[4863] 銀座を舞台にした作家◇「トムとジェリー」の放送リスト!

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《あまりの面白さに腹がよじれるほど笑い》

■日々の泡[017]
 銀座を舞台にした作家
 【銀座二十四帖/井上友一郎】
 十河 進

■グラフィック薄氷大魔王[625]
 「トムとジェリー」の放送リスト!
 吉井 宏




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■日々の泡[017]
銀座を舞台にした作家
【銀座二十四帖/井上友一郎】

十河 進
http://bn.dgcr.com/archives/20190918110200.html
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川島雄三監督の「銀座二十四帖」(1955年)が好きで、何度も見ている。ただし、VHSテープでしか持っていないので、四国の実家にいるときには見ることができない。VHSの再生ができないからだ。昔、NHKの衛星放送で放映されたときに録画したものだと思う。

ナレーションおよび主題歌を担当しているのは、まだ若々しい声の森繁久彌である。「おいらは銀座の雀なのさ、夜になったら鳴きながら〜」という森繁節が、冒頭のタイトルバックに流れる。戦後十年経った昭和三十年、「もはや戦後ではない」と言われた頃である。

確かに、街に戦争の痕跡は見当たらない。銀座の街も、登場人物たちが住むアパートメントも清潔で美しい。焼け跡なども出てこない。フランス語を交えてキザなしゃべり方をする売れっ子の画家(安部徹)の乗るオープンカーはアメリカ車である。

しかし、人々の過去には戦争が深く関わっている。物語は「銀座のコニー」と呼ばれる花屋を営む男(三橋達也)を中心に展開する。花屋を手伝う三人の十代半ばの女の子たちは、孤児院から通っている。「コニーのおじちゃんは、夜、学校に通わせてくれる」と、彼を慕っている。彼女らは戦災孤児なのだ。

女の子のひとりを演じるのは、十五歳の浅丘ルリ子である。彼女自身、大陸からの引き揚げ者だった。ある日、花屋でバラの花を買いたいと、和服の上品な女性(月丘夢路)がルリ子に声をかける。

「これ、売り先が決まっているのですけど----」とルリ子がコニーに訊くと、「分けて差し上げなさい」と彼は言う。

月丘夢路は銀座の外れ、おそらく築地あたりだと思うが、義理の母が営む川沿いの料亭で暮らしている。嫁ぎ先に娘を置いたまま家を出て、姿をくらました夫と離婚したがっているらしい。彼女は、父の遺した絵画を銀座の画商に託して処分を依頼する。

その料亭の近くで毎日、絵を描いている男(大坂志郎)がいる。彼は大阪から出てきた月丘夢路の姪(北原三枝)と親しくなるが、正体は警察官で絵を描きながら料亭を見張っているらしい。月丘夢路の夫が現れないかと張り込んでいるのだ。

北原三枝は、松竹から日活に移籍したばかりの頃だ。若く、溌剌として、美しい。当時の女性としては、スタイルも抜群だ。その容姿で「ミス平凡」の大阪代表になり、上京した設定である。その審査会風景も写る。審査員の中に平凡出版(現マガジンハウス)の清水達夫の姿もある。

画廊に並べられた作品の中で、月丘夢路の少女の頃を描いた絵が評判になる。満州にいた頃、内地からやってきた若い学生が描いたものだという。サインはGM。月丘夢路に横恋慕した画家(安部徹)は頭文字が同じなので、「自分の作品だ」と言い出す。

その絵を見たコニーは兄のタッチだと直感し、月岡夢路を問い詰めるが、確証は得られない。コニーの兄は大陸で行方不明になったままなのだが、コニーはどこかで生きているという希望を捨てられない。ここでも、十年前の戦争の影が色濃く漂う。

コニーは弟分(佐野浅夫)がクスリの中毒から抜けられず、銀座にヒロポン(覚醒剤)を卸している黒幕を憎んでいる。コニーは、その黒幕がGMと名乗っていることを知る。また、大坂志郎もクスリの密売ルートを追っているらしい。その黒幕は、月丘夢路の夫なのだろうか?

原作者の井上友一郎は、昭和初期に作品を川端康成に認められて世に出た人で、大学卒業後に新聞記者として中国戦線に従軍した後、作家専業となったが、戦後は風俗小説を多く書いた。「銀座二十四帖」は1955年に新潮社から出た小説で、すぐに映画化された。

僕が井上友一郎の小説を読んだのは、十八の頃だ。高校の現代国語の教科書に載っていた田宮虎彦の「絵本」が気になった僕は、中央公論社が出していた「日本の文学」の「田宮虎彦・井上友一郎・木山捷平集」を図書館から借りて読んだ。その本には、井上友一郎の「菜の花」「ハイネの月」などが収録されていた。

井上友一郎原作の映画化作品は、1954年から1963年の十年間ほどで9作品ある。流行作家だったのだろう。ほとんどはプログラムピクチャーとして消えていったものだが、「銀座二十四帖」のほかにもう一本、映画史に残っている作品がある。

成瀬巳喜男監督の「銀座化粧」(1951年)がそれだ。戦前から高い評価を得ていた成瀬監督は、戦後は不調で「めし」(1951年)で復活したと言われるが、僕は1950年の「怒りの街」「白い野獣」「薔薇合戦」を面白く見たし、1951年の3本「銀座化粧」「舞姫」「めし」も大好きだ。

「怒りの街」は結婚詐欺を働くふたりの大学生(原保美と宇野重吉)の生態が面白かったし、「白い野獣」は売春婦の更生施設を描き梅毒の恐怖を煽る作品だったが、梅毒で狂っていく北林谷栄が印象に残った。「薔薇合戦」は化粧品会社の宣伝合戦が面白く、当時の広告制作状況が興味深かった。

また、「舞姫」は岡田茉莉子のデビュー作品で、原作は川端康成である。「舞姫」とは、プリマドンナのこと。モダン・バレェの世界を扱っている。空襲で崩れたままの昔の屋敷跡にたたずむ山村聡のシーンが、戦後間もない作品だと認識させてくれる。

「銀座化粧」は「めし」より前の作品だが、成瀬作品らしい男女の関係(腐れ縁?)が描かれる。子持ちで銀座のバーのママをやっているヒロイン(田中絹代)は、昔の男が借金にきてもキッパリと断れず、なんとなくずるずると関係が続く。

後に「女が階段を上がる時」(1960年)で、銀座のバーの女たちを詳細に描く成瀬監督だが、その原型が「銀座化粧」である。「女が階段を上がる時」では、高峰秀子、団令子、淡路恵子、北川町子、中北千枝子、柳川慶子、横山道代、塩沢ときなどが女給を演じたが、「銀座化粧」では珍しく香川京子が女給役をやっている。

「銀座化粧」は銀座のバーのママの生態や男関係を描いて、いかにも風俗小説という感じだったが、「銀座二十四帖」は最後にアクションシーンもあり(あまり感心しないのだけれど)、ミステリ的な要素も加わっている。井上友一郎の著書を調べてみると、「清河八郎」「唐人お吉」「近藤勇」といった時代小説もある。器用な作家だったのだろう。

ちなみに「銀座」と付くタイトルは、他に「銀座川」「銀座の空の下」「銀座更紗」「銀座学校」などがある。銀座を舞台にするのが、好きだったのかもしれない。井上友一郎は1909年に生まれ、1997年に米寿で亡くなった。今では作品を見ることもなくなったが、中公版「日本の文学」があれば再読してみたい。

【そごう・すすむ】
ブログ「映画がなければ----」
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■グラフィック薄氷大魔王[625]
「トムとジェリー」の放送リスト!

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20190918110100.html
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「小学生時代は平日の民放テレビ禁止だった」は何度も書いた。それがなし崩しになったきっかけは、小6頃に夕方たまたま見た「トムとジェリー」の真ん中作品「へんてこなオペラ」だった。あまりの面白さに腹がよじれるほど笑い、完全に虜になった。

「へんてこなオペラ」
https://vimeo.com/270760457

「真ん中作品」の多くはテックス・アヴェリーという人の作品で、強烈な面白さを持つものが多い。「ドルーピー」なども含まれる。

以来、この時間(月曜〜金曜の18:00〜18:30)はずっと「トムとジェリー」を見てた。74年〜77年くらいかな。気に入ったエピソードは、テレビにラジカセを押し付けて録音し、繰り返し聴いてた。

で、ずっと見続けてるもんだから、しばらくして気がついた。1日分の3本「トムとジェリー」「真ん中作品」「トムとジェリー」は、何か月かごとに繰り返してる。ということは、3本のタイトルを控えておけば、いつどのエピソードが放送されるか予測できるぞ!

紙に表を作ってタイトルを毎日記録していったら、60数回ごとに繰り返していると判明。表を参照しながらたぶん7〜8回分はローテーションを見た。その表は実家のどこかに挟んであるんだろうけど、行方不明。

思いついて、「トムとジェリー 放送リスト」で検索したら、あった〜〜!! リンクのページの「旧TV放映日本語版の一覧(part1)」の63回分が自作した表と同一のもの。懐かしいタイトルの数々! 何で今まで一度も放送リストを検索しなかったんだ?
https://tjtvjp64.exblog.jp/

確か、中部日本放送(CBCテレビ)では、「トムとジェリー」のローテーションを繰り返すだけでなく、「ポパイ」や「ウッドペッカー」などが放送される時期もあったと記憶。

63回ローテーションとは異なる「トムとジェリー」の、見るからに新しい時代(60年代)に作られたエピソードが放送される時期もあり、ちっとも面白くなかった。それがリンクのPart2に相当するもの。

それらは40〜50年代のオリジナル「トムとジェリー」の、心の入ってない焼き直しに見えた。キャラクターが生きてなく、新味のないお約束のリアクションを見せるだけの空虚なもの。今でもリアクションとか安易に拝借した表現が出てくると腹が立つw

最初に「あっダメ、嫌い!」って拒否反応が出ちゃったから、少ししか見てない。いいものもあるのかしれないけどね。

調べると、63回ローテーションは「ハンナ=バーベラ第1期(1940年 - 1958年)」に、チェコスロバキアで作られていた「ジーン・ダイッチ期(1961年 - 1962年)」(とても変なタッチでマイナー感大きい)が混じったもの。それ以降のイマイチなものは「チャック・ジョーンズ期(1963年 - 1967年)」だろう。もっと新しい「ハンナ=バーベラ第2期(1975年 - 1977年)」はたぶん見たことない。
https://ja.wikipedia.org/wiki/トムとジェリー

63回ローテーション分に含まれる「トムとジェリー」と「ドルーピー」は、ずいぶん前にDVDボックスを買った。リンクの放送リストの英語タイトルをYouTubeで検索すればだいたい全部見れるんじゃないかな。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

「トムとジェリー」を毎日見始めた前後、土曜の夕方やってた「ディズニーぱれーど」という番組があった。ディズニーの古い短編や長編の一部を編集したもの。こちらも相当ハマったけど、ローテーションじゃなかったので印象が弱い。主題歌は好きだったなあ。


◯Studio City Macauのデコレーション展示中
https://bit.ly/30olPNF

○吉井宏デザインのスワロフスキー、7月半ばに出た新製品4つ。

・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV

・HOOT HAPPY HALLOWEEN 2019年度限定生産品
https://bit.ly/2JZVVcm

・SCS ペンギンの赤ちゃん PICCO
https://bit.ly/2JStbC4

・SCS ペンギンのおばあちゃん
https://bit.ly/2YbmnJ7


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編集後記(09/18)

●偏屈読書案内:青山透子「日航123便 墜落の波紋 そして法廷へ」

日航123便墜落の真実を34年も経た今だからこそ、英国の遺族にも語らなければならないと、筆者は英国で会議を設定した。主な参加者は、女性ジャーナリスト、元政治ジャーナリスト、BBC放送のジャーナリスト、法廷弁護士など。英国の弁護士に「この人はお金で動いているのではない。クレージーなくらい純粋なビジョンを持っている」と思われたようだ。わたしだってそう思うわ。

筆者が指摘した疑問点は以下。1)検死担当者の客観的初見では遺体は二度焼かれている 2)炭化状態が著しい遺体が1/3ほどあり、通常では考えられないくらい骨の芯まで焼かれている 3)実際の多くの目撃情報と、目撃情報が書かれていない事故調報告書に整合性がない 4)ファントム2機をいち早く墜落前に飛ばし、墜落場所まで日航機と一緒に飛行した事実をなぜ隠すのか

自衛隊がからんでいたというのは日本人にとって驚愕の事実だが、英国ではそういうニュースは山ほどあるという反応だった。「せっかく見つかった海底に沈んだままの機体の残骸をなぜ引き上げようとする人がいないのか」が大きな疑問という人もいる。さほど深くない160m地点で場所も明確に分かっているのだから、直ちに引き上げて科学的調査分析を行うのが、道義的責任ではないか。

この件では想像を絶する逸話がある。当時の事故調委員長・武田峻氏は、10人の遺族に海底捜査を行うよう詰め寄られたとき「あのですね、お金がないというせいではないのですよ。お金の問題じゃない。海底から事故調査結果と違うものが引き上げられたら困るからですよ」と叫んで居直った。想定外な一言に遺族は凍りつき、こんな人たちが書いた報告書なんか信じられないと確信した。

引き上げられると困る人がいる。当時の中曽根首相、自衛隊関係者、アメリカのボーイング社などが、メディアに何らかの圧力をかけて、この問題を取り上げないようにしているのかもしれない。「あなたは今まで妨害や言論への圧力を受けなかったか」と、ここでも聞かれる。単なる独立研究者に過ぎない筆者に誹謗中傷は数多くある。恣意的に筆者を貶めようとする人が少なからずいる。

焦った一部の人間と結託した見えない圧力や、後ろから殴りかかるような厭らしさは、メディア側に存在するようだ。英国人の最大の疑問は「犯人は証拠を隠滅し破壊することが常識だが、日本航空がデータを破壊せずに保管しているとすれば、その意味が分からない」で、きっと破棄していると断言する。筆者は保管していると思う。しかし、日航側は持っていないと言うだろう。

情報公開のプロ中のプロ・三井弘弁護士は「あれだけの事故を起こしていて、遺族に情報公開もせずに、証拠物や資料を『捨てました、破棄しました、どこにあるかわかりません、誰がしたのかわかりません、確認できませんでした』で済む話ではない」と憤る。123便墜落事故においては、日本では裁判は一切行われず、誰も刑事責任をとらないまま、公訴時効が成立している。

つまり、犯人は見つからなかった。また起訴するほどの資料が集まらなかったということにもなる。520人の命を失わせた人物が特定できなかった。損害賠償請求の民事事件についても、1993年すべて裁判することなく和解に終わってしまった。法廷という公開の場で審議が行われ、資料を公開して事故調査報告書の信憑性を問う機会が失われたのだ。それでも筆者は戦い続ける。(柴田)

青山透子「日航123便 墜落の波紋 そして法廷へ」2019 河出書房新社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4309028128/dgcrcom-22/


●雑誌「LDK」続き。ハンドクリームも試してみたよ。普段使いはアトリックスの「ビューティーチャージ」。

冬の終わりには、ハンドクリームの在庫整理をするみたいで割引になりやすい。季節を問わず使っているので、処分価格のを試しに買ってみたら、べたつき加減や香りが自分には合っていて、リピートし続けている。

LDKでそのビューティーチャージよりも評価の高い第一位の商品を、今のがまだ残っているのに購入してみた。お店にテスターはなかった。

ワクワクしながら開封し、手に伸ばす。伸びやべたつき加減はいい、いいんだけど合成的なきつい香りが自分には合わない。たまたま苦手な香りなんだろう。

手を顔の近くに持っていくことが多いので、気になってしまう。捨てるのはもったいないのでイヤイヤ使っている。何かの成分の香りを隠すためにきついのかなぁ。

ビューティーチャージには無香料と三種類の香りとがあって、どれもわりと控え目。なので、寝る前はこっちを使うことにした。雑誌では香りまではわからないのは仕方ない〜。(hammer.mule)

ビューティーチャージ
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B013WJ9T66/dgcrcom-22/