[4892] 秋に夏休みをとって秘湯に行く◇山口クリエイティブハント2019

投稿:  著者:  読了時間:21分(本文:約10,000文字)



《楽しくないといけないのです》

■わが逃走[248]
 秋に夏休みをとって秘湯に行くの巻 の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[117]
 山口クリエイティブハント2019に参加して
 関口浩之




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■わが逃走[248]
秋に夏休みをとって秘湯に行くの巻 の巻

齋藤 浩
http://bn.dgcr.com/archives/20191031110200.html
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下仁田から内山峠を越えて、信州に入ってすぐの細道に入り、沢づたいにゆく。

小型車がやっと通れる程度の道幅(イメージ。実際はマイクロバスくらい通れるらしい)。舗装はされているが路面の状況はあまりよろしくなく、ランボルギーニ・カウンタックでの通行は、おなかを擦るので避けた方が無難だ。

午後3時、雨もだいぶ小降りになったが、霧がところどころ流れていた。進むごとに紅葉が深くなる。その道がどうにも美しいのだ。
できれば歩きたかった。人里離れた山道を、沢の音を聞きながらてくてく歩くなんざ、なかなか乙なもんだ。
白秋の「落葉松」を思い出したりして。たびゆくはさびしかりけり。
しかし、この先に温泉があると思うとうれしくなるなあ。

沢との距離が近づいたり離れたりしながら、道はくねくね曲がる。進むごとに視野に入る色彩が変わるのだ。沢の名は初谷沢という。

1キロほど行くと道が二手に分かれて、右へ下ると初谷温泉だ。明治18年開湯の一軒宿。

谷間にひっそりと佇むのは、秘湯の風情を感じさせる近代的な木造建築だった。平成の半ばに改修工事がされたらしい。

木の香りのするロビーで宿帳を書く。部屋に案内されると、清潔で広い!

引き戸を開けたところの控えの間(?)的な空間だけでも3人くらい生活できそう。中はもっと広い。畳のよい香りがした。
すでに布団が敷かれている。おふとんを見るとついそのまま寝てしまう人には危険な歓迎だ。

窓からは紅葉の山々と、美しい沢が見える。

それにしても、外はもう肌寒いのに隙間風ひとつ入らない! 秘湯なのに!! ウォシュレットもあるしWiFiもつながる。渋さと快適さの両立。見事である。

さっそくひとっぷろ浴びる。浴槽は源泉と新湯のふたつがあり、まず新湯に入ってから源泉に浸かると、よ
り効果的とのこと。効能は、神経痛に五十肩! 慢性消化器系、冷え性、婦人病などとある。

まさに首と肩甲骨の間の筋がピキーンと痛んで、肩が上がらなくなったとき50歳の誕生日を迎えた私は、ここに来ることを運命付けられていたといえよう。

源泉は鉄分が多く含まれており、茶褐色に濁っている。これがまた視覚的に効きそうでイイ。

ゆったり浸かっていると、思わず「あぅーい」という声が出た。じわじわと効いてるかんじだ。

湯船の窓から外を見ると雨はすっかり上がり、青空から夕焼けへのグラデーションとなっている。その光を受けた木々の葉がまた見事。小学生のとき、日光の「竜頭ノ滝」とやらを見たのだが、そんなものより遥かに素朴で自然で、美しい滝を湯船から見られるしあわせ。これはすごいことだ。

風呂の次はメシである。地元の食材を使ったモダンな和のコースだ。せっかくなのでお品書きを書き写す。

神無月のお献立

◎食前酒 かりん酒
◎前菜 紫芋の素揚げ 虹鱒甘露煮 蒸し鶏塩麹漬け 生麩田楽 りんごとチーズ
◎小鉢 柿の白和え
◎向 佐久鯉アライ
◎鍋物 秋野菜と豚肉のスープ鍋
◎強肴 佐久鯉旨煮
◎冷物 ピーナッツかぼちゃのスープ
◎焼き物 岩魚塩焼き
◎飯物 佐久産コシヒカリ
◎椀物 もみじ真丈
◎香物 野沢菜漬け
◎水菓子 りんごのゼリー

いずれもとんでもない旨さである。

地元・佐久は鯉の産地だが、ここの鯉はとくに絶品で、中でも旨煮は永遠に食べていたいと思ったほどだ。日本酒にもよく合う。

佐久には酒蔵が13あるそうで、その中の代表的な酒3種を、それぞれ大きめのお猪口に注いだ「利き酒セット」を頼んだ。

べろんべろんに酔っ払って部屋に戻ると、テーブルの上の湯のみが新しいものに変えてあり、冷水まで用意されている。なんたる細やかな気配りだろう。

返す返すも悔やまれるのは、脱いだパンツをそのまま放置して部屋を出たことである。

そうとわかっていれば、ちゃんと片付けたのにー。その他Tシャツ等も部屋に点々と放置しており、普段のだらしない生活っぷりがバレバレか。バレバレだろうな。

いやいや、むこうもプロだからそういうものは見ても、きれいに忘れてくれるかもしれない。きっとそうだ。業務日誌に書かれていたらどうしよう。いやいや、それはないだろう。

初谷温泉は、心配した台風の被害もなく、絶賛営業中だ。素晴らしい温泉。できれば毎週通いたいほど。

さきほど2度目の入浴から戻ったが、肩も腰もすこぶる調子がよい。程よく腹もこなれてきた。明日の朝食もたのしみである。


【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[117]
山口クリエイティブハント2019に参加して

関口浩之
http://bn.dgcr.com/archives/20191031110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

今回のもじもじトークは、「山口クリエイティブハント2019に参加して」をお送りします。10月19日(土)11:00~17:30に、山口大学・人文学部(吉田キャンパス)で開催されたクリエイターイベントに参加しました。僕は、セミナー登壇とブース出展を担当しました。

●クリエイティブハントって何?

クリエイティブハントとは、「山口県内のクリエイティブシーンをより高めるための『学べるきっかけ』『発見できるきっかけ』を創出するイベントです。真剣に知識を得たい方・楽しくみんなで勉強したい方・ベテラン・ビギナー・開拓者その他モロモロ、すべてのクリエイターにとってひらかれた学びの祭典で、無料のクリエイティブ勉強会イベントです。3つの会場で『ウェブ』『デザイン』『DTP』などさまざまなクリエイティブセッションを開催します。」とウェブサイトに書かれています。

懇意にしているイベント実行委員の皆さんから聞いた話では、「元々、山口でそれぞれ勉強会を開催していた『YWCD(やまぐち若手デザイナー勉強会)』、『WordBench山口(2年前の当時)』、『Yamaguchi DTP Bee』という3つのコミュニティがあったので、みんなで集結して、大きなイベントやってみよう」ということで開催されたようです。

第1回クリエイティブハントは2017年10月14日、第2回クリエイティブハントが2018年10月27日に、山口大学・経済学部(吉田キャンパス)で開催されました。今年の第3回クリエイティブハントは、2019年10月19日に山口大学・人文学部(吉田キャンパス)で開催されました。

のどかな風景が広がる山口大学に、150名以上のクリエイターが集まるイベント、凄いことだと思います。

このイベント、「GO HUNT!!」というサブタイトルがあります。「新たなクリエイティブをハントしよう」という趣旨だと思います。

「クリエイティブハント」で「GO HUNT!!」なので、略して、「クリゴハン」だそうです。そういう、遊び心のある企画、いいですね。秋は栗ご飯のシーズンですね。でも、栗ご飯が配布されるわけではありません(笑)

山口クリエイティブハント2019
https://creative-hunt.org/

●イベントのキーワードは「楽しい」

山口クリエイティブハントに、2年連続で参加しました。このイベントに参加して感じたことは、「主催者も登壇者も参加者も、みんな、楽しそう」ってことでした。

この「楽しい」ってキーワード、すごく大事なことだと思うのです。これらの写真をご覧ください。どの写真も楽しそうでしょ! 僕が一番、楽しそうという意見もありますが(笑)
https://bit.ly/gohunt2019-2

1枚目の写真ですが、登壇者がセッションに入る前に、控え室でルーム担当者(3トラック平行してセッション開催)と登壇者で、記念撮影していただきました。

この企画、すごく良いですね。ルーム担当者も登壇者も記念になるし、ブログ書くときのメインビジュアルで使えるし、登壇者はみんなに自慢できるし(笑)、背景ポスターがクリエイティブハントのブランディングになるし、って感じ。

イベント実行委員の皆さんは、ここ数週間、イベント準備のため寝不足で、開催当日はヘロヘロ状態だったと思います。そして、当日の急なトラブルとかでバタバタすることも少なくないと思います。ヘロヘロになりながらも、参加者や登壇者と一緒に、笑顔で運営することは、とても重要なことだと思うんです。

イベント準備は、忙しい本業の合間で行うことが多いと思います。企画で行き詰まったり、メンバー間で意見が食い違ったり、徹夜で準備したりで、しんどいと思うこともあると思います。しんどいので「来年の開催はどうしよう」と思うこともあったのではないでしょうか。

でも、参加者から「楽しかった」「参加してよかった」と言われると、その疲れは、どこかに飛んでいってしまうと思います。

懇親会で乾杯の音頭と挨拶をさせてもらったのですが、その時に、「イベントのキーワードは、参加者・登壇者・スポンサーが楽しいと感じることです。そして、主催者も楽しいと感じられるイベントであり続けてください。そして、とりあえず、10回ぐらいまでやってみてくださいね(笑)」とお話しました。

そうなんです。イベント主催者が義務感で運営したり、楽しくなかったりしたら、そのイベントは長続きしません。主催者も楽しくていいのです。いやっ、楽しくないといけないのです。

「楽しい」とは、「新しい学びがある」「次につながる気付きがある」「成長できる」ということだと思います。その学びのトリガーは、参加者や登壇者からいただくことが多いのです。失敗もたくさんします。でも、必ず次につながります。

僕も隔月で80名規模の「書体とデザイン」イベントを主催している立場なので、その気持ち、よくわかります。僕はFONTPLUS DAYセミナーを21回、開催しましたが、とりあえず、50回までがんばりたいと思います。

●クリエイティブハント実行委員からのメッセージ

この記事を書き終わった頃に、山口クリエイティブハント実行委員長の「みっちー」こと、茄子川導彦さんからのからメッセージをいただきましたので、紹介します。

〈おかげさまで、クリエイティブハントの開催は3年目となりました。また、山口県で開催するクリエイター系イベントとしては規模が大きい参加者数と、最大規模のセッション数を誇れるほどに成長させていただきました。

今年のクリエイティブハントでは、参加者様・ご登壇いただく皆様のすべての方々と、運営側の人も、全員に楽しいと思っていただけるイベントを目標として、テーマを「楽しいマナビがココにある!!」と銘打ち開催いたしました。

イベント後に皆様から「楽しかった」というお言葉を多方からいただき、このイベントにご参加いただいた皆様・関わっていただいた皆様に、スタッフ全員の思いが届いたかと思うと、イベントを開催してよかったと心から嬉しく思います。

ご参加いただいた皆様、ご登壇いただいた皆さま、本当にありがとうございました。〉

おぉ、なんか、僕が書いたことと、同じようなことが書かれていました。なんか、うれしいです。

●フォントおじさん2019セッション

僕のセッション登壇は、これでした。

制作現場で役立つ! Webフォント最新事情 〜フォントおじさん2019〜
https://creative-hunt.org/session/room2-time1500/

「フォントおじさん2019」ってサブタイトルは便利ですね。来年になったら、「フォントおじさん2020」にすればいいのですから……。

そのためにも、日頃、街なかを歩く時、アンテナ感度を高めて、文字の新ネタを増やしていきたいと思います。新ネタといっても、面白いものを探すというよりも、「このサインは分かりやすいな」とか、「この文字組み素敵だな」とか、「この広告デザイン、心に染みるな」とか、そんなノリですけど。

最近の「もじもじトーク」では、Webフォントのお話、あまりしてなかったと思います。今回の45分の勉強会では、約100ページのスライドを使いました。更に50ページ増強した150ページのスライドを公開しちゃいます。ご興味のある方は、ダウンロードしてご覧くださいませ。
https://bit.ly/gohunt2019font

僕のセッションでは、単なるWebフォントの技術解説や導入効果などを説明するのではなく、文字の歴史や街中の文字ネタも仕込んでいます。

なぜなら、Webフォント(ブラウザで表示させるクラウド上のフォントのこと)は、情報伝達のひとつのインフラストラクチャであり、特別なものではないからです。

情報を正確に伝えるためのインターフェース(誰もが理解できる体系化された情報構造)である文字は、約5,000年前に誕生し、表示媒体が、「亀の甲羅(甲骨文字)」や「石(碑文)」や「粘土」から始まり、「紙」や「ディスプレイ」などに変化しました。今後は、3D空間に文字が表示されることが多くなりそうです。

文字情報の伝達方法も、物理的な設置(石碑、看板、サインなど)や配布(紙の本やチラシなど)から、インターネット(パケット)も加わりました。技術革新の変化とともに、文字を表示する解像度や色表現力も変化しています。

文字を見る環境はさまざまなので、それぞれの環境に適した「文字の表示方法」や「文字組み表現やレイアウトデザイン」や「書体の適材適所」があると思います。

スライド資料101ページの「ウェブ組版は、紙のデザインに近づいたのか?」のテーマの回答ですが、僕の意見は、「そもそも、ウェブと紙は同じ媒体ではない。頑張ればウェブでも同じことはできるが、同じである必要はない。ウェブはアクセシブルなコンテンツであり、それを忘れてはいけない。」と書きました。意見には個人差がありますが……。

紙で表現するテキストレイアウトと、ウェブにおけるテキストレイアウトは、同じである必要はないと思います。比較するのが本質的な論議ではないと思ったのです。ウェブは、誰でも、どこでも、いつでも、アクセスできる媒体であり、検索性、ブラウザ読み上げ対応などのアクセシビリティが重要であり、紙にはないメリットがあります。

ウェブにおいて、どこまでの組版要件を満たすかは、アクセシビリティを担保しつつ、バランス良く、モダンブラウザが対応するCSS(Cascading Style Sheets:Webページのスタイルを設定するコード)を適度に活用することだと思います。

「電通報」では、「アンチックセザンヌ」という書体をWebフォントで表現しつつ、文字詰め(プロポーショナルメトリクス)表現がされています。
https://dentsu-ho.com/

また、「鈴乃屋 衣のいのち」では、「筑紫明朝」という書体をWebフォントで表現しつつ、タテヨコ混在組版で、美しいパンフレットで読んでいるようなウェブコンテンツに仕上がっています。
https://www.suzunoya.com/kinu/

この二つの事例は、ウェブのメリットを生かして、美しいテキストレイアウトを実現していると思います。

●山口県、好きです

新山口駅で降りるのは、今回で2回目でした。クリエイティブハント参加のために、新山口駅前のホテルに宿泊しました。次の日の移動がしやすいように。

昨年同様、夜中に到着して発表資料の仕上げ作業で徹夜モード、当日はイベントに終日参加して、そのあと懇親会と二次会参加して、夜中にホテルに戻って寝るパターンでした。そして、翌日は、早朝の新幹線で、大阪イベント会場に移動するという2泊の日程でした。

搬入荷物があったので、新山口から山口大学までタクシーで移動しました。新幹線が停まる新山口から山口大学まで、20分ぐらい、ずっと景色を眺めていましたが、人が道を歩いていません(笑) 朝早かったからかもしれませんが、タクシーの車窓からの景色は、緑と川だけです。

30年以上、東京に住んでいるので、そんな景色をゆったり見たのは久しぶりでした。自然の多い土地を訪問するのは好きですが、観光地はそれなりに人がいますよね。群馬県の農村育ちなので、人のいない自然の風景を、しばし、まったり眺めることができたのは幸せでした。

そして、昨年に撮影した新幹線からの車窓からの景色ですが、山口の鉄道操作場がみえてラッキーでした。鉄道好きなにとっては興奮する光景でした。
https://bit.ly/gohunt2019-3

いつか、妻と、歴史ある風景が満載の山口県を、仕事を忘れて、ゆっくり旅することを夢見ています。

では、また、2週間後にお会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)

Facebook
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Twitter @HiroGateJP
https://mobile.twitter.com/hirogatejp

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/

Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの?
「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/


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編集後記(10/31)

●偏屈BOOK案内:「今こそ『米中』を呑み込め 長谷川慶太郎の対局を読む 緊急版」

わたしは原発を支持する。一時期、広瀬隆に騙されて原発を否定していたが、今はハッキリ、原発推進派である。「産業の競争力を高めるには原発の全面再稼働と新規建設が不可欠」と主張する筆者・長谷川慶太郎に賛同する。イギリスとトルコの原発建設が頓挫したことで、日本の原発メーカーによる海外での原発建設案件はなくなってしまった。日本国内でも8基の原発開発計画がある。

しかし、いずれも着工の見通しは立っていない。日本の3社の原発メーカーは国内外で原発建設ができない状態にある。これで最も問題なのは、日本の原発技術の維持・継承・発展が困難になることだ。日本の技術者も含む原子力従事者は2010年の133,699人をピークに、以降減り始めて2017年には10,467人となった。この間、福島第一原発事故が起き、新規原発の着工ができなくなった。

建設中の原発の工事は中止、定期点検中の原発も再起動できなくなった。このように事故と無関係な原発がまきぞえをくったのは、やはり政治の責任である。民主党政権下というのが、日本の最大の不幸だった。ほとんどの原発が稼働を中止したため、その代替として火力発電のエネルギーコスト、太陽光発電を中心とする再生可能エネルギー発電のコストが膨大にかかるようになった。

その後の自民党政権も同様で、都合7年間に合計30兆円ものコストを投入したのは日本経済にとって大きなマイナスだった。現状、日本で稼働中の原発は36基中9基だけだ。日本の産業界は低コストの電気料金が、事業継続にとって非常に重要なので、原発の必要性を痛感しているのだが、それを知らない国民の多くは福島第一原発事故の衝撃のために、原発自体に嫌悪感を持っている。

消費税増税後の国民は電気料金の値下げを望んでいる。電気料金を下げることは、日本の産業の競争力を高めるための最も簡単で実効性のある方法だ。従って今、日本の政治には原発の全面再稼働とともに、新規原発の建設にも着手することが強く求められる。2018年1月1日現在、世界31か国で合計443基の原発が稼働している(定期点検中で稼働中止中の原発も含む)すべて第2世代、第3世代とよばれる。福島第一原発の事故機は、第2世代の旧型に属する。

最近では原子炉の主役は、フランスのフラマト社製「EPR(欧州加圧水型炉)」やアメリカのウェスチングハウス社製「AP1000」など第3プラス世代に移りつつある。この世代の特徴は、事故でたとえ原発への電力供給が失われても人間の操作なしで安全機構が働くなどして、安全に停止できることで、出力も125万〜175万キロワットと、さらに大きくなったということである。

一方で中国は、EPRとAP1000でともに世界初の稼働に入った。2018年6月〜10月、1基のEPRと4基のAP1000が、さらに10月に江蘇省の田湾原発4号機(VVER 106万kw)も稼働し、中国の原発数は合計42基となった。これで日本を抜いてアメリカの99基、フランスの58基に次ぐ、世界第3位の原発保有国へと躍進した。

環境破壊や建設地の制限、あるいはマイナス面が少ないガス火力発電、および原発が今後は電気供給の主役になる。目下、前者に力を入れているのはアメリカで、後者は中国だ。中国の政治体制は原発推進に向いている。原発推進への国民の反発を抑えるのが容易だし、すべての土地は国有だから原発の立地選定についても、国民の抵抗は限定的だ。日本はそうはいかない。続く。(柴田)

今こそ「米中」を呑み込め 長谷川慶太郎の対局を読む 緊急版
長谷川慶太郎 2019 徳間書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198648336/dgcrcom-22/


●「れもん、よむもん!」続き。以前似たようなことを後記で書いた。日本にいると痩せなきゃな〜と思うのに、海外にいると、自分は貧相だなぁ〜と思い、帰国すると、日本人って細くて薄いと思う。なのにいつの間にかまた、痩せなきゃな〜と思ってしまう(笑)

Tシャツ着ている人と、真冬のコートを着ている人が同時に歩いてる世界を見てきたのに、帰国すると、服装をまわりに合わそうとして、ちょっと早いかなぁ、遅いかなぁなどと考えてしまう。

先輩方は女性を解放し、自由になるために頑張って来られた。次に男性と同等の権利を得るために頑張られて、そのために学問を学び、結婚しない選択をされる人が出てきた。

その次には、結婚はするけれど、仕事はバリバリとこなし、子供を作らない選択をする人が増えた。核家族化して、嫁姑問題は縮小した。そして次にはもっと自由になって、子供を産む人もいれば、専業主婦もいれば、一生独身を貫く人もいて、男の人にも家事や育児を、なんて話になってきた。続く。 (hammer.mule)

れもん、よむもん!
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B07GZR273K/dgcrcom-22/

人生の旅をゆく
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344412990/dgcrcom-22/