Otakuワールドへようこそ![333]「意識の仮想世界仮説」でコンピュータに意識が芽生えるか?
── GrowHair ──

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「意識の仮想世界仮説」を提唱し、これを組み込んだソフトウェアを開発すれば、コンピュータに意識を宿らせることができる、と主張する人がいる。田方篤志氏(株式会社ロボマインド 代表取締役)である。

日本の企業で、コンピュータなどの人工物に意識を宿らせることを目標に掲げているところが、私の知る限り、三社ある。

(1)株式会社アラヤ(2013年設立、代表取締役:金井良太)
(2)株式会社 MinD in a Device(2018年設立、代表取締役 CEO:中村 翼)
(3)株式会社ロボマインド(2009年設立、代表取締役:田方篤志)

上記3社について、Qiita の記事としてまとめてくれた人がいる。

◆「意識の仮想世界仮説」ってナンだ?
  https://qiita.com/tshimizu8/items/7c75bffdbb8a5193a91c

2020年05月23日に更新
Qiita
「意識の仮想世界仮説」ってナンだ?
清水 素釘武 @tshimizu8





MinD in a Device 社において、意識を生み出す方法論を編み出す、根幹部分を担当するのは、技術顧問・渡辺正峰(まさたか)氏(東京大学 准教授)である。

渡辺正峰(著)
『脳の意識 機械の意識 ― 脳神経科学の挑戦』
中央公論新社(2017/11/18)
https://www.amazon.co.jp/dp/4121024605/dgcrcom-22/

私は、金井氏と渡辺氏には何度もお会いしていて、よくぶしつけな質問をずけずけと投げかけては、深いお話を聞かせていただいている。しかし、田方氏とは、リアルでお会いしてごあいさつしたことは、まだない。けど、そうとう接近してきてはいる。

2019年10月6日(日)、Facebookで田方氏から友達リクエストが来て、すぐに承認した。メッセージによると、「最新の意識科学について、一番分かりやすく解説してもらっていて、いつも、非常に勉強になります」とのことで、デジクリの私のコラムを読んでくださっているようだ。

また、「シンギュラリティサロンで何度か拝見してるのですが、なかなか、声をかけることができず」とのことで、実地でも近くにいたんじゃん。

ひとたび「意識の謎」に意識を捉えられてしまうと、読むもの、聴講する講演、つながる人がだいたい似てきちゃうんだな。意識業界、狭いなぁ。

6月14日(日)、オンラインで開催された勉強会で、画面越しにではあるが、田方氏と対面してごあいさつすることができた。勉強会を主催するのは清水素釘武氏。意識の会社3社を整理してくださった方である。清水氏ともシンギュラリティサロンでお会いしていて、Facebookで友達になっている。

清水氏は、田方氏の「意識の仮想世界仮説」にしたがって、実際にプログラムをコーディングしている。この勉強会では、清水氏から、そのプログラムについて、プレゼンがあった。

◆日本Androidの会 秋葉原支部ロボット部 第93回勉強会
 https://akbrobot.connpass.com/event/177154/

名称:日本Androidの会 秋葉原支部ロボット部 第93回勉強会
日時:2020年6月14日(日)2:00pm~6:00pm
会場:ZOOM ミーティング
主催:日本Androidの会 秋葉原支部ロボット部
協賛:Forkwell(株式会社grooves)https://forkwell.com/
   ソニー株式会社
後援:秘密結社オープンフォース・日本Androidの会 原子力部
参加費:無料
定員:50名

田方氏は、2019年12月23日(月)から、人工意識の作り方にまつわるスピーチ動画をYouTubeに上げている。2020年6月24日(水)時点で、50本の動画が上がっている。チャンネル登録者数は446人。

◆AIに意識を発生させるロボマインド・プロジェクト
 https://www.youtube.com/playlist?list=PLnjPVOrMzROHYPFj_QSQaQGKvo77sLO0t
 https://www.youtube.com/channel/UCF7k8BrfIwPSennLMByxyuQ

2019年12月23日(月)~
YouTubeチャンネル
AIに意識を発生させるロボマインド・プロジェクト
田方篤志氏(株式会社ロボマインド 代表取締役)

私は50本、ぜんぶ見てきた。今回は、これをご紹介し、コメントしたい。

余談だが、もう一社、「株式会社Daisy」という会社があるにはある。代表取締役CEOをFacebookで見つけた。「全脳アーキテクチャ・イニシアティブ」の代表である山川宏氏などと、友達になっている。
ちゃんとした人だと思い、私からも友達申請を送った。2019年10月7日(月)1:18pmのこと。

ところが、2020年1月15日(水)、東京大学を懲戒解雇されている。理由は、ツイッターへのヘイトスピーチ投稿である。ヤバい、ヤバい。関わっちゃダメな人じゃん。見なかったことにしとこっと。

●現段階では海のものとも山のものともつかない

田方氏は、意識の問題について20年来考えてきたと言うだけあって、意識に関する本をよく読み込んでいて、知識豊富である。また、脳科学や人工知能(AI)の歴史を概観し、何が解き明かされ、何が未解決なのかをよく把握している。

早世した天才数学者、アラン・チューリング氏の、果たせなかった夢を引き継ごうと志しているな、という感じが伝わってくる。私が「チューリング・チルドレン」と呼んでいる人たちのくくりに入れてよかろう。

関連する諸概念、例えば、自然言語処理、ディープラーニング、汎用人工知能、チューリング・テスト、フレーム問題、記号接地問題、クオリア、意識のハード・プロブレムなどについて、平易に解説している。

簡潔で説明の要領がよく、たいへん分かりやすい。難解な概念について、専門外の人にも理解できるように説明できるのは、頭がいい証拠だなぁ、という印象をもった。

言葉がなめらかで、ときおりかますギャグも、そこそこおもろい。意識について基本的なことを知るための、チュートリアルとしてはたいへんよい。

ただ、拡げた風呂敷の広大無辺さに比べて、聞いて目から落ちた鱗の枚数が大したことなかった。

今まで、脳科学者や人工知能研究者が、意識の謎を解明しようとしたり、意識を人工物に宿らせようとしたりして、何十年にもわたって苦心してきたが、成功していないのは、まるっきり見当違いの山に登っているからだ。掘っても掘っても宝を掘り当てられなくて当然だ。

自分ひとりだけは、正しい山にとっついている。解決困難あるいは不可能とされている諸問題は、私の中ではすでに解けているのだ。……という調子。こういう挑発には、けっこうイラつく。

田方氏の提唱する「意識の仮想世界仮説」について、概略はだいたい分かった。しかし、概略しか言っていない。それを聞いたからといって、じゃあ、あとは、その要件定義にしたがって、プログラムをコーディングする作業を進めれば、一年ぐらいの見当でソフトウェアが完成し、人工意識が誕生するんだね、という感じがぜんぜんしない。

概略は分かったから中身を早く言えよと、じれったくなる。肝心な答えをいつ言うんだよと、じりじりしながら50本の動画を見るのは、けっこう辛抱が必要だった。

それに、その仮説って、新しいか? という疑問もある。自分と外界を分離したモデル、というのは、強化学習の土台となっている環境 vs.エージェントモデルと違うのだろうか。このモデルは、カール・フリストン氏の「自由エネルギー原理」でも土台に採用している。

田方氏の「仮想世界」とは、フリストン氏の「外界の状態の推測値」のことではないのか? また、「想像仮想世界」は「未来の推測値」のことではないのか?

エージェントが、外界の状態の推測値を内部で保持する際、世界を3DCGモデルで記述するのがよかろう、というのは、渡辺正峰氏が言ってなかったっけ? また、意識は脳や機械のハードウェアそのものに宿るのではなく、アルゴリズムに宿るのだと、同じく渡辺氏が言っていなかったか?

奇想天外な構想ではまったくなく、正攻法であろうという感じはするけど。聞いて、「ポン! その手があったか!」と膝を打つような驚きはまったく得られなかった。

人工意識を作ることの困難さを、まだそうとう楽観しているようにみえることから、現段階では、構想はだいたい固まったけど、実装の作業は、まだとっかかりぐらいなのではないだろうか。ほんとうの困難に直面するのは、きっとこれからだ。

試しに作ってみたら意外と簡単にできちゃった、なんてことはまず起こりえない。結局、非常に難しい数理問題を解かなくては突破できない、と気づくのではなかろうか。その問題とは、従来からさんざん言われている記号接地問題などであろう。

人工意識の完成はほぼ目前だと、ずーっと言い続けていながら、何年待ってもちっともアウトプットが出てこなくて、「ノストラダムスの大予言」みたいなことになりはしないだろうか。

いやいや、しかし、そう決めつけるのもよくない。動画は100本上げるつもりでいるそうで、いま、ちょうど半分だ。アイデアの核心は軽々しく開示しないけど、ちゃんと裏で考えていて、勝算はあるのかもしれない。ジャッジは保留にして、ゆるく見守っていよう。

●意識について、ケバヤシ流で整理する前提知識

田方氏の主張内容をまず真っ先にご紹介したいところではあるが、いきなりそこに立ち入るには、心配な点がある。特に、意識まわりの話題では、用語の意味が統一されていなかったり、前提とすべき知見が共有されていなかったりすることによる混乱が起きやすい。

この文章の中に限って、私はどういう意味で用語を使い、どういう知見を前提として使います、というのをあらかじめ宣言しておきたい。

〇「意識」と「クオリア」という用語の定義について

「意識」にせよ「クオリア」にせよ、純然たる主観的現象に属する概念である以上、現時点における、客観を旨とする科学の言葉を用いて、明確に定義しようとしてもうまくいっていない。定義するのはあきらめて、共感的理解を求めて説明的に言うしかない。

意識(consciousness)とは、主観的体験であり、覚醒時にはあって、全身麻酔がかかっている状態や、死んでいる状態においては失っているアレのことである。浅い睡眠時、夢をみている状態においては、意識はあるものと考える。

意識がある(conscious である)ことによって起きる、具体的な主観的「現象」のひとつひとつがクオリアである。逆に言えば、クオリアがひとつでもあれば、意識があると言える。

クオリアは二種類に大別できる。

(1)志向的クオリア

「私」という感覚。自分が何をしようとしているか、何をしているかを分かっている (気づいている)状態。メタ認知。

(2)感覚クオリア

いわゆる赤の赤さ。痛みそのもの。視覚クオリア、聴覚クオリア、触覚クオリアなど、単なる情報伝達・保持ではなく、ありありとした感覚を伴った意識体験

科学の言葉でちゃんと定義できていない以上、意識を科学の対象として取り扱うべきではない、と厳格な意見を述べる科学者もいる。ごもっとも。

が、私はその立場ではなく、まだ地中に埋もれていて、これから掘り出して堂々と科学のマナイタの上に載せることができる、科学のタネぐらいにはなっているだろうと思っている。

また、現時点においても、科学の側から取り扱うための、とっかかりぐらいはあろうだろうと考えている。

〇意識の「第一人称性」という性質

意識にまつわる重要な性質のひとつに「意識の第一人称性」がある。今のところ(あるいは本質的に永久に)、ある主体が宿している意識そのものを、他者あるいは測定装置が、直接的に観測する手段はない。

また、他者に意識が宿っているかどうかを、直接的に判定する手段はない。言い換えると、「哲学的ゾンビ」(あるいは「現象ゾンビ」)は見破れない。

間接的になら、脳活動をfMRIで観察するなどの手段はあるけれど、それはあくまでも脳の物理的な現象を見ているのであって、主体の宿している主観そのものを見ているわけではない。

また、本人が「いま、何々が見えています」と自己申告すれば、その事実は観察可能だが、「申告内容を信じれば」という「但し書き」つきであって、やはり間接的に他人の主観を見ていることになる。

〇「意識のハード・プロブレム」について

「意識のハード・プロブレム」とは、次のような問いである。

脳といえども、物質であることに違いない。物質であるからには、物理法則に厳密にしたがうはずである。いわば、機械のようにしか動作しえないはずである。本質的に、人間と機械を分かつ壁は存在しないと考えられる。なら、その物質、あるいは、機械である脳に、いかなるメカニズムによって、意識が宿るのか。派生的な問いとして、人工物に意識を宿らせることは可能か。

そもそも他者に意識が宿っているかどうかを、どうやって判定しうるのだ、という問いも裏に隠れている。

〇人工意識は作れるか?

機械のような人工物に意識を宿らせることは可能か? これは、自然に湧いてくる問いではある。しかし、この問いを意味のあるものにするためには、主語が人であっても人工物であっても意味が成立するように、意識を定義しなおさないとならない。

「全身麻酔下で失うアレ」などと言っていたのでは、じゃあ、コンピュータを麻酔で眠らすことができるのか、というナンセンスな話になってしまう。

しかしながら、意識をちゃんと定義できたら、意識の謎を半分解けたも同然、みたいなところがあって、非常に難しい。

それはそれとして、人工意識に関して、二つの課題がある。

(1)どうやったら人工物に意識を宿らせることができるか
(2)人工物に意識が宿ったかどうかを、どうやったら確認できるか

両方とも未解決である。

〇「意識」と「知能」との区別

知能は知能で、これまた、ちゃんとした定義があるわけではないのだが。

「晩飯にカレーライスが食いたい」と言えば、スーパーなどに行って、必要な食材を買い集めてきて、作ってくれるメイド・ロボットがいたら、知能が備わっていると言えるだろう。

また、雑談の相手を延々と続けることができて、日が経つごとに、この相手は私のことをだんだんよく理解してきている、と実感できるなら、知能が備わっていると言えるだろう。

意識と知能は、概念的に別物であって、区別すべきである。思考実験的にではあるが、意識があって知能がない状態や、その逆の状態を、想定することができる。

ヒトの幹細胞を試験管内で培養して作った「脳オルガノイド(組織構造体)」から脳波が検出されたという研究報告がある。このことをもって、直ちに、オルガノイドに意識が宿ったと結論づけることはできないが。

しかし、思考実験的に、次のような状態が想定しうる。すなわち、外界との間に情報の入出力がいっさいなく、また、外界に対して何の機能も提供していない主体において、意識を宿している状態。外界のありようと無関係に、もや~んとした、抽象的な夢を見つづけているような状態。

「純粋意識」とでも呼べばよいか。これが、意識があって、知能がない状態の例である。

◆人工培養された小さな脳がヒトと類似した脳波を発生
 https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2019/09/post-12908.php

2019年9月3日(火)18時30分
Newsweek 日本版
人工培養された小さな脳がヒトと類似した脳波を発生
松岡由希子

逆に、ある猫耳メイド・ロボットが、家事や雑談相手など、人間に対して気の利いた機能を汎用的に提供してくれているけれども、その実、何のクオリアも宿していないという状態を、思考実験的に想定することができる。

これが、知能があって、意識がない状態の例である。哲学的ゾンビ。

覚醒状態の人間には、意識も知能も備わっている。原子や分子の一個一個や、河原の石ころには、どちらも備わっていないと考えるのが妥当そうである。

意識と知能のあり・なしの全組合せが想定しうるということは、両者は概念的に別物であると考えるべきであろう。

ぬるめの燗酒と炙ったイカは別概念ではあるが、互いに関係が深い。同様に、意識と知能は別概念ではあるが、無関係ではありえない。

ある程度高い知能には、グリコのおまけのように、もれなく意識がついてくる、と考えるのも、仮説としてはアリだ。即座に否定できない一方、検証するのもたいへんそうだが。

脳内BGM:八代亜紀『舟歌』

これを信じるのであれば、意識研究をそっちのけにして、汎用人工知能の開発に注力していても、人工意識への道が開けることになる。しかし、そこは自明ではないという点に注意が要る。

前置きが長くなったが、本題に入ろう。と思ったが、さすがに前置きが長すぎた。次回に送ります。


【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/

【問題】お金を得票数に変換する関数を求めよ

よく分からない。国会議員が、選挙の際、地元議員や後援会幹部に票の取りまとめを依頼して現金を渡した疑いがかけられているが、票の取りまとめって、具体的には何をするのだろう。どうしたら、お金を得票数に変換できるのだろうか。

有権者一人一人に現ナマを配ったりしたら、いくら「内緒でよろしく」と言ったって、ついついしゃべっちゃって、すぐバレるのではなかろうか。それともアレかい? そんなの日常的に横行してて、誰も何とも思わなくなってるとかかい?

賭け麻雀がバレた東京高等検察庁検事長が、懲戒処分を受けずに訓告に終わったのは、点ピンというレートが、社会の実情をみて高額とは言えないという法務省の判断に由来するらしい。

一票あたり5000円ぐらいまでなら、社会の実情をみて高額とは言えない、みたいな判断だろうか。

もうひとつ、分からない。党本部が、当時の候補者に1.5億円の資金を提供したのは事実とされる。一方、選挙運動費用の上限が公職選挙法で定められており、せいぜい5000万円程度である。

実際、帳簿上の支出額は、この範囲内に収まっている。じゃあ、資金提供した際、どのような用途に使われることを意図していたのだろうか。

せいぜい美味しいもんでも食べて、英気を養ってほしいと思っていたのに、まさかそんな汚い使い方をしやがるとは、という立場なのだろうか。

ところで、こんなツイートがある。2ショ写真つきだ。

河井あんり @official_anri
つい何週間か前、会うと幸せになれるという「セーラー服おじさん」に遭遇したので、皆さんにも幸せをお裾分けします。おじさんのスカートは案外短かった。ビール飲んでたから多分未成年じゃない。
#セーラー服おじさん #広島
午前7:44 ・ 2019年10月18日・Twitter for iPhone


これ、検察や文春の人に読まれちゃったりしてないだろうか。ウグイス嬢やってたろの疑惑とか、持ち上がったりすると困るので、身の潔白を主張しておきたい。

デジクリにも詳しく書いたが、台風19号で広島に学童疎開していた。呉線に乗っていたら、軌道に土砂が流入したとかで、列車が止まっちゃった。

バスを乗り継いで山陽本線に復帰したのが、西条駅だった。「酒まつり」が開催されていて、議員先生と偶然お会いした次第。向こうはこっちを知っていたのに、私は存じ上げなくて、たいへん失礼しました。あ、それで、特に何かを頂戴したということはありません。

『世界の片隅方面、鉄道大混乱からのサバイバル』
http://bn.dgcr.com/archives/20191018110100.html

会うと幸せになれるというセーラー服おじさんとしては、次のようなシナリオを期待したい。司法取引に応じて洗いざらい証言し、無罪放免。代わりにアベがブタ箱へ。