgcr/SydMead-IMG_1999.jpg

「センチネル」は2008年の本棚まるごと処分大会と、その後の書籍自炊大会を生き残って、まだ持ってるくらいには好きなんだよなあw (今、昔から持ってて残ってる画集は20数冊しかない。ギーガーのでかい画集などもみな処分)

ただ、初期に好きになったものにありがちだけど、なんか気恥ずかしい感を伴う。僕的にはミュシャとかそうだし、もっと言えば生頼範義もそうかも。

なんちゅうか、70年代後半〜80年代前半にかけての「そういうものを好きになったスタート地点」から一生懸命に離れようともがき続けて、自分の世界を作ってきたわけで。

SFやメカは80年代に置いてきた僕的に、「いまさらシド・ミードを振り返っていいのか?」感は大きかった。30年以上前の感覚が蘇ってしまうのは、ある意味恐怖でもあるのだ。まあ杞憂だったけどねw 行ってよかった。ケリがついた気分。

さすがに、デザインしたモノをドラマチックな「絵」として見せる力量には、ひれ伏すしかない。ほんとにカッコいい。ガッシュの筆跡とか生き生きしてる。

工業デザイナーの余技がたまたまブレイクした人なイメージだったけど、もう純粋に映画とかのプロダクションデザイナーというか、コンセプトデザイナーの人として捉えることにする。

プロダクションデザインという活躍の場を得て、彼自身が考えた未来をビジュアルとして提示できたんだな。それがそのまま現代に自然に溶け込んでる。

70年代以前に描かれたデザインも古びてなく、40〜50年たってても未来のままってところがすごい。(同じく未来的イラストの長岡秀星も活躍の分野次第でシド・ミード以上にイケたかも、と思った)。

三連作をつないだ巨大プリントは見応えあったなあ。色調はぜんぜん派手に変えてあったけど、シド・ミードの未来像の集大成のようだった。
http://www.yoshii.com/dgcr/SydMead-IMG_2001.jpg

●Excelの行数が一致!w

下矢印キーを9時間36分押し続けて到達した「Excelの底」が「104万8576行目」だそう。ギズモード「ヒーロー誕生! Excelの底を見た男」
https://bit.ly/2QJwn6h

これ、昨年書いた「日付欄の自動作成を試してみたら、西暦4888年11月25日木曜日まで作られてて、104万8576行あった」と完全一致ww

http://www.yoshii.com/dgcr/20180831_excel.jpg
http://bn.dgcr.com/archives/20180926110100.html

日付をどこまででストップするか設定しないとそうなる。「104万8576行」って何だろう? たぶんデータ格納のビット数の何かかな?

そもそも下矢印キーを押し続けなくても、「最下行に移動」のキーボードショートカットを使えば一瞬なんだけどねw


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

一部を除き写真撮り放題な展覧会っていいね(スマホやタブレット等のみ。ちゃんとしたカメラは使用不可)。観客の反応がスマホを構える動作としてわかるのが面白い。その意味で、おしゃべりし放題も希望!

○吉井宏デザインのスワロフスキー、新製品がいくつか出ました

・見ざる聞かざる言わざるの「三猿」
https://bit.ly/2UF4LzF

・フクロウHOOT、踊りたい気分! 「HOOT LET’S DANCE」
https://bit.ly/2Dc6p4Z

・恋に落ちたフクロウHOOTたち「HOOT WE ARE IN LOVE」
https://bit.ly/2BlyBC4


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編集後記(06/05)

●偏屈映画案内:「恐怖の岬」Cape Fear

57年も前に作られた“サイコパス”の恐怖を描いた映画である。当時にはなかった用語であろう。「サイコパスの特徴的性格は、冷酷・無慈悲・尊大・良心の欠如・罪悪感の薄さなど。フィクションの世界では異常犯罪者として扱われることがあるが、実際に犯罪を犯す者は稀。確立された治療法はない」と知恵蔵miniにあったが、まさにその稀な例がこの映画で描かれるマックスである。

ロバート・ミッチャム、独特の眠たそうな瞳〈スリーピング・アイ〉の顔立ち、がっしりとした体格で、タフガイ俳優としてお馴染みらしい。彼、マックスが放つ邪悪なオーラは、物語の進行に連れてどんどん強烈になってゆき、とてもこわい。主人公は知的な容貌のサム(グレゴリー・ペック)で、弁護士役がよく似合い、美しい妻と娘がいる。ああ、彼女らに危険が迫るのがお約束だな。

8年前にサムの正しい証言(のせいで)で受刑したマックスが、出所してお礼参りに来た。髪が黒い大きな男で、いつも葉巻にパナマ帽。「先生の家族を見ておきたくてね」とまずは神経戦をしかけてきた。手は出さないものの、サムの家族に接近し怯えさせる。警察署長がサムと懇意で、目立たないよう警護してくれているが限度がある。マックスは親の遺産で裕福、悪徳弁護士を雇う。

「わたしの依頼人は前歴者ゆえに迫害され、精神的虐待を受け適切な住まいもない。警察の横暴故に、署長の個人的な友人宅に何の危険もないのに警備させている」と喚かせる。署長は「警察は犯行後しか動けない。犯罪防止の法律はない」と後退せざるを得ない。マックスに手ひどいセクハラされた女は、何も言えずに町を出ていった。サムの飼い犬は殺され、娘も怖い目にあわされた。

サムはピストルを懐に家を出ようとする。一家は破滅、思う壺じゃないの、と止める妻。買収の交渉に入るが、「心温まるね。8年間脂汗のムショを出た前科者の再出発を、町の名士があたたかく援助してくれる。改めて人間性を信じたくなる」と嘯き、出所後に元妻を30日間も閉込め、暴行して落とし前をつけたと得意そうに語る。署長の示唆で雇った波止場のごろつき3人も返り討ち。

闇討ちを怒ったマックスは「先生勇み足だったな。弁護士会がこういう行為をどう処理するかみものだ。法律は味方だ。徹底的にやってやる。家も車も女房子供もどうなってもいいんだな。お前の女房と娘のことでは考えがある。一生忘れられない目にあわせてやる。覚悟しとけ」と、へらへらと楽しそうに宣告するんだからリアルにこわい。この恐るべきを男を消去する方法はあるのか。

ちょっと分かりにくい経過だったが、要するに妻子をおとりにマックスをケープフィアーリバーにおび寄せ、不法侵入で警察に逮捕させるという作戦らしい。警官と二人でマックスを待ち伏せるのだが、警官は一人になったときマックスに襲われ死ぬ。船に上がり込んだマックスは、サムの妻子を強烈に怯えさせる。

サムとマックスは水辺の草原で格闘する。暴力に長けたマックスのほうが優勢だが、結局は挑発するマックスの腹部に一発の銃撃。致命傷ではない。マックスは警官殺しで、一生牢獄から出られまい。不法侵入や暴行傷害程度ではこうはいかない。サムは幸運だったが、たぶんこの家庭は崩壊するだろう。とにかく、マックスのような逆恨みサイコパスはとてつもなくこわい。(柴田)

恐怖の岬(Cape Fear)1962 アメリカ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00JEZFGBU/dgcrcom-22/


●「育った環境から押し殺すようになった自分らしさを取り戻すのに、女性ホルモンが邪魔だった」。思春期までは男勝りだったわ。その後は、おっかしいな〜と半ば思いつつも、我慢し陰で支えることを良しとしたわ。強引な意見を言う人たちに着いていってしまったわ。

女はかわいげが無いとと徐々に思えるようになり、出しゃばらず意見をあまり言わないようにしたわ。言う時は人のいない場所で。なので、自分の意見は上司に取られるのが常。自分は二の次で、我を引っ込めることを心がけたわ(引っ込め切れたとは言っていない)。熟年離婚は人生を取り戻し、一つ屋根の下に家長を二人存在させないため? しかし、縁だと思ってずっと耐え忍んでいる奥様方の方が多いと思う〜。旦那様も。

/エクセル試してみた。2011 for macで動作は多少違うものの、フィル→連続データの作成→列、加算、日、増分値1、停止値99999999(空欄だと何も起きなかった)でトライ。キーボードショートカットか、編集→ジャンプ→最後のセルで1048576へ。オートフィル後だと、スクロールバー掴んで一番下までするっと見ることも。吉井さんのを読んでおいて良かった〜。(hammer.mule)