[4881] YMO
── どの曲が好き? 問題◇奈々さんの七七の話/タマの世界 ──

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《はい、もうこれで終わり! キリつけた。》

■グラフィック薄氷大魔王[629]
 YMO/どの曲が好き? 問題
 吉井 宏

■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[41]
 奈々さんの七七の話
 タマの世界
 海音寺ジョー




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■グラフィック薄氷大魔王[629]
YMO/どの曲が好き? 問題

吉井 宏
https://bn.dgcr.com/archives/20191016110200.html

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僕個人がYMOにどう影響を受けたか? を、一度ちゃんと書いておきたかった。実は、結成40周年だった昨年に書き始めたのに、僕の中でYMO観はいつも微妙に変化してることもあって、まとめられなかった。なので、断片の雑記です。全4回、その4。

●どの曲がいちばん好き? 問題

・「問題」と書いたのは、時期によって好みが変わるし、人それぞれ思い入れのある曲は違ったりするし、紛糾・波乱含みだから。10年ほど前に「僕のワーストは『チャイニーズ・ウィスパー』と『過激な淑女』。」とかツイートしたら「それ、一番好きな曲なんです」って返信されて反省……すみませんでした。

今回も「自分の基準で好き嫌いを書いてるだけ」ですので、念のため。みなさんが好きな曲やその理由も知りたい!

・YMOの真髄は中期の「BGM」と「テクノデリック」だと、前世紀までは思ってた。曲で言えば当然「QUE/キュー」や「ジャム」。聴いたことのない響きの音楽なのに、最初からツボにハマって超お気に入りに。

・アルバム「増殖」の「Jingle 'YMO'」→「ナイス・エイジ」は繋がりのカッコよさで随一。「ナイス・エイジ」は中期のアルバムに通じるマニアックな暗さを感じさせながらも、明るい表現が大好き。この曲の「ピコピコ音」はYMO全部の中でベスト。

・「君に胸キュン。」は1983年3月25日にリリースなのだが、専門学校を修了してデザイン事務所に就職する直前ってこともあって、その時の感情や空気など全部含んだ、僕的に特別なもの。イントロの美しさ! 後期に差しかかったアルバム「浮気なぼくら」は日本語の歌入りの楽しいアルバムだったのに、今では逆に、ネクラさが際立って聴こえる。

・後期で言えば、「SEE-THROUGH」も長いことベストだった。散開前のラストアルバム「サーヴィス」は、「企画ものや個人作品の寄せ集めだけど一応YMO名義」みたいな寂しい感じ。高橋幸宏がプッシュしたという、三宅裕司率いるスーパー・エキセントリック・シアター(S.E.T.)のコント入り。今聴くと、う〜ん、やっぱ余計かなあ……。

・S.E.T.といえば、84年の高橋幸宏プロデュースのアルバム「THE ART OF NIPPONOMICS」を題材にデザインして応募した、第5回NAAC展で奨励賞をもらった。全国区のデザイン雑誌に作品が初めて載ったのだった。
http://www.yoshii.com/dgcr/1984-NAAC

・中後期のアルバムはずっと大好きだったけど、次第にそれほどでもなくなってきた。好みが変わっていくのは仕方ない。派手に強調されたスネアドラムが今ではやかましく聞こえる。

・で、初期の2枚に落ち着いてきた。一曲しか選べないとしたら別格扱いの「ファイアクラッカー」しかない。YMO結成のコンセプト「マーティン・デニーのエキゾチックな曲をアレンジ、コンピュータでシンセを自動演奏したチャンキー・ディスコで世界制覇」そのもの。緻密で分厚く、何百回聴いても飽きないどころか、どんどん好きになる。

・別格を除く普通の意味で、僕の輝くYMOベスト1は……「ABSOLUTE EGO DANCE」だと思う。少なくとも21世紀になってからずっと、ベスト1の座に留まってる。沖縄民謡を解析したという陽気なリズムと「ハッ、ハッ」の合いの手。サビの伸びやかなシンセと、広大な空間を感じるボコーダーのコーラス。間奏部のタガが外れたような暴走ぶり。全部大好き。

・あまりYMOらしく思えず、眼中になかったファーストアルバムの「マッド・ピエロ」がしばらく前から僕の中で急上昇w 楽器フェア2014での松武秀樹氏らによるオリジナル楽器を使った(自動)演奏の映像にシビレたのがきっかけ。実に濃い。「ブリッジ・オーバー・トラブルド・ミュージック」→「マッド・ピエロ」への繋がりも素晴らしい。


・ライブ盤はあまり興味なかった。だって、コンピュータや機材を駆使して凝りまくったスタジオワークから生まれる音楽なのに、それをライブで無理に再現するのはピンと来なかった。それでも、ライブアルバム「パブリック・プレッシャー」の「コズミック・サーフィン」などで聴ける、ヤケクソのように荒々しいサウンドはかなり好き。

・80年代半ば以降ともなると、他にも好きな音楽がいろいろ増えた。YMOは年に一度くらい聴き返して「やっぱいいなあ」とあらためて感激したり、集中して聴きすぎて飽きてしまったりを繰り返すことになる。苦手な曲もいくつかはあるけど、基本的に全部好き。中でも細野晴臣の曲はお気に入りが多い。

・ベスト盤はもちろん、リミックス盤やリマスター盤、「アルファ商法」とか揶揄される数多くリリースされた再編集CDはいちいち買ったけど、結局はオリジナルの曲順でないと満足できなかったりw 曲順といえば、特にA面最後の曲とB面最初の曲は、明らかにふさわしい曲が入ってる。CDや配信でA・B面の区別が無いのがもったいない。

●もうちょっと似た曲が多くても良かったんじゃ?

・この連載の第366回「偽バリエーションとボツ作品」に書いたけど、やはり曲が少なすぎる。似た曲もほとんどなく、「CUE/キュー」の続編として作られたという「手掛かり KEY」がある程度(あまり似てないが)。

アーティストは似たような曲や、レコード会社が喜ぶ売れ線の曲は作りたくないだろうけど、ファンとしては黄金期の傑作曲のバリエーションをもっと聴きたいよねえ。散開前のオリジナルアルバム7枚は作風がぜんぜん違うけど、それぞれ3枚ずつ計21枚あったらなあって思うw
https://bn.dgcr.com/archives/20131106140100.html


・ただ、オリジナル曲は少なくても、メンバーのソロアルバムや、YMOとして参加のアルバム、また「テクノ歌謡」として知られてるように、当時YMOやメンバーが曲作りやプロデュースした歌謡曲が大量にあるのが救い。変な企画もの歌でも、ボーカル以外は完全にYMOの音だったりするしね。

・「イエローマジック歌謡曲」や「テクノ歌謡」、メンバーの提供曲集など、後年CDに収められたものだけでも相当たくさんあるけど、プロデュースした歌手やアーティストをWikipediaなどで調べていけば、楽曲はそれこそ無数にあるにちがいない。たった数年間なのに、どんだけ働いてたんだ?w

・上で書いた「過激な淑女」は中森明菜に提供した曲だったが、同時にプレゼンした細野晴臣の「禁区」のほうが採用されたとのこと。あと、YMOとして初のオリコン1位を目指した「君に胸キュン。」が、細野晴臣自身による松田聖子「天国のキッス」に阻まれて実現しなかったっていう話は大好きw そういう風に、歌謡界に深く入り込んでたんだな。

●YMOのCDジャケットをデザインしたことがある

「YMO I」「YMO II」という、ベスト盤2枚のジャケットをデザインしたことがある。自称YMOチルドレン的にはめちゃくちゃうれしかったのだが……。

1993年夏、アルファレコードではない別のレコード会社のデザイナーからの依頼。普通にお店で売るものではなく、通信販売用か何かの廉価盤だったはずだけど詳細は不明。発売元もCD盤面もちゃんとアルファレコード。OEMみたいなものだったのかも。

本当に発売されたのか自信がなかったのだが、リンクのブログで初めて確認できた。
https://ameblo.jp/byjcr203/entry-11487278117.html


他にもデータベースにあることを確認。
https://www.discogs.com/Yellow-Magic-Orchestra-YMO-I/release/6381593


デザインは今見ると確かにビミョーかな……。

当時、Macを入れてちょうど1年。「デジタルっぽい模様を敷き、YMOの3文字を乗せる」という注文。購入したばかりのKai's Power Toolsでいくつか試作した中から選ばれたのだった。立体文字は書体集をスキャンしてIllustratorでトレースして輪郭を作り、Photoshopのエアブラシで陰影を描いたもの(レイヤー機能はまだなかった)。

CDとケースはあるんだけど、ジャケットの紙が行方不明。たぶん本の表紙の刷り見本などといっしょに、クリアーブックに移したはず。

●「コンセプト」が作品を左右する

・1回目で、現在の感覚に置き換えて年数的比較をやったけど、YMO時代から遠ざかるに従って、俯瞰で見れるようになったかも。彼らの5年間の活動は、進歩する音楽テクノロジーによってどんどん進化したものと思ってたけど、ちょっと違う感じに捉えてもいいかなと思ってる。

・3人は結成当時すでに実績のあるベテランなので、YMO前後で5年の間に急に成長したわけじゃない。コンピュータ利用の音楽テクノロジーといっても、機材は結成当時からあるものを使ってる。新しく加わったのはサンプラーくらいか。MIDI規格の公開は81年だけど、松武秀樹はアンチだったそうで、YMOでは使われなかっただろう。

・たった5年であんなに変化したYMOの作風を左右したのは、個人の成長やテクノロジーの進歩ではなく、アルバムごとに時代から導き出された「こういうアルバムを作る」というコンセプト。細野晴臣のプロデューサー志向がそうさせたんだろう。それで作品や作風が決まるし、ファッションもビジュアルも連動する(93年再成時のアルバム「テクノドン」は、コンセプト先行な感じが鼻についてちょっと苦手だった)。

・アーティストらしく「思いのままに作る」でもいいんだけど、幅が狭くなりがち。アイディアにコンセプトが掛け算として働き、予想もしなかった新しい表現が生まれるのは僕にもよくわかる。ちょっとそのあたり、あらためて「YMOに受けた影響」的に、コンセプトを決めて活動するのもアリだな……。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.co


YMO全4回、僕同様に思い入れの大きい読者も多いだろうから、ヘタなこと書けないし、気を遣って疲れたw 最終回は丸3日もかかって書き足しを繰り返して2回分以上の分量になっちゃったし、午前中に柴田さんに送ろうとメールにコピペして読み直してたら、また直したくなって、夕方までかかって手を入れたりw はい、もうこれで終わり! キリつけた。

来週からは、しばらく書けなかった2週間から一か月半遅れの、普通の話題が続く予定。YMOは五月雨式で出せばよかったな。

次回はmacOS Catalina。いきなりメインマシンに入れるのは、さすがに躊躇。まずサブマシンのMacBook Proに入れてみた。iPadを液タブ化するSidecarも試してみた。Astropadとくらべてどうか?など書く予定。

◯Studio City Macauのデコレーション展示中
https://bit.ly/30olPNF


○吉井宏デザインのスワロフスキー、7月半ばに出た新製品4つ。

・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV


・HOOT HAPPY HALLOWEEN 2019年度限定生産品
https://bit.ly/2JZVVcm


・SCS ペンギンの赤ちゃん PICCO
https://bit.ly/2JStbC4


・SCS ペンギンのおばあちゃん
https://bit.ly/2YbmnJ7



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■エセー物語(エッセイ+超短編ストーリー)[41]
奈々さんの七七の話
タマの世界

海音寺ジョー
https://bn.dgcr.com/archives/20191016110100.html

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◎奈々さんの七七の話

最近、中山奈々さんに俳句を教わっている。中山奈々さんとは、関西の人気の俳人さんである。俳句、超上手の方である。

こんな風にあっさりまとめると、俳句関係者から「オドレに中山奈々俳句の何がわかるんじゃあ」と大クレームが来そうだが……安心してください。当エッセイは2年近く「日刊デジクリ」さんで掲載してもらってるが、いまだ御意見御感想をメールでいただいたのは、デジクリの編集長さんからもらった、1件だけなんです。

文末にメルアドとかツイッターアドレスを張り付けておりますので、読者の皆様、貴重な御意見、応援メッセージ待ってます。

話を元に戻すが、中山奈々さんには、俳句独特のルール・季語のこととか、旧仮名使いのこととか、専門用語とか、疑問に思ったことを丁寧に教えて頂いてて深謝している。

今年(2019年)月「第3回円錐賞」という俳句のコンクールがあり、それに応募する時もアドバイスを貰った。結果、15句のうち1句を特選句として採ってもらい、もう奈々さんの住む地に足を向けては寝られなくなった。

その中山奈々さんも「円錐賞」に応募しておられ、特別賞に入選された。

「円錐」編集部様に贈ってもらった「円錐」誌で、受賞作を読んでみた。他の受賞作が5、7、5の定型を守っているのに対し、奈々さん句は7、7という変則句形で編まれた連作だった。1句だけが7、7の句というのでなく、全部の句が七・七形。

こういうのもありだったのかと、とても驚いた。

「名前が奈々なので、七七で作ってみた」と、あっさり説明されて「何て小気味良いのだろう」と感動したのだった。

俳句を作るようになる、ずっと前に漫画家・業田良家先生の『百年川柳』という漫画を愛読してて、『百年川柳・虎の巻』という読者公募企画本で、川柳の句として5、7、7と7、7がある、と書いてあったので、川柳での変則句形だと思い込んでいた。

その後ツイッターをするようになって、#(ハッシュタグ)武玉川という1ジャンルを見つけた。調べると、『武玉川』とは江戸時代中期に編まれた雑排撰集だった。

俳諧連句のうちから、秀逸な付句(つけく)をぬき出して編んだ高点、つまりハイレベルの付句集であるとのこと。俳諧連句でいうところの付句として、七七形というのがあるらしいと当時知った。

俳諧、当時俳句という独立したジャンルはなくて、575の句形を発句として、その後77、575、77と、代わる代わる詠んでいく座の文芸(連想ゲームの、高度なスタイルといえるか)が、俳諧と呼ばれるものだった。

その一番前の発句だけを切り取って発達したのが現在の俳句なのだ。

#武玉川、それを目撃したのは4年ぐらい前のことで、すっかり忘れていた。

そこにもってきて、七七句の使い手が忽然と現れたのである。


紋白蝶の腹嗅ぐ旅路

盗られしものをみな夜濯ぎす

月映るまで鏡を傾ぐ


『七十七日』中山奈々より抜粋
円錐誌第81号所収
http://ooburoshiki.com/haikuensui/

http://ooburoshiki.com/haikuensui/2019/05/01/362/


奈々さんの七七は季語も入れてるし、構造としてカッキリと計算がなされてる印象があって、俳句素人の自分が見ても陶然とさせられてしまう。後日、中山奈々さんに、この句形のルーツについて伺ってみた。

「元々は連句で、ね。五七五の発句の次に七七が来るでしょ? それがルーツ」と教えてもらった。

季語を組み入れることについては、「字数がね、俳句より3音少ないうえ、季語を入れるとね、ふっふっふっ」と酎ハイを飲み、ビールを飲み、日本酒を飲んで、いつの間にか違う話になった。

そして介護の話になり、下の話になり、また俳句の話になり、何かが何かを経由して、最終的にローストビーフの話で大いに盛り上がった。ぼくも酒が回ってたので、何でビーフの話になったか、良く覚えてない。

おわり


◎タマの世界

今日ぼくらは、タマを尾けることに決めた。
タマは15歳になる婆猫だ。
高齢にもかかわらず頻繁に、かつ敏速に姿をくらます。

タマがブリリアントなアフタヌーン、一体何をしているのか誰一人知らない。
いや知ってる人は、いるかもしれない。ぼくらが知らないタマを知ってる人が。
まるで胡蝶の夢。

ぼくらはチームプレーでタマを追跡する。夢と現実の境界を越えてやろう。

たとえば三叉路にまで追いつめたら、タマは速度を上げるだろう。ぼくらは三手に分かれるのだ。また道が分かれたら、さらに。GPS携帯電話で各位置を捕捉し、ぼくらは徐々にタマを包囲するのだ。

ナオ!

と、タマはぼくらの方を振り向いて短く鳴き、竹垣へと飛翔した。
「あっ!」
「ああっ!」

老描とは思えぬジャンプ力に、ぼくらは感動と絶望と驚きをまじえ、叫んだ。
嗚呼、ブロック塀だったらまだ追跡もできたろうに。少年探偵団のように鍵縄も用意してきたんだ。

タマは遂にぼくらの掌の世界に掴まる事はなかった。


【海音寺ジョー】
kareido111@gmail.com

ツイッターアカウント
https://twitter.com/kaionjijoe

https://twitter.com/kareido1111



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編集後記(10/16)

●偏屈BOOK案内:内舘牧子「男の不作法」2018 幻冬舎

この本で紹介するのは、著者の体験や、多くの人から聞き集めた不作法の話。我ながら腰が軽いのは悪くはないと思うが、軽率で早とちりで、舌禍、筆禍は数知れず、マナー知らずの田舎者のわたしである。ここに書かれたような救いがたい不作法には至っていない、と思うが自信はない。「知らないと致命傷になる男性ならではの不作法の数々」か、読むのが怖いが、怖いものみたさで。

筆者が無名の30代のオネーチャン駆け出しライターの頃、大河ドラマの俳優インタビューという恵まれた仕事をやっていたが、ものすごく強く出て、見下ろす態度の人たちがいた。「この人って、こんな人だったのか」と寒々としたことが何回かある。主演クラスやメインスタッフは、決してそんなことはなかった。中堅か少し下の人で、上に弱く下に強い人(男も女も)がいたそうだ。

これがイントロで、あと29件もの「男の不作法」が続く。真面目をバカにする、時間を守らない、過剰に自慢話をする、間接的に自慢する、ジジバカを垂れ流す、自分の意見を言わない、蘊蓄を傾ける、公衆道徳を守らない、食べ方のマナーが悪い、過剰にプライドが高い、マザコンを隠さない、妻や恋人以外の女性をほめる、「○○に似てる」という、「××じゃないからわからない」

カッチリ割り勘にする、得意気に下ネタをいう、ダジャレを連発する、若い者に譲らない、プレゼントの意味をくめない、無記名で強く出る、空疎な言葉を並べる、「まずい」のタイミングをくめない、(笑)などを連発する、「らしくなさ」を演出する、「事実を言ってるだけ」、思い出話にもえる、ドレスコードを無視する、相手の地元の悪口を言う。……いくつか身に覚えがある。

蘊蓄を傾けることが不作法なのには、二つの理由がある。ひとつは楽しい場面でやることが多いからだ。仕事関係者3人でクライアントの役員を接待した時、野菜ソムリエの資格を持つ役員は、聞きたくもないのに延々と野菜の蘊蓄を垂れ続けた。クライアントだから止められない。その後、怒れる3人は居酒屋で飲み直した。そうか、蘊蓄は「傾ける」だが、能書きは「垂れる」なのだ。

もうひとつ、蘊蓄が不作法なのは、初対面の人や、それに近い人がやることが多いからではないか。親しい友人知人同士では殆どやらない。初対面の人がやるのは、自己紹介のつもりもあるのかもしれない。しかし、聞かされるほうはたまったものではない。関西ではそんな鬱陶しいヤツにけっこう出会った。

日本の政治家の言葉はひどい。不作法の域を越えている。保身のために、自分の都合のために〈政治家言葉〉を垂れ流す。何に対しても言う「遺憾である」。なにからなんでも、すべて「遺憾」で処理する。もはや使われすぎて、何の力も持たない言葉。「スピード感を持って」「緊張感を持って」なんて言葉も大好きで「すぐ行動する」と言わねばならないシーンでよく出るが、言うだけ。

彼らは言質をとられるようなヘマはしない。こんな言葉は、何回重ねようと、薄っぺらさが倍になるだけ。彼らの「……と認識している」「……と理解している」「記憶の限りでは」「重く受け止める」なども空疎な逃げ口上である。政治家用語とは、その場逃れに最適な言葉である。それから、わたしも大嫌いな「させていただく」の連発は、不作法を通り越して無礼である。(柴田)

内舘牧子「男の不作法」2018 幻冬舎
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344985230/dgcrcom-22/



●「集中して聴きすぎて飽きてしまったりを繰り返す」。好きな音楽ってそうですよね。

/男性に限った話ではないような。蘊蓄は知らない世界だと面白いから聞きたい(聞くばかりで自己PRが足りないとよく言われる……)。女は自分の意見を言うと、逆に無作法だと思われる。男性の意見に追随するならいいんだけど、出しゃばると顔に泥を塗ることになる可能性が高い。

/ラグビーW杯、日本が決勝トーナメントへ! 凄すぎる!!

/スコットランドが法的措置云々言っていたのは、日本を決勝に進ませるため、台風を理由に、故意に引き分けにすると思っていたからなのね。なぜあんなにガーガー言っているのかと思っていたわ。ガーディアンのサイトを見てやっとわかったわ。そんなことするわけないやん。

/ラグビーに興味のある方は、20日の南アフリカ戦前に「ブライトン ミラクル(ブライトンの奇跡)」ぜひ見てっ。2015年の南アフリカ戦までのエディー・ジョーンズ元監督のドキュメンタリー映画。練習が厳しいだけでなく、「勝つ」メンタルを作り上げてらした。

星野監督ばかりじゃなく、その前の野村監督も! みたいな阪神ファンの気持ちがわかるぜ。アマゾンのプライム会員は無料で見られるよ。

/公式サイトの動画「Kishiboy」いいわぁ。「ラグビーはズルはだめです。ズルはだめ。」

/稲垣選手の「元気を取り戻してもらいたい」というコメントが素敵だった。
(hammer.mule)

Japan show world their defiance and skill in face of typhoon
destruction
https://www.theguardian.com/sport/blog/2019/oct/13/japan-typhoon-rugby-world-cup


この方が翻訳してくれている。10/14の一連のツイート
https://twitter.com/ynwataiga


ブライトン ミラクル The Brighton Miracle
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07YBJV8PJ/dgcrcom-22/


ラグビーのルール <超・初級篇> feat. Kishiboy
https://www.rugby-japan.jp/guide/movie/rugby_rule_movie_0


書籍「ラグビーのルール 超・初級編」
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4596551464/dgcrcom-22/


大相撲のルール フィーチャリング RI-KISHI BOY byはっきよいKITTE


Kishi boy(KISHIBOY)キャラクターデザインは荒川潤一氏
http://kishiboy.com/

柔道、レスリング、テニス、卓球、7人制ラグビーのルールもあった

スポーツのルール feat. キシボーイ
https://mtblanc.jp/ourworks/284/