[2188] クリエイターの背中

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,100文字)


<悪い空気を出さないような日常を過ごす>

■創作戯れ言[9]
 クリエイターの背中
 青池良輔

■曜日感覚のないノラネコ[7]
 私とVirtual PC for Macのこと
 須貝 弦

■展覧会案内
 稲越功一写真展「百一人の肖像」

■イベント情報
 F-siteセミナー「Adobe Flash CS3 Professional ことはじめ」
 Web Crearive Next
 畠山直哉講演会「写真家と建築」

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■創作戯れ言[9]
クリエイターの背中

青池良輔
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先日、数年来の知り合いのお坊さんに会う機会がありました。久方ぶりの会話は懐かしく、心和むものでした。このお坊さんは、デジタルコンテンツ制作という僕の職業に関しては、漠然とだけ知っている感じで、こちらとしても「まぁ詳しく話したところで、オタクみたいになるし」と遠慮していました。そんな時、

「やっぱ、電博みたいな代理店がらみのとかやってるの?」

と僧職らしからぬ発言が。改めて伺ってみるとこのお坊さん、若い時には東京で代理店関係の仕事をこなすデザイン事務所を抱えていたということ。田舎のお寺の風景と、彼の穏やかな風貌と、話の内容が噛み合ず何となく奇妙なおかしさがこみ上げてきました。

彼曰く、仕事は回っていたし、全国展開するようなそれなりに大きなプロジェクトにも関係していたけど、徹夜が続き、仕事のプレッシャーもあり体力的にも精神的にも限界を感じで一線を退かれたということでした。

「デザイナーとしてやっていけているのは嬉しかったけど、辛い仕事をお金の為にこなしているのはやっぱりねぇ……」

正直、「またか」とも思いました。クリエイションの仕事をしている人の中には、厳しい条件下で神経をすり減らしながら、「何の為に?」と悶々としている人達は少なくありませんし、そこで弱音を吐いてしまう人にも沢山あってきました。まるで挨拶代わりのように愚痴をこぼし合ったりしています。

自分もコンテンツ制作者として仕事をしている上で、追い込まれる状況になることもままありますし、そういった状況を理解した上で良いクリエイションができるようにいろいろ知恵を出してやっていっているつもりですので、ちょっとこの手の話には辟易している部分もありました。

「自分のクリエイションは反映されないが、金額的に魅力的な仕事」「自分の創作が多く反映されるが、金銭的にはあまり期待できない仕事」という両者のバランスについては、プロとして仕事をするうえでの命題でもあり、繰り返し繰り返し語られてきたことでしょう。誰もが「自分の創作でかつ金銭的にも充実している」レベルを目指しているのですから。そう思いながら、生返事をしていると、

「どっちを選ぶもの自由。でも、その仕事をしている父親の背中を子供は見て育つよ。」と。

コンテンツ制作をして行く上で、努力、葛藤、苦悩、嫉妬、不平、不満はつきません。自分の実力に対して冷静な視線を保とうとすれば、常にポジティブでいる事は難しいでしょう。「人が喜ぶものを創ろう」と思っていても、物理的に厳しい状況下では、表情も硬くなります。

ただ、その背中を見ている人がいると意識した時、いったいどうしたら良いのでしょうか。このお坊さんは、子供という形で、僕に問いかけてくれましたが、これは子供だけに限らず、人間関係がある所すべてにおいて通じる話だと思います。

上司の背中を見ながら、部下は自分がやっている仕事のやりがいを感じ取ることもあるでしょうし、先輩クリエイターの背中を見ながら、若いクリエイターは自分の未来を考えるでしょう。立場的に逆の場合も考えられますし、友人同士だって考えられます。

また、クリエイターとしての仕事だけに留まらず、全ての職種、そして人としてのあり方にまで話は広げられるでしょう。

「自分の背中はどうなんだろう?」

可能であるならば、良い背中でいたいとは思いますが、日々の雑多な業務をこなしながら、さらに自分の背についてまで気を配れません。何より、ここでいう背中とは一朝一夕に、笑顔や、やる気を取り繕ったところでどうにかなるものではないでしょう。

と、ひとしきり考えて、ギブアップ。

あまり難しく考えてゆくと、坊さんの罠にはまって仏門に入らざるをえない気分になりますが、基本的には精神的に「良い感じ」でいられるかどうかというレベルで捉えておけばいいのかなぁと。「背中」と言ってしまうと、自分の性根から正してゆかないといけないような、なかなかに手強いものに感じられますが、まず手始めとして、「悪い空気を出さないような日常を過ごす」ということから手を付けてゆければと思っています。

締め切りや、クライアントワークのごたごた等、ストレスの原因となることの方が多い状況で、心穏やかにいるのは簡単ではなさそうです。不条理、無理難題に向かい合いながら、周りを不快にさせず過ごしてゆく為には、

「アホになる。」

のが一番かと。頭を空にして、アホのふりしてやって行けばいいのかなぁなどと考えたりもします。まぁ、言い換えればそれが「無我」ということなのでしょうが……。

「のんきなアホ」でいいなら、気が楽です。アホでいれば、子は育つ。というところでしょうか。

生意気言いました。

【あおいけ・りょうすけ】your_message@aoike.ca
< http://www.aoike.ca/ >
1972年生まれ。大阪芸術大学映像学科卒。学生時代に自主映画を制作したのち、カナダ・モントリオールで映画製作会社に勤務する。Flashアニメシリーズ「CATMAN」でWebアニメーションデビューする。芸術監督などを経て独立し、現在はフリーランスとして、アニメーション、Webサイト、TVCMなど主にFlashを使い多方面なコンテンツ制作を行う。

・書籍「Create魂」公式サイト
< http://www.ascii.co.jp/pb/flashbooks/create-damashii/ >

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■曜日感覚のないノラネコ[7]
私とVirtual PC for Macのこと

須貝 弦
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●「わたし、別にあなたのこと……」

まだIntel Macを買っていない私は、PowerBook G4にVirtual PCをインストールしてWindows XPを使用していたのだが、先日思い切って捨ててしまった。どうにもこうにも、うまく動作しなくなってしまったからだ。さらにWindows PCも壊れたので、ついに我が家からWindowsが消えた。

Virtual PCはPowerBook本体ではなく、外付けのHDDに入れていた。それも、壊れたPCからはぎ取ったIDEのHDDをFireWireのケースに入れたというシロモノだ。一部のデータを移したら「データが壊れる」というトラブルに遭ってしまったのだが、Virtual PCに関しては外付けHDDからでも使えていた。が、今思えばそれが悪かったのかもしれない。

まぁ本当の原因はどこにあるのか分らないが、とにかくある日を境にVirtual PCはちゃんと動いてくれなくなった。まず、Windowsの更新が途中で止まるようになった。どうも、更新をダウンロードしている途中にVirtual PCを終了させてしまったらしい。次に起動する際に続きからやろうとするのだが、まったく先に進まなくなってしまった。

次に「ウイルスバスター」が突然動かなくなった。どうもデータが壊れたらしい。仕方なく再インストールしようとしたのだが、なんとダウンロードしたデータを展開できない。Virtual PCのWindows上でダウンロードしても、Mac OS XからダウンロードしたファイルをWindows側にコピーしてもだめ。これで一気にやる気をなくした。思い切って、Virtual PCのデータをゴミ箱に入れ、削除した。そのときの感情を創作に反映させると、次のようになる。

 さよなら、Windows
 わたし、別にあなたのこと嫌いとは思ってないわ
 でも、いまのわたしには必要ないの
 それにあなた「更新してくれ」とは言うけれど
 わたしの言うことはあまり聞いてくれないもの

——数日後。

独自ドメインで使用しているホスティングサービスの管理者ページに入って、メールアドレスについての設定を行おうとしたときのことだ。メールの転送先を変更しようと思ったら、設定パネルに入ることができない。そうだ、この管理者ページ、一部の設定項目がMacではさわれないんだった。というか、そういうときのために、Virtual PCがあると便利だと自分でも思っていたのだ。

しかし今、私のPowerBookにVirtual PCは入っていない。もちろん製品パッケージはあるし、Windowsのライセンスもあるのだが、再インストール&セットアップしようという気力もない。

 わたし、別にあなたのこと嫌いとは思ってないわ
 嫌いとは、思ってないわ
 嫌いとは——

Intel CPUのMacBookを買えば、Windowsとヨリが戻せると思うのは……幻想だろうか?

【すがい・げん】< http://macforest.typepad.jp/mac/ >
そうは言いつつも、今使っている12インチのPowerBook G4にはもう少し頑張っていただきたいと思う今日この頃。3年は使いたいところだ。

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■展覧会案内
稲越功一写真展「百一人の肖像」
< http://www.wako.co.jp/hall/ >
< http://koichi-inakoshi.com/ >
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会期:4月20日(金)〜5月2日(水)10:30〜18:00 最終日17時
会場:和光ホール(東京都中央区銀座4-5-11 和光6F TEL.03-3562-2111)
内容:稲越氏の視点で選ばれた、各界で活躍している著名人101人の肖像が一堂に会する。歌舞伎役者、画家、作家、建築家、俳優、評論家、音楽家、料理人、デザイナー、映画監督、歌人など、実に多彩な顔ぶれが揃う。
対談/4月28日(土)16時〜 櫻井よしこ
ギャラリートーク/5月2日(水)14時〜

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■イベント案内
F-siteセミナー「Adobe Flash CS3 Professional ことはじめ」
< http://f-site.org/articles/2004/03/25003056.html >
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<主催者情報>

F-siteはWebとセミナーを通じ、楽しいFlashコンテンツ制作に役立つTipsをお届けしています。

3月27日にアメリカで Adobe CS3 が発表されました。Adobe Flash CS3 Professionalが含まれる統合製品は4月出荷予定とありました。そこで、今回のセミナーでは、Adobe Flash CS3 Professionalの概要から、スクリプター的&デザイナー的見解までまとめてお送りします(満席が予想されます。お早めにお申し込みください)。

【主な内容】
demo1「Adobe Flash CS3 Professional概要」西村真理子 30分
アドビ システムズ株式会社 マーケティング本部 Web&ビデオ部 フィールドマーケティングマネージャの西村さんから、Adobe Flash CS3 Professionalの概要や、最新情報をご紹介いただきます。

demo2「とうとうAS3がやってきた」野中文雄 60分
Flex2にはすでに搭載されていたAS3が、ついにFlashにも載りました。Adobe Flash CS3 Professional はFlashスクリプターにどんな変化をもたらすのか?これからのスクリプティングをご説明いただきます。

demo3「デザイナからみるCS3の良し悪し」笠居トシヒロ&サブリン 60分
Adobe社とMacromedia社の合併後、初めてリリースされる新Flashは、デザイン制作上でどんな変化をもたらすのか? デザイナーの視点から検証した新Flashの使い勝手をご紹介します。

開催日:5月12日(土)13:15〜17:00
会場:代々木・国立オリンピック記念青少年総合センター
受講料:1,000円(税込/定員160名)

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■イベント情報
Web Crearive Next
< http://www.loftwork.jp/seminar/200705WebCreativeNext.html >
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次世代Web制作とWeb動画に焦点を当てたイベント。映像や新技術を中心にウェブクリエイティブのこれからを予測する。

ムービーとアプリケーションの領域が統合され、クリエイターからの発信が容易に出来るようになっています。背景には完全に定着したブロードバンドやYouTubeといった新サービスがあります。携帯等へのマルチプラットフォームへの対応も見逃せません。自由を得たWebクリエイティブはどこへ行くのか。そしてクリエイターに与えられたツールの自由と選択肢は今後どうなるのか。トレンドであるムービーとアプリケーションの制作現場をトップクリエイターが紹介しながら、新しいツールの可能性や求める機能をメーカーとクリエイター双方の立場から考えます。(主催者情報)

日時:5月11日(金)14:00〜17:00(13:30開場)
会場:SPAZIO 2(渋谷区恵比寿南2-20-7)
参加費:無料
定員:150名
内容:
14:00〜15:00 開花するWeb動画コンテンツ
ニコニコ動画(γ) 西村博之、パズブロック 長田恒司、ロフトワーク 諏訪光洋
15:00〜16:00 Microsoft Expressionの可能性
マイクロソフト 日井良隆
16:00〜17:00 Expression技術を活用したウェブの映像配信と制作の現場

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■イベント情報
畠山直哉講演会「写真家と建築」
< http://www.tnprobe.com/contents/other/hatakeyama.html >
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都市と建築をテーマに活動するTNプローブは、写真家・畠山直哉氏による講演会「写真家と建築」を開催する。畠山氏は、木村伊兵衛賞の受賞をはじめ、ヴェネツィア・ビエンナーレへの参加など、現代の日本を代表する写真家として国際的に活躍している。畠山氏は、石灰石鉱山の現場や都会の建築群・川・地下水路など、自然や都市をテーマとした多様な作品を数多く発表しているが、本講演会では、その主要なテーマである都市・建築と写真の関係について語る。
日時:4月27日(金)18:30〜20:30
会場:大林組内3Fホール(東京都港区港南2-15-2 品川インターシティB棟)
定員:200名(申込先着順)
入場料:無料
申込方法:TNプローブのサイトから事前に申込み。定員に達し次第締切り。

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■編集後記(4/24)

・昨日「死にたくはないが、生きたくもない。」と書いたが、正しくは「死にたくないが、生きたくもない。」でした。「は」が余計でした。/土手を「わんぽ」していたら、ご婦人ふたり連れが「やはりのにおけれんげそうよねえ」と話しながら歩いているのとすれ違った。このセリフよく聞くのだが、素直に受け取ってとくに違和感はないものの、なにか別な意味があったような気もする。そこでネットをさぐると、レンゲソウの写真のあるサイトにはたいてい掲載されているお約束のフレーズであった。「ことわざデータバンク」というサイトでこうある。<意味:蓮華草は野原で咲いているからこそ美しいということ。そのものに合った環境に置くのがよいというたとえ。解説:播磨の俳人瓢水の句「手に取るなやはり野におけ蓮華草」から。>これはわかりやすい。別なサイトで<瓢水が遊女を身請けしようとした仲間を諭した句>とある。落語「子別れ」にもそんな場面があった。荒船清十郎という政治家が、運輸大臣の時に自分の選挙区の深谷駅を急行停車駅に指定したことで辞任に追い込まれた。この一件は記憶にある。そのとき彼は「ひとつぐらい聞いてくれてもいいじゃないか」と迷セリフを吐いたのには笑えた。そのとき彼のボスである川島正次郎自民党副総裁から「やはり野に置けレンゲソウ」と言われたのも有名、いま思い出した。さらにサイトをさぐるとおもしろい物件を発見。昭和50年12月24日の参議院第076回本会議で、民社党の柄谷道一君は三木武夫首相に向かってこう言ってる。「三木さん、三木さんは、やはり野におけレンゲソウ、しょせん野に咲くべきあなたが総理というバラになったところにあなた自身の悲劇があり、大輪の花が開かずして、とげのみを残す結果になったのではありませんか。三木総理に速やかに野に下ることを強く求めて、決議案に対する賛成討論を終わるものであります」あまりといえばあまりな表現と思うが。(柴田)
< http://sanabo.com/kotowaza/ > ことわざデータバンク
< http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/076/0010/07612240010018c.html > 柄谷道一君の発言

・金曜日に書いた「ビューティフル塊魂」。その日のうちに公式サイトがオープンしたらしい。メルマガ作っていたお昼の時点ではまだオープンしていなかったはず。無料でオンライン対戦ができるとのこと。今回のジャンルは「ロマンス&ビューティー」なんだって。ステキソングが楽しみだわ、って買わないってば、たぶん……。/あるグラビアアイドルのCMを見て、写真って嘘つきだなぁと思った。動いている彼女と写真とは同一人物とは思えず、CMにまったく魅力を感じなかったからだ。そして別のCMを見て、CMって嘘つきだなぁと思った。彼女の肌が美しく修復(レタッチ)されていて陶器のよう。またまた同一人物とは思えない。実物はどんな感じなのかしら。写真だけの時は人気あったけど、CMに出て評価を下げたよなぁ。(hammer.mule)
< http://namco-ch.net/beautiful_katamari/index.php >  公式
< http://plusd.itmedia.co.jp/games/articles/0704/20/news078.html > Xbox360なら