[5032] リモート授業の巻◇フォントおじさん還暦を迎えるの巻

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《今こそきれいごとが大事なのだ》

■わが逃走[262]
 リモート授業 の巻
 齋藤 浩

■もじもじトーク[131]
 フォントおじさん還暦を迎える の巻
 関口浩之
 



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■わが逃走[262]
リモート授業 の巻

齋藤 浩
http://bn.dgcr.com/archives/20200618110200.html
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複数の機関でデザイン教育らしきものに携わっている。今年から担当する授業が増えたこともあり、楽しく充実した毎日だ。しかし、使い方がわからなくてビビる。なんの使い方かといえば、リモート授業システムの使い方だ。

デザイナーなので、デザインについてはなんとか答えられるよう努力している。しかしそれ以前、ヒトとコミュニケーションをとるために、なんでいちいちインターネットにつないで、パソコンを介して話さねばならんのかね!

まさか、ヒトと会えない世の中がやってくるとは、誰が想像し得ただろうか。反語。そんなわけで、多くの業界で、多くの人々が、慣れないリモートワークにあたふたした2020年春。

他に選択肢がないんだから、やらないわけにはいかん。また、実際やったらできちゃった、という人多数。

さて私はといえば、パソコンとかインターネットとかいったものが苦手である。

いちおうこの話は『デジタルクリエイターズ』というところに連載されているのだが、わたしゃデジタルが得意ではないのだ。

ちなみに私はデザインのプロだが、これはデザイナーとして一定以上の結果を出している、また日々精進しているということを意味しいるのであり、オレはデザインが得意だぜ、というのとはまったく違う話なのである。

で、つまり何が言いたいかといえば、リモート授業はわからないことだらけで、非常に戸惑っている。

先生も学生も運営側も初めてのことなので、みんなが戸惑っていることと思うが、戸惑いっぷりにかけては人一倍自信がある。

もっとも心配なのは、果たしてこの板っきれ(ノートパソコン)の向こう側に本当に学生がいるのか、ということである。

そう信じて語り続けたあげく、実は誰もいなかったりしたら、その喪失感たるや相当なものだ。

逆もまた恐ろしい。

その向こう側に学生がいると気付かず、見られてはマズいもの(例はとくに省略)が、白日のもとに晒されていたとしたら! そう考えるだけで夜も眠れないのである。
人は必ずミスをする。早くこの状況が収束してくれることを祈るばかりだ。

良いところもある。映らないものは届かないという点だ。下がフルチンでもバレない、加齢臭がバレないなど。とはいえ、その程度である。

なのでもう一度言おう、人は必ずミスをする。早くこの状況が収束してくれることを祈るばかりだ


【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられ
ないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィ
ックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■もじもじトーク[131]
フォントおじさん還暦を迎える の巻

関口浩之
http://bn.dgcr.com/archives/20200618110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。

2週間ぶりに東京メトロ東西線に乗りました。テレワーク生活を開始して2か月半になりますが、月に2回ほど電車通勤しています。電車の混雑が、新型コロナ前の混み具合に、少しずつ、近づいてきたような気がします。

●アフターコロナで過去の日常に戻るのか?

「緊急事態宣言が明けてから、以前の日常に戻りつつあるね」という会話を、最近、耳にするようになりました。でも、アフターコロナは「過去の日常に戻る」ということではありません。

たとえば、僕の大好きなとんかつ屋さん『マ・メゾン』では、満席になっても、以前の半分ぐらいの席しか座れません。みんなが安心して食事ができるよう、いつも笑顔の店長やスタッフが、さまざまな除菌対策のもと、普段の数倍の気配りをしているのがよくわかります。

その結果として、僕らは安心して食事を楽しむことができるのです。頑張っているお店のスタッフに感謝です。

そして、スーパーやホームセンターの買い物では、ソーシャルディスタンスが当たり前の生活スタイルになりました。無印良品では入場制限もあるし、会計を済ませて出口へ向かう導線が一方通行で、対面接触を極力さける工夫がされています。

レジでのクレジット決済では接触を避けるために、カード端末機に自分でカードを読み取らせるスタイルが一般的になりました。

今でも、週に一、二回しか外出してないですが、新しい生活様式がどんどん生まれています。コロナ前の、過去の日常に戻っているのではありません。

新しい生活様式や行動様式では、手間が掛かることや面倒くさいことが発生することが多いですね。そして、今までは目にしなかったビニールシートがあちこちに垂れ下がり、違和感のある景色が広がっています。

しかしながら、これらの手間の掛かる手続きや違和感は、時間の経過とともに、見栄えのいい製品が開発され見た目も美しくなり、ITやAIの力を借りて効率の良い仕組みに置き換わっていくはずです。

世の中が、安全で健康に暮らせるのであれば、多少の違和感は許容できるし、不便なところはすぐに改善されて、気にならなくなると思います。

これを良い機会と捉えて、エコロジーな生活、持続可能な社会、すべての人にとってアクセシビリティな社会が、自然な形で進んでいくと期待しています。期待するというよりも、ひとりひとりが行動しなくっちゃ、ですね。

●マインドセットのバージョンアップ

生活様式や社会基盤の変化は目に見えるので、それらへの適応は自然と進むと思っています。社会や生活様式が変容している中で、「個々人のマインドが変革すること」と「人類の考え方が変容すること」が、いま、一番大事なことではないでしょうか。

「マインドセットをバージョンアップしよう!」というメッセージを、数日前に、日本マイクロソフトの澤円(Madoka Sawa)さんの講演で耳にしました。

まさに、その通りだなと思いました! イエスキリストの風貌で有名なエバンジェリストの澤さん、大好きです。

さて、「マインドセット」という言葉は、数年前からよく耳にするようになりましたが、ウィズコロナ時代、そして、アフターコロナ時代において、とても大切な概念なのです。

「マインドセット」を調べてみると、グロービス経営大学院のWebページの説明が、分かりやすかったです。

マインドセットとは?
https://mba.globis.ac.jp/about_mba/glossary/detail-12011.html

マインドセットとは、いままで経験してきたことや学んできたこと、そして先入観から形成された思考や心理状態などを多面的に捉えた考え方であり、価値観や信念なども含まれます。

今、まさに、自然との共存、多様性の許容、さまざまな価値の創造が求められています。アフターコロナの時代においては、過去の成功体験は、何の役にも立たなくなる可能性さえあります。

だから、想像力をフル回転させて、「自分のマインドセットをバージョンアップすること」が大事なのです。自分をバージョンアップさせるのって楽しいよね!(この、おおらかな前向きさが大事なのです……w)

●きれいごとでいいじゃないか!

マインドセットは、個人では生き方に関わる根本的な思想だったりします。会社ならビジョンに関わる基本的な考え方だったりします。だからこそ、それをバージョンアップすることは、相当な熱量や情熱が必要なのです。

ソフトバンクの孫正義が20年前ぐらい前から、「情報革命で人々を幸せにする」って言葉を熱く語っているのを、何百回も見聞きしてきました。

なんか胡散臭いなとか、きれいごとじゃんとか言う人もいますが、これこそが、いま、さまざまな会社が取り組んでいるAIやITを活用した新しい行動様式の製品開発だったり、サービス開発だったりします。

きれいごとを否定することが大好きな人も少なからずいますが、それは、ダークサイドに落ちてもいいということなのかもしれませんね。

もし、きれいごとを本当に実現できるなら、素晴らしいことです。多様性が求められ、誰もが健康で幸せな世界を求められる今だからこそ、きれいごとが大事でなのです。

それを口先だけでなく、本気で情熱を注げる人間が、アフターコロナで求められている人物像だと思います。

●フォントおじさん、還暦を迎えるの巻

先週、60才になりました。誕生日メッセージをたくさんいただき、ありがとうございます。

60回目の誕生日は、フォントおじさんにとって、日常の単なる通過点と思っていたので、普段と変わりない一日でした。赤いちゃんちゃんこは着ませんでしたよ(笑)

でも、一昨日、「赤いフォントおじさんTシャツ」と「赤いフォントおじさん帽子」を仕事仲間からいただきました。早速、着替えてみました。ジャーン!
https://bit.ly/mojimojitalk131

新しい制服が増えました(笑)

ここ10年、日本のどこかのイベント懇親会で誕生日を迎えることが多かったのですが、今年はアニバーサリー休暇をとりました。

午前中は健康診断に行って、午後はとんかつ屋さんで美味しいヒレカツを食べて、その後、コージーコーナーのケーキを買って、自宅でお祝いしてもらいました。これこそが、ウィズコロナにおける最高の、そして幸福なイベントだと思いました。

今月末で定年退職を迎えますが、来月から『フォントおじさん第二章』として、引き続き、活字やフォントの伝道師として、バージョンアップした活動を再開したいと思っています。

フォントおじさんのマインドセットもバージョンアップして、学びとチャレンジの一年にしたいと思います。みなさん、これからもいろいろ教えてください。フォントおじさんをいじくったり、楽しく一緒に遊んだりしてください。

では、二週間後に、また、お会いしましょう。


【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之(フォントおじさん)
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1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研(現SBテクノロジー)へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この25年間、数々の新規事業に従事。現在、活字や文字の楽しさを伝えるフォント伝道師(エバンジェリスト)、フォントおじさんとして活動。


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編集後記(06/18)

●偏屈BOOK案内:山名美和子「本能寺前夜 明智光秀の苦悩と真実」

またまた読んでしまった明智光秀。サブタイトルに「苦悩と真実」とあるが、光秀モノには、真実「のようなもの」しかない。光秀について残る史料は少ない。出生地や家柄、前半生は謎のままである。「謀叛」ゆえに述べ伝えることを避け、史料の多くは隠され、あるいは打ち棄てられたのだろうと筆者は考える。本能寺の変は謎に満ち、動機も諸説あり、確かなことは以下の6つくらい。

1)まだ敵地である出雲/石見領の代わりに近江志賀郡/丹波を召し上げるという命令への憤り 2)出雲/石見に国替え(左遷)になればこれまでの尽力にかかわらず政権中枢から遠ざけられるという焦り 3)秀吉の指揮下に属する屈辱 4)秀吉との果てない出世競争の疲労 5)高齢期に入ったわが身も追放されるのではないかとの不安 6)信長が四国政策を武力攻撃に転換したことへの怒り

さらに信長は、天皇大権へ介入し、守るべき幕府を滅ぼし自らが征夷代将軍になろうとしていた。これらすべてが天正10年6月2日に集約された。光秀の誤算は4点ある。1)瀬田橋を落とされたため安土城に入るまで5日間を要し、実戦、情報戦に遅れる大失態 2)人望がなく与力衆の結集が不可能 3)足利義昭にアクセスできず 4)秀吉の「中国大返し」上洛を予想・対応できなかった

最大の誤りは、光秀が千載一遇のチャンスをとらえて、単独で突発的に謀叛を決行、その後の策を殆ど講じていなかったことにある。以上は納得できるが、とくに目新しい視点とは感じられない。むしろ、近年の研究で信長像が書き換えられているという指摘が気になる。信長は旧秩序を覆す革新的な「天下統一」ではなく、国内を統治、安定させる「天下一統」をめざしたというのだ。

江戸時代の軍記物に、光秀は革新的な信長とうまくいかずに謀叛を起こした、真面目な知識人として描かれた。だが残虐だけを取り上げれば、光秀も同様であり、信長の政治理念「天下静謐」を率先して実行している。刃向かう勢力には容赦なかった信長だが、光秀はそんな信長を諫めたり止めたりはしていない。

宣教師ルイス・フロイスの「日本史」にある光秀評では、「刑を科するに残酷で、独裁的でもあったが、己を偽装するのに抜け目がなく、戦争においては謀略を得意とし、忍耐力に富み、計略と策謀の人であった」。まさに光秀は『もう一人の信長』だったのだ。光秀の言葉と伝えられているものがある。「仏のうそは方便という。武士のうそは武略という。土民百姓はかわゆきことなり」

本能寺の変は謎に満ちており、動機についても諸説あり、日本史マニアにとっては御馳走のひとつだ。光秀の信長への怨恨説、朝廷や足利義昭、羽柴秀吉、徳川家康など黒幕がいたとする説(ルイス・フロイスを黒幕という人さえいる)。秀吉へのライバル意識によるという説、光秀の野望説、光秀の不安・気鬱説、光秀の暴君討伐説などバラエティ豊かである。私は秀吉が最も怪しいと思う。

「ときハ今あめか下知る五月哉」は、光秀が本能寺で信長を討つ3日前に愛宕神社で連歌会を催したときに詠んだもので、クーデター宣言だとして知られるが、できすぎた話だと思う。好きだけど。光秀の子女は3男4女説、6男7女説などあるが俗説ばかり。細川ガラシャは実在。いずれにせよ明智光秀は使い勝手がいいので今後も関連本は続く。いいとも、対応しようではないか。(柴田)

山名美和子「本能寺前夜 明智光秀の苦悩と真実」2019 SBクリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4815602816/dgcrcom-22/


●斎藤さんの授業は面白そうだなぁ。/関口さん、還暦おめでとうございます!

/携帯電話はあと10年の続き。スマホに切り替えなかった一人は、それで事足りるからで、スマホにすることで固定費が上がることを嫌がっていた。仕事や家庭でもPCを使える状態であった。

それでもテレビのスマホ講座なるもので、来たる日のためにと勉強もしていて、持ってるけど詳しくない人のスマホを操作していたりした。

私は「携帯電話は残るだろうし、無理に覚えなくてもいいかも、逃げ切れるかも」と言っていたが、以前伯母の付き添いで携帯キャリアショップに行き、カウンターでスマホに切り替えている高齢者の親ら(たぶん80代)を見て驚いてもいた。

10年前に親にスマホを持たせた人の話は、「いずれスマホばかりになるなら、少しでも若いうちに持たせて、慣れさせた方がいい」だった。(hammer.mule)