ローマでMANGA[160]ローマでコロナ その9 行きつけの美容院はまるで手術室
── Midori ──

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ローマ在、マンガ学校で講師をしているMidoriです。私の周辺のマンガ事情を通して、特にmangaとの融合、イタリア人のmangaとの関わりなどを柱におしゃべりして行くのが普段ですが、この時期、周りのコロナ情報をお伝えします。




●ロックダウン解除!

5月18日にイタリア全国で自粛が段階的にだけど解除された。友達に会いに行っていい、ピッツェリアやレストランは基準を守って客を店内に入れて良い、床屋美容院も基準を守って営業してよい。出かけるときに、自己申告書を持ち歩かなくてよい。

早速、旦那の友人が三人ほど、続けざまにコーヒーを飲みにきた。まぁ、コーヒーを飲みに、というのはおしゃべりしに、と言う意味だけど。あ、実際にコーヒーはご馳走するけどね。

旦那が床屋に行って髪を刈ってきた。息子が友達とピッツァを食べに行き、パブにも行って二ヶ月ぶりに午前様で帰ってきた。

息子が友達と出かけた夜、旦那と二人で近所のレストランへ食事をしに行った。車からレストランまで数歩だったけど、一応マスクをした。旦那は外科用マスク。私はYouTubeで見た、靴下を4回切るだけの簡単お手製マスク。


こういう感じ
https://photos.app.goo.gl/ttaccEEwPxGzFcCc7

住宅街にあるこじんまりしたレストランで、客は家族五人のひとかたまりと、私たち二人。家族と私たちは当然、離れたテーブルに座った。

コックさんとフロア担当の二人でやっていて、二人とも黒いマスクをしていて、なかなかかっこいい。マスクの片側に白で名前が入っている。
https://photos.app.goo.gl/zi3ghQ9Gok23syvd9

もう、マスクのおしゃれ、がトレンドになっていくのかもね。

毎日炊事に疲れていたし、料理は超美味しかったし、満足。

●美容院にて

自粛解除を私も体験した。美容院に行ってきた。

かかりつけの美容師チンツィアさんは、一人でやっている。美容師が一人の店では一度に一人の客。もともと予約制で、自粛緩和が言われ始めた5月初めに、客に連絡を取り始めて準備をととのえた。

優先するのは白髪隠しでヘアダイの客。時間がかかるし、二か月以上白髪を伸ばしていたら、いかにも放ったらかしのだらしない雰囲気を漂わせてしまう。私はその前に白髪隠しをやめて、白髪見せにしてたから「被害」は少ない。

私の予約は26日。その時間に行くと、ガラスドアが開いていたので、「チャオ、チンツィア!」と挨拶しながら入ったら、「ちょっと待って!」と慌てて私に近寄ってきた。よく見ると足元に今までなかったマットが敷いてある。入店準備ゾーンだ。

マスクは着用済み。使い捨て手袋を苦労してはめつつ、足にビニールカバーを履く。封印したビニール袋から、使い捨てのハッピ型ガウンを取り出して着る。

そうこうするうちに手袋を嵌め終わったので、もらった消毒液を手袋の上から刷り込む。持っていたバッグをビニール袋に入れる。足元にシュッシュッと消毒液をかけられて、入店準備完了。まるで手術室に入る感じ。

チンツィアはおしゃれな黒い地に、美容師の道具のハサミやドライヤーが白で描いてあるマスクをしてる。黒いタンクトップに黒いボトム、黒いエプロンもおしゃれ。

店の人がおしゃれなのはいいよね。彼女の一生懸命さが伝わる。黒がやっぱりお洒落なのか。黒マスクは必須アイテムになるのか。

洗髪が済むと、鏡の前の椅子に移動する。椅子の背には透明のビニール袋がかぶせてある。椅子は三つあり、真ん中の椅子にはカバーがない。二人入れるようになっても、客同士を隣り合わせには座らせないのだろう。

タオルで頭を包んだまま椅子に座る。カットに取り掛かる前に、チンツィアは手早く洗髪に使った台を洗い、消毒剤をシュッシュッとかける。

「隅から隅まで、使うたびに洗うからこれまでなかったほどにきれいな店になってるでしょ」

これまで、汚くしていたわけではないが、一人でやっているので、お客が立て込むと、営業中は掃除が行きどかない部分が出ることはあった。

チンツィアの片目の白目部分が赤い。医者に行ったら眼球や眼底に異常はなく、疲労とストレスが原因だろうのこと。営業を再開してから二週間、毎日ヘアダイなどの「重い」仕事をしたので、経験したことのない疲労を感じてるそうだ。

透明のビニール袋から使い捨ての大型エプロン(というか、髪を服につけないための上っ張りね)を出して私にかける。

外科の道具のように消毒して袋に入ったハサミを取り、これまた消毒して袋に入ったクシを取り出す。

カットの時にチンツィアさんは、マスクの上から透明のフェースカバーをつけた。すぐ忘れちゃうのよね、と言っていた。

マスクしてるんだからいいじゃない、と言ったけど、店はガラス張りなので外から丸見え。パトロールに見られて余計な騒ぎを起こしたくないとのこと。

左が短く、右がやや長いアンシンメトリーの髪型にカットを終え、ちゃんとセットもしてさっぱりした。これで2時間。

自粛期間前より3ユーロほど高くなってる。店の消毒や使い捨ての様々に、お金がかかるから仕方ないね。その代わりと言ってはなんだけど、簡易マスクを持っていっていいよ、と言ってくれた。これからも、マスクはいくらあってもいいだろうから、ありがたくもらってきた。

●そうこうするうちにさらに解除が進む

6月2日はイタリア共和国誕生の日だ。いつもはフォロインペリアーり通りを、コロッセオからベネツィア広場へ向けて、イタリア軍のパレードがあるのだけど、今年はない。

ベネツィア広場の「エマヌエレ二世記念館」は、別名「母国の祭壇」と呼ばれ、イタリア統一およびその後の戦争で、国のために戦って亡くなった人の追悼記念碑なのだ。

そこの階段に儀礼兵が並び、大統領が挨拶に来て、黙祷のラッパが鳴り終わると、すかさずベネツィア広場の上空を9機編成のアクロバット飛行隊が、緑白赤のイタリア国旗の色の煙を吐いて飛んで、ローマ旧市街上空を一周した。


そして翌3日から、州を出て移動して良いことになる。6月2日の後にしたのは、連休になってしまってるから、この機会にどっと移動する理由を与えないようにしたのだろうね。

飛行機も国内線と欧州内の何便かは、就航するようになった。熱を測ったり、チェックインの列も安全距離を保ったりで、コロナ以前より搭乗するまで時間がかかりそうだ。

季節が良くなって、6月に学校が就業するとバカンスに出かける人も出てくる。サルデーニャ島は透明度が高い海が人気で、毎年、世界中から観光客が押し寄せる。感染者ゼロなので。観光客がきてくれるのはありがたくもあり、迷惑でもあり、という感じらしい。知事はコロナパスポートを作ってくれと国に要請していた。どうもそれは実現しないらしいけど。

ともかく、サルデーニャに入る場合は、空港や港で熱を測ることはもちろん、行き先をはっきりさせて、追跡できるようにするらしい。

そうそう、高校最終学年の卒業試験は、いつもは論文形式の筆記試験と口頭があるけど、今年は口頭だけ、とようやく決定があった。

リモートで、生徒に目隠しさせて(カンニング予防)口頭試験、とか色々案が出ていたけど、時間差で登校させて対面で口頭試験のみ、ということに落ち着いた。

●少しづつ外出

解除だーーー! と、ミラノで若者がマスクもつけず、安全距離も保たずに集まったとニュースになってた。警官がそばを通っても注意しなかったとか。

ウィルスが全滅しての解除ではないし、「マスクなんて意味ない」とか、「私は大丈夫」とか勝手に言い張る人もいるので、自衛をしっかりしつつ、旦那と外食、美容院と続いて、今度の週末に友人が持つアブルッツォ州(日本の山梨県の感じ。長細いイタリアの背骨にあたる山脈に近く、イタリアの中程にあるローマから車で2時間程度の距離)の別荘(小さいアパートだけど)に遊びにいくことになった。

その次の週には、私の友人カップルとローマ独特の「フラスケッタ」という居酒屋風の、主に豚の丸焼きが名物の店にいくことになっている。

全面的に元どおりになる気がしないけど、ウィルスと共存しつつ、そのおかげで始まった新しい社会生活のあり方をみんなで模索して行こうよ、と思う。

【Midori/マンガ家/MANGA構築法講師】
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