もじもじトーク[113]「活版TOKYO 2019」に参加して/関口浩之

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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
今日のテーマは「活版TOKYO 2019に参加して」をお送りします。

●活版TOKYOとは?

どんなイベントかというと、「年に一度の活版印刷の祭典」ってノリの楽しい催しです。今年で5回目の開催です。

2分間の動画ですが、お時間あれば、ぜひ、ご覧になってください。
http://bit.ly/kappantokyo2019

なんか楽しそうでしょ。フォントおじさんこと、私関口が1分20秒から10秒間ほど登場します。

書体デザイナーの藤田重信さん、主催者の東條メリーさんと、トークショーを行いましたので、その様子が流れました。





来場者は、活版オタクや活字オタクというよりも、「可愛いステーショナリーが好き」とか、「活版印刷の風合いが素敵」ってノリの若い女性が、比較的多かったような気がします。

親子で参加して活版印刷を体験してニコニコしている方や、「昔、活版職人やってました」という方もいて、年齢問わず、沢山の方が、8月30日(金)〜9月1日(日)の3日間に神保町に集まりました。

楽しみ方は、ひとそれぞれでした。まだ、参加したことない方は、ぜひ、来年、神保町で開催される(と思われる)活版TOKYOに足を運んでみてください。

●フォントおじさんがトークショーに出演

活版TOKYO事務局から、「フォントワークスの書体デザイナーの藤田さんとフォントおじさんとで、トークショーを行なっていただけませんか」との連絡が数か月前にありました。

アナログ活字からデジタルフォントまでを知り尽くした、筑紫書体の藤田さんとセット商品のように声を掛けられことは、正直いうと、とてもうれしかったです。

ここ5年ぐらい、僕が企画したイベントや座談会で、20回ぐらい、藤田さんをお招きしました。僕は藤田さんの鞄持ちのような存在であり、修行の身であるのですが、セット商品として扱われことは、とても光栄でした。

筑紫書体の魅力は、過去に何度か書いているので、今回は、僕が披露した活字トークをご紹介します。

こちらをご覧ください。ジャーン!
http://bit.ly/mojitalkshow

会場で、いちばん反響があったのは、IBM製セレクトリックタイプライターの「ゴルフボール型活字カートリッジ」でした。普通の打鍵式タイプライターは、書体は一種類しかありません。だって、ジャバラの先に付いてる活字は交換できないし。

でも、このIBM製セレクトリックタイプライターは、活字カートリッジを交換できるのです。書体が変えられるのです。凄いでしょ。「謎の円盤UFOというドラマ知ってる人、いますか?」と質問したら、60人中3人でした。では、IBM製セレクトリックタイプライターが動いている動画をご覧ください。


この海外ドラマは、1970~1971年にテレビ放送されました。当時、僕が大好きなドラマの一つだったのです。この1分間動画のタイプライターを見て「ちょー、格好いい!」と思って、その時から、タイプライターマニアになりました。

まだ、コンピュータは全くといいほど普及してなかたっし、ワープロも誕生していなかった時代に、このメカニカルな動きと、活字がレタリングされるようにパンチングされるのを見て、心が踊らないわけはありませんでした。えっ、俺って、やはり、変態??

ついでに、トークショーで使ったスライドの一部を公開します。
http://bit.ly/mojitalkslide

トークショーの最後で、「藤田さんのスライドは普段公開しないのですが、許可をいただいたページを含めて公開します」とお話しましたが、その部分は反映されていません。

1週間後にアップデートしますので、興味のある方は、先ほどのURLに再度、アクセスしてくださいね。

●活版印刷とは?

活版TOKYOのお話をしたので、活版印刷の基本の「キ」を少し書きます。

活版印刷とは、ルネッサンスの三代発明「印刷術」「火薬」「羅針盤」の中のひとつです。15世紀の半ばに発明された「グーデンベルグ印刷術」は、情報伝達のインフラ(基盤)がビッグバーンを起こしたような、大きな出来事だったのです。

活字を拾って組んだ情報が印刷され書籍になって、一度に大量に情報伝達できるようになったのです。それまでは写本(オリジナル本を手で書き写す)だったので、一度にたくさん製本できないし、写し間違いも発生していたようです。

活版印刷なら、同じ刷版から印刷できるので、それらの問題が解決し、「情報を正確に伝える」ことができるようになったのです。15世紀から、科学や文化、そして、僕が好きな天文学も、どんどん進化し、情報が正確に後世に伝えられたのも、活版印刷が発明されたからに違いありません。

欧米では、15世紀から活版印刷は盛んに活用され、「モノタイプ」という活字をひとつひとつ組む方式や、「ライノタイプ(Linotype: Line of type)」という一行分の活字を鋳造する方式も開発されました。

一方、日本語は1万文字以上と、文字の種類がたくさんある活字文化なので、活字の鋳造技術が確立される明治時代になるまでは、木版印刷が主流だったのです。

なんか、社会科の授業みたいになりましたが、印刷術の発明に端を発して、情報伝達の技術は、写植やDTPやインターネットを介して進化し続けるているのです。

そして、文字組みの原点は、活版組版にあるといっても過言ではないのです。もじもじトークでは、今後、「初心者でも分かる文字組み講座」の連載も計画しています。お楽しみに。

では、また、2週間後にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)

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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/

Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの?
「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/