晴耕雨読[53]年齢と味覚の話/福間晴耕

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少し前に話題になったモスキートという装置がある。これは大人になるにつれ周波数の高い音が聞こえなくなることを利用して、17KHzという高い周波数の不快な音ブザーを流し、店頭や駐車場などで迷惑行為をする若者を追い払うというものだ。

これを逆手に取って、若者の方も「大人に聞こえない携帯の着信音」として、この音を利用するようになったという後日談もあるのだが、今回の話と直接関係ないのでここまでにしておこう。

実はこうした子供にしか関知できないというものは、音に限らず存在する。悲しいことに人間は、加齢により身体のいろいろなところが衰えて、感度が落ちてしまうのだ。




例えば、目の水晶体は加齢とともに屈折率が衰えて老眼になってくるし、透明度も落ちてくる。そして、

舌もまた感度が落ちてしまうのだろう。私の周りですばらしい舌を持った人を何人か知っているのだが、年とともに薄い味のものを「味が無い」と言うようになり、味付けもだんだん濃くなっていくのを見るにつれ、それは今では確信になりつつある。

そういえば、年を取ると苦いものが食べられるようになるというのも、あるいはこれと関係あるのかもしれない。

悲しいがこれも人間の宿命なのだろう。お年寄りに料理を出す機会があるときには、それを頭の隅に置いて、ちょっとだけ味付けを濃くしてあげて欲しい。

そして、この話には続きがある。Wikipediaのピーマンの項目によると、なんでも子供の野菜嫌いの理由の一つは味覚が鋭敏な故、この野菜の苦みを大人より強く感じているためでもあるらしい。つまり、まだ若いつもりの大人でも、子供たちの味覚よりは既に感覚が鈍っているというわけだ。

こうして考えると、せっかく鋭敏な味覚を持っている子供のうちに、ジャンクフードや極端に味付けされた食べ物を食べさせるというのは、とても罪深いことだと思うのだ。

【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。