わが逃走[267]ヒトとの接触を避けつつ近所を歩くの巻 その2
── 齋藤 浩 ──

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ステイホームもいいかげん飽きてきたとはいえ、「go toトラベル」せよと言われても悪質な冗談にしか思えず、おまけにこの猛暑である。

9月に入って多少涼しくなったような気がしたが、気温は30度を超えていた。慣れとはホントに恐ろしい。

暑さと同様、「エライ人が掛け声だけで何もしない」状態に慣れてしまうことは、熱中症に気づかないことと同じくらい危険なことだなあ。

さて、まだまだ暑くて外に出る気はしないが、それなりに出かけねばならんこともある。買い物とか銀行とか。そんなとき、少しだけ遠回りするくらいはよかろう。というわけで、カメラ片手にご近所を歩いている。

体温よりも気温が高かった日、世田谷区役所にてフラッグを撮影。体育の日が10月10日というのは、理にかなっていると思う。

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区役所通り沿いに設置されているプランターは、なぜかヒエログリフ柄なのだが、しばらく見ないうちに経年変化でやたらリアルになっていた。

世田谷区のホームページで確認したが、とくにギザと姉妹都市というわけではなさそうだ。

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前川國男設計の名建築を、ワイドレンズで見上げてみた。現在は全体にわたり改修の跡も目立つのだが、このトリミングでフレーム外を想像すると竣工当時の姿が見えてくる!

おお、間違いなくコルビュジエの弟子! と実感するのだった。

いつも思うことなのだが、私がイイなと思って写真を撮ると、その建築は解体されてしまうという妙なジンクスがある。ここは過去にもたくさん撮ってるからねえ。。

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世田谷区役所に隣接する世田谷区民会館。

今回の高層化計画でも、ここだけはぶっ壊されずにすむらしい。とはいえ、全体の構造が見られるうちに、たくさん写真を撮っておこうと思う。

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区役所からほんの少し歩けば、松陰神社前商店街だ。味わい深い佇まいは健在だが、昭和から続く店は少しずつ減ってきている。長年営業を続けていた碁会所も、先日ついに更地になってしまった。

とはいえ、“近未来21世紀”テクノポリスTOKIOのイメージにはまだ遠い。この写真に限って言えば、雑貨屋の電話番号に3がついたことこそ、昭和との最大の違いといえよう。

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【さいとう・ひろし】
saito@tongpoographics.jp
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1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。