Scenes Around Me[68]小川てつオくんのこと[1]詩人小川てつオ・居候ライフ・誕生会の写真(2001年12月16日)
── 関根正幸 ──

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今回からしばらく、小川てつオくんとの思い出について書くことにします。2008年頃までのてつオくんの活動については、以下のリンク先に紹介されています。

http://kyototto.com/books/tetuo


リンク先にあるように、てつオくんの活動は多岐にわたっていて、私も様々な機会に写真を撮っています。

しばらくは、それらの写真をある程度いきあたりばったりに紹介していくことになると思います。







小川てつオくんを初めて見かけたのは、高円寺岡画郎の定例会でした。

この時、てつオくんは自ら「巨匠」と名乗っていたことを覚えています。

これは「巨匠」という言葉が通常、他人を形容するための言葉であることを逆手に取って「巨匠」を自称したのだと思います。

てつオくんは当時、ブレーンの一人として、岡画郎に関わっていました。

てつオくんと岡さんが知り合ったのは、上のリンク先にある、1990年のロシアノーパンギャルズの頃だと思いますが、私が彼らと知り合う前のことなので、残念ながら詳しいことは分かりません。

ただし、てつオくんの名前は岡画郎に行く前から目にしていました。

というのも、1994年頃、巻上公一さんが企画した「John Zorn’s Cobra」を見に渋谷のラ・ママに行った際、受け取ったフライヤーの束の中に「小川てつオ今月の詩」が入っていることに気付いたからでした。

もちろん、フライヤーの多くは近日中に行われるライブの告知をしていました。その中にあって、両面にみっちり詩が書き込まれている以外、目立った情報のない紙を見つけて、これは一体なんだろうと訝しんだ覚えがあります。

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このことからも分かるように、てつオくんは詩人としても活動していました。

今でも私は、詩人の阿賀猥さんが発行していた同人誌「JO5」の「馬鹿の手口」と題された号を持っています。

現在、その号は部屋のどこかに紛れ込んでいるため、詳しい内容は記憶に頼るしかありませんが、同人の詩人を二人組にして、詩の対決をさせ、互いの詩を評論するという企画だったと思います。

てつオくんは和合亮一さんと組になっていました。

そこで、てつオくんは「犬風呂」と題された、お湯の代わりに沢山の犬で満たされた風呂に入った、という内容の詩を発表したのを覚えています。

ちなみに、和合亮一さんの名前はその時初めて知りました。

しかし、和合さんがその後、中原中也賞を受賞されて、現在も著名な詩人として活動されていることは2011年の「プロジェクトFukushima!」の開催まで知りませんでした。

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1996年のことだと思いますが、てつオくんは当時一緒に暮らしていた彼女のアパートが取り壊されることになったのを機に、アパートの部屋で展覧会を行いました。

展覧会の写真は一枚だけ撮ったのですが、今回、ネガを見つけることは出来ませんでした。

その後、てつオくんは自分の部屋を持たずに、いろいろな人の家を居候だけで過ごすという活動(居候ライフ)を始めることになります。

居候先でてつオくんは、家主と共同でミニコミ「居候ライフ」を製作しました。

ミニコミは、上であげた「今月の詩」と同様の形式で、B4サイズの紙の両面を一号分として、てつオくんの日記的な文章と、家主とてつオくんの筆談が掲載されました。

「居候ライフ」はてつオくんが居候をやめて、代々木公園でテント生活を始める2003年まで続いたと思います。

一時期、「居候ライフ」のアーカイブをネット上で見ることができたのですが、現在どうなっているか分かりません。

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今回は2001年12月16日に行われた、小川てつオくんの誕生パーティーで撮影した写真を紹介します。

当時、てつオくんは誕生日(12月14日)の前後に居候先の慰労会も兼ねて、パーティーを行なっていました。

2001年の誕生会は、その時の居候先だったカメラマンの本多晃子さん宅で行われました。

本多さんも当時、行徳にある阿賀猥さんの持ち家を借りて、住んでいたと思います。

パーティーは前日の土曜日から始まり、何人かは泊まりで参加したようですが、私は日曜日に行徳に向かいました。

本多さん宅の室内には、本多さんが仕事で撮影した写真が展示されていましたが、それらは写真には撮りませんでした。

私がもっとも興味を惹かれたのは、庭に設置されたドラム缶風呂でした。

https://live.staticflickr.com/65535/49626156148_3889f01a0b_c

ドラム缶風呂に入るてつオくん。

ドラム缶は、前日の晩に湾岸付近まで車で出かけて、廃棄されたものを運んできたようです。

ただ、途中で縁石に乗り上げたらしく、自分の車のバンパーにキズが付いてしまったと、本多さんは落ち込んでいました。

https://live.staticflickr.com/65535/49626954067_2e32e13a75_c

ドラム缶風呂から出ようとするナナくん。

https://live.staticflickr.com/65535/49626948347_d552528f4e_c

シャンプーハットを被り、パジャマ姿で踊る岡ガロウさん。カメラがマニュアルフォーカスになっているのを気付かず、ピントが後ろに抜けてしまいました。


【せきね・まさゆき】
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1965年生まれ。非常勤で数学を教えるかたわら、中山道、庚申塔の様な自転車で移動中に気になったものや、ライブ、美術展、パフォーマンスなどの写真を雑多に撮影しています。記録魔