もじもじトーク[126]新駅・高輪ゲートウェイ駅で途中下車してみた/関口浩之

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こんにちは。フォントおじさんこと、関口浩之です。

前回のもじもじトークの文字ネタで、「高輪ゲートウェイ駅看板の明朝体に批判の声が続出」という話題を紹介しました。
http://bn.dgcr.com/archives/20200312110100.html

駅の看板は、通常、ゴシック体(もしくは丸ゴシック体)が使われています。ネット上では、「ダサいし読みづらい」「デザインとして間違ってる」などのコメントで溢れました。

「高輪ゲートウェイ駅の看板を嫌いになっても、明朝体は嫌いにならないでください」のツイートに、思わず、笑ってしまいました。

でも、ネットの噂に惑わされてはいけないですよね。自分の目で実際に確かめないといけないと思い、今月開業したばかりの新駅「高輪ゲートウェイ駅」で途中下車してみました。





●新駅・高輪ゲートウェイ駅で途中下車してみた

ネットで噂の「明朝体で書かれた高輪ゲートウェイ駅の看板」、写真撮影してきました。ジャーン!

https://bit.ly/mojimojitalk126-1

一枚目と二枚目の写真が、高輪ゲートウェイ駅の正面の看板です。改札入口の看板も駅名標のひとつなので、明朝体よりゴシック体のほうが自然です。

最初、違和感がありましたが、炎上するほど「ダメじゃん」という感じではありませんでした。意見には個人差がありますが……。

三枚目の写真は駅舎の看板です。この新駅は、おしゃれな商業施設にも見えるので、このケースではゴシック体よりも明朝体のほうが、風情があっていいなと感じたのです。

最後の写真は、駅ホームの駅名標です。「駅名標」とは、駅ホームに設置されている、前駅と次駅も書かれたその駅の名前を表記された看板です。柱に掲示された縦長の駅名看板も、駅名標と言います。

駅名標は、さすがにゴシック体でした。もし、この駅名標が明朝体だったら、僕も、SNSで大騒ぎしたと思います。駅名標の書体は、路線毎に決められています。

一般的に、「看板=ゴシック体=視認性(見やすさ)」と言われています。パッと見て、すぐに理解しやすいのは、文字の表情が少ないゴシック体のほうがいいのです。特に、公共機関の看板、道路標識などは、視認性はとても重要だからです。

駅名標という公共サインではなく、駅舎という建築構造物を説明するサインとしては、ゴシック体以外の、表情がある書体の選択肢もありかなと思いました。

●駅名が長いと不便なこともある

駅名に「ゲートウェイ」というカタカナ名称を使っていること、そして「高輪ゲートウェイ駅」という駅名が長いということが、一年前に話題になりました。

「駅名が長すぎて、路線図マップに書き加えるのができない」ということも話題になりました。

そこで、大日本タイポ組合の塚田哲也さんが、「これなら路線図に入るよ」って、Twitterで書き込みがありました。僕は、「これが正解だね」って本気で思いました。4.5万件のいいねと、2.3万件のリツイートがされていますね。

https://mobile.twitter.com/dezaiso/status/1070143246381146112

そしたら、今月3月10日に、「お待たせしました ヒラギノ明朝バージョンです」との書き込みがありました。塚田哲也さん、仕事が早い!



車両内サイネージの路線図や切符売場の路線図に、「高輪ゲートウェイ」や「Takanawa Gateway」のテキストが、どのように文字組みされているのか気になりますよね。なので、探索して写真撮影してきました。ジャーン!

https://bit.ly/mojimojitalk126-2

テキストが長いので、2行組みになりましたね。三枚目の写真は1行書きで目立つのでな、「ドヤっ」て感じに偉そうに見えますね……。

一枚目の写真の「たかなわげーとうぇい」のひらがな表現が、なんか、かわいくて好きです。

●駅名公募130位の駅名が選ばれたの?

『圧倒的な得票数で1位だった「高輪」を抑えての「高輪ゲートウェイ」という名称の決定に不満の声が続出しました』という記事を読んで、「そんな経緯があったのね」とびっくりしました。

Gatewayって言葉のニュアンスですが、英語がネイティブの人にとっては、「何かの玄関口」と感じるのではないかと思いました。

高輪ゲートウェイ駅を下車して、しばらく歩きましたが、期待した何かがその駅周辺にあるとは思えませんでした。これから、再開発が進んで、ゲートウェイらしい何かがある街になるのかもしれませんけど。

駅構内はとてもきれいでした。遠くから見える駅舎の佇まいも素敵ですし、新鮮味がある新駅です。時間がなくて10分ぐらいしか散策できませんでしたが、楽しい弾丸ツアーでした。

高輪ゲートウェイ駅に入るとコンコースからホームが見渡せるので、駅好きな人にとって、じばらく、電車の往来を眺めてみたくなります。こんな感じです。ジャーン!

https://bit.ly/mojimojitalk126-3

ちょっと面白い体験をしました。駅の正面改札に入らずに、駅舎の周りを散策したいたら、「コーナーカップ」のシンボルマークが階段の入口にあったので、登ってみました。

予想はしていたのですが、スターバックスがありました。休憩したかっただけなので、お店に入らずに、他にも何があるのかなと思って、ふらふらと歩いたのですが、スタバしかありませんでした。

スターバックスにしか行けない階段ならば、スターバックスの看板を階段入口に表示したほうが親切だなと思いました。

●看板を英語では何という?

過去の「もじもじトーク」で、何度か記事にしましたが、僕は看板が好きです。

小さい頃、群馬の実家には琺瑯看板がたくさん貼ってありました。当時は手書き職人が描いた看板しかありませんでした。自動車(オート三輪車)のドアに書かれた、商店の名前も手書きでした。

少年の頃から看板が好きでした。今でも、街中の看板に目が行くのは、琺瑯看板にルーツはあるのかもしれません。

日本語の「看板」という言葉、いろんな意味で使われています。英語では「signboard」が一般的な看板の表現ですが、利用目的で別々の表現があるので、便利ですね。

・sign(標識・標示)
・signage(サイネージ・標識・ポスター)
・information board(情報板・案内板)
・billboard(屋外の大型看板)
・advertisement (広告)

その中で、「sign(サイン・標識・標示)」は社会基盤であり、生活の一部の看板なので、わかりやすさがとても重要になってきます。

東京オリンピックが来年に延期されましたね。時間に余裕がでてきたので、日本のサインシステムが、日本人にとって、そして、海外から来日するすべての人にとって、親切で分かりやすいインフラに整備されることを期待しています。

では、二週間後にまたお会いしましょう。


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関口浩之(フォントおじさん)

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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現 ソフトバンク・テクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この20年間、数々の新規事業プロジェクトに従事。

現在、フォントメーカー13社と業務提携したWebフォントサービス「FONTPLUS」のエバンジェリストとして、日本全国を飛び回っている。

日刊デジタルクリエイターズ、マイナビ IT Search+、Web担当者Forum、Schoo等のオンラインメディアや各種雑誌にて、文字やフォントの寄稿や講演に多数出演。CSS Niteベスト・セッション2017にて「ベスト10セッション」「ベスト・キャラ」を受賞。2018年も「ベスト10セッション」を受賞。フォントとデザインをテーマとした「FONTPLUS DAYセミナー」を主宰。趣味は天体写真とオーディオとテニス。

フォントおじさんが誕生するまで
https://html5experts.jp/shumpei-shiraishi/24207/

Webフォントってなに? 遅くないの? SEOにはどうなの? 「フォントおじさん」こと関口さんに聞いた。
https://webtan.impress.co.jp/e/2019/04/04/32138/