装飾山イバラ道[251]「天気の子」を見た/武田瑛夢

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夏休み明け一本目です。夏休みの映画、「天気の子」を見てきました。

・映画『天気の子』公式サイト
https://tenkinoko.com/

※以下は映画のネタバレを含みます。未見の方は要注意。

とても良かったのに、説明が難しい。私の英会話の講師とフリートークの時、今日本で人気のアニメの映画として紹介した。

お天気に関係する女の子と男の子の話、と簡単に説明したら「それが人気なの? 日本で一番の?」と不思議そうな顔で言われた。確かに、その説明だけでは、何故人気なのかまったく伝わらない。

「んー、登場人物がとても若くて皆どこかしら孤独。孤独の中、関わりあっていく話なので、今の日本の若い世代が共感するんだと思う」と付け加えたら、なるほどという感じに伝わった。

これをどう英語で伝えたかは、聞かないでもらいたい(笑)。

今回は、映画のレビューというより、映画を通して考えたことを書いてみたい。考えてみれば、子供って結構大変だよねという話。天気の子の「子」ってところが、ズシッと効いた題名に思える。





●子であるがゆえに

人間は自分で選んで、何でも出来るようなつもりでいる。しかし、子供であるというだけで、何も自由に選べない時期があるのだ。こんな当たり前のどうしようもないことを、受け入れたり受け入れなかったりして生きている。

子供時代は、そんなことについてよく考えることも、特にないのかもしれない。学校に行くのも、夕ご飯のおかずも、夜は外出できないのも、妹と同じ部屋なのも、自分が決めたことではない。

自分のベッドにシーツが敷いてあるのも、お風呂に入る順番で呼ばれたのも、いつの間にか用意されたものだ。

守って育ててもらうことの中に、どれだけ自分で選ぶことがあったのだろう。「うちはこうだから、こうである」以外に、特に理由はないまま過ごしていくのだ。

映画では、若い主人公の少年と少女が何気なく出会って仲良くなる。

そして今の現状ではどうにもならない、どうにもできない、引き離されるのは必須の状況に追い込まれていく。

本当だったらもっと守られてもいい時期なのに、それを持っていない子もいるのだ。

●いつ生き方を選んだのか

生きる手段を得るというのは、どんな年齢であってもそれなりに過酷だ。子供、と言っていいほどの年齢であっても、置かれた状況を懸命に生きている。

恵まれているように見える子も、多すぎる愛情を過干渉に感じて息苦しいかもしれない。全く気にしてもらえない子も、寂しさや不自由さを感じているかもしれない。

誰しも自分でどう生きるかは選べるはずだけれど、そもそも自分で選ぶ道を周りが許さないこともある。未成年というだけで、選択できないことも多いだろう。社会の保護システムが必要な年齢ならば、なおさらだ。

私が思うには、周りが守ってくれる時期というのは、とにかく大きくなればいいのだ。

え? 色々言った割にそんな大雑把なの? と思うかもしれないけれど、あなたを想う人たちに囲まれているなら、楽しく生活して勉強や部活や遊びに、全力をかければいい。

自分で決められない事は、そう悩まずに楽しむ。部活や塾や友達を、自分で選べるチャンスは大いに生かして決めていく。決めて選ぶ練習の時期は、どんなに小さい事でも一所懸命に考えて決めていく
のだ。

貧困、格差も問題となっている時代。何でもあるとは言い難い状況の人もいるだろう。おやつやお年玉や塾は、誰もが持っているものではない。そういえば子供時代、塾や旅行は、私には関係がなかった。

そんな人は親や先生や地域の大人、子供同士でなんとか繋がって、楽しい事を一つでも見つけて欲しい。楽しいと思う事に全力をかけて、早く大きくなってしまえ。

●新宿の街

私はよく映画を観終わって、映画館から街に出た時のギャップにクラクラすると書いてきたと思う。映画の内容と、国も違えば時代も違ったりするからだ。

しかしこの映画では、それがまったく無かった。何故なら、私が「天気の子」を見たのは、新宿歌舞伎町の「TOHOシネマズ新宿」の夕方の回。外に出たら夜だった。

帰りは夫とオロチョンラーメンで有名な「利しり」のラーメンを食べて帰った。

私が食べたのは、みそチョンの辛さ2倍(極)。すっぽんスープのラーメンは久しぶりで美味しかった。私にはちょうど良い辛さで、丼も大きい。この情報は映画とはまったく関係がありません(笑)。

新宿の周囲のネオン街の景色や雰囲気は、映画の中のものと完全に一致していた。「天気の子」は、この新宿歌舞伎町が舞台でもあるのだ。新宿のビルの景色も、看板のデザインも、ピタリと同じイメージだ。

この映画には新宿の他に、代々木、池袋、田端などが出ているそうだ。上手く混ざっているので、私には見覚えのある街として馴染んで見えた。

ホテル街の雰囲気も、このあたりの街の感じだ。私は映画の中のホテルのシーンも、とても気に入っていて大好きだ。

普通のアニメの映画では、看板の企業の名称を少しモジって変えたりするけれど、変えていないところが多い。かなりしっかり交渉して、できるだけそのままの名称にしているそうだ。

このアニメ映画は、今現在2019年の新宿の記録映画でもある。私たちはいつも利用するのでこの映画館を選んだのに、バッチリだったので嬉しくなった。

TOHOの映画館の前を、主人公の少年帆高が走り回っている。天下一品ラーメン店の前にも、帆高が立っている。雨が降っていなかっただけの違いだ。あと10年、20年してこの映画を見たら、この景色を懐かしく思うのだろうか。

●強い望み

楽しいと思える事を探しながら生きていれば、ポンっと空から降ってくるものがある。これをしたいとか、こうなりたいとか、あそこに行きたいという「望み」が降ってくるのだ。

人は強い望みを持つと、どうしても絶対に何が何でも、それをしたくなる。憧れの歌手やアイドルの努力を見たり、偉人の本を読んだり。スポーツクラブの先輩が大会で優勝するのを目の当たりにしたりすることで、変わっていく。

川の流れにただ乗っていただけだったのに、光り輝く岸が見えて、自分の船の方向を変えたくなるのだ。どうしてもあっちに行きたいと、強く望んで船の舵を取る。そこで自発的な力をググっと使う。

一緒にいたいとか、会いたいとか人との関係でも、多くの光を見るようになる。もちろん、一緒にいたくないというような、反対方向の望みが生まれる人もいるかもしれない。自分がしたいことを自分にさせる。それができる時にやる。そうできるようになる。それが私たちの人生の仕事。

やりたいことが見つかれば、方向を定めることができる。若い世代だけでなく、結構生き抜いてきた私たち世代でも、どっちに向くかは大切だ。

今の方向が望みに向かっているのかを、いつも気にしていたいと思う。


【武田瑛夢/たけだえいむ】

装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
http://www.eimu.com/

私は、どちらかと言えば雨女。ただ、雨は街を洗ってくれると考えてからは、清々しい気分。雨の匂いも嫌いじゃない。