《カメラを持ち出したいという欲》
■わが逃走［265］
家の中でじっとしていてもツマランので、脳内で散歩するの巻 その4
齋藤 浩
■もじもじトーク［133］
フォントおじさんの秘密基地・放送スタジオ
関口浩之
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■わが逃走［265］
家の中でじっとしていてもツマランので、脳内で散歩するの巻 その4
齋藤 浩
https://bn.dgcr.com/archives/20200730110200.html
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やはり散歩はイイ。
散歩ができるということは、時間的余裕があるということだし、時間的余裕があるということは、心にもゆとりがあるということだ。
この前咲いてなかった花が咲いたなあとか、いつのまにか住宅が更地になってるなあとか、そういったことに気づく余裕をなくしてはいかん。
しかしこのご時世である。散歩を楽しむために旅に出るというのも気が引ける。もともと私はインドア派なので、ステイホームはまったく苦にならないのだが、「カメラを持ち出したい欲」というのがじわじわと湧いてくるのだった。なので、家から5キロ圏内をカメラ片手に歩いてみようと思った。
ホントは中山道の宿場とか、瀬戸内の島々とか、北陸の日本海に面した集落なんかを歩き、夜はふらっと入った居酒屋の地元の料理で一杯やるとか、そういった“普通”の楽しみ方をしたい。
のではあるが、まあ仕方がない。好きなレンズを好きなカメラにくっつけて、歩けるだけでも良しとしよう。
と思ったものの、雨が一向にやまない。今年の梅雨は、ひょっとして過去最長記録なのではないか？ 私が物心ついて以来、ここまで長い梅雨というのは初めてのような気がする。
たいてい、6月半ばから雨が多くなって、夏休みがはじまる10日くらい前にはカラッと晴れあがり、本来なら蝉の声とともに嫌になるくらい暑い夏が始まってるはずだ。
この写真は7年前のフォルダから発掘されたもの。メモに「7月7日、梅雨明け」とある。それが普通だろ、どう考えたって！ と思う。
ソニーのRX-100で撮影。これはすこぶる良いカメラだった。ブランドの誘惑に負けて、現在はライカC-LUXという中身はパナソニックのカメラを使っているのだが、買い換えたことを少々後悔している。
で、私は暑さが苦手である。なので夏は嫌いなのだが、梅雨がここまで続くというのも困る。結局、ご近所5キロ圏内カメラ散歩計画も延期につぐ延期で、気がつけば2週間が経ってしまった。
長い前置きである。なので、今回も脳内散歩の話としたい。
私が初めてデジタルカメラを購入したのは1999年の春だった。予算は12万円。
ホントはニコンF80が欲しかったのだが、仕事の関係上、どうしてもデジカメが必要となり、ニコンCOOLPIX950を購入。
当時としては超ハイスペックの210万画素モデルだ。※2100万画素ではない。付属の記録メディアは8MBのコンパクトフラッシュ。※8GBではない。
なぜそんな話をしているかといえば、そのカメラで撮った写真が発掘されたからである。どんなすごい写真かといえば、こんな写真である。
2000年の10月に撮影している。20年前の世田谷線山下駅。いまはなき東急デハ80形を、改築前の小田急線豪徳寺駅のホームから撮ったようだ。
ついこの前のことのようにも思えるが、この直後、世田谷線車両はすべて300形に一新。ホームもかさ上げされて木造部分は完全撤去、山下駅は既製建材によるツマラナイ建物になってしまった。
さて、この踏切の手前に何があったかといえば、キッチン南海とモスバーガー豪徳寺店である。いずれも古くからある情緒あふれる店舗だったが現存せず。
小田急豪徳寺駅の建て替えに伴い、どこにでもあるチェーン店が出店し、風情のある店が次々に閉店。
駅前がツマラナくなり不況が進むと、そのチェーン店も撤退という悪循環が起きた。で、この写真は2004年にキッチン南海とモスバーガーが更地になったときのもの。
いままで見えなかった、昭和の商店街の裏手が見えて興味深い。ここに、あっという間にマクドナルドができるのだが、すぐに撤退する。興味深いのはマックが建つ一瞬の隙をついて、美容室の裏側の壁にハンドメイドな看板が登場したことである。
おそらくは手作り書体に手作りコピー。手作りだからこそなのか、すごいインパクトを感じた。こういうコピーはプロにはなかなか書けないだろう。Canon EOS Kiss Digitalにて撮影。
2000年代、デジカメの高画素化・高性能化は爆発的に進み、半年前のモデルがクラシックとなるといっても大袈裟でない状況が続いた。
私も仕事の関係上「仕方なく」、210万画素のニコンCOOLPIX950→500万画素のミノルタ・ディマージュ7→600万画素の価格破壊一眼レフCanon EOS Kiss Digitalへと乗り換えていった。
EOS Kiss Digitalはフィルム一眼レフを使っていた者にしてみれば、ようやく現実的な価格で手に入る“まともなカメラ”だったが、不良・不具合が多く、私が購入した個体も初期不良だったとみえ、2週間で動作しなくなり交換対象となった。
とはいえ、APS-Cのセンサーはいままでのデジカメとは比較にならないほど大きく、撮れる画像も「写真」ぽくなってきた。そんなカメラで何を撮っていたかといえば、相変わらずこんな写真ばかりだったのだ。
おそらくは豪徳寺商店街。昔からあった店舗が更地になり、それを取り囲むようにパッチワークな壁面が出現。色彩のシブさも、リズミカルな構成もイイ。1920年代の抽象画を想起させるすばらしい物件である。
以前からこういうのを「無作為のアート」と呼びオモシロがってきたわけだが、とくにこの当時は機材がデジタルに変わったことで、フィルム代や現像代を気にせず写真が撮れるよろこびを実感していた。
必然的にシャッターを切る回数も増え、そのぶん写真も上達したと思う。
で、改めて思うのだが、デジタルカメラの価格にはフィルム代と現像代が含まれているのだ。そう考えると、安いカメラがすぐに壊れるのも納得がいくし、壊れないカメラはそのぶん高いのにも納得がいく。
そういったわけで、近所の写真を発掘してオモシロがってみたが、やはり実際に歩いた方が何倍も楽しい。
梅雨前線には、そろそろいなくなってほしいと思う今日この頃なのでした。
【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
http://tongpoographics.jp/
1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。
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■もじもじトーク［133］
フォントおじさんの秘密基地・放送スタジオ
関口浩之
https://bn.dgcr.com/archives/20200730110100.html
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こんにちは。もじもじトークの関口浩之です。
新型コロナウィルス感染者数が日本全国で1,000名に近づいていますが、ひとりひとりが感染症防止対策をしっかり行い、安心で健康な毎日を過ごしたいですね。
月2〜3回のオフィス通勤と、週1回の買い物外出以外は、自宅で生活するライフスタイルで4か月継続しています。
自分としては、この生活スタイル、嫌いではありません。1日のほとんどの時間、パソコンの前で仕事することになるので、思っている以上に体力を消耗していると思います。
体力は消耗しているけど（精神面消耗と緊張性肩こりといったほうがいいかも）、カロリー消費不足であることは間違いありません。
●運動不足を解消したい
皆さん、テレワーク体制の中、運動不足解消の秘策はお持ちですか？ 僕は自分を律することが得意じゃないので、超運動不足が4か月というわけ（笑）
部屋の中で運動したり、近所を走ろうかなと思ったりもしますが、なかなか、実行することができません。
そうだ、昨年11月から「気合い」で禁煙を開始して、今でも禁煙つづいているのだから、運動も「気合い」で出来たりしないものだろうか……。
運動不足を解消する良い方法があれば、誰か教えてください。
肩こりがひどいので、30分ぐらいじっくりストレッチするように心掛けています。それだけでは、カロリー消費量は足りませんね。
最近、レコーディングダイエット再開しました。正確に表現すると、「毎日、レコーディングから始めました」が正しいです。毎日、体重計に乗ることと、食べたものを記録することからはじめました。
まだ、ダイエットモードには入っていません……。
でも、毎日、記録することは大事ですね。ダイエットはできていませんが、この1か月、体重は増えていません。ぴったし、水平飛行です。増減なし……。
合わせて、運動したかどうかのメモも毎日記録しています。でも、「30分間のストレッチ」と、時々、書かれているだけでした。
「ラジオ体操を1日2回するとかなり良いらしい」という噂を聞いたことありますが、まずはそれやってみようかな。少しずつ、室内で運動する習慣を身に付けたいです。
「よーし、8月から実施しよう」と叫んでみました……（笑）
●FONTPLUS DAY オンラインライブ版を放送しました
今月7月15日（水）19:00〜21:00に、自分が主催するFONTPLUS DAYセミナーの「オンラインライブ版」をインターネット配信しました。
FONTPLUS DAY セミナー Vol. 25 オンラインライブ版
［書体設計から考察する文字組み］
書体デザイナー藤田重信さんとフォントおじさんの討論会
https://fontplus.connpass.com/event/181456/
生放送には300人以上の方に参加いただきました。また、5日間の限定アーカイブ公開で約2,000回、ご視聴いただきました。ありがとうございました。
セミナー会場で開催するFONTPLUS DAYセミナーは、新宿に足を運ばないと講義が聞けませんでしたが、オンラインライブ版では、日本全国どこからでもお話が聞けるというメリットがあります。
オンラインセミナーは、いま、大流行しているといってもいいでしょう。
今回、Facebook Liveという仕組みを使って生放送しました。自分が主催するインターネットライブ放送は初めてだったので、感想を書いてみます。
◎良かったこと
・「面白い」とか「それ、わかる！」とか、300件以上の書き込みがありました。オンラインセミナーって参加者の表情がわからなくて、お話するのが難しいという意見をよく耳にしますが、そんなことはありません。Facebook LIVEは、リアルセミナーよりも参加者の反応が伝わってきます。
・面白いと感じた時や、納得した時に「いいね！」ボタンをみなさんが押すので、風船があふれあがる感じになり、盛り上がります。
・Facebook Liveは配信中でコマーシャルが出てこない。
・リアルセミナーよりもFacebook Liveのほうが質問しやすい。リアル・セミナーでは、登壇者がお話しているときに質問するということはありませんが、Facebook Liveでは、いつでも、コメント欄から質問することができます。
◎反省点
・配信システムの最終テストが放送前日になってしまい、放送直前まで準備に追われました。何事も計画的な行動が大事ですね。
・OBS Studioというライブ配信アプリケーションの仕組みや操作を、理解するのに時間が掛かかりました。Facebook LiveやYouTube Liveとライブ配信アプリケーションとの各種設定が難しいので、使い慣れておく必要があります。
・ライブ放送局しながら、映像ミキサー（ローランド V-1HD）と音声ミキサー（ヤマハ MW8CX）を一人で操作するワンマンオペレーションは格好いいですが、やはり、練習と慣れが必要です。
ご視聴いただいたみなさま、ありがとうございました！
フォントおじさんの「にわか放送局」の現場の様子と、今回のライブ放送の様子を写真でご紹介します。ジャーン！
https://bit.ly/2P5iDCA
趣味を兼ねた「秘密基地」です！！！ 今後、練習を重ねて、ライブ配信が得意なフォントおじさんに成長したいと思っています。
今回、東京の自分の仕事場と福岡の藤田重信さんの書体制作の仕事場をSkypeで繋いで、それをFacebook Liveで放送しましたが、回線ダウンやパソコンダウンは発生せず、2時間の生放送を無事に終了できたこと、ほっとしております。ありがとうございました。
今年は、あと5〜6回、文字に関する生放送番組を放送しますので、ご興味ある方は、「FONTPLUS DAY」で検索すると、放送予定が掲載されています。よろしくお願いします。
では、また、お会いしましょう。
【せきぐち・ひろゆき】sekiguchi115@gmail.com
関口浩之（フォントおじさん）
https://www.facebook.com/hiroyuki.sekiguchi.8/
Twitter@HiroGateJP
https://mobile.twitter.com/hirogatejp
1960年生まれ。群馬県桐生市出身。1980年代に日本語DTPシステムやプリンタの製品企画に従事した後、1995年にソフトバンク技研（現SBテクノロジー）へ入社。Yahoo! JAPANの立ち上げなど、この25年間、数々の新規事業に従事。現在、活字や文字の楽しさを伝えるフォント伝道師（エバンジェリスト）、フォントおじさんとして活動。
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編集後記（07/30）
●数日前の読売新聞朝刊に、たまたま日本語について興味深い記事と書評があった。コロナ禍で、外国人にもわかりやすい情報提供が課題だという。「医療×『やさしい日本語』研究会」のメンバーによる医療従事者向けの動画が完成し、順天堂大学のサイトで公開している。たとえば、かたいイメージの「体温を測定していただけますか」を「熱を測ります、調べます」に言い換える。
「腋（わき）の下に挟んでしばらくお待ち下さい」は「ここに挟んでください」と、わきの下を手で示す。一文が短く尊敬語や謙譲語を避ける、ジェスチャーで表現するといった特徴がある。「させていただきます」「していただいてよろしいでしょうか」といった、うっとおしい言葉が消えているのがいい。
今後の課題としては、ぼかした表現とわかりやすさの関係がある。「結果は後日電話でお知らせします」といわれると落ち着かない。医療関係者を中心に、断定表現を避ける傾向があるが、可能な限り言い切る形で伝えるべきだ。わたしが年に一回行く甲状腺専門病院は、「検査結果は明日電話します。なにも問題がなかったらしません」というわかりやすさ。電話が来たことはない。
中村桃子「新敬語『マジヤバイっす』社会言語学の視点から」（白澤社）は、「そうっすね。おもしろいっす」のように、ことばの最後に「っす」をつける言い方が、ここ何10年かでとくに若い世代に広まったという。そうなんすか。年寄り歴何10年かのわたしは、耳にしたことはあるが、まさかそんなバカで軽薄な言葉が「広まっている」とは知らなんだ。著者はこれを「ス体」呼ぶ。
本一冊まるまる「ス体」の考察というんだからただごとじゃない。「っす」とは俗に「です」を縮めた言い方に過ぎない。ところが実際の会話を観察してみると、この「ス体」は日本語の敬語の欠点を補うものだということがわかる。普通は目上に対し「ですます体（丁寧体）」をつかう。この言い方は、敬意は表せるが相手を遠ざけてしまう欠点がある。えーっ、そんなこと初めて聞いた。
先輩に「そうですね」はよそよそしい、という。そんなことねえだろうが〜。「そうっすね」と「ス体」を使うと、敬意と親しみの両方が表現できるのです、という。断定している。「ス体」は便利なので、一般の敬語に取り入れてもよさそうです、とまでいう。体育会系の部活にいたわたしには、まったく同意できない。いまや内輪の世界では「ス体」は丁寧語なのだというから驚愕する。
テレビCMを観察した著者は、「ス体」に敬意表現以外の意味づけがなされていることを指摘する。んなアホな。「〈まじかんべんっすよ〉と軽いノリで言う男性、〈今日も充実っす〉と勢いよく楽しそうに言う女性など、『ス体』はこれまでとは違う新しい男性像、女性像の表現に用いられています」と書く評者は、国語辞典編纂者なんだから困ったもんだ。まじかんべんっすよ。（柴田）
●楽天モバイル続き。紹介キャンペーンまである。紹介した人に3,000ポイント、紹介された人に2,000ポイント。
楽天モバイル契約者は、楽天ひかり（自宅ネット）が基本料一年間無料という特典も今なら。
「Rakuten Mini」という世界最小、最軽量なスマホが1円。「Galaxy A7」という2年前の機種が17,000円（税別）で15,000円のポイントバック。悩んで「Galaxy A7」を選んだ。Android機の所有は初めて。
おサイフケータイ（Felica）非対応、NFC対応。防水・防塵非対応。指紋認証・顔認証対応。Android 9で、近々10にできるとの噂。
メインはiPhone XS（＋Apple Watch）で、Apple Payが使えるから、Felicaや防水機能などは不要。MNPせず、新規契約にして試してみることにした。続く。 （hammer.mule）
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