《いよいよ「アートで自立」への旅立ち》
■羽化の作法[93]現在編
宣言:私の目標は自分のアートだけで食べていくことです
武 盾一郎
■LIFE is 日々一歩(106)[コラム]
技術書典7にサークル参加した感想&頒布本販売開始!
森 和恵
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■羽化の作法[93]現在編
宣言:私の目標は自分のアートだけで食べていくことです
武 盾一郎
https://bn.dgcr.com/archives/20191001110200.html
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●アートだけで食えるかやってみます
宣言します。私の目標は自分のアートだけで食べていく事です。
現在私は「プロの画家」として精進しております。ありがたいことに、作品を買って応援してくださる方もいらっしゃいます。本当に感謝しております。しかし、まだ画家収入だけでは食べていけないのが現状です。
今回のテキストは、デジクリを通して「アートで食う宣言」をして、言ってしまった手前、ちゃんと実現せざるを得ない状況にしよう! と思いたった次第でございます。
ちなみに最初の文型は『音楽でメシが食えるか?やってみます。』を参照しました。
https://kohrogi.com/?p=2308
現在の私の収入源は3つあります。
1.武盾一郎のソロ活動での収入
2.ガブリエルガブリエラでの収入
3.委託の牛乳配達
「1」は線譜(オリジナル作品)の売上げや装丁画や肖像画などの依頼の仕事です。
「2」は主にアートラッシュでの出展売上。
https://twitter.com/artsrush
今のところ実際には「3」の労働で生活を支えています。そこから「3」を外して、「13月世大使館運営での収入」に差し替えるのです。
1.武盾一郎のソロ活動での収入
2.ガブリエルガブリエラでの収入
3.13月世大使館運営での収入
この3本柱で食べて行くことが目標です。
「2」のガブリエルガブリエラ( https://twitter.com/G_G_jp
)はポオ エ ヤヨ( https://twitter.com/Poelett
)さんとのユニットで「13月世の世界」の物語絵と呪薬(ジュエリー)を制作・販売しています。
「3」の「13月世大使館( https://www.facebook.com/13moon.gallery/
)」は、私の自宅を改装してこれからオープンさせるギャラリー・ショップです。そこで、武盾一郎・ポオ エ ヤヨ・ガブリエルガブリエラの作品を展示販売します。
つまり、2と3はポオ エ ヤヨさんと共同運営ということです。これはかなり革命的な変化です。二人で知恵を出し合えば、必ず目標を達成できる。まずはそう思い込みます。
ではどうしたら目標達成できるのでしょうか?
●目標を達成するために
ちょっと抽象的ですが準備的な心構えを3つあげてみます。
1.お金を好きになる
2.お客さまに感謝する
3.自分は幸運だと思い込む
1.お金を好きになる
実はこれ私にとっては重要なテーマです。お金の話は、今現在もちょっと苦手です。それは、お金に対してポジティブなイメージを持てなかったからです。
「芸術でお金を稼ぐ」に対して、なぜかそうしてはいけない罪悪感がありました。お金儲けって、どこか良くないことのように信じ込まされていたのです。本心では、ちゃんと売れて稼げて回して行けることを欲しているにも拘わらず。
なので、最初は「お金のことは一切考えないで自分のやりたいアートに集中しよう!」と肚を括って活動していました。
しかし、お金について考えてないと、お金に対して両極端になります。「私の作品の価値は1億円に匹敵する!」と「作品は自分の魂だから無料(売れなくていい)」のオール・オア・ナッシング状態になってしまうのです。
「お金ってエネルギーなんだよね」と言われて、ショックを受けたことがあります。その時私は収入がほとんどなく、同時に元気も自信も失っていたので、その言葉に物凄く合点がいったのです。
お金って、稼いでないとメンタルも悪くなる。お金がないことによる現実的な不自由さよりも、稼いでいない自分を恥じて惨めになる気持ちによって具合が悪くなるのです。
じゃあどうしたらお金と縁があるようになれるのか?それはお金を素直に好きになることだと思いました。
好きな曲は自然といっぱい聴きます。好きな人には自然といっぱい会います。なので、お金を好きになれば、お金とのご縁が増えると思ったのです。
2.お客さまに感謝する
なんだか綺麗事みたいなこと書いてますが、案外本当だと今は考えています。アーティストや作家って、商売をやっている人のように常に「ありがとうございます」と言わないよなあって、ふと思ったのです。牛乳配達ですら一日に何十回も「ありがとうございます!」って言うんですよね。
たぶんだけど、「作品を作る人って偉い」という価値観が、無意識的にあるのかも知れません。
アーティストは、「価値ある作品を作りたい」と強く思っています。または、自分の作品には価値があるはずだ! と思い込もうと頑張っています。私もそうでした。
しかし、最近は「私の作品に価値がある」というこだわりより、私の作品を何かのきっかけで好きになり、思い切って購入して頂いたその方の「ドキドキ」とか、好きになった時に沸き起こった「胸の高鳴り」こそ、尊いんだなあと考えるようになってきたのです。
そうすると、「すげえ俺になる!」という野望よりも、感謝が軸になります。その方が力が抜けて、これからの自分には良いなあと思ったのです。
3.自分は幸運だと思い込む
これもかなり重要ですよね。自分がアンラッキーだと思ってたら、災難に会そうですもん。では、どうやったら自分が幸運だと信じ込めるようになるでしょうか?
それは、何につけても「私は幸運だ。私はついてる。」と呪文のように唱えることだと思います。
「呪文を唱えるって非科学的な!」とツッコミが入りそうですが、私はかつて呪文を唱えてたら不思議なことが起きたと、デジクリに書きました。
羽化の作法[61]現在編・退院後のちょっと不思議な話
https://bn.dgcr.com/archives/20180515110200.html
手術入院して「好酸球性副鼻腔炎」という「難病」だと診断されたのです。身体を守るはずの好酸球が、敵がいないのに増え過ぎて逆に自分の体を攻撃してしまってる状態だと分かり、「この世に敵など存在しない」と呪文を唱え続けてみたのです。
そしたら、なぜかその後の検査で好酸球が消えてしまったのです。その後、現在に至るまで嗅覚障害は起こしてません。
それはたまたまだったかも知れません。しかし物は試しです。「私は幸運。私はついてる」と呪文を唱え続けてみようと思います。
心構えはこんな感じです。では実際にはどうするか考えてみました。
●目標を達成するためのポイント
〈1〉線譜は「音楽標本」と「ネズミに恋したネコのタムちゃん」の二つのシリーズに絞る
〈2〉注文制作の応用範囲を広げる
〈3〉ポオ エ ヤヨさんとのチームワーク
〈1〉線譜も様々なシリーズを描いてきました。例えば、即興だけで描いたり、人物を描いたり、風景を描いたり。その中で売れた作品シリーズだけに的を絞って、来年の5月のピカレスクでの個展に向けて制作しています。
https://twitter.com/picaresquejpn
音楽標本シリーズ
タムちゃんシリーズ
〈2〉注文制作を幅広く引き受けられるようにします。人物、ネコ、風景、いろんなシリーズ線譜を描いたのでそれを活かせるように。
目安としては小さめの作品は5万円くらいから。大作になるとそれなりの価格になりますが、個人様からのご依頼は気合が入ります。きっとご満足頂けると思います。どうぞお気軽にお問い合わせください。
肖像画線譜『サイベリアンのゴマ』
肖像画線譜『ルミエットの夜想曲』
〈3〉そしてこれからの鍵を握るのがなんといっても自宅を改装したギャラリーショップ「13月世大使館」のポオ エ ヤヨさんとの共同運営です。
そう言えば、自宅をギャラリーにするきっかけは、2011年1月31日、震災前なんですね。
「この絵を買いたい! という方、実物を埼玉県上尾市のアトリエまで観に行ってみたい!という方、是非、リプライ(またはDM、メールなど)を下さい!」とツイートしています。
https://twitter.com/Take_J/status/31975385738514432
そして震災後2011年6月24日に展示の予定が何もないので「上尾の自宅アトリエまで僕の絵を観に来て下さい。自宅アトリエ個(別)展。」とツイート。
https://twitter.com/Take_J/status/84125924504776704
2018年2月10日のブログ「ガブリエルガブリエラショップ『13月世大使館(仮)』オープンに向けて・その1」で私はこのように書いています。
「2014年,ガブリエルガブリエラの活動を開始。2022年を目指してここをアトリエショップにしようとちょっとずつ「13月世」の世界観を表現する家具を揃え始めたのが2017年、去年である。
2018年1月7日、2020年以降のオープンではなくて今年から始めようと言うことで動き始めました!」
https://take-junichiro.blogspot.com/2018/02/1.html
ところが工事が中断してしまい、2018年のオープンには間に合いませんでした。
そして、2018年11月27日のデジクリ「羽化の作法[74]現在編 13月世とガブリエルガブリエラ」では「なんとか来年2019年の2月までに完成させたいです。そして、運営を始めて、しばらくしてから庭や屋根を綺麗に工事できたらと考えております。」と書いてます。
https://bn.dgcr.com/archives/20181127110200.html
それから今年2019年の3月5日のデジクリ「羽化の作法[80]現在編 アート関係のニュースからアートで自立まで」にでは「工事開始から一年以上経ってようやく完成が見えてきました。なんだかこれまでは、人生のリハーサルだったような気持ちが湧いてきます。苦節二十年。いよいよ「アートで自立」への旅立ちが始まります。完成したらまずは自分たちでしっかり嬉しがろうと思います。」
と決意で締めくくっています。
https://bn.dgcr.com/archives/20190305110200.html
こうしてみると、自宅をギャラリーにするのに8年かかってるんですねえ。亀のような歩みですが前進はしています。
現在、ガブリエルガブリエラの新作を制作しつつ1、3月世大使館のオープンに向けて準備を進めています。
ポオ エ ヤヨさんと知恵を出し合って、仲良く楽しく運営すれば、アートで稼いで回して行くことも夢ではありません。そう信じてやってゆきます。
今年の11月から月に1日オープンして、予約デーを1日設ける予定です。まずはオープンに漕ぎ着かせることですね。頑張ります!(つづく)
【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/何度目だ断酒】
ガブリエルガブリエラの新作を制作中です!
これがまたすごいんです! 乞うご期待!
13曲の新作イメージ曲集「ガブリエルガブリエラ音楽帳」
https://twitter.com/i/moments/1146202022976163840
Twitter https://twitter.com/Take_J
ブログ「絵と空の事」
https://take-junichiro.blogspot.com/
Facebookページ https://www.Facebook.com/junichiro.take
take.junichiro@gmail.com
◎ガブリエルガブリエラ、只今「13月世大使館」オープンに向けて準備中!
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◎アーティストとアートファンを繋ぐプラットフォーム「メセロ(mecelo)」に、私のページができました! 応援よろしくお願いします! インタビューもあります。
https://mecelo.com/artists/take_junichiro
インタビュー前半
https://mecelo.com/artists/take_junichiro/interviews/57
インタビュー後半
https://mecelo.com/artists/take_junichiro/interviews/58
◎装丁画を担当しています! 『星野智幸コレクション・全四巻』(人文書院)
星野智幸コレクションI スクエア
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226418.html
星野智幸コレクションII サークル
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226413.html
星野智幸コレクションIII リンク
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b226414.html
星野智幸コレクションIV フロウ
http://www.jimbunshoin.co.jp/book/b278897.html
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■LIFE is 日々一歩(106)[コラム]
技術書典7にサークル参加した感想&頒布本販売開始!
森 和恵
https://bn.dgcr.com/archives/20191001110100.html
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こんにちは! 森和恵です。「技術書典7」から戻ってきて、ひどい風邪を引いてしまいました。今回は短めのコラムでお届けします。ごめんなさい。
1週間ほど前になりますが、技術書典7にサークル参加してきました。
▼技術書典7 r360study【さ02D】
https://techbookfest.org/event/tbf07/circle/5746451363659776
今回もあっ! という間の時間を駆け抜けました。もしかしたら、これまでで一番短く感じたかもしれません。たくさんの方と出会い、楽しく本を頒布してきました。幸せな時間を過ごせました。
帰宅後すぐにYouTubeライブ配信をして、当日の写真をご覧に入れつつ当日の様子をお届けしました。
▼技術書典7サークル参加報告&プレゼント抽選回
今回こちらでは、ライブ配信で言えなかった、サークル参加の裏話的なものを交えて感想をお話しますね。
●技術書典とは?
『技術書典』とは、技術系の同人誌だけを頒布する同人誌即売会です。技術書典のTwitter公式アカウントでは「技術書典は新しい技術に出会えるお祭り」と位置づけているようです。
https://twitter.com/techbookfest/status/1176684158485061633
2016年にスタートし、今回の開催が7回目でした。サークルリストを見ると、ソフトウエア・ハードウエア・デザイン・科学技術などなど、さまざまな技術本が集結しているのがわかります。
https://techbookfest.org/event/tbf07
『技術季報』という同人誌のPDF版が達人出版会で販売されていて、技術書典のあらゆるデータ(参加人数、本の売れ行き、参加サークルアンケートや詳細なレポート)をみられるので、参加したい方は必見です。
https://tatsu-zine.com/
わたしは、r360studyという名で、技術書典4・5・6・7と4回サークル参加をしていて、毎回、DreamweaverとAdobeXDの機能をピックアップし、操作をしながらそれを学べる冊子を頒布しています。
●今回の参加者の流れ
今回の来場者数は速報値で9700人ということで、前回よりやや少なめの人出だったようです。回を重ねる毎に増えてきて、11時~17時の6時間で1万人規模が参加する大イベントになりましたね。
https://twitter.com/techbookfest/status/1175683304797794307
今回は、2階と3階の2フロアに規模が拡大されたり、時間指定入場券の販売を事前に行ったりと、新しい試みが多い回でした。
そのかいあってか、会場の殺人的な混雑は解消されていて、みなさん安心してイベントを楽しむことができていたような気がします。
巨大な『進捗神社』が3階に登場したのをみたときは、今回はブースが広くなったんだなぁと実感しました。
https://twitter.com/techbookfest/status/1175616480076951553
ただ、新しい試みにはつきものの不備もあったようです。一般の方に迷惑をかけないようにと、2階から3階の移動を階段に限定したことで、細い階段に人が滞ってしまい、場所を移動するだけなのに待機列ができていました。
また、その階段が奥まったところにあったために、階段が見つけられない人もかなりいたようです。
わたしも、階段が見つけられず迷い、待機列を並んでやっと3階にあがったのですが、3階は思ったほど混雑していなくて拍子抜けしたものでした。
サークル参加している立場でみると、規模が拡大されてサークル数が増えたのに、来場者数がそれほど増えていないために人がばらけてしまい、1サークルあたりに訪れる人が減ったという印象でした。
わたしのサークルの売り上げは、前回とほぼ同じでしたが、期待したほどの頒布数が見込めませんでした。
減少にはいろいろな理由が考えられますが、理由のひとつに「ついで買いする人」が減った、というのがあるのではないでしょうか?
サークル数が増えて、回遊する面積も広くなったことで、来場者が回りきれなくなってしまい、「指名買い」以外の購入をせずに終わってしまったのでは? と思います。
閉会間際にサークルをざっと見渡したところ、完売しているサークルがとても少なかったことをみても、1サークル毎の平均頒布数は下がったのでは? とみています。
規模が大きくなったので、たくさん売れるだろう……という単純な図式ではなく、競争相手も増えたというふうに解釈する必要があったかもしれませんね。
●今回の反省
今回の技術書典の規模の拡大をみて、いつもよりもうちょっと数がでるかな? と思って刷りすぎました……。
『Dreamweaverでサクサク進む、WordPressテーマ作成』と『Adobe XDアニメーションレシピ』が、共に残り50冊ずつという結果になってしまいました。
頒布数はそれほど変わってなかったので、期待値が大きかったということもあるでしょうけれど、事前の告知をかなりがんばってやれたし、情報が露出しているのに売り上げが変わらなかったというのは、単純に頒布本のテーマと技術書典に参加する方の、ニーズがマッチしてなかったのが原因ではと思います。
残してしまったとはいえ、自分が気になるテーマをしっかりとまとめる機会が持てたのは、とてもよかったなと思います。
自分が推してることをまとめて、手で直接欲しい人に販売するというのは、技術書典ならではの醍醐味ですね。
次回は、ノンデザイナーの方に向けたデザイン本を書こうかなと思っています。
デザインルールっぽい本はたくさん出回っているので、読みながら操作を進めていけば、ポスターなりチラシなり、なにか役に立つものが作れちゃう! みたいな本がいいかなと思っています。
ということで、今回はここまで。
最後になりましたが、まとまった冊数が手元に残りましたので、今回こそ通販を行います。
https://r360study.booth.pm/
サイトにて、どちらも限定50冊販売中。追加はしませんので、欲しいなと思う方はお早めにぜひ。
ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)
【森 和恵 r360studio ウェブ系インストラクター】
mail:r360studio@gmail.com
サイト:http://r360studio.com/
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編集後記(10/01)
●偏屈MOVIE案内:「オン・ザ・ハイウエイ その夜、86分」
「画面に映るのはただ一人のみ、交わされる言葉は電話のみ。ワンシチュエーションで描く、緊迫のリアルタイム・サスペンス!」というパッケージの惹句。夜のハイウエイ、アイバン・ロックはバーミンガムからロンドンに向けて車を走らせている。妻と子供二人に愛され、建築現場監督のキャリアも評価され、順風満帆の生活を送っていたが、一本の電話が彼の人生を変えてしまうお話である。
とにかく走行中に、電話を発信し、受信し、という一人舞台である。運転シーンだけで魅了できるのは彼、トム・ハーディだけだろう。86分間、出ずっぱり。監督は生中継のような臨場感を求めていた。ドキュメンタリー的な即時性が必要だ。実際に撮影した映像は30時間に及び、編集はジグソーパズルだったという。全編をほぼ1シーンのように描き切ってしまう、前代未聞のビジュアル。
この映画で観客が得られる情報はすべて彼の電話のやりとりから。バーミンガムで建設工事の現場監督を務めるロックは、7か月前に一度だけ関係した女性から、早期分娩の危機がありロンドンの病院にいると知らされる。彼は出産に立ち会うためにロンドンに向かう。彼の帰宅を待つ愛すべき妻子がいるのに。
彼は翌朝から、ヨーロッパ最大規模のコンクリート流し込みの、現場監督仕事がある。必要書類も手元にある。それなのに、その仕事を部下のドナルに、任せる、電話でサポートする、と会社の誰かに「伝言」する。オイオイ、そんな超重要なことを。返ってきた電話でドナルは「電話で? 正気か?」とあきれる。「コンクリートを流し込む間だけのことさ、君が代理でやるんだ」って。
5:45に現場に355トンの生コンが届く。国中からトラックが218台集まる。それを仕切れという。ドナルは驚き呆れ「最高の現場監督がいったいどうしたんだ。仕事を失ってもいいのか」と言うが、実際、ロックは馘首を宣告される。さらに、正直に告白したものだから妻は激怒し、ロックを家から追い出すと宣告。職場と家族をいっぺんに失ったロックに、女から無事出産したと知らせが来る。
主人公の一人芝居だけで、86分間もたせるところはすごいもんだ。途中で飽きることなく見続けた。妊婦、家庭、勤務先それぞれと、苦痛に耐えながら、声を荒げることなく、抑えた口調で相手と誠実に話しあう。部下相手にはなだめすかしたりしているが。この仕事を失うのは人生を失うのと同等に思えるのだが、どうしても一度きりの女を断れないのは、トラウマ級の理由があるのか。
やはりありえないと思うのが、責任者として用意万端整えてきた最高の仕事を、部下に安易な言葉とともに押しつけるところだ。自分では何の手助けも出来ない、全然愛してもいない女を見舞うのと、ヨーロッパ最大級の仕事を責任者として仕上げるのと、どっちが大事かといったらいうまでもない。彼は自分なりに正しい道を選んだと思っているが、この後どうなるんだ。自業自得とはいえ。
「その夜、86分」とタイトルにあるが、なぜ? バーミンガムからロンドンまで、M40経由で126.4マイル、2時間14分かかるのに。な〜んだ、86分ってこのDVDの収録時間じゃないか。原題は「Locke」って、主人公名か。それにしても、こんな大惨事にほとんどパニクらない主人公って。後味悪し……。(柴田)
「オン・ザ・ハイウエイ その夜、86分」2013 イギリス・アメリカ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B01352N664/dgcrcom-22/
●森さん、お大事になさってください。
/お金をもらうことに罪悪感ある〜。いくら? と聞かれて、つい及び腰になってしまう。ウェブサイト制作やグラフィックデザインなんて、時給換算できないし、大変さが見えないから、価格を提示すると高いと言われがち。芸術なんて価格の開きが大きすぎて、なおさら難しいですよね。
大阪人は駆け引きがうまいみたいなこと言われるけど、それは商人の家系だけじゃないかなぁ。職人家系で、自分のためにできる人はまれだと思う。
ふっかけられてもわからないし、ふっかけて多めにもらえてニヤリってのもしたくない。金額が大きくて払えないなら諦めるだけ。けど駆け引きが上手い人たち同士なら、諦めることはなく、お互いいいところで握手できるのだろう。欲しいものを手に入れられるのだろう。
なのでやれるのは、ルール内で安くなる方法を調べること。ポイント還元とか割引クーポンとか。値引きは頼めない。というか、大阪だと店頭で値切れるなんて話は、都市伝説だと思う〜。(hammer.mule)