グラフィック薄氷大魔王[667]本格VRゴーグル、期待と挫折 その2 「機種選定」
── 吉井 宏 ──

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本格VRゴーグルそのものは安いiPad程度の値段なので、たいしたハードルではないのだが、使うにはグラフィック性能が高いWindowsマシンが必要。これが立ちはだかる。

マシンを2台以上に増やしたくないのだ。AdobeやModoなどライセンス移動の関係で、3台目からとたんに煩雑になるから。2019年後半はずっと迷ってたけど、年末近くになってようやく重い腰を上げた。

VRでバリバリとモデリングしてた福井信明さん(下記に記事)に相談しながら、機種を決めていった。





●VRゴーグルの選定

候補は「Oculus Rift S」と「Oculus Quest」。Rift SはPCと接続して使う専用機。Questは基本的にはGoと同じスタンドアローン機だが、視点の移動に対応する。

ただし、QuestはPCに接続するOculus Linkケーブル(別売)を使えば、「PC接続でRift Sと同等に使える+Go並みの手軽さ」の両方が手に入る(PC接続した際の表示性能は、ベータ版だった昨年12月の時点では福井さんによれば「イマイチかもしれない」とのことだった。今はぜんぜん大丈夫らしい)。

とりあえずGoは持ってるわけなので、シンプルに使える「専用機」のOculus Rift Sを購入することにした。
https://www.oculus.com/


VIVEやHPをはじめ、各社からハイエンドVRゴーグルは発売されてるけど、やはり福井さんによると「最初は歴史が長く信頼性があるOculusがおすすめ」とのこと。軌道に乗ってから、他社の面白そうな機種を試してみるのもいいかな。

●PCの選定

グラフィック性能が高いWindowsマシンといえば、ワークステーションとか特別に高額なものでなく、「ゲーミングPC」でぜんぜんOK。そもそも、VRゴーグルはゲーム機器だし。

あと、やはり福井さんが次々と作例の動画をアップしてて、僕もやりたいと思ってたゲームエンジン「UE4(Unreal Engine)」や「Unity」を使うにも、そういった性能のPCが必要。「レンダリングせずにリアルタイムアニメーションが可能」って部分に惹かれてるだけなんだけどね。

タワー型より割高だがジャマにならないノート型を探し、HPのゲーミングPCのOMENノート(の下から2番目の機種)に落ち着いた。NVIDIA GeForce RTX 2060でグラフィック性能的には十分、CPUもCore i7 6コア2.6GHzとそこそこ良い。
https://jp.ext.hp.com/gaming/personal/omen/


(あ! 前回にOMENノートの話題を書けばちょうど666回だったのに、惜しいw)

●届いた!

購入に踏み切ったのは昨年2019年12月後半。届いたのが12月23日(2018年末にOculus Goが届いてちょうど1年後)。次の年末年始はOculus Rift S三昧、使ってみたかったあのアプリこのアプリ、いろいろやるぞ。

まあ、不安はある。Oculus Goですら、アプリや映像によってはめちゃくちゃ3D酔いするから。

●福井信明さんについて

いろいろ相談に乗ってもらってた福井信明さん。今年2020年4月に急死してしまった。数年前からどうかしてるくらいのペースで、イベントで講演したりセミナーを自前で開いたり、ZBrushの分厚い本を何冊も書いたり、VRやUE4関連の記事やYouTubeチャンネルなどを更新されてた。

よく体が持つなあ! あの体力とバイタリティはまさに超人と思ってのだが……。

それで、VRやUE4関連が気持ち的に宙に浮いてしまった。いろんなこと試しては、福井さんとゲラゲラ笑いながら、失敗話するのが楽しみだったのになあ。

もともとは20年近く前、黎明期からのZBrush仲間だった福井さん。3Dプリンタを始めたのも福井さんの影響大。リアルでもよく会ってた、そう多くない友人のひとりだったのに……非常に残念。

ZBrushのPixologic Japanのサイトの追悼ページに僕もコメントを書きました。
https://pixologic.jp/tribute-fukui-nobuaki/



【吉井 宏/イラストレーター】
HP  http://www.yoshii.com

Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/


結局、かぶりつきで見てる「半沢直樹」面白すぎるw ところで、あのテーマ曲って合戦の法螺貝がモチーフなのかな? とはいえ、タケちゃんマンを呼ぶときの法螺貝の音しか思い浮かばないけどw

◯所属してるパリのエージェントCostume3piecesの毎年恒例の展覧会、今年は新型コロナの影響で、バーチャルで開催(9月末まで)。仮想ギャラリーで33名のアーティストの作品が見られます。今回のテーマは「小屋(cabanes)」。僕は回して見られる3D作品を出してます。
https://www.costume3pieces.com/cabanes/


◯ウォーキングアプリ「STEP ISLAND」

ミクシィのゲーム感覚ウォーキングアプリ「STEP ISLAND」(現時点でiPhoneのみ対応)。歩き回るキャラクターを数十匹提供してます。6月初旬にアップデートされ、キャラも増えてます。

App Store https://apps.apple.com/jp/app/id1456350500

公式サイト https://stepisland.jp


○吉井宏デザインのスワロフスキー

・三猿 Three Wise Monkeys
https://bit.ly/2LYOX8X


・幸運の象 LUCKY ELEPHANTS
https://bit.ly/30RQrqV