[0024] 世界に六角大王を知らしめる

投稿:  著者:  読了時間:33分(本文:約16,100文字)




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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0024 1998/05/09発行
  <http://www.towers-inc.com/mag/daily/>
  情報提供はこちらまで < mailto:daily@towers-inc.com >
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●コラム1『世界に六角大王を知らしめる』/ 山村和久
●コラム2『デジタルだろうがなかろうがクリエイターはドリフですよ!?』
      / 岩渕泰治

●イベントレポート
 ・ディジタル・イメージ東京展の7日間





●本日のコラム・その1『世界に六角大王を知らしめる』
 ゲストライター:山村和久
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船の上での世紀のラブロマンスを描いた映画が空前の大ヒット。マルチメディ
アだSOHOだという時代でも映画の魅力は衰えることを知らず劇場に多くの人が
足を運んでいますね。人気の秘密はストーリーもさることながらCGによる映像
でしょうか。

本物と見紛うほどのリアルなCGは日を追うごとに進歩の一途をたどり、CGクリ
エイターは今やハイティーンの花形職業となりました。
LightWave,StudioMAX,SoftImageなど驚くべき3DCGソフトが学生ローンで買えて
しまうようになったのですから。

でもここにちょっとオモシロイ3Dが静かにブームを呼んでいるのをご存知で
しょうか?

おっと申し遅れました、わたくし自称「六角大王エヴァンジェリスト」として
活躍中の山村といいます。みなさんにはこの場を借りて「六角大王」を知って
もらい3D市場の拡大(!って大げさな)を謀ろうと思ってやってまいりました。


●簡易ポリゴン作成3Dソフト「六角大王」
東京都にお住いの古島終作氏の手によるこのソフトはフリーウェアという形で
世に出、FM77AV、PC-9801版を経てMacintosh版が1993年に登場、私はこの頃六
角大王と出会いました。1994年には古島氏とは懇意の「ともNAK」氏の手に
よってWindowsへ移植、ここから爆発的に六角大王ユーザーが増えることになり
ました。
 
このフリーウェアって存在は誤解を招きやすいですね。無料で使えるってこと
はたいしたことができないソフトって印象があるようで。でもEudraだってIE
だってフリーウェアなんだから。

六角大王?
名前からしてインパクト抜群。ましてや3Dソフトだという。
雑誌の付録についてきたものをMacで起動してみてびっくり。子供のころにやっ
たお絵かきのように直線だけを続けて描いていくだけで立体モデルができてし
まった!

当時の私のMacには3Dソフトの起動には必須のFPUが付いていなかったため3Dソ
フトの使用を諦めていたのでこの事にとても感激しましたね。
今では3Dソフトを大小併せて20本近く買い込んで使っていますが六角大王を越
えるものはまだ見あたりません。

何を隠そう私の本業は画材の販売。日々訪れる御客様にあれやこれやと道具の
使い方を説明、売り込むのが使命でした。

画材屋の勘でこれは売れる!と思いました。道具に惚れたって言うヤツですが、
フリーウェアなので「六角大王を広めよう!」と活動方針に決定。

まずはパソ通で書き込む、かきこむ。そしてパソコンのイベントがあれば押し
かけて行ってデモをさせてもらい、作例として自作の六角大王製まんがを
NiftyServeで発表、必然的に六角大王産みの親である古島さんともNiftyServe
を通じてお話を伺うことができるようになり諸方面の方たちの尽力により六角
大王専門のフォーラムができるまでに。(FGALAV/10番会議室)

ユーザー同志の情報交換が活発になり六角大王を使い込んだモデラーさんたち
の作品が雑誌の投稿欄やオンラインで発表されるようになりました。
この頃になると私もイベントで「世界初!フリーウェア用に作ったTシャツ」と
称して六角大王Tシャツなるものを作ったり(非売品)、六角大王をフロッピー
に入れて配ったりと活動に加速が付き始めていました。

とどまる所を知らぬ人気ぶりの六角大王は1996年ついに「六角大王チュートリ
アルブック」(サリュート刊)なる解説本まで発売されるにいたり一般のパソ
コンユーザーにも広く知られるように。この本が好調な売れ行きを見せ翌年に
は続刊の「チュートリアルブック2」が出版。私も寄稿させていただきました。

有名ゲームメーカーのヒット作においてもCGが六角大王を使ってモデリングさ
れていることがユーザーの間で話題に上り、この勢いを見て決断されたのか古
島さんはついに1997年「(株)終作」をおこされました。
(株)終作は六角大王をさらなるグレードの高いものに仕上げ商品化すること
に決定、その名も「六角大王Super」と言うかなりユーザーのわがままを実現し
た仕様になっています。

●目下β版がダウンロードできますのでこちらでどうぞ。
 <http://plaza10.mbn.or.jp/~shusaku/>

一度でも3Dソフトでモデルを作ったことのある方ならおわかりいただけると思
いますが 一般にモデリングは最初に球とか箱とかを作って変形させていくか、
線を描いてそれを回転させて立体にして作業をすすめて行きます。ところが六
角大王には最初から立体物を出現させるような機能はなく有るのはただひたす
ら空間に直線でカクカクと描いていくだけ。ベジェもなければ円も描けません。


あるのは描いた線をすぐさま立体化する機能だけなんです。
しかも左右対称にしか描けないと言う大きな制約を背負っています。

いや、背負っているというよりこれをメリットとして使っているケースが多い
ようです。この世に在る万物はおおよそシンメトリックに作られている物が圧
倒的に多くそれらを正確に左右対称にモデリングすることは骨のおれることで
す。人間の顔など最たるものでしょうね。

またオリジナルのフォーマット以外はDXFではきだすことしかできず、DXFを読
み込むことはできません。作りうるポリゴン数には自ずと限界がありあまりに
細かいものを作ると非常に動作が遅くなってしまいます。

なんか酷評っぽく書いてしまいましたけどその代わり描線をいじるときの自由
度の楽しさといったら他の比ではありません。平面にお絵かきしてから少しづ
つ修正していく時、心の中に沸きおこるミューズを感じることでしょう。

商品版「六角大王Super」ではこのあたりを考慮して入出力、線描、ポリゴン限
界などかなり改良されています。)

私が六角大王にはまっているもう一つの理由、それは3Dコミックへの可能性で
す。仕事がら漫画材料には詳しく、用法などを見ていくうちに「いつかコミッ
クもパソコンで描く時代になるんじゃないか?」と確信していました。

現在多くの週刊漫画誌でデジタル加工された原稿が掲載されておりそれはそれ
でいいのですが、もう一つ踏み込んで3Dを使って漫画を描いてみたら!という
考えが頭を離れなくなってしまいました。六角大王の持つ描画性とコミックは
相性もよく私もそれなりに技術を編み出していますのでいつか私の作品が紙の
媒体に載る日が来るかも知れません。(よね?!)

私の「エヴァンジェリスト活動」はこちらで発表していますので是非ごらんく
ださい。もちろん六角大王もダウンロードできるようにしてあります。

●「六角大王!RokkakuDaioh!」
 <http://www.threeweb.ad.jp/~castanet/rokkaku/daio.html>

現在の目標は「世界に六角大王を知らしめる」こと。
デモや投稿の機会がございましたら喜んで引き受けますのでよろしくお願いし
ます!

【プロフィール】
山村和久
英知大学仏語仏文科卒。
画材販売を通じてMacのグラフィックテクニックに出会い大きくのめりこむ。六
角大王以外にも今年から「Mac芸術家」を宣言、一風変わった作品でMac業界に
明るい(?)話題を提供している。一部で有名な「MacintoshPLUS型安全ヘル
メット」は代表作であり年内にあと2つほど新作を発表する予定。いつか六角大
王で憧れのフランスに殴り込みに行くのが夢。
,

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●本日のコラム・その2
『デジタルだろうがなかろうがクリエイターはドリフですよ!?』
 ゲストライター:岩渕泰治
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前回のコラム
http://www.towers-inc.com/mag/daily/9805/02.html#1
が予想外に好評(Kさんを始めメールをくださいました皆様、ありがとうござ
いました)であったため、続きである「センス」について思うところをうだう
だ書いてみます。

「センス」って言うけど、あんた、そんなものは人が持って生まれてきたもん
でしょうがね、っと思ってしまいますが、これは間違いです。そう言ってしま
うと生まれた瞬間にその人はクリエイターか否かが決っていることになちゃい
ますよねぇ。でなくて、育った環境を含めてその人が経験してきたことが大き
く影響して形成されるもの+若干の天性の感覚なのではないでしょうか。

たまに、「オレは芸術に命をかけ、芸術をクリエイトするために生きる!!その
ための貧困は芸術の糧となり、それがエネルギーとなってすばらしい作品がク
リエイトできるハズだ」と勘違いされる方がいらっしゃいますが、本当です
か!? ウソでしょ。少なくとも貧困は関係ないですよね(笑)。時間をとっ
て良いモノをたくさん見て経験を増やす、そのために経済的に不利を選ぶので
あれば間違ってはいないとは思いますが・・・。

そうです、いかにモノをたくさん見たり聴いたりして経験を増やし感性を豊か
にしていくかで、その人の「センス」の大部分は決定されていくわけです。そ
して、研ぎ澄まされた「センス」からクリエイトされるモノは人々にウケる確
率が高くなるのです。つまり、経験を増やせば、いろいろなアイデアの引き出
しが蓄積されることになるわけで、こういう場合にこうしてみよう、と思う
「こうしてみよう」が脳の深い膨大なデータベースから良いものを検索して出
てくるのです。このデータベースに経験という蓄積が少なければ、アイデアも
陳腐なものになるのは容易に想像がつくと思います。幼少の頃、新聞に入って
いるスーパーのハデな折り込み広告ばかりを見て育った人と、美術館めぐりと
美術品収集を趣味にしている親の元で育った人では、99.99%は後者の方がよい
ものをクリエイトできるでしょう。100%にならない残りは脳の仕組みが普通の
人とはちょっと違って天性のひらめき回路がある、いわゆる天才だと思います。


さて、では私を含め天才でもなんでもないクリエイターはどういうところを
狙ってモノをクリエイトすればいいのでしょうか。その答えは「ドリフ」とい
う言葉にあります。

皆さん絵画を見たり音楽を聴いたりして良いものに出会った時、思わずワハハ
と笑ったり顔をニヤニヤさせたりしていた経験があると思います。例えば、音
楽を聴いて笑うという反応は、山下洋輔がセシル・テイラーのコンサートを見
に行って演奏中にギャハハハと笑ったことに対して、「これは何かすごいもの
に出くわしたときの俺たちの普通の反応である」と言ったり、三宅榛名が「い
い音楽はゲラゲラ笑いながら聴くものだ」と言ったりしています。

私も先日開催されたデジタルイメージ東京展で、多くの作品の前で思わず笑っ
たり、ニヤついたりしていました(私の作品の前でニヤついておられた方はい
らっしゃったのかなぁ!?)。これらの笑うという反応は、決して軽蔑の苦笑で
はなく、見る者聴く者に得体の知れない大きなインパクトが与えられた事に対
する反応の仕方の一つであると言ってよいでしょう。

そして、この良いものに出会った際に笑いたい衝動が出てくることを「ドリフ」
と言います(注1)。自分の経験の蓄積から少し予想できなかった作品に出
会った時「あっ、こんな表現をしてる、ギャハ」と賞賛の気持ちが笑いになる
感覚や、「なんか変なようにも感じるけど、コレって妙に合っているよなぁ、
わはは」という感覚が「ドリフ」です。

「ドリフ」はクリエイトされた作品に接した人間が、感じる反応なのですが、
クリエイターはそのウケを狙って作品を作る「確信犯」であることが大切であ
ると考えます。たまたま作ったものが「ドリフ」であるかもしれませんが、そ
れは本物ではありません。

「ドリフ」な作品をわざと作ることに意味があるのです。「ドリフ」な作品を
作るには様々な経験をバックボーンにした脳の蓄積データと、それを様々な観
点で結び付ける(たまには突拍子もないリンクもしてしまう)脳の検索エンジ
ンが必要です。そして「ドリフ」はターゲットを絞る必要があります。すべて
の人が同じように「ドリフ」を感じることはあり得ません(注2)。

なぜなら、経験に基づいた感性の感覚だからです。その道の「通」の人を笑わ
せることが出来ればしめたもので、「通」が「ドリフ」を感じて笑うというこ
とは、その世界での伝統の上に新しい表現、もしくは心にグッとくる表現を構
築できているということになります。

もし、この「ドリフ」の感覚が?の方は、何でもいいですから自分の好きなも
のをとことん追求してください。始めは理論や理屈を求めたりしてしまいます
が、最終的には精神論のような哲学の範疇に行き着いて「いいものはいい、悪
いものは悪い」となると思います。これは、どんな分野でも同じであり、逆に
言えば何かを追求したことのある経験は、その考えを他の分野に転嫁する回路
を脳に作り出し、それが突拍子もない面白いアイデアを生む、つまり「ドリフ」
な何かを作れるようになるのだと考えます。

では、具体的にどう考えれば「ドリフ」を生み出せるのでしょうか。これは、
難しい問題ですが、まずは伝統の上にわざと少しだけ裏切りを入れたりして既
存の概念をちょいとひねることだと思います。もちろん、誰か既にやっている
かもしれませんが、自分の経験では新しい表現であり新しいやり方であること
が重要だと思います。これが真に誰もやっていないことでウケる時、いい形で
「ドリフ」をとなるのではないでしょうか。

そして、「真に誰もやっていないこと」は豊富な経験による情報の蓄積があれ
ばあるほどそれを探り当てれる可能性が高いでしょうし、「ウケる」は現在表
現しようとしているジャンルとは異なるもので何かを追求した経験があり、か
つそこからいいモノの考え方を流用できた場合、当たる可能性が高くなるで
しょう。これがセンスです。

ということで、クリエイターの皆さん、確信犯となり「ドリフ」な作品を作り
ましょう。「ドリフ」のない作品、それは印象に残らないモノに他なりません
(天才の作ったものは別です)。「お前の作ったモノって、ドリフだな」と言
われればOKです。どこか大阪弁で「お前アホやな(笑)」と賞賛の気持ちで言
われるのと似ているかもしれませんね。ついでに、作品は「ドリフ」でなくて
も、コンセプトが「ドリフ」という場合もありますので広い視野でモノを見る
ことも忘れずに・・・。 っと自分に言い聞かせるのでした。

最後に思いついたまま、分類してみます。
・天才
 経験など関係なしにひたすら感覚だけで人に感銘を与える作品を作れる人。

・ドリフなクリエイター
 経験をバックに、渋いパロディーを駆使して誰もやっていない隙間や感覚を
見つけてウケることをわざと狙って作品に表現する人。

・職人
 伝統に則りきっちり良い作品を作る人。冒険はしない。

・クリエイター
 ウケるかどうかは別として、自分の考えをもって作品を作る人。

・オペレーター(デジタルの世界に多い)
 人に指示された通りの作品を作ることが出来る人。

・マニュアル依存症(デジタルの世界に多い)
 自分が何を作りたいのかよくわからずに、アプリケーションのマニュアル通
りに作業をしてみるとそこそこ見れる作品!?みたいなものが出来上がり、その
パターンを繰り返す人。

・評論家
 経験よりモノの良し悪しは判断できるが、作品を作ることは出来ない人。

 以上、たいへん失礼いたしました。


p.s.ちなみに「センス=sence」を辞書で引いてみると、感覚、意識、本性、判
断力、分別、常識、意義、効用、意味とありました。常識も入ってたんです
ねぇ。

(注)
1.
「ドリフ」は周知のように昭和40年代から60年初めにかけドタバタコント
で、TVで一世を風靡したミュージシャンのグループ(その後TVではコント
を専業にするようになる)、ドリフターズに由来するものです。このドリフ
ターズのレコードには音の音色でなく、フレーズで笑いを誘う部分が多くあり、
なぜ特有のフレーズで人間は笑うのかを追求した、太田カズオというジャズピ
アニストがこの「ドリフ」という言葉を使いはじめたのが発端です。元々、
ジャズの中に「笑い」を持ち込むもので、ジャズ表現の「様式」を越えた部分
でウケをねらおうとするものからスタートしたのですが、注意すべき点は「ド
リフ」は様式ではないことです。単にベタベタのギャグでわかりやすく人を笑
わす手の笑いとは趣を異にします。

2.
「ドリフ」はスタイルに左右さずに「感性」に深く関わります。完成品として
全ての人に認められ、評価される、そういった絶対的価値観は「ドリフ」を計
るものさしにはなり得ません。かと言って、「ドリフ」は抽象的な概念なのか、
と言えばそうではなく、主観的な概念と言えます。同じものを見たり聴いたり
して感銘を受けるにしても、感心するのか、笑いたくなるのか、その違いには
大きな個人差があります。例えば、同じギャグでもいろいろな反応があるよう
に、現代日本の細分化された笑いの世界と似ているかも知れません(万人向け
の笑いは今では存在することが難しくなっている)。ただし、マニアックな世
界を追求しすぎると、内輪受けという落とし穴にハマることになりますので、
注意が必要です。単なる内輪受けは「ドリフ」ではありません。

(参考)
「ギャグ」を超える「ジャズ」-ドリフジャズの評論的研究
~ DORIFU JAZZ: sua hist ria e estudo critico.(Oct.1997/太田和麻)
http://member.nifty.ne.jp/kozakura/dorifu.htm

【プロフィール】
岩渕泰治
1966年生まれ。
1989年大阪教育大学小学校社会課程卒業。
CG-Artist!? CG-Illustrator!? JazzDrummer!?
デジタルイメージ会員
あっ!! っと思い突然Macを購入してフォトレタッチによるCG制作を始めた瞬間、
阪神大震災で家の中がシャッフルされる。こたつの上のMacは無事だったため、
余震におびえながらも制作を続行。MdNからPhotoshopの達人に祭り上げられた
りしながら現在に至る。本業は普通のサラリーマン。
MIDIを使った誰もやっていないタイプのWebドラム講座を
http://www.asahi-net.or.jp/~dx8y-iwbc/drums/drums.html
にて準備中。
URL : <http://www.asahi-net.or.jp/~dx8y-iwbc/>
E-mail :

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●先週掲載後、反響がぞくぞく。リクエストにお答えして再登場!!

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■イベントレポート

『ディジタル・イメージ東京展の7日間』
記録 花山由理
ディジタル・イメージのアイドル、精算の鬼、宴会最高幹事の花山由理の日記
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●4月28日 搬入

この日はバタバタしてしまい、会場に着いたのが午後1時。ちょうど作品の箱出
しが終わって壁に並べおえたというところ。川口吾妻さんの的確な指示に従っ
て、有名な作家の方々が一斉に動く姿は見ていると新鮮だなぁ。と思いつつ、
配置通りに作品を並べて位置を計る。

私が展示する壁の部分は一番長い壁で、位置がなかなか決まらないよゥ(専門
業者が入って展示するのではなく作家が自分でトンカン壁に釘を打つ。まさに
手作りの展覧会だ)。自分の手にあまるので、ついつい他の作家達の作品を見
に行く。今年は去年よりもみな額装に凝っているようだ。小柴田さん(運営委
員の柴田忠男さんの甥とのうわさ?

遠慮して小の字を頭につけている)のブラインドカーテン型の作品や、藤原ヨ
ウコウさんや中野博文さんのように大きなタペストリーサイズの作品、ダン
ボール地を生かした額装がイラストにマッチしたたにぐちじゅんぺいさんの作
品、これまたインパクトあるイラストにピッタリの額&なんと!鏡の額を利用
したふじわらかずえさんの作品、ふわふわの白い羽がなんともカワイイ、キャ
ラクターにぴったりのMASANTAさんの作品、斜めに動きのある配置がグッドなラ
ジカル鈴木さんの作品。Tシャツ(ほしい!)で展示の檜山巽さんの作品まだ
いっぱいあってもう書けない……。

ムービーも大場康雄さんや高橋信雄さん、森野数馬さん、松浦季里さん、中川
佳子さん、安井千博さん、北古賀紀行さん、山本健介さん等あり、去年より映
像展示がたくさん増えている。パナソニックのモニタがワイドサイズになって
迫力がある。

自分の作品の位置がほぼ決まって、Rey.Horiさんからゆずっていただいた釘と
フックを、高橋晋さんよりお借りしたかなづちでうちこんで額をかけた。が、
額が斜めになってしまった。フックはふたつもいらないらしい。ヨウコウさん
が、直してくださった。が、額の位置がちょっと上にいき過ぎ。「ちゃんと計
算してからかけないか? 普通」とツッコミを入れつつも、ヨウコウさんが釘
を打ち直して下さった。

ところが今度は、右の余白と左の余白があっていなかったのに気がついた。ヨ
ウコウさんが「姉ちゃん! 専門の大工やないんやでぇ!」といいつつも直し
て下さった。が! 右の余白と左の余白のバランスが逆になってしまった。ま
たまた直してもらってよく見ると……仮設の壁に穴が12個もあいてしまい、
「きたない壁やなぁ」と言われてしまった。

夕方は搬入後パーティーに突入。会場ちかくの銀座ライオンでドンチャンする。
33名参加。事務局の長田智行さん、柴田さん、渡辺寿明さんは、明日オープン
の準備がまだ終わらず不参加だとか。お疲れ様でした、本当に。

パーティーの方は盛り上がった! ほとんどは2次会まで突入し、荒木慎司さん
と弓田純大さんと中川潤さんと私は朝まで語りあってしまった。ちょうど自分
が何を描きたいのかと迷っていた時だったので、3人の話がとても参考になった!
 幹事やっててよかったなぁ。

朝は弓田さんと中川さんのクロッキー教室があって、これまた感動しっぱなし。
よし、今月からその方法でやってみよう!!
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●4月29日 オープン 入場者数約1100名(途中で計測不能)

今日は初日。午前中はまずまずな入り込み。リコーのプリクラソフトがうまく
作動せず急遽ディジタル・イメージ1996のCD-ROMを立ち上げてごまかしたとか。
これはこれで受付から作品が見られておもしろい。今年の作品と比較すると、
これまた作家の方々の変化を感じれてさらによい。

桑島幸男さんの作品がかなりな変化だったので、ご本人にインタビューした。
すると、「ぼくは同じ絵は描かない。毎回全然違う」とのお言葉。午後2時頃か
ら込みだしてきた。おそらくパーティーめざしてのご来場であろう。作家をた
ずねてくる方も多い。お花も届く。4時頃には作家たちもたくさん来場してくる。
早くも5時にはパニック寸前って感じ。

そして6時。松浦さんの華のあるすばらしい司会でパーティーが開かれた。私の
迷司会とはえらい違いだ。代表の挨拶、来賓の挨拶、そして出展者を代表して
最高年齢63歳の中井勝郎さんと、一番若い23歳ムラマツルイさんの挨拶。パー
ティーが始まると予測通りすさまじい状態。あちこちの方に呼ばれてお話して
……おちつかないうちに食べ物がなくなる。こりゃ、帰りになにかつままなく
ては。

所幸則さんにご挨拶する。前から行きたかった「メディアローグ・日本の現代
写真'98」のチケットを頂いた。わーい、友人と見に行こう。

突然、Rey.Horiさんにアナウンスで呼ばれたので行ってみると、柴山信広さん
が作品の話をして下さった。柴山さんのような大巨匠に自分の作品の話をされ
て感動の涙でした!柴山さんは今年ガラっと作風がかわられたのでそのへんを
お伺いしたところ、「人間もどんどん成長していかなくては」というお返事。
こんな方でも、いや、こんな方だからこそのお言葉だと心にとめておいた。桑
島さんの話も共通していると思う。
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●4月30日 入場者数598名

体調がすぐれず朝寝して、会場に行くのが遅れてしまった。井上佳子さんが、
私が来るまで京都に帰らずに受付を仕切っていて下さった。大変申し訳ないで
す。今日の客数は落ち着いている。でも人数は去年より多い。

たくさんの当番(いつ受付を担当できます、という自己申告に基づいて運営委
員会で当番表をつくる。毎日出てくるのが小柴田さん、北古賀さん、私。毎日
出ると大宣伝しながらまったく姿を見せず大ヒンシュクの鷺義勝さん。東京に
いながら受付当番など知らん顔という人もいるんだな、これが。きっと仕事が
忙しいのでしょう。けっこうけっこう)の方がいらして、にぎやか。お花や伝
言や差し入れがきて、華やかな感じ。初日のアンケートを見ると、人気投票で
ぶっちぎりの3名が争っている。う~む。今日の売り上げと金額の誤差は100円
くらい。ホッ。
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●5月1日 入場者数605名

今日は平日&メーデーだけあって、一気に客数が少なくなった。小柴田さんは
今日も朝から元気にせっせと働いている。ビデオの再生がきれれば巻き戻しに
行き、会計もやって下さる。おもわず、「毎日そんなにがんばってすごいです
ね」と言うと、「作品を見てくださるお客さんの反応とか、商品を買って下さ
るお客さんの反応を間近に見て、今後の作品制作の参考にしたいんです。やっ
ぱり実際に来て見ないとわかりませんから」と目を少年のようにキラキラさせ
て答えて下さった。と、当番の鏡である! 見習わなくては。午後は仕事の打
ち合わせが入ってしまって、会場の状況はよくわからなかった。

昨日の一晩でつくりあげたハデハデ名刺を、当番のみなさんに配りまくった。
武藤修さんの友人の作家坂口さんが見えられて、久しぶりのご挨拶をした。武
藤さんと坂口さんとRei.Horiさんと藤原ヨウコウさんと、どういう方向でごは
んをたべていくか等の話から仕事紹介してネの話まで盛り上がってしまった。

やっぱり当番に出れば、繋がってくるもので、この会場のやりとりからも仕事
はくるかもしれないのだ。Rei.Horiさんの仕事のファイルを見せて頂いた。ス
ゴイ。こんなに仕事をしているのかぁ!「デジタルイメージギャラリー」にも
載っている、早稲田大学~のポスターも見せていただいた。う~む。私もがん
ばるぞ!

夕方、「MdN」本誌の方二人を中村浩二さんに紹介していただいた。一人は、去
年も取材にこられた佐藤さんであった。MdNってカワイイ女の子が多いなぁとつ
くづく思った。そして…この名刺交換が明日の仕事に結びついたのであった。
今日も、小柴田さんのハガキが飛ぶように売れまくった。
_____________________________________________________________________
●5月2日 入場者数542名

今日も初日にくらべると人が少ない。昨日の日本テレビ午後3時50分からの「ハ
イ夕刊」で、この展覧会が紹介された。そのビデオを見る。岡部タカノブさん、
中川佳子さん、成光雄さんの作品がとくにクローズアップされていた。これで
お客さんが増えればいいが。夕方、MdNの佐藤さんより会場に仕事の電話があっ
た。いつどこにお仕事がころがっているかわからないものだと思った。

駄場寛さんと駄場真弓さんの作品がとてもおもしろい&美しい。聞いたところ
によると、駄場真弓さんの作品はフィルムのようなものにプリントし、後ろか
らライトをあてるというもので、駄場寛さんのものは、なんと!!見る角度に
よって動きがでるという凄いものであった。これは、3Dデータを12枚用意する
のだとか。額はごく普通の額よりも軽いかも。す、すごい技術だ。

たにぐちじゅんぺいさんと、ふじわらかずえさんが作品に置く名刺を用意して
きた(作品の下の方に名刺ケースを付けてご自由にお持ちください、というス
タイルは新機軸だ!)。そうか、わたしもそうしよう!とマネをする事にした。
今日も夜なべで名刺を作るぞ!

今年のアンケートからは、人気投票はかなりの乱戦になりそうだ。ぶっちぎり
がなくなった。今後どうなるか、楽しみ楽しみ。「会場がせまい」というよう
な意見が消えた。川口さんのレイアウトが大成功のようだ。作家たちにも好評
だ。
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●5月3日 入場者数616名

朝から来ると言っておきながら、連日の夜なべのため寝坊してしまう。小柴田
さんが、私が来るまでお昼も食べずに待っていてくださって、申し訳なかった。
それにしても他に商品を依託した東京在住の8人の作家達は来ないのだろうか?
私達は依託販売員ではないぞ! と思ってはいけないと思いつつ、つい思って
しまう……。

アンケートの反応が去年とガラっと変わっておもしろい。「動画がふえて楽し
い」という意見が多いような気がする。あと、「個性というかインパクトがな
い」という意見が少なくなったような気もする。年々表現方法が多彩になって
きていて、とても今後が楽しみであり、脅威でもある。これからはもっとがん
ばらなければ!

午後3時よりTV番組の打ち合わせ。なんと、急な事にデジタルカメラに詳しい専
門家もいないだろうか? と相談され、急遽、松本明彦さんをご紹介する。松
本さんが、この話を気に入ってくださればよいのだが……。夜、約束していた
友人達が来た。ゲームのグラフィックをてがけている方々だったので、ヨウコ
ウさんをご紹介して、一緒に食事にいく。このご紹介が役にたてばよいのだが
…。今日は誤差が1000円程出てしまい頭を抱える…。最終日の精算が恐ろしい。

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●5月4日 入場者数846名

かなり寝坊した! 午後2時に会場についた。小柴田さんがあいかわらず待って
いて下さった。おわびにワッフルを買ってきたら、好評だった。明日も買って
こよう。黒田あや子さんに作品について伺った。あの哀愁ただよううしろ姿の
正体は??答えはかわうそだとか。家族に捨てられて流浪の旅の果てに行きつ
いたというシーンを描いたとか……。す、すごい。どういう原理でそういう発
想があの美しいお姿から出てくるのであろうか?

ムラマツルイさんの「団地妻」と「未亡人」もすごい。一目でホレてしまった。
3日の当番の女性陣で「ムラマツさんはおばさんがよっぽど好きか、よっぽど嫌
いかだね」と言っていた。それにしてもあのイラストはハマリすぎる。将来の
私のようでコワイ。「未亡人」のハガキを買った。今机の前に張り付けてある。
将来、こうならないようにと自分に暗示をかけるために……。

ワッフルを買う時に50円たりなくて困った。銀行が皆しまっている。クレジッ
トカードは審査で落ちてしまってもっていないから途方にくれかかったが、丸
井カードがあったので、松坂屋でキャッシングができた。生まれて初めてのま
ともな借金である。緊張した。あと、その途中で消防車20台くらいにかこまれ
て通行止めのところがあった。あれはなんだったんだろう?あんなに大掛かり
な状況なら、今日のニュースにでているであろう。

夕方、絵風蔵の会員の巣瀬さんという方がいらして、丁度これから会場に行く
ところだという。小柴田さんに会計をお願いして、中野さんと北古賀さんとぞ
ろぞろとついていく。会場の入り口でなんと!飯田HALさんにバッタリ。いろい
ろとご案内して頂いた。ディジタル・イメージとはまた違ったパワーがあふれ
る展覧会で、とてもおもしろかった!飯田HALさんの「Holiday」という銅板?
とたたいて作ったというオブジェ作品がとってもよかった。

叶精作さんの所にあるという、大型インクジェットプリンタで出力したという
大作品群に驚く。個人でこんなプリンタをお持ちなんですか???とびっくり
してしまった。叶さんの女性はいつ見てもホレボレする。叶さんの作品集「叶
'sスーパーPINUP」を買おうと思っていたら、会計をしている私の目の前で売り
切れてしまった。シクシク。
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●5月5日 入場者数940名

とうとう最終日。案の定、寝坊して到着。来て早々、恐怖の精算である。あた
まの中がぐにゃぐにゃ。目はぐるぐる。耳は爆音で鼓膜われ、口は数字のオン
パレード。来場数は相当な数であった。初日に継ぐ人数であろう。天気もよ
かったし。でも、とても残念なこと(か、うれしいことか)に「デジタルイ
メージ・ギャラリー」が先日で売り切れてしまい、なんと見本まで売れてし
まった。ヨウコウさんが、「あ~!もう一束ほしかったなぁ!」と残念がって
いた。同感同感。

今日はプリクラもメンテナンス要員がやってきて、無事稼動。結構人気である。
長田さんのお子さんの京子ちゃんがカワイク写っている。将来美人になるであ
ろう!うんうん。柴田さんの有名な娘さんもみたかった!!

閉館まぎわに館内放送で「御来場の皆様にご案内申し上げます~」のアナウン
スを入れる。今日はセリフが長かったので、緊張した。作家の方がたくさん来
ていたが、だれも私がアナウンスしていたとは気がついていないらしい。フフ
フ。搬出作業はとても早くスムーズに終わった。あとは、私の恐怖の精算。商
品の在庫を確認してもらい、あっているかを確認する。結構ばたばたして在庫
の確認がきちんととれない。お金もあわない、あぁ…死にそう。これがデパー
トのレジだったら、夜中まで精算させられるところである。早くしてくれとい
わんばかりの雰囲気にアセってしまう……。

なんとか作業を終え、たにぐちじゅんぺいさんから頂いた作品と、自分の作品
を持って移動……と思ったら、どうも梱包が悪いらしく、皆さんがビニールひ
もやカッターやダンボール等を貸してくれて、北古賀さんが梱包しなおしてく
ださった。北古賀さんは、なんと!九州から、ワンウイークマンションを借り
ての参加。すばらしい! 私も大阪展はガラのよさそうなワンウイークマン
ションを借りてがんばろう。

夜、最後まで残った作家の方々とかるくお食事する。でも、長田さんや柴田さ
んや渡辺さんはまだ作業が終わらないとか(翌日もまた荷物の返送立ち会いで
来られるとか)。本当に最後までお疲れ様でした。鷺さんがあいかわらずブレ
イクして大変盛り上がった。あの後、小柴田さんと二人で銀座の夜に消えて
いったが、どうなったのであろうか?

中野さんが鷺さんのブレイクぶりに大感動していた。話題のなかで、「いろい
ろな話ができる裏メーリングリストがほしいね」との話がでた。同感同感。夜
帰ってきて、一眠りして夜明け前にメールを見ると、ラジカル鈴木さんから来
ていた。ラジカルさん、ごめんなさい。怒っていたわけではないです。ただ、
お金を扱う時は集中のあまり、我ながらコワくなってしまうだけです。デパー
トのマネージャーをしていた時は「精算の鬼」と言われていました…。あぁ、
どうしたら、精算があうようになるのだろう。今後の課題だなぁ。

でも、本当に今年も楽しかった!!大阪展もがんばろう!!

大阪展は8月4日から14日まで、大阪府立現代美術センターで開催します。

最後にここまで読んで下さった方々、どうも有難うございました。
5/24発行の「WinGraphic」の私の写真は自信作ですので、見て下さい。
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●本日は、編集長の一人である、KNNの神田敏晶氏がタワーズ襲撃。ネタやアイ
デアざくざく。ここに書けないのが残念!! (濱村)

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【日刊・デジタルクリエイターズ】 No.0024 1998/05/09発行
発行社  タワーズ株式会社
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編集長  森川眞行 
     柴田忠男 
     神田敏晶 

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           担当:濱村和恵
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