[4915] マリー・ラフォレの死◇Macのファイル名一括変更機能◇時間がない

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《いや、まだ27日もあるぞw》

■日々の泡[022]
 マリー・ラフォレの死
 【太陽がいっぱい/パトリシア・ハイスミス】
 十河 進

■グラフィック薄氷大魔王[636]
 Macのファイル名一括変更機能
 吉井 宏

■晴耕雨読[57]
 時間がない話
 福間晴耕




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■日々の泡[022]
マリー・ラフォレの死
【太陽がいっぱい/パトリシア・ハイスミス】

十河 進
http://bn.dgcr.com/archives/20191204110300.html
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マリー・ラフォレが80歳で亡くなった。しかし、80歳のマリー・ラフォレは想像できない。20歳の彼女が出演した「太陽がいっぱい」を初めて見たのは、東京オリンピックの年、1964年だった。僕は13歳の中学一年生。その年、リバイバル公開された「太陽がいっぱい」(1960年)を、高松市の二番館「中劇」で見た。

何度も書いているけれど、そのときに見た3本立てが僕を映画好きにした。「太陽がいっぱい」「恐怖の報酬」「リオ・ブラボー」というプログラムだった。考えられない凄さである。2本がフランス映画だったので、その後、僕はフランス映画好きになり、とうとう大学ではフランス文学科を選択した。とはいっても、フランス語が喋れるわけではない。

「太陽がいっぱい」で初めてマリー・ラフォレが登場したときは、まず大きな瞳のアップショットからだった。続いてギターを爪弾く手。鼻歌のようにスキャットで歌っていた。その美しい顔のアップが13歳の僕に衝撃を与えた。その後、僕は南仏を舞台にしたバカンス映画「赤と青のブルース」(1960年)も見たし、三十代のとき、そのレーザーディスクを買って飽きるほど見た。

しかし、それほどマリー・ラフォレが好きだったわけではない。ただ、中学生の頃の自分を思い出すと、マリー・ラフォレという女優の全盛期だったなあと感慨深いものを感じる。僕は映画雑誌の「映画の友」と「スクリーン」を購読していたが、ちょうどその頃「国境は燃えている」(1965年)というマリー・ラフォレが出演した映画が公開され特集された。当時は、ヨーロッパ映画が多く公開されたのだ。

マリー・ラフォレが強く僕の記憶に刻み込まれたのは、「太陽がいっぱい」の衝撃が強かったからだ。僕は殺人者が主人公の物語を初めて見たし、犯罪者を魅力的に描いていることに驚いた。とにかくアラン・ドロンが素晴らしかった。人を殺した後、果物や肉にむしゃぶりつく姿にショックを受けた。その原作が「才人リプレイくん」というものだと知ったが、まだ原作は翻訳されていなかった。

原作者は女性のパトリシア・ハイスミス。ずっとイギリス人だと思っていたが、アメリカ生まれの作家である。僕が映画を見た当時、「太陽がいっぱい」の原作はハヤカワ・ミステリで出るという話だった。しかし、「太陽がいっぱい」の原作は後に角川書店が出したがあまり売れず、ずいぶん経って河出書房から再発売された。その頃には、僕はパトリシア・ハイスミスがトム・リプレイをシリーズの主人公にしているのを知った。

トム・リプレイは「太陽がいっぱい」でアラン・ドロンが演じた役だったが、後にヴィム・ヴェンダース監督の「アメリカの友人」(1977年)では、デニス・ホッパーが演じている。これは、トム・リプレイ・シリーズの三作めを原作にしており、ヴェンダースがオマージュを捧げているのか、ニコレス・レイやサミュエル・フラーといったハリウッドの監督が出演した。

パトリシア・ハイスミス名義で出した最初の小説「見知らぬ乗客」は、交換殺人を扱ったミステリでアルフレッド・ヒッチコックが映画化した。しかし、「太陽がいっぱい」の公開当時、パトリシア・ハイスミスの小説はどこからも翻訳は出ていなかった。日本では売れないと思われていたらしい。「見知らぬ乗客」の日本語版は22年後、「太陽がいっぱい」の日本語版は16年後に発行された。

パトリシア・ハイスミスはミステリ作家と捉えられているが、ミステリのつもりで読み始めると落胆するかもしれない。「不条理な心理小説」といった方がわかりやすいだろう。迷宮に迷い込んだ気分になる。本人も「サスペンス作家」「ミステリ作家」と評価されることに不満を抱いていたらしい。だから、日本では長く売れない作家だったのだ。

数年前、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラが主演した「キャロル」(2015年)がアカデミー賞にノミネートされ、それがパトリシア・ハイスミスの原作だと知ったときには「へえー」と思ったけれど、意外な気はしなかった。1950年代を舞台に女性同士の愛を描いた物語である。保守的な時代、同性愛など認められるはずもない。しかし、「キャロル」は人間同士の愛と切なさを描いて出色だった。

ところで、僕がなぜ「太陽がいっぱい」の原作を「才人リプレイくん」と表記するかというと、中学生の頃、友人から借りたレコード「ヨーロッパ映画音楽全集」のライナーノートに「『太陽がいっぱい』の原作はパトリシア・ハイスミスの『才人リプレイくん』である」と書かれていたからだ。原題は「The Talented Mr.Ripley」である。

トム・リプレイ・シリーズは全部で5作あり、すべてタイトルに「リプレイ(リプリーと表記する方が多い)」が入っている。


【そごう・すすむ】
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■グラフィック薄氷大魔王[636]
Macのファイル名一括変更機能

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20191204110200.html
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知らんかった! Macって標準でファイル名一括変更機能ついてたんだ〜。

ずっと使ってきたリネームソフト、FileBuddyとShupapanはまだCatalinaに対応してない。別のリネームソフトを新しく買うのも癪だし。検索してたら、標準機能でできちゃうと判明。複数項目を選択して、右クリックで「○項目の名前を変更」を選ぶだけ。
https://support.apple.com/ja-jp/guide/mac-help/mchlp1144/mac

ファイル名の一部を置き換えたり、前や後に追加したり、連続の番号をつけたり。FileBuddyやShupapanでやってたことは、だいたい出来ちゃう。

Facebookに書いたら知らない人けっこういた。調べたら5年も前のYosemiteからついてたらしい。「MacFan」とか読まなくなっちゃったから、目玉の新機能以外知らないや。dマガジンで読めるんだからちゃんと確認しておかなくちゃ。

っていうか、macOSに限らず、新しいバージョンの新機能を一通り確認したり試してみたりって、最近あんまりやってないなあ。また面白い機能を見つけたら書きます。

●Automatorを初めて使ってみた

じゃあ、なんか今まで使ったことのない機能を使ってみよう! ってことで、とりあえず、Automatorをやってみた。Macの操作を自動化するものなのだが、見た目ややこしそうなので使ってみようと思ったことなかった。

「記録」っていうボタンがあって、操作したとおりを再現できるらしい。試しに、ちょっとした操作なのに面倒な「システム環境設定」の「F1、F2などのキーを標準のファンクションキーとして使用のオンオフ」をやってみた。

Automatorで新規→ワークフローを作成、右上の「記録」ボタンを押す。記録したい操作を行う。停止ボタンを押す。これだけ。10倍速で再生も可。アプリケーションとして保存し、Dockに登録しておけば、いつでもFキーのオンオフができる(アクセシビリティでAutomatorを有効にする必要がある)。

詳しい人なら「なんちゅう基本!」ってものだろうけど、便利〜! 他にも自動化できそうなもの探してみよう。

……と思ったら、画面解像度を変更したりウインドウの状態によっては、再生できなくなる模様 orz もうちょっとちゃんと作らないとダメみたい。

(Fキーに登録したアクションやショートカットを使うのは、ほぼPhotoshopとModoだけなので、「この二つだけでFキーを有効にする」ってのも、できそうだが)

●新水性塗料アクリジョンを再検討する

3Dプリンタ出力物の塗装は、昨年から「下地をモデリングペースとジェッソで作ってリキテックスで色塗り、水性トップコート」でやってきた。サンドペーパー作業に水を使えないので粉地獄。水をジャブジャブ使えるポリエステルパテに戻したいけど、樹脂への固着力が弱いリキテックスは使えない。

リキテックスは塗りやすさも発色も最高なんだけど、厚塗り部分は爪で剥ぎ取れてしまうほど柔らかくて頼りない(トップコートが丈夫なら気にしなくていいのだが)。マスキングもフチがベロベロになるため不可。

フィギュアやプラモ塗装ではどうも世界標準の水性塗料となりつつあるらしい、スペイン製のファレホもいいんだけど、しばらく使って性質を把握してる国産のアクリジョンも見直したい(もう一つの世界標準、シタデルカラーは大きな面を筆塗りするには向いてないと確認済み )。

アクリジョンの塗膜の強さはラッカーと同等でとても丈夫。隠蔽力の弱さは、最近出た「アクリジョン ベースカラー」でカバーできるかもしれない。また、ずっと探してた「筆塗りできるトップコート」として、アクリジョンのクリアーを使えるかもしれない。

アクリジョン ベースカラー
https://bit.ly/2NctDN3

リキテックスにアクリジョンクリアーの上塗りは、以前試したらバリバリにひび割れが発生する結果となった。収縮がキツいんだろう。アクリジョンの上にアクリジョンクリアーなら、当然ながら何の問題もない。

で、ベースカラーの白とクリアーのみ買って試してみた。隠蔽力はけっこう強い! テキトーな二度塗りでここまで白くなる(写真右の赤白部分)。ベースカラーは6色の基本色が出てるので、なんとかなるだろう。隠蔽力ゼロで悩まされた黄色は特にありがたい。
https://www.yoshii.com/dgcr/Acrysion-IMG_2369

クリアーの結果も素晴らしい。数回塗ると分厚くなってマスキングの段差も気にならなくなるし、やはり爪でまったく傷をつけられない程度には強い。ツルッツルだし。

うん、アクリジョンに戻してみよう。あ、もうひとつの弱点「やたら垂れる」はどうするか? アクリル絵具の増粘剤が使えるんじゃないかと。そのうち試してみよう。

(あと、瓶入りのアクリジョンは瓶のフチに塗料が固まるのが難点。チューっと出せるファレホの容器はうらやましいけど、百均でそういう容器買って入れ替えるかな)


【吉井 宏/イラストレーター】
HP  https://www.yoshii.com
Blog https://yoshii-blog.blogspot.com/

正月気分のまま12月を迎えてしまった、とまでは言わないけど、全身全霊でやり切ったとも言えずw 夏くらいまではなんとなく今年は特別にスゴイことができるに違いない、年内には取り戻せるとか思ってたんだけどなあ。いや、まだ27日もあるぞw

◯プランタンのRoseちゃんがクリスマスに復活!
https://yoshii-blog.blogspot.com/2019/11/printemps-parisrose.html

◯Studio City Macauのデコレーション展示中
https://bit.ly/30olPNF

○吉井宏デザインのスワロフスキー、7月半ばに出た新製品4つ。

・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV

・HOOT HAPPY HALLOWEEN 2019年度限定生産品
https://bit.ly/2JZVVcm

・SCS ペンギンの赤ちゃん PICCO
https://bit.ly/2JStbC4

・SCS ペンギンのおばあちゃん
https://bit.ly/2YbmnJ7


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■晴耕雨読[57]
時間がない話

福間晴耕
http://bn.dgcr.com/archives/20191204110100.html
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歳を取ると時間が経つのが早くなるというが、最近それを実感している。兎にも角にも時間が経つのが早いのだ。昔なら一日に出来ると思っていたことが出来ないどころか、日常の雑務をしているだけであっという間に一日がおわってしまう。以前の自分には想像も出来ないことだろう。

振り返ってみれば、小学校の頃は1時間足らずの昼休みの間に昼食を食べるだけでなく、掃除や更にはグランドに出て遊んでいたどころか、時には授業の間の5分休みでさえ外に出て遊んでいたのだから驚いてしまう。

いまなら5分や10分の休憩は、携帯をいじっているどころか、何もしないで黄昏れているだけでおわってしまう。

そう言えば大学生の頃の通学コースで、いつも見かけるお年寄りの人がいた。多分日光浴をしていたのかもしれないが、何をするでもなくただ道端の日当たりの良いところに座って、日がな一日ぼーっとしているのだ。

当時は、退屈じゃないのか、そもそも何をしているのかも分からなかったが、今になってみると、当人はちょっとの間外に出てちょっとぼんやりしているだけなのに、周囲の時間が凄い勢いで流れてたのかも知れない。亡くなる前の父もそんな感じで、縁側でずっと日向ぼっこをしていたのを思い出す。

あと子供の頃はもちろんのこと、ある程度大きくなっても実家にいた頃は、家事の多くを母親や家族がやってくれていたので気が付かないが、一人暮らしをしてみると、日常を維持する些細な事が思った以上に多くの時間を吸い取っている事に気付かされる。

ただ、やりたいことや、やらなくてはいけないことは数多い。どこかで時間を捻出して、これらを片付けなくては。


【福間晴耕/デザイナー】

フリーランスのCG及びテクニカルライター/フォトグラファー/Webデザイナー
http://fukuma.way-nifty.com/

HOBBY:Computerによるアニメーションと絵描き、写真(主にモノクローム)を撮ることと見ること(あと暗室作業も好きです)。おいしい酒(主に日本酒)を飲みおいしい食事をすること。もう仕事ではなくなったので、インテリアを見たりするのも好きかもしれない。


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編集後記(12/04)

●偏屈BOOK案内:呉善花「韓国を蝕む儒教の怨念 反日は永久に終わらない」2

いまの韓国は李朝の「法よりも情が優先する」状況下にある。通常は国法をもって判定していても、それでは情が入る余地がなく、本当の正邪の判定とはならないとみなされたときに、「情理」からの判断が下される。酒に酔っての犯行となれば、「情理」の判断を以て必ず減刑されるし、単純暴力では前科の有無を問わず罰金・略式起訴で、裁判までいかせないのが司法界の慣例だという。

そのため、韓国には前科40犯、50犯がざらにいる(朝鮮日報2012/9/17)。韓国の「情理」とは「大多数の韓国人が今このときに常識として抱いている正しさの感覚」というよりほかにないものらしい。民族的な主観による、「この辺が正しい」という(暗黙の、いわずもがなの)国民的合意といいえばいい。この合意が、しばしば「法に優先する」のが韓国だという。不思議な国だなあ。

日本はもとより、近代法治国家の裁判では、審議を進める具体的なルールがあり、それに則っていくことで「情理」や「情実」が絡む判断は規制・排除され、事実(証拠)に基づいた峻厳かつ客観的な判断が下されていく構造になっている。ところが、韓国では必ずしもそうとはならず、司法判断はそのときどきの「このへんが正しい」という、国民の思いに強くひきずられるというのだ。

「そのときどき」というのは、「あのときには間違っていないとされていたが、今このときの常識からすれば間違っている」という国民の思いが正義である、ということだ。この正義に基づいて行われたのが「慰安婦合意の破棄」や「強制徴用者への賠償判決」である。つまり「国民的合意」とみなされさえすれば、他国との間で決まった約束事を勝手に破ったり、あとでルールを自分たちに都合よく変更したりすることなど、まったく意に介さない。不思議な国だなあ。

文在寅政権は、軍事政権時代の韓国史を全否定し「あのときは間違っていないとされていたが、今の常識からすれば間違っている」と主張する。「あのときの事情」を正確に捉えることを放棄し、単純に現在の価値感で過去を断罪するのは近代的観点では戒められている。「それに対して韓国では、『現在の価値観に立って過去の歴史を全否定する』ことが盛んに行われているのです」

「韓国ではこれを『歴史を真っすぐに立てる(韓国語で「ヨクサ・パロ・セウギ)』と表現しています。日本統治時代の歴史を全否定することも、韓国人が『歴史を真っすぐに立てる』ことの重要な要件なのです。中華帝国や朝鮮半島諸国では、王朝や政権が代わるたびに、自分たちの都合のいいように『歴史を書き換える』ことをしてきた歴史があるわけです」。不思議な国だなあ。

過去のよくないことは全て「日本の植民地主義」のせいにすることで、韓国の責任が和らげられ、殆ど回避されていく。「ようするに、韓国の『米軍慰安婦』『韓国軍慰安婦」『ベトナムでの虐殺』と日本の『従軍慰安婦』問題は一つのものなのです。いずれも『日帝の植民地主義』がもたらした問題とされるのです」。世界に広がる韓国の反日プロパガンダ。恐ろしい国だなあ。(柴田)

呉 善花「韓国を蝕む儒教の怨念 反日は永久に終わらない」2019 小学館新書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4098253518/dgcrcom-22/


●今更ラグビー、アルゼンチン対トンガ続き。前半が終わった。会場MCが何やらいろいろ話している。本日の来場者数とか。そしてかかるのがボンジョヴィの「Livin' On A Prayer」。皆で歌いましょう、みたいなことを言った。何で?

ラグビーワールドカップやラグビーに関連する曲はいろいろあるのに、何故なのだ? あまり覚えていないが、歌詞がスクリーンに出ていたような気がする。皆で歌った。うん。

帰宅してからふと思い出し、ハーフタイムだからこの曲なの? と思った。「祈る」とか「ハーフウェイ」とか? ラグビーやる人たちにとっては当たり前のことなのかもしれないが、いまだに謎のままである。(hammer.mule)

Bon Jovi - Livin' On A Prayer(公式チャンネル)


[歌詞&和訳] Bon Jovi - Livin' On A Prayer


ラグビーワールドカップ2019 四戦参戦記(後半)
https://ameblo.jp/saunabeach/entry-12538456118.html
静岡に行かれた方のブログ。歌ってはる