[5039] 腕時計の真贋を見定める2◇Orange pico◇軽妙洒脱なスケベじじい

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《デジクリのTwitterが復活》

■腕時計百科事典[98]
 腕時計の真贋を見定める:中級編
 吉田貴之

■クリエイター手抜きプロジェクト[623]IoT Orange pico編 
 タートルグラフィックスに挑戦(1)
 古籏一浩

■映画ザビエル[96]
 軽妙洒脱なスケベじじい
 カンクロー
 



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■腕時計百科事典[98]
腕時計の真贋を見定める:中級編

吉田貴之
http://bn.dgcr.com/archives/20200629110300.html
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腕時計の真贋を見定める方法の中級編として、「出来の悪い偽物」について紹介していきます。腕時計百科事典では「意図的に既存の商品を模倣してつくり、既存の商品と誤解させて購入させることを目論んで、製造/販売しているもの」を偽物の定義としていますが、中級編で紹介するものの多くは、人の知識の不足に付け込んで騙そうとするものです。

◎付属品がない

新品で、あるいはほとんど使用していない状態で購入するにもかかわらず、箱やギャランティーなどの、付属品がないものは要注意です。実は、腕時計の付属品を手に入れるのは、腕時計本体を入手するのと同じくらい難しいことです。

また、箱やギャランティーの偽物をわざわざつくるのは、偽物の腕時計をつくるよりも優先順位は低いでしょうし、面倒かもしれません。付属品の有無は、真贋を判断するのにある程度役立ちそうです。

◎めっきである

「めっき」は、金属の表面を別の金属で覆うことができるため、物理的な丈夫さと美しさ/化学的な丈夫さを両立することができる素晴らしい技術です。しかし、その技術が人を騙すことに使われた例は枚挙に暇がありません。

金無垢の腕時計がめっきである、というのは古典的なダマシの手法ですが、いまでもたくさん見られます。騙す目的のめっきはコストパフォーマンスを上げるために、薄く施されることが多いため、表面の艶が不安定だったり、表面加工が省かれるなど、質感の違いで判断できることが多いのです。安っぽいな、と感じたらめっきの可能性を疑いましょう。

◎刻印がおかしい

刻印は、上述したような素材(めっきか無垢か)を判断したり、ブランド側が自社製品の証として、また製造管理のために施すことの多い加工です。刻印自体はやろうと思えばすぐにできるものですが、刻印の加工精度を追求したり、連番をきちんと変更させたりすることはコストがかかるため、偽物業者が避けがちな加工でもあります。

あるはずの刻印がなかったり、刻印があまかったりするものは、偽物の可能性が高いと言えます。余談ですが、めっきなのに「14KYG」などの無垢を示す刻印をうってしまうのは、偽物業者の中でもたちの悪い部類に属するのでは、と思います。

◎ムーブメントが異なる

偽物かどうかを一瞬で見分けるには、ムーブメントを見るのが一番です。もちろん「本物がどんなムーブメントなのか」を知っていなければ、その判断はできません。極端に言えば「AUTOMATIC(自動巻)」の表記があるのにクォーツだったり、ローターがなかったりすることもありますので、まずは「本物のムーブメント」を知ることから始めましょう。

腕時計を買いに行って「ムーブメントを見たい」といっても、販売店側に設備がない場合や、防水に影響がある場合もありますので、購入が前提でない限り難しい場合もあると思いますが、特に中古の腕時計で失敗をしたくないのであれば、ムーブメントのチェックはしておいてもよいのではないでしょうか。


【吉田貴之】info@nowebnolife.com

イディア:情報デザインと情報アーキテクチャ
https://www.idia.jp/
腕時計ポータルサイト:腕時計新聞
https://www.watchjournal.net/

兵庫県神戸市在住。Webサイトの企画や制作、運営を生業としながら、情報の整理や表現について研究しています。
 
 
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■クリエイター手抜きプロジェクト[623]IoT Orange pico編 
タートルグラフィックスに挑戦(1)

古籏一浩
http://bn.dgcr.com/archives/20200629110200.html
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●タートル=亀を動かしてグラフィックを描画

今回は、Orange pico(Orangino)のタートルグラフィックスを使ってみます。タートルグラフィックスは、プログラミング言語のひとつであるLOGO言語の機能です。

・LOGO
https://ja.wikipedia.org/wiki/LOGO

LOGO言語・タートルグラフィックスを、1980年代にさわったことがある人がいるかもしれません。タートル=亀を動かしてグラフィックを描画していくという、ちょっと変わった感じのツールです。

でも、このタートルグラフィックスと同じようなことは、Adobe IllustratorやPDFで使われているPostScriptやHTML5 Canvasでも行われています。亀かペンか、という違いです。

変わっているのは、BASICでタートルグラフィックスを扱う命令が標準搭載されていることの方です。でも、せっかくあるのですから、タートルグラフィックスで何か描いてみましょう。

Orange BASICには、以下のタートルグラフィックスの命令が用意されています。

turtle:タートルを初期化します。最大8匹までのタートルを扱えます。
turn:タートルの進行方向を変更します。正数だけでなく負数も指定できます。
move:タートルを移動します。正数の場合は前方に移動し、負数の場合は後方に移動します。
pen:ペンの上げ下げを行います。ペンを上げると軌跡は描画されません。ペンを下げると軌跡が描画されます。初期値は下げた状態になっています。
sel:操作するタートルを指定します。

タートルグラフィックスはダイレクトモードで簡単にできるので、まずはそれでやってみます。最初に以下のように入力しタートルを初期化します。

turtle

すると、画面左上にタートルが表示されます。テキスト画面に文字があって重なっていると見づらいので、以下のように入力しテキスト画面を消します。

cls 1

まず、タートルを前方に移動させてみましょう。以下のように入力します。するとタートルが右に100ドット移動し、軌跡(線)が描かれます。

move 100

今度はタートルの向きを変えてみましょう。右側に45度向きを変えます。

turn 45

見た目にタートルの向きが変わります。この状態で前方に100ドット移動させてみます。

move 100

すると、斜めに線が描画されます。今度はペンを上げて、軌跡を描かないようにした後で、タートルを前方に30ドット動かします。

pen 0
move 30

タートルが移動したらペンを下げてから30ドット前方に移動します。

pen 1
move 30

短い軌跡が描画されたはずです。今度は左に回転させた後、100ドット移動させてみましょう。

turn -135
move 100

タートルグラフィックは、こんな感じで描いていきます。移動と回転と、ペンの上げ下げだけしかありませんが、これだけでもいろいろ図形を描画させることができます。

Orange BASICのタートルグラフィックスでは、グラフィックの座標値を指定して移動させることはできません。初期化する時以外は相対的な指定になります。基本的にタートルグラフィックスは相対的な位置・方向を指定します。

以下のプログラムを実行すると、タートルが画面内をぐるぐると回転移動します。いずれも初期化している20行目以外は相対的な移動になっています。

10 cls
20 turtle 1,160,120,1,0
30 pen 0
40 turn 10
50 move 2+rnd(2)
60 pause 30
70 goto 40

次回は、プログラムとタートルグラフィックスを組み合わせて、図形を描いてみます。

【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/

家に新たな猫たちがうろつきはじめました。前々からいる白黒件猫(くだんねこ)、タワシのような顔をした黒猫、そして前々からいる白茶猫。そこに、どこかで見たような顔をした、大きなトラ猫がやってきました。という事で、名前は「マイケル」になりました。

・ホワッツマイケル
http://www.moae.jp/comic/whatsmichael/1

・創って学ぼうプログラミング
https://news.mynavi.jp/series/makeprogram

・8K/4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/

・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/


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■映画ザビエル[96]
軽妙洒脱なスケベじじい

カンクロー
http://bn.dgcr.com/archives/20200629110100.html
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◎作品タイトル
運び屋

◎作品情報
原題:The Mule
公開年度:2018年
制作国・地域:アメリカ
上映時間:116分
監督:クリント・イーストウッド
出演:クリント・イーストウッド、ブラッドリー・クーパー、ローレンス・フィッシュバーン、アンディ・ガルシア

◎だいたいこんな話(作品概要)

2011年、DEA(連邦麻薬取締局)は黒いリンカーンのSUVを検挙し、追い続けていたコカインの運び屋を逮捕した。その時、末端価格3億円にもなる100kgものコカインを載せていた運び屋は、なんと87歳だった。

運び屋は退役軍人で、デイリリーを栽培する園芸家。品評会で数々の賞を受賞し、愛好家からは巨匠として称えられていたが、2000年代に入ると農場は経営に行き詰まり、手放さなければならなくなった。

80代で運び屋を始めたレオ・シャープという実在の男性をモデルに、名匠クリント・イーストウッドが「グラン・トリノ」以来約10年ぶりに、監督・主演を果たした作品。

◎わたくし的見解/余韻の湿度が丁度いい

クリント・イーストウッド監督の作品は、ハズレがない。もっと強い関心を持って作品をずっと追いかけている監督は他にいるが、ほどほどの思い入れのイーストウッド作品の方が手堅い。(妙ちくりんな監督に注目しすぎなのが原因でもあるが)

今回も、それほど瞬発力を持って食指が動いた作品ではなかったが、やはり安定感のある良作、秀作、佳作、とにかくそういうものだった。前回、監督と主演を務めた「グラン・トリノ」の時も、あゝおじいちゃんになったなぁ、と感慨深かったのだが(ただし、べらぼうに格好の良い爺さんだった)、今回はさらに、うわぁ年を取ったなぁ、と感嘆できる。

すでに「グラン・トリノ」の時の超絶レイシスト(絶対にトランプ支持派だなって感じの高齢者、もちろんライフル協会会員)のクソじじいぶりも眩かったが、今度は、あらあらその御年で現役とはお見それしました感がハンパない。大迫くらいハンパない。

えらいもんで、クリント・イーストウッドだと何かしら(スタア感とかハンサム指数とか)が桁違いなのだろう。このスケベじじい! とかエロじじい! てな悪態ではなく、素敵ですね、セクシーですね、と褒め言葉が自然と出てきてしまう。

硬派で気難しい印象だった前者に対して、本作で彼が演じるアールというご老体は大変に気さくで社交的で、常に優男で朗らかなキャラクターだ。しかし、デイリリーという一日でしぼんでしまう百合の花の、品種改良や栽培に人生を捧げた結果、元妻や娘とは疎遠で、一見賑やかな交友関係とは対照的にある意味孤独だった。

それでも、運び屋としての雇い主である、メキシコの麻薬カルテルの連中やボスまでもが、アールの肩の力の抜けた生き様に、いつの間にやら心を許し「タータ(スペイン語でおじいちゃん)」と呼んで親しむようになる。

そのような高齢者の運び屋がいたことは事実なのだが、彼の映画でのキャラクターはフィクションとのことで、そうなると、どうしてもクリント・イーストウッド自身と少なからずリンクしているのではと想像せざるを得ない。

実際に、絶縁中の娘アイリスを演じているのは、イーストウッドの実娘アリソン・イーストウッドなのだから、やはり多少なりとも彼自身の人生の集大成と言ってもいいように思えてくる。

イーストウッド曰く、彼の世代は、仕事に執心するあまり家族を顧みない男性がほとんどだったと。だが、時代と共に(家族観のみならず)価値観は変化しているとも。

イーストウッドは主人公アールを通して、自身が取りこぼしてきた何かへの想いを描いているようにも見えた。後悔や懺悔というと少し大袈裟すぎる気がする。ただ、その何かを取り戻そうとすることを決して否定していない。

同時に、主人公のモデルとして取り上げた運び屋が、どれほどチャーミングであっても犯罪者であることに変わりない物語の結末を、このような形にしたあたりが、やはりイーストウッドの映画だなぁ、と痺れる。

彼の作品は、視点が常にニュートラルなのだ。いつも過剰なエモーショナルは存在せず、かと言って救いがないほどドライにも描かない。

公開する際に、「イーストウッド最後の作品」みたいな取り上げ方をしていたような気がするが、宮崎駿監督と同じで、ほぼ毎回、これが最後と言っているし、思っているらしい。年齢を考えれば当然の心境だろう。

それでもなお、もっとヨボヨボになって、たとえ寝たきりでも、彼にしかできない人物を演じる姿を見せて欲しい。監督としても俳優としても、どちらでも良い。イーストウッドには、映画の中で人生の幕を閉じて欲しいのだ。


【カンクロー】info@eigaxavier.com

映画ザビエル
http://www.eigaxavier.com/

映画については好みが固定化されてきており、こういったコラムを書く者としては年間の鑑賞本数は少ないと思います。その分、だいぶ鼻が利くようになっていて、劇場まで足を運んでハズレにあたることは、まずありません。

時間とお金を費やした以上は、元を取るまで楽しまないと、というケチな思考からくる結果かも知れませんが。私の文章と比べれば、必ず時間を費やす価値のある映画をご紹介します。読んで下さった方が「映画を楽しむ」時に、ほんの少しでもお役に立てれば嬉しく思います。


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編集後記(06/29)

●偏屈BOOK案内:佐藤愛子・小島慶子「女二人の手紙のやりとり 人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか」2020 小学館

酢ダコは好きでも嫌いでもないが、最近は食卓で見た覚えがない。それにしても、だらだら長くてインパクトのないタイトルである。だらしない装幀である。小島慶子45歳はタレント、エッセイスト。家族と暮らすオーストラリアと、仕事をする日本を往復する出稼ぎ生活者らしい。愛子さんは90歳超えて現役。前書きなし、往復書簡全17通、付け足しの対談「人生って何ですか?」。

忖度機能が壊れていると自覚している小島、「空気が読めない」ようで苦い経験を重ねてきた。周囲からは、はっきりものを言うように見られているが、ただ時間を節約して話すだけだという。そんな態度が、独断独善毒舌、でかい女が得々となんか言う、と決めつけられる。好き勝手なことを言う方が楽しいからと局アナをやめたのに、いまだに自制している。自由になれないと悩む。

それを受けて、「そんなことどうでもエエやん」のめんどうくさがり党の元締め・愛子さんは、小島の発熱するほどの悩みを笑い飛ばす。愛子さんは「一生懸命の真面目」にユーモアを感じる人。人生の辛苦などクヨクヨせずに凌いできた。小島の悩みの顛末を聞き(読み、だけど)、「慶子さん、勝手にアタマから決めなさんな」と、真面目に、実に愛情溢れる説得。これがまたいい味で。

「今の時代は何かというと人の気持ちをわからなければいけないといい過ぎると私は思います。夫は妻の、妻は夫の、親は子供の、教師は生徒の……。エィいちいちうるせえ、と私はいいたくなる。そんなことばかり考えているから現代人は萎縮してるんです。平気で人を傷つけるのは、そりゃあよくないですよ。

けれども、たいしたことでもないのに、傷ついた、傷つけられたと騒ぐのもよくない。(略)勝手に傷ついてクヨクヨしている暇にむやみに傷つく自分を矯める努力をした方がいいんじゃないかとね。第一そんなことにいちいち神経を使っていたら身がもたんもんね。人は人、我は我。私はそう考えて94年の波瀾を乗り越えてきたんですよ! そう考えなければ生きてこられなかったのよ!」

それを受けて、「どうして(わたしが)そんな不自由な酢ダコ原理主義者になったのか」と小島が返す。カウンセリングを受けて、生育環境とか夫婦関係とか、いろいろな背景があることがわかった。諦めの悪さが原理主義の源だった。執着というやつ。カウンセラーから「もっといい加減になりなさい」「人を好きになるとか」などと言われ、そんな心持ちでいいんだと思うことにした。

第14通「だって恋愛は理屈じゃない。情念の問題ですからね」佐藤 第15通「これが佐藤さんのおっしゃる『己との闘い』なのでしょうか」小島 第16通「今、私は彼に恋をして欲しいと思っています」小島 第17通「どっちが正しいか正しくないかの問題じゃなくて、要するに人それぞれ」佐藤

だんだん読むのがしんどくなってきた。小島は「エア離婚」なるものが成立したらしく、夫は新たに勉強を始め、何か資格をとろうとしているらしい。「一度仕事を離れて自分を見つめてみたい」だって。ダメ人間だよ。「とにかく全く、困ったお人だなア。人のご主人だけど、やっぱりここまでくるとイライラします」。愛子さんは「いい加減」が好き。そんな愛子さんが好き。(柴田)

佐藤愛子・小島慶子「女二人の手紙のやりとり 人生論 あなたは酢ダコが好きか嫌いか」2020 小学館
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/409396548X/dgcrcom-22/


●金曜日の「悪役令嬢」の続き。さて、有名人が悪いことをすると、テレビやニュースで、映りの悪い顔写真・動画を使うのはなぜ? いやいや、悪いことが判明する前から、その人の顔は皆が見ているんだし、なぜ急にそんな顔を使うのよ。

以前から使っている、天使のような微笑みとか、いかにもいい人っぽい笑顔のとかにすればいいのに。そうすれば、顔だけで判断できないよねぇ、気をつけないとねって思えるのに。

キツい顔の人とか、悪役っぽい顔の人は、いいことをすれば、好感度が急上昇するけどさ。ドラマや映画で、以前悪役やっていた人が、違うタイプの役で注目を浴び、いい役をやると違う顔に見えたりするのはなぜだろう。

あと、政治家に対しても、どんな写真使うかで、中立かどうかを判断できそう。持ち上げた書き方をしていても変な写真使ってたりすると、何か失策したら手のひらを返した記事書くんだろうなぁ、と勘ぐってしまうわ。(hammer.mule)