電子浮世絵版画家の東西見聞録[23]美術館巡りは楽しい……か?(2)/HAL_

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インサアートセンターから出発したバスは、途中いくつもの美術館や博物館を回りますが、降りることを運転手に伝えなければ止まってはくれません。まあ、私たちは終点まで行くので比較的気は楽です。でもこのバスは巡回バスです。終点のカナアートセンターに着けば全員が降ろされる、という訳ではないので気は許せません。なにしろ、当時はハングルも幾何学模様のように見えましたし、ハングンマルも単なるノイズにしか聞こえなかったのですから。

30分ほどしてカナアートセンターに到着します。隣にキムジュンヨン美術館もあると言うことでしたが、ちょっと見ただけでは分かりませんでした。やはり、おどおどした観光客です。しかたがないので、カナアートセンターだけを見て回ることにしました。


実は三年前のことなので、美術館の構造などはよく覚えていないのですが、入り口からはいると左側ガラス越しに中庭があり、それを取り囲むように明るい回廊のようになった構造です。回廊の反対側には小部屋があり、そこでは小規模な展示も行われ、作品の販売もしている様子でした。

メインのギャラリーは入り口が5〜6メートル幅あり、3〜5メートル幅のある入り口ステップを降りると約10メートル四方の部屋があり、その中を間仕切りが二つに分けています。

まず目に飛び込んできたのが、その時に話題になっていた若い日本人女性カメラマンの作品群でした。名前は忘れてしまったのですが、テレビでも取り上げられていたので作品はよく知っていました。確かアメリカで評価され、逆輸入という形で入ってきたのだと思いますが、撮影対象は全て人物で、それも自分の写真です。カット毎に様々な化粧とコスチュームを着けた、ちょっとコミカルな作品群でした(後で、澤田知子だったと思い出しました)。

その他、一階大フロアーにはスーパーリアリズム作品や抽象作品があったりと、現代美術の新しく多彩な作品を見ることが出来ました。招待作家なのでしょうか、村上隆の作品など日本人作家の作品も見ることが出来ました。建物が中庭を中心に作られているので、ぐるりと回り込むように進んでいくと階段があり二階三階へと進めるようになっています。

二階の様子はよく覚えていないのですが、踊り場のようになっている場所からは外が見え、そこかしこの彫刻が置かれています。三階は生地にデジタル出力した作品に光を利用した作品があり、高い天井から吊された大きな作品でアクリルを使った二重構造になっていて、この展示方法はとても興味深く見ることが出来ました。

美術館の中にはレストラン風の場所もあり、全体的にゆったりとしたくつろぎのある空間になっています。中庭でお茶も出来そうなのですが、この時はとても暑く日差しも強かったので、エアコンの効いた室内から外に出る勇気はありませんでした。

美術館内をあちこち見て回っているうちに、あっという間に一時間が過ぎ、気がついた時には次のバスは行ってしまったばかり、これで仁寺洞でのバス待ちと同じ状況になってしまったのでした。仕方なしにもう一度見ておきたかった絵を見て、お茶を飲んで次のバスの時間まで時間をつぶし、今日は合計二時間の余計な時間を過ごすという有様。そして、ようやく次のバスに乗り、向かうは予定していた省谷(ソンゴク)美術館です。

バスに乗ると、運転手は日本人なのかと日本語で聞いてきました。やはり慣れていない観光客は挙動が不振なのでしょう。運転手には省谷美術館へ行くことを伝えると、すぐに了解してくれて色々と話しかけてきます。それも片言なのでほとんど理解できません。それでも、日本人が乗ることを珍しがり楽しんでいる様子です。途中で乗ってきた親子も交えて、楽しい会話の時間が過ごせました。

「この先を左に曲がるとあるよ」と言われ、降ろされたバス停は、人通りの全くない異空間です。言われたとおりに道なりに歩き、左折する道があったので躊躇しながら曲がると昭和の田舎のよろずやさん風の店が見えてきます。暑かったので飲み物を買い、美術館の場所を聞こうと思いましたが、まったく意思の疎通が出来ず。ま、いいかと思い、先に少し進むとちょっと大きなお屋敷と思えるような門柱にそれらしき看板を発見したので、おそるおそる入っていきます。真夏ということもあり、庭内は雑草がものすごい勢いで伸びています。

中には直線的な近代建築風の建物があり、これではと思い近づいていくと数段のステップのあるガラス張りの戸口が見えます。本当にここなのかと、またまた不安がいっぱいです。小振りな建物の大きさから見ても、美術品を展示するようなスペースはなさそうなのです。ステップをあがると、ガラス戸の向こう側はまるで喫茶店のレジのような、そして中にはテーブルや椅子が……。もしかして、チ、、違うのか……。

しかし、その左側に料金表示が、そして省谷美術館らしきハングルの表記が見えました。そこで中に入りましたが、中にいた女性達は素知らぬ顔で、無反応。いやぁ、愛想ないんですよね。そういう教育されているのか知らん。とにかく料金を払うと、見るべき場所はこの先にあるという手振りジェスチャーです。なんだか訳が分からない美術館です。また、外に出て雑草生い茂る庭内を歩き、ようやくたどり着いた所が本館でした。

こちらの展示は、韓国作家の高さが5メートルはあろうかというタペストリー作品が目にとまり、さらにその作家による抽象絵画が圧倒するような大きさでかけられていました。小さくて良い作品というものもありますが、やはり大きさは作品の出すオーラーのひとつになります。もちろんサイズだけではなく、細かなディテールを積み重ねていった表現は素晴らしく、たしかかなり高齢の方の作品だったような気がしますが、若い作家にはない力強い作品群でした。

しかし、ここまででかなりの疲労感。この先の帰り道でも不安や疑問がいっぱいの時を過ごすのでした。

< http://www.ganaart.com/MainCtrl.asp?action=ganaArtCenter >
< http://www.sungkokmuseum.com/ >

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/ >
Web < http://lohasfood.exblog.jp/ >
Web < http://Web.mac.com/hal_i/ >
Sound Drawing グループ「ZIetZ」の公式サイト
< http://zietz.hal-i.com/ >

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