腕時計百科事典[80]腕時計の革ベルトやブレスレットを自分で交換する/吉田貴之

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腕時計に興味を持ってしばらくすると、腕時計をイジってみたくなるものです。いろいろ道具を買い揃えて、裏蓋を開けたり、ブレスレットのサイズを調整したりしますが、素人ができて、それでいて一番インパクトの大きなイジり方は「ベルトの交換」ではないでしょうか。

特に革ベルトは、もともと付いていたものと色や素材のちがうものを選ぶと、腕時計が新しくなったような気持ちにさえなります。ベルトの交換作業についてまとめました。





◎バネ棒

多くの腕時計では、「バネ棒」と呼ばれる、バネを内蔵した部品によって、時計本体とベルトとをつないでいます。バネ棒のバネを押し込むと、バネ棒の長さが相対的に短くなるので、その状態で時計本体のラグ(ベルトを固定する部分)にあてがい、バネを戻すとバネ棒がもとの長さに戻るため、ラグの穴にバネ棒の両端が入り込み、ベルトが時計本体に固定される、という仕組みです。

◎工具

ベルトの交換には専用の工具があると便利です。「腕時計の工具」というと、なにか特別な道具が必要に思えますが、そのあたりにある道具で代用することも可能です。

筆者も必要に迫られて、安全ピン、画鋲、カッターナイフ、ゼムクリップ、マイナスドライバー、こじ開け、爪楊枝、落ちていた針金、などなどでベルトを交換したことがあります。とはいえ、これらはやむなく利用したものであり、これらの利用を推奨するものではありません。大切な腕時計には、専用の工具を使うことをおすすめします。

◎具体的な工具

ベルトの交換に必要な工具について、具体的に説明します。まずは「バネ棒外し」とよばれる工具です。I(アイ)字、またはY(ワイ)字の形状をした先端部をもった工具です。

I字はラグの穴が貫通している時計で、Y時はそれ以外の時計で使用します。I字はラグの穴にバネ棒外しを差し込み、バネ棒の片端を押し込むことでバネ棒をはずします。Y字は、ベルトとラグの隙間に差し込んで、テコの操作でバネ棒の片端をバネ棒側に押し込む、バネ棒を外すことができます。

◎保護

バネ棒外しの先端は非常に繊細で、折れやすいものですが、一方で高い硬度をもつ工具です。下手に扱うと、時計や革ベルト、ブレスレットがキズだらけになってしまうので気をつけましょう。バネ棒外しがあたってしまいそうな場所には、あらかじめセロハンテープなどで保護をしておくと、キズをつけてしまう可能性を低くできるでしょう。ブレスレットなどでも同様です。

◎取り付け

ベルトを外すことに比べると、ベルトを取り付けることはすこしテクニックが必要です。特にギリギリのサイズのバネ棒を使っている場合などは、バネ棒がうまく縮んでくれなかったり、バネ棒が飛んでいったり、取り付けられたと思ったら取り付けられていなかったり、と、慣れないとなかなか苦労すると思います。

なかなか取り付けられないからイライラしていると、天地や表裏を逆にとりつけていたり……ということもあるでしょう。筆者は「外してみたけれど取り付けられない」というトラブルを手助けしたことが何度もあります。自分の手先の器用さに自信がある場合のみ、ベルトを外すようにしましょう。

取り付けのコツは、力をかける方向をコントロールすることです。ラグやフラッシュフィットの形、バネ棒の伸縮、革ベルトの張り、いずれも使用時に美しく、しっかりと固定できるように設計されていますので、バネ棒のつけ外しで取付時とは違うポジションにあると、不安定になってしまいます。これを手や指を使ってうまく制御することが、バネ棒取り付け時のポイントです。

◎外れないバネ棒への対応

錆びたり、もともと付いているバネ棒の長さが合っていなかったりして、バネ棒がなかなか外れないことがあります。このような場合は、時間をかけて外すよりも、バネ棒を壊してしまうのもアリです。

両端を切ったり、中心部を折ったりすれば、バネ棒を外すことができます。バネ棒は消耗品ですし、100円〜1,000円程度で購入できるので、ある程度時間がかかりそうならば壊して外すことも検討しましょう。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

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兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。