[4886] 重厚長大な小説◇Sidecarを使ってみた◇ユーロマンガ「AEON」

投稿:  著者:  読了時間:26分(本文:約12,800文字)


《80年代半ばまでの僕の頭の中は「YMOと吾妻ひでお」だった》

■日々の泡[019]
 重厚長大な小説【風と共に去りぬ/マーガレット・ミッチェル】
 十河 進

■グラフィック薄氷大魔王[630]
 Sidecarを使ってみた
 吉井 宏

■ローマでMANGA[147]
 manga言語を駆使したユーロマンガ「AEON」
 Midori




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■日々の泡[019]
重厚長大な小説
【風と共に去りぬ/マーガレット・ミッチェル】

十河 進
http://bn.dgcr.com/archives/20191023110300.html
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長い小説というと、トルストイの「戦争と平和」とかドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」、マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」といったタイトルが浮かぶ。

まあ、吉川英治の「宮本武蔵」も長いし、司馬遼太郎「竜馬がゆく」や「坂の上の雲」も長い。山岡壮八の「徳川家康」なんてのもメチャクチャ長いけど、この際、世界文学の中でと限定しておく。

僕は「戦争と平和」は100ページくらいで投げ出し、「カラマーゾフの兄弟」はずっと気になりながら10年ほど前にようやく読破した。「失われた時を求めて」は何度か挑戦しながら、その都度挫折したままだ。

しかし、大学生の頃、「アンナ・カレーニナ」は夢中で読んだし、ドスト氏の「未青年」「白痴」もおもしろく読んだ。まあ、長いから苦手というものでもないらしい。長くても読めるものは読める。

ちなみに「徳川家康」は読んでいないが、「竜馬がゆく」「坂の上の雲」は読み出したらやめられなかった。短編連作(長編も何作かある)のシリーズものだから長さの比較にはならないけど、池波正太郎の「鬼平犯科帳」は30巻くらい読んだ。

僕が初めて読んだ重厚長大な小説は、「風と共に去りぬ」だった。小学六年生のとき、友だちの家へ遊びにいくと本棚に河出書房版「世界文学全集」が並んでおり、その中に「風と共に去りぬ」上下巻があったのだ。

映画は有名だったから、僕もそのタイトルは知っていたので、つい借りてしまったのだった。重く大きな本だった。その夜から読み始めると、けっこう読みやすくてスイスイ読める。小さな活字で2段組になっている全集2巻を、僕は一週間ほどで読破した。

ただ、ヒロインのスカーレット・オハラは気に入らなかった。嫌な女だと思った。おそらく、多くの男の読者は良妻賢母型で心優しいメラニー(映画ではオリヴィエ・デ・ハヴィランドが演じた)に好意を持つのではないだろうか。12歳の僕もそうだった。

スカーレットが恋する紳士的なアシュレイ、無頼漢の魅力を放つレット・バトラーを比べると、圧倒的にレット・バトラーに感情移入した。奴隷制度を当然とし、それを疑問に感じない南部の紳士たちには批判的な目を向けた。

後年、アン・エドワーズが書いた「タラへの道 マーガレット・ミッチェルの生涯」を読んだとき、僕はマーガレット・ミッチェルは「風と共に去りぬ」だけしか書かなかったことを知った。

「風と共に去りぬ」があまりに評判になり、ピューリッツア賞を受賞し、世界中で大ベストセラーになり、その版権管理で忙しくて次作が書けなかったという説もあるけれど、たぶん他には何も書くものがなかったのだろう。

マーガレット・ミッチェルは南部のインテリの家に生まれ、高等教育を受けて新聞社に入り、コラムを執筆したりする。子供の頃から祖父母に昔の南部の生活や南北戦争についての話を聞き、古きよき南部のイメージを抱き続けていた。

それが長大な小説「風と共に去りぬ」に結実したのだが、その一作ですべてを吐き出したのに違いない。それに、スカーレット・オハラという強烈なキャラクター(作者に似ているらしい)を創造したのも、彼女の手柄であった。

初めて読んだときには、妹の婚約者を奪ったりする(別に愛していたわけではなく、金のためなのだけれど)スカーレット・オハラは「嫌な女」としか思わなかったのだが、長い人生を生きてみるとスカーレット的な女性の生き方に共感する気持ちが湧いてくる。

多くの人が持つスカーレット・オハラのイメージは、映画化された「風と共に去りぬ」(1939年)でヒロインを演じたヴィヴィアン・リーだろう。スカーレット・オハラ=ヴィヴィアン・リーであり、これほど女優と役が離れ難く語られるのも珍しい。

プロデューサーのセルズニックが初めてセットの階段を昇ってくるヴィヴィアン・リーを見たときに、「ついにスカーレット・オハラを見つけた」と叫んだという伝説も本当かもしれない。

インド生まれのイギリス人女優ヴィヴィアン・リーは、「無敵艦隊」(1937年)で共演したローレンス・オリヴィエと恋に墜ち、「嵐が丘」(1939年)に出演するためにハリウッドに滞在していたオリヴィエと一緒にいたのだ。

ある日、アトランタの町が炎で包まれるシーンを撮影(スカーレットとレット・バトラーはスタンドイン)していたセルズニックは、炎に照らし出されたヴィヴィアン・リーを見てそう叫んだと言われている。

ヒロイン探しに難渋し、主演女優が決まらないままアトランタ炎上のハイライトシーンの撮影に入ったときにセルズニックがヒロインを見つけたというのは、まさに伝説として語られるにふさわしいエピソードだ。

映画は原作以上に世界中でヒットし、スカーレット・オハラ=ヴィヴィアン・リーとなった今、彼女以外が演じるヒロインは想像できない(宝塚が舞台化して、何人かの日本人がスカーレットを演じたことがある)。

ちなみに、僕は様々な女優がスカーレット・オハラ役のスクリーン・テストを受ける映像を見たことがある。確か、メラニー役のオリヴィエ・デ・ハヴィランドもスカーレット役のテストを受けた。ベティ・デイヴィスのスクリーン・テストも残っていたはずだ。

「タラへの道 マーガレット・ミッチェルの生涯」を書いたアン・エドワーズは「ヴィヴィアン・リー」(どちらも文春文庫で出ていた)という伝記も書いていて、こちらも僕はおもしろく読んだ。

ヴィヴィアン・リーは「風と共に去りぬ」の後、「哀愁」(1940年)「美女ありき」(1940年)「アンナ・カレニナ」(1948年)「欲望という名の電車」(1951年)と映画史に残る作品に出ているが、ローレンス・オリヴィエとも別れ、精神を病み、55歳で死んだ。

まるで、テネシー・ウィリアムズ原作でエリア・カザン監督の「欲望という名の電車」で演じたブランチ・デュボアみたいな後半生だった。


【そごう・すすむ】
ブログ「映画がなければ----」
http://sogo1951.cocolog-nifty.com/
「映画がなければ生きていけない」シリーズ全6巻発売中
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■グラフィック薄氷大魔王[630]
Sidecarを使ってみた

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20191023110200.html
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● MacBook Pro 13で試す

macOS Catalinaの目玉機能「Sidecar」。iPadをMacの外部ディスプレイ&液タブとして使える。ネーミングが絶妙。しかし、メインマシンの黒筒Mac Proが対応機種外でガッカリ。

とりあえず、サブマシンのMacBook Pro 13で試してみた。

メニューバーのAirPlayから簡単に接続できる(Wi-FiとBluetoothが必要)。単に外付けディスプレイを繋ぐのと同じで、ミラーリングもできる。Astropadのように画面の一部を割り当てることはできないけど、そういうものとして使えばぜんぜん大丈夫でしょう。

AstropadはMacの画面を借りてくる感じだけど、SidecarはiPadが主体(メインディスプレイ)になれる。ミラーリングすると、Mac側の解像度が変わり、比率で足りない分は黒フチになる。その分、わずらわしさは少ないとも言える。

心配してた通り、Apple Pencilの筆圧を調整できないようで、僕的にキビシイかも。有料版のAstropad Studioを使ってるのは筆圧調整できるから。

Photoshopのブラシ設定で「流量/筆圧」を最小0%だったのを、30〜50%くらいまで上げたらとりあえず普通に描けるようにできた。もちろん、筆圧が影響しないブラシなら問題ない。Modoのテクスチャペイントも、ブラシ設定を変えなきゃいけないけど大丈夫。
http://www.yoshii.com/dgcr/sidecar-IMG_2342.jpg

USBで繋いでも動くけど、有線接続になってるのか不明。有線/無線で速さの違いはわからない。

Commandなどの修飾キーのボタンがサイドバーにあるので、スポイトツールや右クリックなど使えたりする。まあ、Macのキーボードを使うほうが現実的なので、サイドバーは非表示にしてる。

タイミングによるのか、ミラーリングで設定してる最中に、カーソルが左の狭い範囲でしか動かなくなるというトラブルが2度あった。Macを再起動するしかなくなる。

何度か使ってみたところ、やはり範囲設定しなくていい分、取り回しがラクなのは大きなメリットかな。iPadの解像度が低くて狭いという意見もあるようだけど、文字やパネルが小さくなりすぎなくていい感じに思える。せめて17インチのiPad Proがあれば解像度的にも満足できそう。

総合的にはAstropad無料版といい勝負、ってところかな。まもなくリリースされるであろうiPad版のPhotoshopが出てきたら、いろいろひっくり返っちゃうんだけど。

● Catalinaあれこれ

・先にMacBook Pro 13に入れ、普段使ってるソフトで大きな不具合がないことを確認した上で、メインマシンのMacProにも入れた。使用環境によっては、アップグレードしないほうがいいことがあるらしいので注意。

・とりあえず「困ったこと」は今のところひとつだけ。MacProを起動すると、ファンがフル回転のままになってしまうことがある(MacBook Pro 13では起きない)。アクティビティモニタを確認してもよくわからない。

別の重そうなソフトを起動すると、おさまるっぽい(その後のアップデートで、ファン回りっぱなしは解消した模様)。

・Mail.app、クラシックレイアウトで旧式のリスト表示がついに廃止されてしまい、カラム表示を基本にリストっぽく使う形式になった。まあ、慣れるしかないけど、以前のカラム表示よりは使いやすい。

不具合なのか、アカウント情報のリストで、削除してないメールが「削除されたメッセージ」に表示されるなど不正確になってる。

・Dashboardが廃止されてしまったので、世界時計のウィジェットが使えなくなってちょっと困る。アプリを探してみたけど、Webの日本航空の「世界時計・カレンダー」がシンプルで良さそう。
https://www.jal.co.jp/worldclock/

・アクセシビリティの音声コントロールは、たぶん相当便利なもの。数字キーやコマンドを声で操れないかなと思ってやってみてるけど、今のところ思うようにならない。

・ヒラギノ角ゴPro/ProNなど一部フォントが、ヒラギノ角ゴに統合されて消えた。使い分けがよくわかってなかったから、混在してる書類あるだろうな。実際使ってみると、ヒラギノの選択がシンプルになって使いやすい。最初からこうすればよかったのに。

・プレビュー.appの右開きはCatalinaでも実現せず。

・メモ.app、新規メモで書き始めたら文字が太くて大きい! これなら使いやすいぞ、と思ったら、1行目が「タイトル」扱いになるだけで、2行目以降は小さくなるのだった。Evernoteばりの高機能になってきたけど、メモ.appって、リスト表示ができるプレーンテキストでいいのになあ。

・iTunesが3つのアプリ「Music」「TV」「Podcast」に散開。あれ? 音楽はApple Musicのみになって、ストアでダウンロード購入ができなくなった? と思ったら、右上のボタンのプルダウンメニュー「iTunes Storeで表示」でいちおう購入できるらしいけど、わかりにくい。もうダウンロード購入はメインの機能じゃないのね。

・iOSに近い使い勝手になったMusic.app、再生しながら他のアルバムを開いて確認とかできなくなってるのは不便。

・QuickTime7(Pro)がCatalina非対応に。手軽な動画編集ソフトとしてQT7を使ってきたけど、これから連番画像を動画化するのどうしよう? と思ったら、QuickTime Playerに「イメージシーケンスを開く」が追加されてる! 確かに動画化できた。ちゃんと見越して対処してくれてるな。

ただし、QT7のように「6フレーム/秒」とかの遅いFPSにできなかったり、選択して削除やコピペなどの簡易編集もできない。普通に動画編集ソフトを使えばいいんだけどね。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

Twitterで話題になった件「まさかウィルキンソンを外国のブランドと思ってないでしょうね?」……思ってましたとも!w ウィルキンソン・タンサンの「タンサン」っていうカタカナ表記はレトロ調表現かと思ってたけど、明治37年からのブランド名だったとは!

緊急追加。ああああ、吾妻ひでおが亡くなった。僕がSNSとかでよく使うこの「ああああ」だって、元を辿れば吾妻ひでお由来だし。不気味なわけのわからない生き物をかわいらしく描くってのもそうだし、SFに深入りするきっかけもそう。直接の影響を受けたマンガ家としては一番大きかったかも。

80年代半ばまでの僕の頭の中は「YMOと吾妻ひでお」だった。当時、「OUT」の特集はじめ、ほとんど全部の単行本やムック本を買ってたと思う。しばらく見ないと思ったら「失踪日記」での復活は衝撃的だったなあ。

◯Studio City Macauのデコレーション展示中
https://bit.ly/30olPNF

○吉井宏デザインのスワロフスキー、7月半ばに出た新製品4つ。

・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV

・HOOT HAPPY HALLOWEEN 2019年度限定生産品
https://bit.ly/2JZVVcm

・SCS ペンギンの赤ちゃん PICCO
https://bit.ly/2JStbC4

・SCS ペンギンのおばあちゃん
https://bit.ly/2YbmnJ7


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■ローマでMANGA[147]
manga言語を駆使したユーロマンガ「AEON」

Midori
http://bn.dgcr.com/archives/20191023110100.html
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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行きます。

●AEONの話

と言っても、ショッピングセンターの話ではなく、マンガの話。

SHOCKDOMという出版社からでた全4巻のマンガ、というか、ユーロマンガと位置付けたら良いかな、というマンガ。mangaの台頭なくしては生まれ得なかったマンガなので。以下、Shockdomの公式サイト、カタログページ。
https://shockdom.com/negozio/

これが、eBookJapanからまず専用アプリで出ている。その訳をいたしましたのが私めなのです。よかったら試してみてください。
https://www.ebookjapan.jp/ebj/special/aeon_app/index.asp

訳をしながら作品とじっくり付き合うことになるわけで、良いも悪いも含めて目に付いたところを少々おしゃべりします。

作者のアンジェラさんは、イタリア発、フランスでうけてその他の欧米諸国に広まったアレッサンドロ・バルブッチ作「Sky Dool」の彩色担当・カネパさんのアシスタントを経て、自作のマンガを描くようになった。

(以下、SKY DOOLのイタリア語版のサイト)
https://baopublishing.it/prodotti/sky-doll-volume/

(日本語版スカイドールが掲載された雑誌“EUROMANGA”)
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4870318571/dgcrcom-22/

ストーリーは、ボーイ・ミーツ・ガール+旧約聖書、その内容は、実は地球外生物との関わりの話だったという想定の、壮大な歴史SF+現代社会に対する批判、という大きな話。

主人公はローマの高校生ダビデ。皆同じ道を歩かされていると感じている。同じように考えている、同じ高校のジャーダと出会って惹かれていく。二人が他と違う感覚を持っていることと、現代社会が物質的社会であることの裏には、紀元前から続く二つの大きな地球外生命の争いがあった……大きいでしょ?

カネパさんと仕事をしただけあって、デジタル彩色の腕は大したもの。カネパ・スクールというか、カネパ派とでも呼びたい色彩の組み合わせをする。

個人的な好みは、以下のURLに見られるような、緑系とピンク系の組み合わせ。光と影のコントラストがやわらかく、彩度をちょっと抑えたパステル調の色味の組み合わせは、高校生カップルの初恋物語によく合っている。

https://amzn.to/2pc93UQ
https://amzn.to/2BgWcDP
https://amzn.to/2B43dYv

物語の舞台であるローマの日常を、アンジェラさんはその描写力でページの中に展開してくれる。ちゃんと現実にある場所を取材してるのだな、と分かる。

例えば……高校生がピッツェリアで寛ぐ。ローマで200m歩けばぶつかるBAR。道路標識(落書きがあったり、古ぼけているのがリアル)。ここそこにあるカメラ。
https://photos.app.goo.gl/opqxqEUyV6j5FxwcA

ローマのシンボル、コロッセオの夜景。テルミニ駅構内。
https://amzn.to/2MAoOwJ

家庭の日常としてトルテッリーニスープ、台所の様子。専業主婦の家庭なのだなと 思わせる風景。台所の家具もごく一般のローマの家庭の様子。
https://amzn.to/319WnLB

母親が娘を車で学校に送る情景。高校生だから公共交通機関を使って通学ができるわけだけど、母親も仕事を持っていると、出勤しながらついでに送るということがあるのも日常的な情景。
https://amzn.to/2IJMa1S

アンジェラの作品では、登場人物の性格付けがしっかりしていて、それに伴って効果的な表情を描いている。その「時」その人物がどんな感情でいるのかを、作者自身がしっかり把握しているという事。

下↓ 左端の大コマ(1コマ目)の女の子の顔、2コマ目の男の子の顔。この表情だけで二人の関係、二人の感情がはっきり分かる。物語を読んでなくても雰囲気がわかる。
https://amzn.to/33lYbCD

別の女性キャラ。幼げな、無垢そうな顔で男に媚びている表情がうまい。
https://amzn.to/2q6ZyH2

●惜しい!

manga読み、manga構築法の見地から見ると「惜しい!」と思えるところが、ここかしこに見られる。

一番気になったのは吹き出しの位置。

時々自然な読みの方向から外れたところに吹き出しを配置してあるので、ちょっと手間取って読みのリズムが崩れてしまう。読んでて変だなと思って、あ、こっちの吹き出しが先だったかと、もう一度読み直したりして。

例)ページの下段、二つ付いた吹き出しが、二つのコマを跨いで配置されている。こういう配置は、吹き出しが跨る二つのコマがほぼ同時進行で、またがった吹き出しの後、すぐに次のコマに視線を移すのが自然な読み方なのだけど、吹き出しが跨ったコマのうち、左側のコマの下の方に、もう一つ吹き出しがある。跨った吹き出しを読んだ後、次のコマへ行かないで、下の方に配置されている吹き出しを読まねばならない。
https://amzn.to/35xclmv

↓このページも、上記と全く同じ状況。はみ出しっ子の吹き出しが、コマの下方にポツンと置いてある。
https://amzn.to/2M6RIpi

「説明不足」というのも時々ある。

その例として、リンク先のページの4段目2コマ目、男が手を包んでいる布?を何かしている。この生命体の世界では「生きた布」を使っている。布は着用している者の意思で後退して肌を露出したり、その逆を行う。

4段目の1コマ目と2コマ目は、その特徴を説明している。1コマ目は肌を露出させてリストバンドを着用、2コマ目は布が再び露出した手を覆っているところ。

でも、パッと見たときに、1コマ目にリストバンドを着用している手首も、露出した手もはっきり見えないので、理解が遅れる。1コマ目の理解が遅れるので、2コマ目で布が後退しているのか、ムニュムニュと這ってきて手を覆うところなのか曖昧になる。

「生きた布」というアイテムの重要性は低いものの、語るからには速攻で理解できるように描いて欲しかった。ここでも、一度読んで「?」が湧いたので、二度読み直してしまった。
https://amzn.to/2M8oQwP

効果薄……。

闘う地球外生命体のうち、地球人を搾取する側が地球人を脅すために、龍を空中に出現させる。問題のページの下段大ゴマに、龍の全体像が真ん中にデン! と置いてある。次のページはページを丸ごと使って龍を置いてある。

残念なことに、両方とも龍の大きさがほぼ同じ。両方共、龍の全身を中央に配置。つまり、「ジャジャーン!!」と出現して地球人が驚くわけだけど、あまり「ジャジャーン!!」な感じがない。
https://amzn.to/35moB9f

●ありがとう

キャラの描画スタイルをはじめ、コマとコマの隙間を縦は細く、横は大きめに取るというmanga式。各ショットでは誰の立場から語っているのか、比較的はっきりしているし、キャラの性格付けもバックグラウンドまで含めてmanga的。

だから、構成もmanga風にしているようなので、こうしたちょっとした「惜しい!」が大変惜しく感じるのでありました。

イタリア(というか日本以外)の出版社では、編集者と作者が細かくミーティングをしないし、そういう関係を築いたとしても、manga言語をしっかり把握してる人はまだまだ少ない。

その中でmangaを読み込んで、ここまでユーロマンガとしてmanga言語を駆使する作者が現れ始めたのは、驚くとともに嬉しい。

ただ、何があったのか、アンジェラはこの夏に筆を折る事を決めてしまった。それぞれの事情があり、それぞれの決定を尊重する事以外できないので、ここはアンジェラのユーロマンガの作家として作品を発表してくれたことに、ありがとうと感謝の意を表したい。

アエオンの後に出したBLUEも評判がいい。実はまだ読んでないので読んだらここで書評をするかも。
https://shockdom.com/negozio/fumetti/blue-capitolo-finale/


【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】

台風で被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。

気象予報士の資格を持ち、地質学にも興味があって詳しい弟の話を聞くと、日本列島は人が住んでいられることが不思議なほどの、天災列島なのだと理解できる。そこに実際に1万年以上前から住み続けているのだから、自然と創意工夫に長けていくだろうね、と思った。

iPadのOSが更新されて、iOS13になった。そうしたら日本語入力でちょっとしたバグ。

1)Bluetoothでつなげたキーボードで、イタリア語から日本語への変換(その逆も)が、アプリごとにできたりできなかったりがあった。それはそのまま継承。慣れたからそれはいいんだけど、変換するときのキーが変わってしまって、見つけるのに苦労した。

2)いったんセンテンスを入力し確定して、次に行く時、何故か一文字分スペースが空くことがある。毎回じゃない(よかった)。なぜそうなるのかわからないので、今のところ防ぎようがなく、空いたら詰めるという作業をしている。

それ以外に新しい機能があるらしいけどまだ触ってない。理解してない。

[注・親ばかリンク] 息子のバンドPSYCOLYT (活動停止中、残念!)


お絵かきインスタ
https://instagram.com/midoriyamane

MangaBox 縦スクロールマンガ 「私の小さな家」
更新しようしようと思いつつ、そのまま…
https://www-indies.mangabox.me/episode/58232/

主に料理の写真を載せたブログを書いてます。
http://midoroma.blog87.fc2.com/

前記事
http://bn.dgcr.com/archives/midori/


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編集後記(10/23)

●物江 潤「ネトウヨとパヨク」

「ネトウヨ」はネット右翼、「パヨク」はその反対の立場の人を批判的にとらえた表現である。いずれも馬鹿にした軽量級な言葉だが、そう呼ばれる人はたいてい自分を正義の味方であると考えているので、日常会話はともかく、特定のテーマで穏やかな対話は殆ど成立しない。彼らの〈善意〉に反論しようものなら、血相を変えて罵詈雑言を浴びせてくる。カタカナ呼称のない時代も。

筆者はネトウヨやパヨクと呼ばれる人びとを「対話不能な人」と広く定義づけ、彼らの実態や問題点を説明する。彼らはネット空間だけでなく、日本中に広く分布している。マスメディアの情報を極端に疑って眺める一方、ネット空間の情報は盲信するといった特徴を持った人々が多く出現し、一部はネトウヨと呼ばれる存在になっていったようだ。誰の発明か、両者とも絶妙な表現だ。

左翼をもじった「パヨク」は侮蔑度が高い。リベラルを自称しながら、言うことは支離滅裂な人々のことはもちろん、国民民主党や立憲民主党といった政党全体を指す場合もある。一見すると正反対に思える両者の活動は、驚くほど似ているという。「保守・リベラル」と「ネトウヨ・パヨク」をどのように区別すべきか。簡単に言えば、対話可能かどうかで分類してしまえばいいのだ。

対話可能であれば「ネトウヨ・パヨク」ではない。対話可能かどうかは、議論のルールを守れるかどうかで判定できる。筆者は議論の三つのルールを示す。
1)自らの主張は仮説に過ぎないと確信すること 2)人の発言権を奪わないこと 3)どれほど奇妙奇天烈に思える主張でも、理由付け(論拠)や事実でその良し悪しを判定すること。この大原則が、わたしたちがネトウヨ、パヨクにならないためのルールだ。議論のルールを守れない人の呼称は何でもいい。

現実世界では無力に近い対話不能な人たちが、ネット上では手がつけられない存在になっている。極端に乏しい理論しか持たない、断言のような主張がネット上で幾度となく反復されることで、人々の間にその主張が感染していく。説得力のない言葉だから説得できる、という奇っ怪な現象が起きている。論理がないため理論破綻しようがない。主張=信仰のようなものだから攻め手がない。

論理らしきものが備わったケースもあるが、事実と主張を強引に接続してしまう「無限接続の法則」が発動しているため、対話は成立しない。たとえば、1.私たちの動画が削除された(事実)→2.愛国動画が削除されたのはおかしいので(理由付け)→3.YouTubeは反日である(主張)といったものである。

彼らは正義の心を胸に、無尽蔵のエネルギーで対話相手に反論をしかけてくる。ときにはありったけの憎しみを込めて。冷静に対応しようとすればするほど徒労感が蓄積される。結局、対話を試みた側が馬鹿らしくなって撤退するか、罵詈雑言の投入か、どちらかの道を辿る。憂慮すべきは、ネトウヨ、パヨクが強い影響力を持つネット空間に、中高生たちが触れる機会が増大していることだ。

この本では便宜上ネトウヨ、パヨクという表現を使うが、これは対話のできない人たちを指しているのであって、思想信条に対するレッテル貼りではない。「ステレオタイプなネトウヨ、パヨク」「眩暈がするような主張を繰り返すネットの人々」「結論しかない主張は最強である」「無尽蔵のエネルギーが対話
相手を疲弊させる」「それでも対話をする心構えを持たなくてはならない」という章立て。君子(じゃないけど)危うきに近寄らず、と決意した。(柴田)

物江 潤「ネトウヨとパヨク」2019 新潮新書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106108127/dgcrcom-22/


●古典の中に「鬼平犯科帳」。面白いと聞くが、手を出せないでいる。/Catalinaにも手を出せないでいる。大きなバグが取れた後じゃないと仕事に支障が出る可能性が。Adobeソフトも最新を使うのは怖い。こっちは新旧同居できるからマシ。

/「ウィルキンソン」思ってました!/「ふたりと5人」。「魔法使いチャッピー」を描かれていたのを知った。

/海外要人の参列。大統領、首相就任程度では来てもらえない人たちが大勢来日。歴史のある国に生まれたんだなぁと改めて思った。

/お雛様の世界だった。伝統、儀式とは言え、時代によってアレンジが加わるんだなぁ。たとえば礼砲のパートでは、昔はどんなことしてたんだろう。

/偶然は探せばいくらでも当てはまり、マイナス側の偶然をカウントしなければ、いいことだらけ。でもでも、その時だけ雨が止み、虹まで出たと聞いたら、出来すぎで、天から祝福されているように思ってしまう。令和はよい時代になるのではないか。なって欲しい。(hammer.mule)

日本(皇室)は最古じゃない?世界一古い王室(王朝) TOP25
https://plaza.rakuten.co.jp/alex99/diary/201906100000/

「即位礼正殿の儀」で自衛隊が礼砲 なぜ21発?
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「即位礼正殿の儀」とは。平成と令和で違いは?
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