crossroads[87]新型コロナウイルスが変える社会・衣
── 若林健一 ──

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こんにちは、若林です。

前回(5月19日)の記事で、新型コロナウイルスの影響で変わるであろう社会を、人間生活の基本である衣・食・住に加えて育(教育)・働(労働)・楽(娯楽)の6つの軸で考えてみるとしていました。
https://bn.dgcr.com/archives/20200519110100.html


今回は、その一回目で「衣」について考えてみたいと思います。

おさらいになりますが、新型コロナウイルスがもたらすインパクトは、新型コロナウイルスを念頭においた短期の変化(半年〜1年ぐらい)のものと、新型コロナウイルスに限らない、長期にわたって根付いていく変化の二つがあると考えていますので、それぞれに分けてまとめています。





■「衣」に関する短期の変化

「衣」に関する直近の変化としては、「マスクやフェイスシールドの着用」があるでしょう。当面はこれを避けては通れないでしょう。それがどれぐらいの期間になるかはわかりませんが、少なくとも1年ぐらいは続くと思います。

しかし、普段シャツを着てパンツをはくように、未来永劫マスクを着用するのがあたり前になるのかというと、そうは思えない。今でもマスクをしたままの生活に不便さを感じている方が多いと思いますし、その我慢をいつまでも続けられるものではない。

マスクをしているのがあたり前の社会というのは、防犯の意味でも問題があるでしょう。たとえば、コンビニエンスストアの場合だと、以前はヘルメットを着用したままの「顔を隠して入店」というのは嫌がられていたのですが、今は「マスクを着用して入店」するのがマナーになっています。

これも直近ではやむを得ませんが、ある程度落ち着いてくればまた見直しがされると思います。

これらのことから、今は「マスク・フェイスシールドの着用」が必須になっていますが、短期の取り組みで終わるだろうと考えています。

■「衣」に関する長期の変化

マスクの着用常態化については短期で終わると考えていますが、ある程度「マスクをつけることがエチケット」という考え方は、定着していくのではないかと思います。

新型コロナウイルスだけでなく、冬になれば風邪やインフルエンザなどのリスクが毎年発生します。私は電車に乗る機会が多かったので、この季節になるとマスクを着けて外出することが多かったのですが、咳やくしゃみをしながらもマスクをしていない人は一定数いました。

そういった方々が、これからはマスクを着用するようになるのではないか(なってくれたらいいな)と思います。

「衣」に関するもうひとつの長期の変化として、「学校の制服と会社に着ていくためだけの服」は、今後減っていくだろうと考えています。

「会社に着ていくためだけの服」というのは、会社勤め以外の方にはわかりにくいかもしれませんが、通勤のためだけに着るスーツやビジネスカジュアルみたいな服で、普段着として着ないものをさしています。

制服に関してはすべてがなくなっていくわけではありません。今まさに活躍している医療従事者の制服のように、機能や役割的に意味があるものがなくなることはありませんが、学校の制服のように服そのものに機能や役割がないものがなくなっていくでしょう。

学校の制服って「不要不急」のなにものでもない。他校の生徒との見分けをつけやすくするためであれば、制服以外の方法も考えられますし、制服って価格も高いものが多いので、わざわざこれを着なければならない理由はないと思います。

ましてや、これからは学び方ももっと多様化していくはず(ここについては、育のところで述べます)その中での制服の役割は、もっと希薄になっていくでしょう。

「会社に着ていくためだけの服」も「学校の制服」と同じで、リモートワークのような働き方が増えれば、そのコスト感は増すばかりになります。

制服やスーツ、ビジネスカジュアルを、やめるべきと言っているのではありません。それらを着たい人は着ればいいのであって、学校や会社に行く時の衣服を誰かに(時には同調圧力で)決められるようなことは、なくなっていくという意味です。

「毎日決まった服の方が、服を考えなくていいから楽」という考え方もあるでしょう。それも、自分で自分の制服「マイ制服」を決めればいいだけのこと。誰かが決めたものを着る必要なんてないはずですよね。

新型コロナウイルスが人間の「衣」に与える影響として、マスクのように半ば強制されるものがある一方で、着るものを選ぶ自由も増えるのではないかと思います。


【若林健一 / kwaka1208】
https://crssrds.jp/aboutme/