[4921] 「無」の巻 その2◇〈WordCamp Osaka 2019〉に参加して

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《ここ10年間で今年が一番忙しい1年だった》

■わが逃走[251]
 「無」の巻 その2
 齋藤 浩

■もじもじトーク[120]
 〈WordCamp Osaka 2019〉に参加して
 関口浩之




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■わが逃走[251]
「無」の巻 その2

齋藤 浩
http://bn.dgcr.com/archives/20191212110200.html
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ちょっと前に書いた「無」の話のつづきです。

おかげさまで「無」デザインの風呂敷が京都の職人さんの手で染められ、現在銀座ガーディアンガーデンで展示・販売中です。

・Creation Project 2019
167人のクリエイターと京都の職人がつくる「ふろしき百花店」
WEB:http://rcc.recruit.co.jp/creationproject/2019

展覧会会期:2019.11.26(火)〜12.21(土)
開館時間:11:00a.m.〜7:00p.m. 日曜休館 入場無料

さてその後、「無」って奥が深いなあ、なんてことを考えまして、さらに違った側面の「無」を制作してみたくなりました。じゃあ、違った側面って何?

まず、純粋に文字としての面白さを考えてみた。

たとえば「壺」という字は見るからに「壺」だけど、それは実在する壺に字が似ているから面白いんだと思う。

明快な象形文字。おそらく漢字文化圏外の人も納得する、わかりやすい形なのだろう。

しかし「無」は概念である。概念を記号化するというのは、とてもクリエイティブな作業だ。数字の「0」も、身近すぎて気づかないけど、考えてみれば凄い記号だ。

「無いという数字」を発見したヤツも凄いが、そこにこの輪っか状の記号を当てはめたヤツも凄い。

「無」という漢字の成り立ちにも、凡人には思いつかないような奥深いものがあるのではなかろうか。

そう思い、さっそく調べてみると……。

もともとは人が舞い踊る姿=「舞」という意味で使われていたところ、音が同じだったので、「無」という意味でも使われるようになり、その後「無」と「舞」とに枝分かれしていったという。

つまり当て字だったのである。意味なんか「無」かったわけだ。すげえ。

ということは、新たな「無」を制作する場合、この文字を一旦バラして「舞」のイメージで再構築する、というのもアリか。

こういう作業はけっこう楽しい。つまり記号化されたものからオリジナルの姿を想像する、ということ。

うーん、「無」とはなんぞや。「超地球的存在」かもしれん。そろそろ宇宙からやってくる頃合いなんじゃないかなあ。

そう思い、そいつの姿を想像してみる。

脳裏に浮かんだのは、円盤に乗ったクラゲであった。このあたりのイメージの貧困さはどうにも恥ずかしいかぎりだが、「無」という文字を、円盤に乗ったクラゲが舞い踊っている姿に再構築せよ! と、宇宙からの電波を受信してしまったんだから仕方がない。

で、こんなのができました。
http://bn.dgcr.com/archives/2019/12/12/images/001.jpg

つづく!


【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[120]
〈WordCamp Osaka 2019〉に参加して

関口浩之
http://bn.dgcr.com/archives/20191212110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。今年も「あっ」という間の一年でした。みなさんはどうでしたか?

僕はたくさんのセミナーやイベントに参加した一年でした。自分が主催したイベント、登壇したイベント、スタッフ参加したイベント、一般聴講者として参加したイベントなど、一年間で60回以上、参加しました。

文字やフォントに関するイベント、ウェブに関するイベント、デザインに関するイベント、DTPや印刷に関するイベント、歴史に関する展示会など、多岐にわたる分野でコラボレーションした一年でした。

また、今年は、さまざまなメディアから取材を受けたり、専門誌への寄稿、オンラインメディアへの連載など、執筆活動も増えた一年でした。来年は大学での特別授業の講師(スポット)の依頼もいただきました。

もうすぐ還暦を迎える、いい歳のおっちゃん(正しくは、フォントおじさんですw)ですが、ここ10年で今年が一番、忙しい一年だったような気がします。

今年も多くの方からご支援、ご愛顧いただき、感謝の一年でした。ありがとうございました。

12月は大きなイベントへの出演があります。ひとつ目は、12月7日(土)に大阪工業大学梅田キャンパスで開催された「WordCamp Osaka 2019」、もうひとつは12月21日(土)に浅草橋ヒューリックホールで開催される「CSS Nite Shift13 ウェブデザイン 行く時代来る時代」です。

今日のもじもじトークは、先日、大阪で開催された「WordCamp Osaka 2019に参加して」をお送りします。

● WordPress(ワードプレス)ってご存知です?

もじもじトークの読者の中で、「WordPress(ワードプレス)」をご存知の方、どのくらいいかなぁ……。

WordPressはホームページ(最近は、ホームページではなく、ウェブサイトと表現することが多いかも)を制作するソフトウェアです。WordPressはブログを制作するツールでもあるけれど、CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)として使われることが多くなってきました。

WordPressはオープンソースのソフトウェアであり、誰もがWordPressの開発に参加できるという理念の元、たくさんの人が、プラグインやテーマを開発しています。

昨年の調査では、WordPressは全世界のCMSシェアで約6割といわれています。そして、全世界のWebサイトの約3割が、WordPressで作られているというレポートも読んだことがあります。

●WordCamp Osaka 2019に初登壇

CMSのデファクトスタンダードとも言えるWordPressですが、コミュニティ活動も、日本全国で活発に行われています。

大阪で開催されている「WordCamp Osaka」には、毎年500名ぐらいが参加していて、WordPressの最新動向や新しい技術を学んだり、ウェブ関連のさまざまなテーマのセッションが20本ぐらい開催されます。

私、関口浩之(フォントおじさん)は、「FONTPLUSはWebサイト全面リニューアルでWordPressを採用! 日本語Webフォント10年間の歴史に迫る」をテーマとして45分のセッションを担当しました。

では、発表したスライドを公開しますね。

・フォントおじさん講義(全139ページのPDFデータ)
https://bit.ly/wcosaka2019-fontojisan

立ち見でいっぱいで、教室に入りきれないほどの盛況でうれしかったです。ご参加ありがとうございました。

以前から「WordCamp Osakaには参加したい」と思っていたのですが、毎年、主催イベントと日程が重なり参加できませんでした。今年は、日程が重ならないように早めに調整し、初参加となりました。また、登壇する機会もいただいて、本当に充実した一日でした。

セッション登壇だけでなく、FONTPLUSブースも大盛況で、用意した書体見本帳とノベルティ200名分が、14時時点で配布完了してしまいました。ありがとうございました。

●「WordCamp Osaka 2019」に参加して

感動の一日でした。何が感動したかというと「イベントの運営が素晴らしかった」ということです。

実行委員やスタッフが、自主的に動いているし、お互いを気遣ってる感じがすごく良かったです。「愛」と「感謝」がテーマのイベントだったと思います。

僕は80名規模ですが、FONTPLUS DAYセミナーを年6回主催しているし、全国のイベントにスタッフとして参画することも多いので、運営側の気持ちがすごく良くわかるのです。

半年以上前から企画準備していたと思いますが、各自、本業の仕事が終わってからのボランティア活動(もしくは大人の部活動的な)だったと思うので、体力的にも精神的にも負担は大きいのです。

アクシデントもあったと思うけど、みんなそれぞれの形で達成感を持ち帰ることができたイベントだったと思います。

仕事や家庭の関係で、少ししかお手伝いできなかった人もウェルカムだし、感謝だし、全国から当日スタッフがたくさん集まるのも素敵だし、「各自の参画っぷり」が自由であり、義務感ではないということがすごく良いのです。

WordPressはオープンソースでGPL(General Public License)なので、コミュニティの関わりもオープンな感じかします。

お互いが尊重しあえて、笑顔があって、モティベーションが高いコミュニティは、僕がいつも考えていることなので、すごく、心地良かったのです。

参加する側、スポンサーの側、スピーカーの側だけでなく、実行委員長や実行委員やスタッフする側も楽しめるイベントが、長く続く秘訣だと思います。

●オープニングムービーがすっごく素敵だった

そして、イベント当日のオープニングムービーがとても素敵だったので、みんなも観てくださいーー。今年のWordCampは、羽田→新潟→東京→大阪と4回開催されたので、そのリレー感が楽しいです。

・WordCamp Osaka 2019 Opening Movie


実行委員をはじめ、WordCamp Osakaに関わった全ての皆さん、おつかれさまでした。ほんと良いイベントでした。WordPressコミュニティはとてもオープンなので、来年はいろんな形で参画して行きたいと思ってます。

●フォントおじさんは、何をする人?

この一年、ウェブや文字に関連する界隈の一部で、「フォントおじさん」のブランディングが浸透しました。ありがとうございます。

そんな中、イベント会場で「フォントおじさんって、何をする人なんですか?」と質問されることがよくあります。

実際は、9年前にサービスを立ち上げた、FONTPLUSというWebフォントサービスを伝道するエバンジェリストです。

当初は、Webフォントの技術的な話、実装方法、トレンドなどを紹介することが多かったのですが、ここ数年は、書体を作る人をお招きしてセミナーをやったり、ブックデザイナーや組版のプロをお招きしたり、フォントの作り手と使い手と一緒に、文字の楽しさを伝えたりすることが増えてきたのです。

並行して、活字や文字の歴史は、以前から興味のある分野なので、文字の誕生から活版印刷や写植などの文化を伝える、伝道師のような活動をライフワークにしています。

●CSS Nite Shift13「ウェブデザイン、行く時代来る時代」

今年あと3つほど参加するイベントがありますが、自分が登壇するイベントはひとつだけです。

それが、CSS Nite Shift13「ウェブデザイン、行く時代来る時代」です。350名定員のチケットは残りわずかになりました。

・CSS Nite Shift13 12月21日(土)13:00-18:30(開場12:40)
https://cssnite.jp/lp/shift13/

参加費は12,000円ですが、その金額以上のバリューがあります。最新のトレンドを知り、いろんな方々と出会って語り合い、新たな年に迎えるために、心と体を整わせる年末行事の大事な一日、って感じのイベントなのです。

今年も、コンビ結成3年目を迎える「鷹野雅弘さん×フォントおじさん(関口浩之)」の二人で、フォントセッションを行います。

今年、文字やフォントにまつわる出来事は、「地道に濃くて楽しい一年」だったと思います。そのお話は、次回お話しますね。

さて、次回のもじもじトークは2020年1月になります。
みなさん、良いお年をお迎えください。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)

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https://www.facebook.com/hiroyuki.sekiguchi.8/
Twitter @HiroGateJP
https://mobile.twitter.com/hirogatejp

1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/

Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの?
「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/


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編集後記(12/12)

●偏屈BOOK案内:箱崎みどり「愛と欲望の三国志」

筆者はニッポン放送アナウンサー、気象予報士。東京大学大学院総合文化研究科修了、論文に「日中戦争期における『三国志演義』再話の特色」など多数。学生時代、そして社会人になってからも趣味で延々と調べ続けてきた「三国志」を、二年かけてまとめたという“三国志愛”ダダ漏れの研究書。好感度高し。

なぜか日本人は「三国志」が大好きである。面白いから、キャラクターが魅力的だから、人生の教訓が詰まっているから、など色々言われるが、理由を並べたてるのも無粋なくらい高い支持がある。魏・呉・蜀いずれも勝者にならない滅びの美学があるから、諸行無常の響きがあるから、なんてのが格好いい反応なのかも。筆者によれば人気の秘密は「日本でずっと読まれてきたから」だ。

魏・呉・蜀の三国鼎立時代を描いた「三国志」をもとに、史実3割、虚構7割の小説に仕立てたものが、14世紀後半の「三国志演義」である。登場人物の事績や戦いは史実を基にしているものの、具体的エピソードは虚構が多い。バリエーションも多く、中国語では現在30種類以上が確認されている。日本では江戸時代に「三国志演義」が翻訳され、以降多様な「三国志」が生まれ続けている。

筆者は小学2年生のときにNHK「人形劇三国志」に出会い、以来「三国志」を人生をかけて追い続けている。「三国志」関連書籍のバリエーションは、ラーメンに似ているという。この本ではラーメンガイドブックや研究本のように、歴史を含めて、どんな特徴や味があるのか、詳しく紹介する。筆者が独自に追跡してきた、日中戦争下の「三国志」ブームなど、研究成果も盛り込んだ本。

「世の中にたくさんある『三国志』関連本を読み尽くした方にも、きっと新しい発見をしていただける」と自信満々。吉川英治の「三國史」は、戦争下に新聞連載され、関連書籍が何冊も出版された。大河ドラマ「三国志」は日本において中国を知るための鏡、虎の巻としての役割を期待され続けてきた。中国を学ぶ小説といえば、魯迅やノーベル賞・莫言よりも「三国志」なのである。

この本では、通俗的な“「三国志」の日本史”に加えて、「三国志」に期待されてきた中国理解のツールとしての側面にも光を当てている。三国志と遭遇の個人史から始まり、現代作家による「三国志」の多彩な世界の紹介、日本では歴史上どう「三国志」が読まれてきたのかの分析など、今までにないディープな「三国志」研究の成果がここにある。好きな人にはたまらない構成だ。

正直いうと、素人にはちょっとついて行けないほど濃い内容である。だって、恥ずかしながら、わたしは「三国志」を小説で読んだことがない。読んだのは2000年に完結した、横山光輝の潮漫画文庫版「三国志」全30巻である。数年おきに何度か、全巻を通して読みかえしている。それでいいやと思ってきた。

30巻ってすごいボリュームである。完読まで数日かかる。同じく2000年に三笠書房から文庫版「早わかりコミック 三國志」全3巻が出た。守屋洋責任監修・とみ新蔵作/画である。歴史書「三國志」に則っている。絵が抜群にうまい。スピーディな展開が快い。何度読んでも飽きない。こっちが勝ち。アマゾンで検索したら、1巻1円だった(泣)。そろそろ吉川英治の「三国史」読もうかな。(柴田)

箱崎みどり「愛と欲望の三国志」2019 講談社現代新書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065171911/dgcrcom-22/


●吉川英治のは、若い頃に読んだことがある。正直、途中まではダラダラ読んでいた。今はほとんど中身を覚えていない(笑)。好きなのは諸葛亮孔明。いや、孔明の戦略と戦術。軍師かっこいい〜と思った。「STOP劉備くん!」も読んだぞ。蛇足だが「銀河英雄伝説」も好きだ。

/今更ラグビー、アルゼンチン対トンガ続き。テレビ画面を見ると日本ジャージ。人が少ない理由はこれか! みんなこれを見るために急いで帰宅したのか!

アイルランド戦は夜だと思い込んでいた。16:15スタート。アルゼンチン対トンガは13:45スタート。

それでも、アイルランドには勝てないだろう、負ける試合を見るのも辛いし〜などと言い訳しつつ、テレビのあるお店だけが盛り上がっている通りを、とぼとぼと歩く。(hammer.mule)

白井版三国志遊戯 STOP劉備くん!
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DSGG45I/dgcrcom-22/
「なか見!検索」ではオレオレ詐欺的なネタがある。30年前からあったのか

https://ja.wikipedia.org/wiki/STOP%E5%8A%89%E5%82%99%E3%81%8F%E3%82%93!
JUNEで連載されていたのか! 1987年から連載されていたらしい。「当時は問題なかったが、近年の倫理観に照らし合わせて不適切と思われるネタの削除がある」が気になる……。