晴耕雨読[54]たまには「ゲームの仕事」の話/福間晴耕

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最近のわたしのプロフィールを見た人は知ってるかもしれないが、守秘義務の関係もあって仕事の話はほとんど書いていない。

だが、実はいま関わっているわりと有名なソシャゲでは、しっかりクレジットロールに名前を載せてもらっているように、そこまで厳しい守秘義務にはなっていないのが本当のところだ。

昔は優秀なエンジニアの引き抜きや、制作物の権利関係で揉めたりしたケースが発生したこともあって、ゲーム業界の守秘義務は非常に厳しいというイメージが強かったのだが、最近ではそれほどではないのが実情だ。





なかでも関わった作品に関しては、転職・求職の際の重要なアピールポイントでもあることから、ほとんどの会社ではそこまで守秘義務を課すことはなく、過去に裁判で争われたケースでは、転職時に過去に仕事でやった作品名の公開を制限してはいけないという判決が出た記憶がある。

そのわりに、今でもわたしを含めた多くのゲーム開発者が、プロフォールで自分が関わったタイトルを公開していないのには訳がある。

なんといっても大きな理由は、いまやゲームタイトルは数十人、ときには100人以上のチームで開発するものになっているので、どこまで自分が関わったと言えるか、はっきりしないということである。

例えば、最近のわたしのケースでは、3Dのモデルの制作や組み込みを中心に作業をしているのだが、これも原画は内外のイラストレーターやデザイナーに発注し(更に版権ものだと外部の会社・有名イラストレーターだったりする)、それを元にキャラクターチームがモデリングとテクスチャを作成し、それをモーションチームが受け取って動きをつけたものを、プログラマーがゲームに組み込み、デバッガーがチェックする中のごく一部を担当しているに過ぎない。

そんなこともあって、企画から関わっている中核メンバーや、メインキャラクターやメカデザインを担当したデザイナーを除けば、「これを自分が作りました」と言えるものが出てこないという事情がある。

かと言って、同業者相手ならともかく普通の人にそこらへんの事情を説明するのも大変だし、下手に説明して自分がやってない部分まで作ったと思われるのも心苦しい。

また、最近あった京アニ放火事件ではないが、有名タイトルに関わっていると妙なトラブルに巻き込まれる危険性もある。かくいうわたしも、以前バンダイグループで働いていたときは、年に一度くらい会社に脅迫や殺害予告が届き、注意するように会社からアナウンスがあったものだが、当時「気をつけろと言われてもなあ」と思っていた記憶がある。

最近はソシャゲに関わっていることもあって、ガチャを回したのに出てこないとか、せっかく引いたのに○○の能力が低いと言われそうで心配だ。

また、どこのゲームに関わってるか知られると、わたしを追っていれば、何かゲームの新情報が分かるんじゃないかと、勘違いした人に付きまとわれたり、会話を盗み聞きされる危険性もある。

これは単なる杞憂ではなく、多くのゲーム会社では社外で周りに人がいるところで開発中のタイトルの話をしたり、ネームプレートをつけたまま出かけるのを禁止しているのは、こうした問題を防ぐためでもある。

そんな訳でわたしの場合は、もう時効だと思われるタイトルしかプロフィールに載せていないが、決して引退したわけでも、干されたわけでもなく(笑)、今も新しいタイトルに関わっている。


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。