海浜通信[001]海が好き、ただそれだけの理由で大阪市内から和歌山の漁港に移住しました
── 池田芳弘 ──

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皆さまはじめまして! 池田芳弘と申します。

デジクリは、私が主に心斎橋のジム仲間(ダンス仲間)たちと、法人客相手のWeb&商品デザインを手掛けていたころ、創刊号から愛読しています。

それから二十年あまりたち、私は小さなヨットでクルーズするという事業のために、和歌山市の漁村へ移住しましたが、昨年の台風による高潮で船が流され、大阪に帰るか、いっそ思い切って南紀に行くか迷ってる時期に、編集長より執筆の話を頂きました。

ブログやインスタグラムから、少々手直しの上、掲載するものが多くなると思いますが、どれも心を込めて書いたものですのでご容赦願いたい。そして、描かれる海辺の日々が、仕事の合間の癒しになればこの上なく幸せです。





◎ある日の朝

ある朝、近くの浜に行った。実はランニング中に転倒して足をくじいたため、その週末のヨットは延期としてもらった。我ながら恥ずかしい。



ランニングコースの途中に三ヶ所、自然の浜があって流れ着いた小枝や石などが点在している。それがまた野趣があって楽しいのだが、今回は着地を躊躇して転んでしまった。

子供の頃はしょっちゅう転んでいたが、大人になって転ぶのはまだ三十代の頃、バレエでザンレールに失敗した時以来だった。

この浜は私の家から徒歩五分の場所にある。漁村にありがちな坂道を上がり、県道へ出ると三叉路になっている。左の細い道を登れば灯台があり、右手の曲がりくねった道を降りれば旅館の脇を通って浜に出る。つい数年前までは、灯台や砂浜など非日常な場所だったが、今はバス停やスーパーよりも近い。

三十代から四十代半ばまで、四ツ橋にあるマンションの八階に住んでいた。オフィス街真っ只中のため住人は少なく、時おりデッキチェアを持って水着のままエレベーターで屋上へ行った。

そこで太陽の光と風を浴びると電磁波が体中から抜けていくような、浄化されていくような気持ちが味わえる。もちろんその後は部屋に帰って水道水のシャワーを浴びるのだが、私には貴重な癒しのひと時だった。

それが今は本物の海がすぐ近くにあり、日差しでほてった体は海水で冷やす事ができるし、夏はセミも鳴いている。

ヨットスクールのインストラクターをやめて海から遠ざかっていた時期は、洗濯機の回っている音や、雨上がりにアスファルトからの照り返しにも海を想い出していたが、今は怪我をするのも海、それを癒すのも海の生活となった。


【Ikeda Yoshihiro】
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