Otaku ワールドへようこそ![27]コスプレ写真で日伊文化交流/GrowHair

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3年前に原宿でイタリア人コスプレイヤーに声をかけて撮らせてもらったのが発端で、日伊文化交流団体のイベントでコスプレ写真を展示してもらえることになり、開催に合わせてイタリアに行ってきた。その経緯は[25]3/31に書いたが、今回はそのご報告。……の多分前編。

準備の土壇場で薄氷を踏む思いをしたものの、無事に15点の写真を展示することができた。出展者や来場者の方々とたくさん話ができ、単なる観光旅行とは一味違った形で、初めてのイタリアを堪能した。


●写真が届かない!

4月29日(土)、30日(日)の開催に向けて、多少は余裕を持たせたつもりの日程で展示用の写真の準備を進めていた。

まずはポジフィルムをフィルムスキャナで読み込み、その画像をL判に紙焼きし、それをトリミング見本および明るさ見本として添えて、元のポジフィルムから展示サイズに紙焼き注文した。ワイド四つ切が14点とキャビネサイズ4枚組が1点。これが仕上がったのが4月13日(木)。

外出仕事の合間に時間を盗んで新宿のヨドバシカメラに立ち寄って写真を受け取り、新宿郵便局からEMS(国際スピード郵便)でYuzuの自宅宛に発送した。4日ぐらいで届くので、フレームをつける作業に週末1回をあてられるという段取りである。その作業はYuzuにお願いしてある。

ところが、待てど暮らせど届かない。ネットで追跡できるので見てみると、翌14日(金)のフライトに乗せられ、19日(水)にマルペンサ国際空港に到着した記録がある。5日間も飛んでるかね? そして、その後出てくるはずの通関記録がいっこうに出て来ない。その間には、Yuzuが日本へ注文したローゼンメイデンの同人誌が追い越して、3日間で届いている。

それでも今に届くだろうとのんびり構えすぎた。さすがにもうひとセット用意しておかないとまずいぞ、と焦り始めたのが、開催3日前の26日(水)。同じ方法では3日間かかるので、もう間に合わない。残された手段は、自分でフィルムスキャナにかけて、画像データから紙焼きする方式。これなら1時間ほどで仕上がる。ただし、それには4347×3036画素の画像が必要。今ある見本用の1286×888画素の画像ではボケボケの絵になってしまう。徹夜作業して、なんとか読み込み終えた。

1時間ばかり寝てから、27日(木)の午前中、ヨドバシカメラでプリント。色がきれいで、細部の再現性もよく、品質的に展示水準に達している。特に色に関しては、スキャンする際にRGBそれぞれのトーンカーブを心ゆくまでいじっているので、フィルムからのプリントよりもいいかも。受け取ってから出社したら、14:30ぐらいになってしまった。13:00からの会議に大遅刻。危うし、俺の社会生活。

翌28日(金)は仕事を休み、13:00成田発のフライトでミラノに向かう。展示用の写真を手に持って。もしたどり着けなかったり、手荷物を紛失したりすれば展示に穴が開く。この気分をたとえると、山登りしてて、山頂近くまで来たかと思ったら、最後は、鎖に頼っての切り立った崖登りだった、みたいな感じ。手を離せば奈落の底じゃ~。スタミナドリンクの宣伝の掛け声が頭をよぎる。

●初めてのイタリア、冒険気分

同日の18:00ごろ、マルペンサ空港に到着。ここからミラノを経由してブレーシア(Brescia)へと向かう。成田空港で買った「地球の歩き方」を機内で読んで調べた経路にしたがい、列車、地下鉄、列車と乗り継ぐ。

イタリア語についても、その本からの付け焼刃の知識。意外に何とかなりそう。例えば「中央駅」は英語だと「セントラル・ステーション」だけど、イタリア語だと「チェントラレ・スタツィオーネ」だ。それ風に読み替えるだけじゃん。

中央駅で列車の切符を購入したところで、Yuzuに電話。留守電だったが21:05発の列車で向かう旨を残しておいたら、21:55にブレーシアに着いたところで、出迎えてくれた。Yuzuママの運転で、友達のエリザ(Elisa)と一緒に。どちらも初めまして、だ。

Yuzuは金髪碧眼、ぽっちゃりして可愛らしいが、Elisaは黒髪に茶色い目で、彫りの深い、芸術的な鋭さをたたえた顔立ち。2人ともデザイン専攻の大学生で、日本のアニメやゲームが大好きなオタクで、コスプレイヤーという共通点がある。

ブレーシアはけっこう大きな町で、都会的な景色だ。4人でイタリア料理のお店へ。ハムとモツァレラチーズのピッツァを注文。これが閉じてあって、巨大な餃子みたい。カルツォーネというそうだ。なかなか美味。だけど、よく日本で出されるイタリア料理は日本人の口に合わせて味を変えてある、と言われる意味がよく分かった。こってりと濃厚な味なのだ。ひと口ふた口はよいのだが、沢山は無理。

聞きたいことがいっぱいあって、会話がはずんだ。イタリア人の働きぶりについては、南の方ではぐうたらが多く、昼休みを何時間も取ったりしてるけど、ミラノやブレーシアではみんなまじめに働いているのだそう。他にも言語や天候や地理のことなど、話題は尽きない。真夜中ごろ、お開きに。写真をYuzuに渡した。あとの作業はやってくれるという。

●ぎりぎりの作業で設営完了

翌29日(土)がイベントの開催当日。10:00の開場までに設営を終えなくてはならない。タクシーで20分ほど行った、ボッティチーニ(Botticini)という田舎町にある劇場。山並みが近くまで迫り、大理石を切り出した跡が垂直の崖になっている。周辺は野原だったり、牧歌的な家並みだったりして、会場の近代的な建物がちょっと不釣合いなほど。

9:00ごろ到着してみると、外にYuzu、Elisaほか十数人のスタッフが所在なげに立っている。鍵を持ってる人がまだ到着しないんだとか。おいおい! ほどなく来たけど、1時間しかないやんけ~! 入ると、観客席200席ほどの劇場。左右と後ろの3方の2階、3階、4階が画廊として利用でき、我々は4階左側一画をもらっている。

ElisaはYuzu宅に泊まり、2人して朝4時までかけて、写真に縁をつける作業をしてくれたんだとか。15点すべてが黒い厚紙で縁取りされていた。絵が締まる感じで、重厚感が出ている。これを両面テープで壁に直接ぺたぺたと貼っていく。タイトルをつけて、完了。間に合った。やれやれ。

他には日本の寺社などの風景写真、書道、折り紙、着物、盆栽などの展示があった。午前中、会場にいたが、来場者はぱらぱらぐらい。

●来場者から昼食に招かれる

2日目の昼近く、隣で写真を展示しているフランチェスコ(Francesco)が、ちょっと来てくれ、という。彼とは前日に親しくなり、午後には彼女のマリー(Mari)とYuzu、Elisaとともに5人でブレーシアを観光している。

行ってみると、60代ぐらいの夫婦が熱心に質問している。展示写真の中に鎌倉の長谷寺で撮ったのがあり、高さ30cmぐらいの小さな仏像が何百体と縦横に整列している。水子の霊を祀るものだと昨日教えてあげたら、それをこのお客さんに伝えたようで、もっと聞かせてほしいと突っ込まれ、私に助け舟を求めてきたというわけである。

事情があって中絶せざるを得なかったけど、その後、罪の意識にさいなまれたり、赤ん坊の泣き声が聞こえるなど霊に取り憑かれたようになったりして悩んでいる人々に対して、霊をなぐさめて成仏させてやるお寺なんだと説明した。また、日本では年間30万件もの中絶が行われているが、あまり問題視されていないことなども。

そんな話をしていると、「拙宅で昼食などいかがですか」と誘ってくれた。フランチェスコとマリーと私の3人で。えーっ、いいんですかぁ? 車2台に分乗してブレーシアの町を通り抜け、さらに、小高い丘をずんずん登っていく。大富豪の住む地域で、映画のセットかいね、と思えるような大邸宅が次から次へと。相当登ったところに老夫婦の家はあった。

両開きの大きな鉄扉が厳かに開き、進入。入ってすぐのところはバラ園になっていて、まだほとんどが蕾だが、ぽつぽつと赤いのが咲いている。たとえるならば、鎖場を登り切ったら山頂は楽園だったという気分。

車を停めると、まず、庭を案内してくれた。三色すみれなど、春の花が咲き誇る。日本の草木をたくさん植えたのだという。入口近くには桜の木もある。家の向こう側の下り傾斜にも庭が続いており、大きなプールがある。日本の風景さながらに、桃の木、柿の木、りんごの木、いちじくの木が植わっていたり、あやめが大きな紫の花をつけていたり、ガクアジサイや花アジサイがそろそろだったり。他にも、アーモンド、オリジナルのローズ、パッション、マンダリン、仏手柑、ジャスミン、バジリコなど。

歩きながら、ご主人が咲いてる花を摘んではどんどん手渡してくれるので、しまいには大きな花束のようになってきた。その向こうはレタス、トマト、ズッキーニなどの家庭菜園とブドウ園。昼食用にレタスを2つ、もいでくれた。

家に上がると、応接間の大きな窓からは、ブレーシアの町が一望の下に見渡せる。窓辺には蘭の花がいっぱいに咲き、ゴムの木なども置かれている。部屋中央には大きなシャンデリアが下がり、その下にテーブルが用意されている。摘んできた花はガラスの花瓶に生けられ、テーブル中央に置かれた。

老夫婦の息子さん2人も加わり、7人で昼食。息子さんたちは20代後半ぐらいに見える。奥様は小児科・産婦人科のお医者さんなのだとか。あ、それでさっきの質問だったわけだ。手作りパスタ、サラダ、小さい蛸の煮付け、白身魚などを白ワイン、赤ワインとともにいただく。

会話はほとんどイタリア語かわされ、私は小さくなってた。しかし、黙ってメシだけごちそうになって帰ったのでは日本人の名折れだ。思い切って、旦那様に、どういうきっかけで日本が好きになっていったのか英語で聞いてみたところ、仕事で札幌や室蘭に行って、日本の自然に魅了されたのだという。奥様には、日本のどんなところが好きかと聞いてみたところ、日本人が自然を愛する心を持っているところだという。予想外の高尚な答えに面食らったが、私からは、日本人は自然との調和という考えを大事にしており、お寺の石灯籠は苔むしてこそいっそう美しくなるんだ、と説明。

弟さんが、何やら化学の実験装置のようなものを持ち出してきた。水煙草を吸う装置なのだという。どういう原理なのか聞くと、ベランダに出て実践してくれた。煙草は真っ赤っ赤で福神漬けのようだ。パッケージにはヘブライ文字がのたくる。装置の下部は水を入れるフラスコになっていて、吸い口が2本突き出している。真ん中から煙突のように金属パイプが立っていて、上部に皿がある。その皿の中にタバコを入れ、アルミ箔で蓋をして、ぷつぷつと穴を開ける。その上に炭を乗せて、火を点ける。

吸い口から吸うと、炭が赤くなり、煙がアルミの穴から吸い込まれ、タバコを通り抜けて煙突を下り、ぶくぶくぶくと水をくぐり、吸い口に至る。さほど煙たくはなく、トロピカルフルーツの香りがする。それでもふーっと吐き出してみると、普通の煙草のような煙である。特に効果も感じられず、調子に乗ってぶくぶくぶくぶくやっていたら、立ち上がろうとしたときに、ふらっときた。平衡感覚がまるでおかしくなっている。一歩一歩気をつけて歩かないと転びそう。食後の一服としては、ちょっと重かったかな?

ごちそうさまでした、ということで、再び車で会場まで送り届けてもらった。ご主人様がどんなお仕事をしていらっしゃるのか、恐くて聞けなかったが、水煙草の息子さんとは連絡先を交換した。ラストネームはフェラーリ(Ferrari)さんだった。あの車の? まさかね。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
国際親善カメコ。4/29(土)に福岡県芦屋町で開かれた「あしや人形感謝祭」にも行きたかったのだが。ポスターにはローゼンメイデンのキャラが起用され、「真紅」バスによるツアーも行われた。Kotoiっちはスーパードルフィー2体を連れていって、ポスターを実写再現していた。詳しくは仲間の弓月水晶氏がブログに書いているので、どうぞ。
< http://crystalcroissant.blog20.fc2.com/blog-date-200605.html >