[4838] ブレスレットのノビを修正する◇NeoPixel LEDの制御◇ゴールデン・リバー

投稿:  著者:  読了時間:24分(本文:約11,900文字)



《フランスの巨匠監督による新たな西部劇》

■腕時計百科事典[82]
 ブレスレットのノビを修正する
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[588]IoT M5 Stack編
 NeoPixel LEDの制御
 古籏一浩

■映画ザビエル[80]
 スープラ・イズ・バック!
 カンクロー




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■腕時計百科事典[82]
ブレスレットのノビを修正する

吉田貴之
http://bn.dgcr.com/archives/20190729110300.html
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金属製のブレスレットは水にも強く、長く使うことができるので革ベルトよりも好んで使う人が多いようです。一方で、金属であるが故の弱点もあります。そのひとつが「ノビ」です。腕時計のブレスレットがノビてしまった場合の、対処方法についてまとめました。

◎ノビの起こりやすいブレスレット

現行の腕時計は金属無垢(ソリッド)のパーツを採用しているものが多いため、それほどノビを気にしなくてもいいはずです。アンティークやヴィンテージモデルでは、金属の板を曲げてコマ(ブレスレットの構成部品)やバックルをつくっており、さらに製造から数十年が経過していることもあり、少なからずノビている個体が多いです。

◎ノビると困ること

ブレスレットがノビてしまうと、3つの問題が起こります。ひとつは、腕のサイズに合わなくなることです。ブレスレットは指一本くらいがかろうじて入るくらいを目安に長さやコマ数を調整しますが、ブレスレットを長く使っているとノビてゆるくなり、時計本体が安定した位置に留まらないようになります。

次に、バックルのパーツがノビると、腕時計がしっかりと固定できなくなります。意図せずバックルが開いてしまうと、落下などのトラブルの原因となります。3つ目は、単純に「かっこ悪い」「だらしない」印象になってしまうことです。

◎バネ棒を変更する

それでは、ノビてしまったブレスレットの対処方法について考察します。まずはバネ棒を見直してみましょう。細すぎるバネ棒を使っていると、フラッシュフィット(腕度駅の本体とブレスレットをつなぐパーツ)内に隙間ができ、ブレスレットがガタガタする原因となります。

バネ棒を適切な太さのものに交換するだけで、全体のノビをある程度吸収できるはずです。バネ棒が原因であると推量されたものの、交換するバネ棒がない場合は、バネ棒を少し曲げてみてもよいかもしれません。曲げられたバネ棒がフラッシュフィット内で干渉し、太いバネ棒と同じ役割を果たしてくれます。

◎コマを縮める

各コマがノビてルーズになったブレスレットは、汚れや汗も溜まりやすくなり、サビなど別のトラブルも誘発します。なにより、腕につけていて格好の良いものではありません。

ノビてしまったコマは、物理的に縮めてしまいましょう。安直に聞こえますが、これにまさる処置はありません。

実際にチャレンジしてみると、なかなか難しい作業となりますが、ひとつあたり0.5mmでも縮めることができれば、10コマでは5mm(ちょうどバックルの穴一つ分くらい)も縮めることができます。

注意点としては、ペンチのように作業部に刻みのついた工具を使わないことです。コマにキズがつかないよう、やっとこやマイナスドライバーでの作業がおすすめです。また、コマのシンメトリーを意識しながら作業するのがポイントです。歪んだコマをまっすぐに戻すのは、コマを縮めるよりも難しい作業です。

◎バックルを調節する

昨今は観音開きのバックルや、バネ内蔵のバックルが主流ですが、古い時計では板バネを使ったものが多いはずです。板バネのバックルは3つのパーツから構成されています。

ブレスレットのコマに繋がり、メーカーロゴが刻印された外装のパーツ、それにつながる板バネ1、板バネ1とブレスレットのコマにつながっている板バネ2です。これらの板バネがノビてしまうと、金属の噛合が甘くなり、開きやすいバックルになってしまいます。

これを調整するには、板バネ2を曲げる、あるいは板バネ1を伸ばすふたつの方法があります。まずは、板バネ2を軽く曲げることから始めましょう。少し曲げて締りを確認する、という作業を繰り返せば、バックルの締りが良くなるはずです。

◎コマを抜く

何をどうやってもノビの改善が見られない場合は、コマをひとつ抜いてしまうのも一つの方法です。ただし、処置以降もノビは進行していくものなので、上記のようなメンテナンスをあわせてやるのも忘れないようにしましょう。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/
腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/

兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。


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■クリエイター手抜きプロジェクト[588]IoT M5 Stack編
NeoPixel LEDの制御

古籏一浩
http://bn.dgcr.com/archives/20190729110200.html
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今回は、M5 StackでNeoPixel互換のLEDを扱ってみます。M5 Stack本体にもLEDがありますが、今回使用するのは有名なNeoPixel社の、互換LEDテープです。長さはいくつかありますが、どれでも同じように制御できます。屋外でイルミネーションとして使う場合は、2mなど長いものの方がいいかもしれません。ここでは一番短い10cmのものを使います。

・M5Stack用NeoPixel互換 LEDテープ 10cm
https://www.switch-science.com/catalog/5208/

Switch Science社のページに互換と書いてあるのですが、面倒なので以後、互換の文字は省略します。まず、LEDテープをM5 Stackに接続します。ポートAに接続します。次にUI Flowのページにアクセスしてブロックを使ってLEDテープを制御します。

LEDテープを制御するには、Unit(ユニット)を読み込ませる必要があります。画面左にあるUnitsの文字の下にある「+」ボタンをクリックします。すると、追加できるユニットのアイコンが表示されます。

その中のNEOPIXELと書かれたアイコンをクリックします。クリックすると、チェックマークが付きます。すると、接続ポートとLEDの数を指定する項目が表示されます。

接続ポートはA、LEDの数は15と入力します。10cmのLEDテープでは15個のLEDが付いています。もし、60個なら60と入力します。ここで間違って入力しても、後からLEDの数は変更できます。入力したらOKボタンを押します。

すると、Unitsの中にNeopixelのカテゴリが追加されます。このNeopixelのカテゴリ内に、LEDテープを制御するブロックが用意されています。

それでは簡単なところで、すべてのLEDを指定した色で点灯させてみましょう。Neopixelのカテゴリ内にある「Neopixel [neopixel0] 全てのLEDの色 ■」ブロックを「Setup」ブロックの下に配置します。デフォルトでは赤色になっていますが、ここでは緑色を指定しました。ここは好みの色で構いません。実行ボタンを押すとLEDのすべての色が緑色になります。

Pythonのコードだと以下のようになります。

--------------------------------------------------------------------------
from m5stack import *
from m5ui import *
import units
clear_bg(0x222222)
neopixel0 = units.RGB_Multi(units.PORTA, 15)
btnA = M5Button(name="ButtonA", text="ButtonA", visibility=False)
btnB = M5Button(name="ButtonB", text="ButtonB", visibility=False)
btnC = M5Button(name="ButtonC", text="ButtonC", visibility=False)
neopixel0.setColorAll(0x33ff33)
--------------------------------------------------------------------------

それでは次に、指定した位置にあるLEDの色を指定して点灯させてみます。Neopixelのカテゴリ内にある「Neopixel [neopixel0][1]番目のLEDの色 ■」ブロックを「Setup」ブロックの下に配置します。

ここでは1番目を赤色、2番目を緑色、3番目を青色に設定しました。つまり、ブロックを3つ「Setup」ブロックの下に配置しました。色や配置する個数、点灯させる位置は好みのものにしてもらっても構いません。

Pythonのコードだと以下のようになります。

--------------------------------------------------------------------------
from m5stack import *
from m5ui import *
import units
clear_bg(0x222222)
neopixel0 = units.RGB_Multi(units.PORTA, 15)
btnA = M5Button(name="ButtonA", text="ButtonA", visibility=False)
btnB = M5Button(name="ButtonB", text="ButtonB", visibility=False)
btnC = M5Button(name="ButtonC", text="ButtonC", visibility=False)
neopixel0.setColor(1, 0xff0000)
neopixel0.setColor(2, 0x33ff33)
neopixel0.setColor(3, 0x3333ff)
--------------------------------------------------------------------------

実行ボタンを押すと、M5 Stackに近いLEDから赤色、緑色、青色の順番で点灯します。

それでは最後に、イルミネーションでありがちな、LEDが移動するように見える処理を行ってみます。といっても、今回はシンプルに赤い点がM5 Stack本体から外側に向かってひとつずつ移動するだけのものです。

この場合、無限に繰り返しますが、繰り返しブロックはイベントのカテゴリ内にある「くりかえし」(黄色いブロック)を使います。

この「くりかえし」ブロック内に、繰り返し処理を入れます。繰り返しのカテゴリ内にある「[i]を[ ]から[ ]まで[ ]ずつカウントする」ブロックを入れます。繰り返す数値のところには、「[1]から[15]まで[1]」のように数値を指定します。要は1から15個までのLEDの数だけ繰り返す、ということになります。

この繰り返しブロックの中に、先ほども使用した「Neopixel [neopixel0][1]番目のLEDの色 ■」ブロックを使います。この[1]番目の[1]となっている部分を変数iのブロックに置き換えます。

次に、表示させる時間を指定します。時間はタイマーのカテゴリ内にある「[1]秒間停止」ブロックを配置します。このブロックの後に「Neopixel [neopixel0][i]番目のLEDの色 ■」を配置します。この時にLEDの色は黒色を指定します。これでできあがりです。

Pythonのコードだと以下のようになります。

--------------------------------------------------------------------------
from m5stack import *
from m5ui import *
import units
clear_bg(0x222222)
neopixel0 = units.RGB_Multi(units.PORTA, 15)
btnA = M5Button(name="ButtonA", text="ButtonA", visibility=False)
btnB = M5Button(name="ButtonB", text="ButtonB", visibility=False)
btnC = M5Button(name="ButtonC", text="ButtonC", visibility=False)
i = None
while True:
for i in range(1, 16):
neopixel0.setColor(i, 0xff0000)
wait(0.1)
neopixel0.setColor(i, 0x000000)
wait(0.001)
--------------------------------------------------------------------------

実行ボタンを押すと赤色のLEDがM5 Stack本体から外側に向かって移動します。赤色LEDの点を往復させたい場合は、以下のようになります。Pythonコードで示しますが、ブロックの場合は「[i]を[14]から[1]まで[-1]ずつカウントする」を追加することになります。(-1増やすという指定方法になります)

--------------------------------------------------------------------------
from m5stack import *
from m5ui import *
import units
clear_bg(0x222222)
neopixel0 = units.RGB_Multi(units.PORTA, 15)
btnA = M5Button(name="ButtonA", text="ButtonA", visibility=False)
btnB = M5Button(name="ButtonB", text="ButtonB", visibility=False)
btnC = M5Button(name="ButtonC", text="ButtonC", visibility=False)
i = None
while True:
for i in range(1, 16):
neopixel0.setColor(i, 0xff0000)
wait(0.1)
neopixel0.setColor(i, 0x000000)
for i in range(14, 1, -1):
neopixel0.setColor(i, 0xff0000)
wait(0.1)
neopixel0.setColor(i, 0x000000)
wait(0.001)
--------------------------------------------------------------------------


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/

長野県の小学校でもようやくまるまる一か月の夏休みに。今まではとても短い夏休みだったのです。7/29〜8/17とか、すごく短い時もありました。夏休みが短いので、実質休めるのは最初の5日間くらい。畑仕事とか手伝ったり、お盆とかで帰省したりとかで、本当に休む日がほとんどありませんでした。

北海道を除く他県の夏休みの長さがとても羨ましかったけど、長い休みだったら、粘土細工か紙工作のどっちかやってただろうなあ。プラモデルなど高価なものは存在しなかったので、全部自分で作るしかないという具合でした。

最近、いろいろな人の話を聞いたりするのですが、普通の人の生活と貧乏人の生活では基本レベルが全然違う、というのを実感しました。でも「葬儀簡素化要項」ってのは、他のところでもありそうな気がするけど、どうなんだろう。

・InDesign自動化サンプルプログラム逆引きリファレンス上/下
https://www.amazon.co.jp/dp/4844396846/
https://www.amazon.co.jp/dp/4844396854/

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram

・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936
[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/

・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605

・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP
http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591

・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/

・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/

・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/

・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/

・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/


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■映画ザビエル[80]
スープラ・イズ・バック!

カンクロー
http://bn.dgcr.com/archives/20190729110100.html
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◎作品タイトル
ゴールデン・リバー

◎作品情報
原題:The Sisters Brothers
公開年度:2018年
制作国・地域:フランス、スペイン、ルーマニア、ベルギー、アメリカ
上映時間:122分
監督:ジャック・オーディアール

出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、
ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメッド

◎だいたいこんな話(作品概要)

1851年、ゴールドラッシュに沸くアメリカ。オレゴンで、あたり一帯を取り仕切る「提督」に雇われて、シスターズ兄弟はウォームという男を追っていた。

兄弟は、いわゆる泣く子も黙る名の知れた殺し屋。標的のウォームは黄金を見分ける化学式を発見した人物だった。すでにウォームに接近し同行している連絡係のモリスからの情報を頼りに、兄弟は何日も馬に乗り山を越え、ようやく二人に追いつく。

化学式を聞き出した後ウォームを殺すはずが、モリスの裏切りによって逆に兄弟は捕らわれ銃も奪われてしまう。しかし、そこへ黄金に目の眩んだ別の追っ手が迫り、兄弟はウォームとモリスに加勢を申し出て4人は一時的に手を組むことに。

無事に追っ手を撃退した4人は、ウォームの化学薬品を用いて手に入れた黄金を山分けすることで合意した。兄弟は、それまでの暮らしでは知りようのなかった、ウォームとモリスの価値観や理想に感化され、彼らと絆を深めてゆくのだが。

◎わたくし的見解/フランスの巨匠監督による新たな西部劇

戦後、ハリウッドは西部劇の黄金期だった。そこにはアメリカ人の誇りと礎である、フロンティア・スピリッツが華々しく描かれていたからだ。ところが同時にそれは、あまりにも白人が主体で至上主義ともとれる差別的表現の宝庫でもあった。当然、(多様性を認めるなどの)現代的な思想が一般化すると共に、西部劇は過去のものとなってしまった。

2002年に生産終了した、トヨタ・スープラが17年ぶりに復活、新型を発表した時の豊田章男社長のコメントを個人的に気に入っている。

「かつてアメリカ開拓時代を支えた数多くの馬は現在、自動車にとって代わられた。しかし、競走馬は健在だ。今後、自動車が他の何かに代替されてもスポーツカーは残る」という、説得力に満ちた詭弁(?!)で、実用性という観点では今、数多く流通している車とは真逆のベクトルに向かうスポーツカーを復活させた。

時代は変わっても西部劇だけは映画界に残り続ける、と話を続けたい訳ではない。ただ、西部劇のエッセンスはアメリカの精神に無関心な人間にとっても、捨て置くには惜しいものだと実感した。古い映画を観ていても、また本作でも、馬が駆け巡る姿の迫力と美しさは現代的なアクションに何ら引けを取らない。そして、いつの時代でもガンマンは間違いなく格好いい。

近年、西部劇の名作リメイクもあったが、本作の特長は極めて渋いキャスティングに支えられた男臭さだ。むさ苦しさは印象だけにとどまらず、実際にかなり臭そうな(何日も風呂に入っていないのが似合う)メンツだからこそ、最高に魅力的な西部劇に仕上がった。砂埃にまみれる筋骨隆々な馬の姿を見ていたら、頭の奥で「スープラ・イズ・バーック!」と章男の声がした。

作品のクライマックスと分岐点は、邦題の「ゴールデン・リバー」に表されているような、黄金の獲得であることに間違いはない。しかし、本作の主軸は原題の「シスターズ兄弟」から分かるとおり家族の物語だ。

キーマンであるウォームの掲げる理想論と、それに心酔したモリスの存在は、粗野に生きてきた兄弟の未来像にも変化をもたらす。ウォームのキャラクターは面白い。知識人らしく腕っぷしは全く駄目だが、登場人物を次々と懐柔していく様は、結局彼が一番の山師なのではと勘ぐりたくなるほどだ。

ウォームの場合、相手を騙すのではなく、ただ自分の命を守ることや理想の実現に向けて支援者を増やすための友好的な振る舞いであったが、その柔らかな物腰によって警戒心を捨てたモリスや兄弟は本音を語るようになる。

その中でエピソードは僅かなのに、いかに彼らにとって父親の存在が大きいかが見えてくる。それは登場人物が男ばかりだからで、女性が主人公ならば母親の存在が浮き彫りになるに違いない。強く感じられたのは、性別や時代や文化に関わらず、ほとんどの人は親の影響から逃れられないという事だ。

親のようになりたいか、あるいは、なりたくないか。どちらに転んでも、その影響下にあることは間違いない。これがすべてだとは言えないが、これが根本にあることは否定できないはずだ。同様に、親や兄弟との関係そのものも断ち切ることは極めて難しい。

家族ゆえの、しがらみに苦しむこともあれば、その愛情の深さに救われることもある。

ジャック・オーディアール監督の映画は、いつも主人公が絶望的なまでにボロボロになる。そして、取って付けたように八方丸く収まって終わる。今回は、お馴染みの唐突なハッピーエンドが、これまでよりも自然に思えた。映像もオープニングから惹きつけられる素晴らしいものだった。

ジョン・C・ライリー演じる、見かけによらず繊細でロマンティストな兄と、ホアキン・フェニックスによる粗暴極まりない弟という対照的なキャラクターは完璧と言って良い。個人的には(もう7月だが)今年の上半期で、最もお勧めしたい作品となった。


【カンクロー】info@eigaxavier.com

映画ザビエル
http://www.eigaxavier.com/

映画については好みが固定化されてきており、こういったコラムを書く者としては年間の鑑賞本数は少ないと思います。その分、だいぶ鼻が利くようになっていて、劇場まで足を運んでハズレにあたることは、まずありません。

時間とお金を費やした以上は、元を取るまで楽しまないと、というケチな思考からくる結果かも知れませんが。

私の文章と比べれば、必ず時間を費やす価値のある映画をご紹介します。読んで下さった方が「映画を楽しむ」時に、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しく思います。


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編集後記(07/29)

●偏屈読書案内:大利 実「高校野球継投論」

高校野球の地方予選真っ盛り。〈継投を制するものが甲子園を制す。高校野球継投論 もう「エースと心中」では勝てない。継投の適切なタイミングや複数の投手を育てる方法、データに沿った継投術、投球障害を予防する球数等、継投の極意と重要性を7人の名将とトミー・ジョン手術の権威、サイバーメトリスクの専門家らが語る 大利 実著〉……表紙カバー半分以上の帯情報がこれ。

高校野球は大正、昭和、平成、令和と4つ目の元号を迎えた。木製バットから金属バットに、甲子園のラッキーゾーンの撤去、女子マネのベンチ入り、ベンチ入りメンバーの増加、トレーニングの進化で投打ともにパワーアップ。140キロも珍しいことではなく160キロ投手も登場。大会本塁打数も2017年に新記録。戦法にも変化が見られ、「エースと心中」という言葉は消えつつある。

猛暑の中での連戦、パワーアップしているバッティングに対応するには、一人では厳しい。投げ過ぎによる投球障害が大きな問題になる。1978年から2018年まで5年ごとに調べたデータによれば「先発投手のイニング割合」「先発投手の完投割合」は下がり続けている。必然的に継投が増える。監督としては「お前(エース)に任せた」ほうが楽だが、そうはいかなくなったのが高校野球だ。

監督の采配を考えたとき、継投ほど難しいものはない。その試合に負けたとき「なぜ代えなかったんだ」「なんで代えたんだ」と責められる。引っぱった結果と継投した結果を比べることはできないので、どちらが正しかったかは結果論しかない。その結果は目に見えて分かるだけに、周りからは突っこまれる。素人でも「あそこの投手起用が……」と言えるだけに、負けた監督は気の毒だ。

現代の高校野球では「継投巧者」でなければ、トーナメントを勝ち抜けない。もし球数制限が導入されても、継投重視の監督ならスムーズに対応できる。継投で結果を出してきた名将たち、山梨学院・吉田洸二、創成館・稙田龍生、近江・多賀章仁、仙台育英・須江航、健大高崎・青柳博文、東海大相模・門馬敬治ら。セイバーメトリクス専門家、トレーナーにも「継投必勝法」を聞く。

山梨学院の吉田洸二監督は、長崎県立青峰の監督として春夏5度、甲子園出場、2009年センバツ優勝。7月24日、山梨学院は4年連続の甲子園出場を決めた。今まで甲子園で7試合戦っているが、すべて継投策をとる。そこには絶対的な根拠があるはずだ。先発投手の代え時が来ているのが前提になるが、追い込んでからの勝負球を持たないピッチャーの場合、こういう継投を使うのだという。

山梨学院には絶対的なエースはいない代わり、さまざまなタイプが揃う。継投策に欠かせないのはサイドスローの存在だ。サイドの球筋は高校野球ならではのメリットがある。ストライクゾーンが広い。高校野球を勝ち抜くには左腕が必要不可欠である。ピッチャーの「性格」を重視した継投策もある。ピッチャーに「まだいけるのか?」と聞くのは厳禁。球種を隠して相手を混乱させる。

「継投の一番いいところは『みんなで勝った』という充実感があることです。マウンドに送り出したブルペンキャッチャーも喜ぶことができる。ピッチャーで言えば、試合で投げるチャンスが増えるので、生徒達自身で生きる道を探すようになりました」と筆者は、継投で勝つことは高校野球の理想の在り方であると結論づける。高校野球関係者はみんな読んでいるはずの良書だ。(柴田)

大利 実「高校野球継投論」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4801919170/dgcrcom-22/


●上の階がドンドンするのでうるさいと思っていたら、芦屋の花火大会だった。

断続的だし、この時期だから花火大会の音かもしれないと、大阪の花火大会で検索したら岸和田のものしか出て来なくて、いくらなんでも岸和田は遠すぎるから違うだろうと。

模様替えでもしているのかなと思いつつも、ガラス越しに外を眺めたら、ビルやマンションの隙間から、小さな花火が見えたわ。直線距離だとPL(富田林)の花火より、うちから近かった。疑ってごめんなさい。今後は兵庫のも忘れず検索しよう、うん。(hammer.mule)

第41回 芦屋サマーカーニバル
http://www.ashiya-hanabi.com/