[4982] 志村けんさんありがとうございました!◇お奨めのYouTubeチャンネル

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《全部見るまで、なんとしても生きぬくぞ》

■羽化の作法[104]現在編
 志村けんさんありがとうございました!
 武 盾一郎

■LIFE is 日々一歩(117)[コラム]
 学びから暮らしまで、おすすめのYouTubeチャンネル6選(2020年春)
 森 和恵
 



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■羽化の作法[104]現在編
志村けんさんありがとうございました!

武 盾一郎
http://bn.dgcr.com/archives/20200331110200.html
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●牛乳配達にて

牛乳の配達が一通り終わってセンターに戻り、集金業務やら事務処理をしていると、ベテラン女性配達員のSさんが「ただいま〜」と言って戻ってきました。

チラシの枚数を数えている女性アルバイトさんが、きれいな声で「お疲れさまです」と応答した後すぐに、私も「お疲れさま〜」と事務ノートを書きながら応えます。

ベテラン女性配達員Sさんが簡易事務机のあるこちらの方まで近づき、セカンドポーチを机にゴトッと置く音がすると同時に、「志村けん死んだってよ!」と言い放ったのです。

私はびっくりして、座ったままピョンっとジャンプするようにSさんの方に振り向き、「えーっ!?」と自分でも驚くくらい変な声で、マスオさんのようなリアクションをしてしまいました。

Sさんは「ヤフーニュースで見た」と、配達中にスマホで知ったことを付け加えました。

私は再び「えーっ!?」と語彙力ゼロの反応をしながら、事もあろうに涙がこみ上げて泣きそうになってしまいました。

「だいじょうぶだぁ、じゃなかったのか……」とギャグで返した風にして必死に涙をこらえました。

そしてそこまでショックを受ける自分にびっくりしたのでした。

よりによって新型コロナウィルスの感染でお亡くなりになるとは……
心よりご冥福をお祈りいたします。

志村けんさん、本当にありがとうございました。あなたは私の表現の根幹をお作りになられたお方です。

●ファンクと志村けん

「志村けん」と言えばも、ちろんドリフターズの『8時だよ全員集合!』です。20代でもなく、厨二の思春期でもなく、小学生の頃のヒーローです。私の「文化形成」の基礎部分に「志村けん」はいます。

中学になると『オレたちひょうきん族』が出てきます。思春期小僧にとっては、未知なる大人の「知的でエロい笑い」です。そして『8時だよ全員集合!』を卒業するのです。多分、私と近い世代はそういう人すごく多いと思うんです。

私の印象ではドリフの笑いは非言語的で、フロイトでいうところの「肛門期」的な笑いでした。加藤茶のギャグ「うんこちんちん!」に、それは象徴されています。

志村けんのギャグとしてまず思い出すのは、「カ〜ラ〜ス〜なぜ鳴くの、カラスの勝手でしょ〜」です。全員で大合唱になるんですよね。今観るとお笑いというよりライブです。

『カラスの勝手でしょ 大合唱』


これには2番があったような気がして、探してたらなんと見つかりました。すごい。歌詞は割愛します(笑)

『【字幕付】8時だよ全員集合SP♪カラスの勝手♪』


あと、股間が白鳥の首になっているバレリーナの格好もありましたよね。

で、ドリフの笑いってどんなに下ネタでも、大人的エロさの笑いではなく、肛門期的ハレンチな笑いなんですよね。

『少年少女合唱隊』のコーナーの「東村山一丁目」の時に、法被を脱ぐと白鳥の首が飛び出すのが、なんといっても印象的でした。

全員集合 東村山音頭


今となってはあたりまえで、古臭い格好に感じてしまいますが「これ、思い付く?」って考えると、やっぱりかなりすごいですよ。

それに対して、こんな推理をしてる人がいます。

「志村けんの着る白鳥の頭部が突き出した奇態な衣装 あれは1930年代に一世を風靡した西海岸のお色気ダンサー、サリー・ランドのコスチュームが元ではないだろうか」 


サリー・ランドのダンスはこちらで観れます。素敵です。

『Sally Rand's Fan Dance in Bolero (1934)』


そもそもドリフは、漫才という話芸のお笑いではなくてコミックバンドだったので、元ネタを音楽やダンスから持ってくるのは充分有り得ますよね。

東村山音頭一丁目のシャウト「ワオーッ!」に小学生の私は痺れてたのですが、調べてみると元ネタはソウル、ファンクミュージックのようですね、やっぱり。

ドリフターズ初期の音楽は和風な歌謡です。ドリフの代表曲と言えば、『ドリフのズンドコ節』ですが、この曲を出した頃は志村けんはありません、荒井注です。

『ドリフのズンドコ節』


そして、ファンクといえばジェームス・ブラウンですが、このファンキーなノリが荒井注から志村けんに変わることによって、ドリフに混入されるのです。

『JAMES BROWN - Sex machine (Long 12'' Version Videoclip)』


例えば、ドリフのヒゲダンス。元はテディ・ペンダーグラスの曲です。

『ヒゲのテーマ』


『Teddy Pendergrass - Do Me』


ズンドコ節とはまるで違うノリですよね。

そう言えば、ドリフの早口言葉もファンキーですよね。

『早口言葉』


で、ですね、ファンクって、笑わそうとしてるのかカッコつけてるのか分からない、ステージ衣装だったりするんです。

例えば、これを観てください。ギター&ヴォーカルのゲイリー・シャイダーの衣装が「おむつ」なんですが、これ、笑わそうとしてるのか、クールにキメてるつもりなのか、分からないんです(笑)

『Parliament Funkadelic - Cosmic Slop - Mothership Connection
- Houston 1976』


ファンクにはお笑いが、というか、お笑いにはファンクが、あらかじめ溶け合っているんです。(特に「P-Funk」がということかもですが「ファンク」で括らせてください(笑))

ジェームス・ブラウンの「ゲロッパ!」のテンション、そして、めっちゃカッコいい音楽でオムツを履いちゃうキテレツ、それら「ファンク」のエッセンスを日本のお茶の間に拡散した人は「志村けん」だったと言っていいでしょう。

「ファンク」と「笑い」の関係のニュアンスを、言葉で説明するのは難しいですが、他の例をあげますと、カッコいい日本の大御所バンドに「米米クラブ」があります。コミカルでクールで独特な世界観ですよね。でもこれは「変わったことをしてる」というよりも、「ファンクに愚直に忠実」だと捉えると、ストンと見えてくるものがあるのです。

『米米CLUB SHAKE HIP』


「米米クラブ」はとっても大人っぽいのですが、志村けんの表現はどんなにエロいネタだとしても「子ども」(というより「クソガキ」)のノリのような肛門期的な表現です。

だから、小学生にウケたのです。言葉を使ってはいるのですが、非言語的なのです。今って「子どもがゲラゲラ笑い、大人が顔をしかめる」お笑い芸は、あまりないような気がします。

●音楽ベースの肛門期な表現

私は「音楽をベースにする」、そして「子どもに伝わる」を表現の理想軸にしてきたのですが、それは今思うと「志村けん」の表現軸と重なります。自意識が過剰になる前の原初的、無意識レベルに影響を受けているんだなあと思いました。

思春期から抜け出せない厨二病というのがありまして、自分は基本厨二病なのですが、でもやっぱり「自我」に棲んでるのは面倒臭い。もっと遡って、小学生とか幼児の心を取り戻して表現をしたい。そんなふうに思っていたところにきて、志村けんさんの訃報は何かのお導きのような気がしました。

志村けんさん有り難うございました!

最後にギャグで〆させてください。

「志村! うしろ! うしろ!」


【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/断酒82日目】

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■LIFE is 日々一歩(117)[コラム]
学びから暮らしまで、おすすめのYouTubeチャンネル6選(2020年春)

森 和恵
http://bn.dgcr.com/archives/20200331110100.html
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こんにちは、森和恵です。家のすぐ裏にある公園の桜が、ひっそりと見頃を迎えています。

ずいぶんと世の中と自分の気持ちが混乱していますが、それでも花は咲くんだなと思い、その生命力と美しさに心を救われました。

気をつけることもたくさんありますが、中庸な暮らしをしゅくしゅくと続けることが、安寧につながるのだと改めて思いました。

さて。本編に入る前に、告知をひとつさせてください。

技術書典6・7で頒布した同人誌が、本日(3/31)まで半額セール中です。

《Adobe XDアニメーションレシピ》《Dreamweaverでサクサク進む、WordPressテーマ作成》の2冊を700円(送料込)で頒布します。
https://r360study.booth.pm/items/1922268

この記事を書いている時点で、あと残り11冊。この後は頒布予定はありませんので、気になっている方はぜひ、よろしくお願いします。

……ということで本編に入ります。今回は、自宅で楽しめるコンテンツの紹介がてら、おすすめのYouTubeチャンネルを6つ、ピックアップしました。

▼《森和恵とウェブ制作を学ぼう!》チャンネル
https://www.youtube.com/r360studio

手前味噌ですが、まずは私のチャンネルから。ウエブ制作を学べる動画を200本近く公開しています。

うりは、インストラクター歴24年の私が、ライブ配信で授業を行っているコンテンツです。毎週日曜日(連休なら連休最終日)の夜23時から、生配信しています。

昨夜は、「いまどきのHTML&CSSコーディングにチャレンジ」シリーズの最終夜でした。


放送後も残るチャットのリプレイでは、動画で使っている教材や参考データを配布したり、視聴者さんからの質問を受けたりしています。

次回放送の4月12日からは、いよいよ「CSSレイアウト」編に入ります。

ウェブ制作をこれから始める方、しばらくコーディングの勉強をしていなくて、知識のアップデートをしたい方にぜひ。

チャンネル登録は、↓から。
https://www.youtube.com/r360studio?sub_confirmation=1

日曜夜に、リアルタイムでウェブ制作を一緒に学びましょう。

▼毎朝見てる 連続散財小説《drikin》チャンネル
https://www.youtube.com/user/drikin/

続いては、Vlog(ブイログ・Video Blog)で有名な、ドリキンさんのチャンネルです。

サンフランシスコ在住のソフトウエアエンジニアの方ですが、カメラ・動画への造詣が深くて、勉強になる動画がたくさんアップされています。

今年に入ってから、毎朝6時に日々の生活を淡々と綴ったVlogをアップし続けていらっしゃるのですが、たまたま初回を見たのがきっかけで、毎朝、ご飯を食べつつドリキンさんの動画を見るのが日課になっています。



YouTubeで見かけるコンテンツに、「使ってみた」という商品レビューをする動画がありますが、ドリキンさんは日常の中で気に入った道具を使う様子を、連続で見せてくれます。

レビューが一過性の情報ではなくて、ドリキンさんの日常に溶け込んでいるのが見どころです。

ご自身がだいぶ使い込んでから、思い出したように「前に買ったあの商品がこの時にたまたま役に立った」なんていう、カタログ上では知ることができなかった、生の声やノウハウを得ることができて気に入っています。

目的があって見ているわけではなく、純粋にコンテンツとして楽しめるよいチャンネルです。

▼《ザ・きんにくTV》チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCOUu8YlbaPz0W2TyFTZHvjA

芸人のなかやまきんに君のチャンネルです。ひたすら、筋肉と筋トレに役立つ動画がアップされています。

ある意味、専門家のチャンネルなので、筋トレ初心者にはむずかしいことばっかりだろうなと思いきや、『世界で一番簡単で絶対に効果のある筋トレ法2種目』という、とてもステキな動画に巡り会いました。



この動画では『世界で一番浅いスクワット』と、『世界で一番浅い背筋』が紹介されているのですが、これが超簡単で覚えやすく(覚えられない人がいるのか?)、テレビでも見ながら気軽に毎日続けられます。

負荷が少ないので急激な効果は望めないのですが、一年続ければ筋肉量が増えそうな気がしています。あとはやるかやらないかだけです。

この動画をきっかけに、初心者の自分でも楽しめそうなコンテンツを探しては視聴しています。本編に入る前の余談が長い動画なので、ちょっと忍耐が必要ですが、日常生活で役に立つ専門家の知識を得るという観点で、おすすめのチャンネルです。

▼《ダストマンTips》チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCDwwZiOLmFWV_YmOgAks5Ug

映像制作のTipsを学べるチャンネルです。Adobe After Effectsを使った、映像効果のレシピ動画がさまざまあります。



こんな感じで、実際にプロの現場で使われているテクニックを紹介しています。初心者にとってはむずかしい内容が多いのですが、プロの制作手順を間近に見ることができ、また、なんといっても作例が美しいので、自分もいつかは作ってみたい! と思いつつ拝見しています。

アップされている動画のクオリティも高いので、自分が動画を撮ったり、編集をするときの勉強にもなりますね。

▼《北欧、暮らしの道具店》チャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCb-cMiVs0yGmi2IPmowLC5Q

北欧雑貨を扱うネットショップのYouTubeチャンネルです。

とはいえ、商品の売り込みをする動画はほとんどなく、ステキな女性が日々どんな風に暮らしているのかを綴るコンテンツが中心です。

おすすめなのが「暮らしの本音『うんともすんとも日和』」で、ご年配の女性がこれまでどんな風に生きてきたのかを、インタビュー形式で綴られています。



ミナペルホネンの小畑滋子さんのインタビューでは、年を重ねても働き続けるということについて考えさせられるものでした。

わたしも同じ女性として、健やかに美しく暮らしてゆければなと憧れつつ視聴しています。

▼《Adobe Creative Cloud》チャンネル
https://www.youtube.com/user/AdobeCreativeCloud

海外のほうのAdobeのYouTubeチャンネルです。毎朝ライブ配信をしていて、ソフトの開発現場に近い方々から、直接ソフトの使い方のノウハウを得ることができます。

わたしがよく視聴しているのは、AdobeXDエヴァンジェリストHoward Pinsky氏の「Adobe XD Masterclass」です。



XDは新機能がどんどん追加されていくソフトで、新機能の情報や使い方のコツを動画で学んでいます。

もちろん英語の動画なのですが、アマゾンの自動翻訳を使いつつ、ゆっくりと動画を追いかけることで、なんとか対応できています。

ほんと、YouTubeやGoogleのおかげで日本語onlyでもあまり情報に不自由せずにすんでいます。ありがたいですね。

……というわけで、今回はここまで。

自分のお気に入りのコンテンツを発信するYouTubeチャンネルに登録しておくことで、YouTubeから、仕事や暮らしに役立つ情報を手に入れられるのってステキです。

さて。話は変わりますが、この春のアニメ新番組がでそろいましたね。
https://gigazine.net/news/20200330-anime-2020spring/

この春は、『富豪刑事』・『かくしごと』・『天晴爛漫』あたりが、期待大です。話題作の続クールがぞくぞく始まるのにも、わくわくしますね。

全部見るまで、なんとしても生きぬくぞと思えます。みなさんも、自分にとって楽しいことを探して、そして生きましょう。

おそらく、次回は「この春のアニメ」についての記事を書こうと思います。

ではまた、次回お目にかかりましょう!
(^^)

【 森和恵 r360studio ウェブ系インストラクター 】
mail:r360studio@gmail.com
YouTubeチャンネル:https://youtube.com/r360studio
サイト:http://r360studio.com/


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編集後記(03/17)

●阿川佐和子「老人初心者の覚悟」

「婦人公論」連載から42編を選んでまとめた一冊。軽妙な筆致が好きでよく読んできた阿川佐和子だったが、かつての切れ味が鈍っていて、どうにも感心できない。半分くらいまで読んで、だめだこりゃーと投げだそうと思ったら、ようやくなんとか面白くなった。やっぱり、亡き阿川弘之やその世代の人のガンコなエピソードが出てこないと、佐和子の「言語ネタ」はまだ平凡である。

佐和子がテレビ番組で出会った若い女性ゲストに「ちゃんとした日本語使いなさい、ちゃんとした日本語を!」と叱りつけたのは、「パリピとしては、やっぱバエないとつまらないんで」と発言したからだ。その女性は仮にも「雑誌編集長」を名乗っているのだ。自ら使う日本語はもう少し大切にしてもらいたい。「でも彼女の雑誌は若い女の子向けだそうですよ」とスタッフは言うけど。

「少なくとも活字を生業とする者は、会話する相手が『自分と共通言語を使わない種族』と認識したら、どんなに自分たちの間で使いやすいと思ったり、おおいに流行ったりしていても、そういう言葉はなるべく避けて、ごく一般的な単語に変換して対応するのが礼儀というものだ」。ということを父親や先輩世代からさんざん教育された。その受け売りをするのが佐和子のお仕事なのだ。

父親とのエピソードはじつに面白い。佐和子が子供の頃、電話口で目上の人と話をしているときに、会話の流れでうっかり「いえいえ、とんでもございません」と言った途端、少し離れたところにいたはずの父親がすっ飛んできて「とんでもございませんという日本語はございません。とんでもないと言え、とんでもないと!」と怒鳴られた。しかも電話中だ。そんな事件は日常茶飯事。

「絶対ということは世の中に絶対ない。だから絶対という言葉は絶対に使うな」「流行言葉も百年生き延びれば日本語として認知されたことになるだろう。だから書き言葉に流行語はできるだけ使わないほうがいい。すぐに廃れる」「みたいみたいって。○○のようにと、どうして言えないんだ」。友人との電話を聞きとがめて、会話中なのにいちいち訂正する。言語検閲官のような親父だ。

佐和子も若い頃は、文士の家の生まれをつくづく厄介だと思ったものだが、ある年頃を境に、流行り言葉を聞くと「なんだ、そりゃ?」と拒否反応を示すようになる。20年以上前から一気に加速度がつき、聞く言葉、聞く言葉がいちいち癪に障る。シズル感、彼女感、抜け感、終わった感、スケジュール的、番組的にはオッケー、ディスる、神ってる、ありえなくなーい? 無惨な日本語だ。

阿川弘之は90歳を前にして断筆した。長期連載を打ち切り、もう書かないと宣言した。苦渋の決断でもなく、案外あっさりしたものだった。急激に老いるわけでなく、のんきな隠居生活では大病も認知症状も起こすことなく、その後老人病院で過ごし、94歳にして老衰で亡くなった。最後まで自分の口で食事をし、息を引き取る前日には「ステーキが食べたい」と言っていた。おみごと大往生。

台風のとき「ちょっと川の様子を見てくる」と言い残し、そのまま行方不明になった高齢者は少なくない。わたしもその仲間のようだ。なぜか、大雨のとき荒川の姿を無性に見たくなる。いや、まだボケてはいない(少し怪しい)。これは男の本性なのか。わたしよりずっと若い古籏さんに聞いてみよう。(柴田)

老人初心者の覚悟 阿川佐和子 中央公論新社 2019
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4120052567/dgcrcom-22/

Wikipediaに聞いたら「パリピ」って、英語で「パーティ好きな人々」を意味する語句「party people」で、「バエル」は、映える、輝いて見える、らしい。


●志村けんさんが……そんな。/『富豪刑事』の主役の声が大貫勇輔さんだ。

/昨日の新型コロナ続き。それからしばらくして、春節で武漢から日本に来た人たちのインタビュー。「日本ではこの病気はないから安心」とマスクを外して楽しんでいた。

また、武漢では体育館や学生寮が収容場所となり、隔離されているだけで治療してもらっていないと訴えている姿を見た。

学生さんが泣き叫びながら、いきなり収容場所にすると言われ、私物……写真なども含め、窓から中庭に投げ捨てられていると訴えていた。

中国では、武漢から帰宅したことを黙っていた人のドアに、落書きがされ、暴動が起きているというニュースもあった。

それらのニュースは、現代の文明国のものとも、ニュースとも思えなかった。映画みたいで、あまりにも嘘っぽくて、信じられなかった。だからこそ、とても怖かったのだ。(hammer.mule)