電子浮世絵版画家の東西見聞録[65]絹谷幸二展/お絵かきの時代/エスニックミートボール
── HAL_ ──

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横浜高島屋で開催されていた「絹谷幸二展」と、六本木で開催されていた「お絵かきの時代」のクロージングパーティーに行ってきました。

●絹谷幸二展──情熱の色・歓喜のまなざし

KINUTANI KOJI―絹谷幸二画集〈2〉 (求竜堂グラフィックス)1998年の長野オリンピック公式ポスター「銀嶺(ぎんれい)の女神」で有名な画家、絹谷幸二さんの作品展です。ご本人が壁画画家と公言しているように、全ての作品が2〜5メートルくらいという大きな作品群に圧倒されます。

入ってすぐ目にするのは「祭り」をテーマにした作品群。大きな画面に大きな祭り、そして歓喜し興奮する人々が描かれています。ねぶた祭りや三社祭、祇園祭等々、日本の祭りがテーマの作品の、画面に広がる鮮やかな色彩に圧倒されます。

絹谷幸二作品は、近づいてみると覆い被さってくるような色彩の氾濫に圧倒され、少し後ろに下がって見るとすべての色がまとまり、描かれた対象物が立体的に浮き上がってきます。



アフレスコ湿式画法を使った壁画制作している彼の作品は、生乾きの状態ですべてを描ききらなければ、絵の具が壁に定着しません。そのため、どの作品もものすごいスピードで描ききったのだと想像できます。そのスピード感が絵に封じ込められ、見る側を圧倒します。もちろん、展示作品はアフレスコではなく顔彩や油彩なのですが、くらくらと目眩が起こるようなパワーを感じるのは、物を捉えるスピードと描くスピードがアフレスコにより培われたものなのでしょう。

そして、イタリアをテーマにした作品群が続きます。まるで上空から見下ろす大きい街の全てを描ききったかのような作品中で、もっとも輝きを発するのが太陽です。この作品を見ると、彼にとって大切なのは、イタリアの街を描くことよりも太陽なのではないかと思います。富士山を描いた作品も数多くありますが、どの作品も富士山が主役というより、太陽を描くために富士を描いているかのように見えるほど、富士に山には必ず太陽と月が重なるように描かれています。

太陽と月は陰と陽をなし、全宇宙を司る力の源であり、人が生きる上で一番大切な心の象徴でもある、そういうかのように風景には、ぎらぎらと輝く太陽と対を成した月が描かれます。逆に、戦争を描いた作品は太陽が現れず、戦車や飛行機など、かなり具体的な兵器そのままの姿で描かれています。画面全体に悲しみが満ちあふれ、大きな声で反戦を謳わずとも、作品が伝えたいことに共感させられます。

ほかに立体作品など展示作品は数が多かったのですが、私がいちばん惹かれたのは人物像です。キャンバスに描かれた大きな人物は、打ち付けられた数多くの色彩のそれぞれが一人一人の人物であるかのように、お互いに励まし合い優しさや強さを現しています。

見ていちばんはじめに感じ、頭の中で言葉になったのは「色彩が吠えている!」でした。私も人物を描くのが好きで、多くの人物像を描いていますが、絹谷作品はまさに生の賛歌をそれぞれの色が叫び吠えているのです。印刷物ではとても感じることの出来ない、とても刺激になった展示作品群でした。

・絹谷幸二公式サイト
< http://www.artstyle.jp/koji/index.html
>

●お絵かきの時代

現在イラストレーターとしてご活躍されている方達の、子供の時の絵に焦点をあてた展覧会です。網中いづるさん、安斎肇さん、飯田淳さん、上田三根子さん、サイトウユウスケさん、寺田順三さん、原子高志さん、原田治さん、平松昭子さん、福田利之さん、ラジカル鈴木さん達の、子供時代に描いた絵と絵日記+当時の写真、そして現在の作品をセットにした展示です。

この展示のアイデアに惹かれて行ってきたのですが、正解でした。どのイラストレーターの子供の頃の絵からは、現在の画風に共通した部分が多く見られるのです。線を強調して描くイラストレーターは、子供の頃から物の稜線に興味を引かれ、面を捉えた作品を作るイラストレーターは、子供の頃からクレヨンで面を作っていっています。子供の頃の作品はどれも自由奔放で素敵です。

そして、もっとも興味深いのが色の使い方です。友人のラジカル鈴木さんは、子供の頃とても動物が好きだったそうで、現在の人物を中心に描く作風とは少し違うのですが、その頃に培ったカラフルで多彩な色使いが今もなされています。残念ながら展覧会は終わってしまったので、ギャラリーアーカイブに残された案内葉書に使用した上田三根子さんの絵しか見ることは出来ないのですが、これだけでも現代の作風に共通するところを見られますよね。

・GALLERY TOKYO BAMBOO
東京都港区六本木7-4-14 TEL.03-3405-0556
< http://www.biscuit.co.jp/bamboo_new/exhbit/index.html
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◇本日のお薦めYouTube Music──Alice Coltrane

Transfiguration古いJazzファンならご存じ、ジョン・コルトレーンの夫人で希なジャズハープとピアノ奏者です。今回は演奏する姿を見てみたいと思い探してみました。流れるようなハープの演奏は、インド音楽と融合したような独特のテイスト、現代音楽にも通じるものを感じます。今回探した曲は"A Love Supreme"です。
しかし、残念ながらYouTubeでは見つかりませんでした。現代のようにビデオが使える時代ではない作品なので残っていないのでしょうね。

Alice Coltrane Lonnie's Lament─from "Crescent"(John Coltrane)
- Warsaw 1987
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Alice Coltrane in Bombay
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ハープの演奏はついにlast.fmで見つけました。音もこちらの方が良いです。
< http://www.lastfm.jp/music/Alice+Coltrane/_/A+Love+Supreme
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私がAlice Coltraneの"A Love Supreme"をテーマにして描いた作品はこちら(左側)です。クリスタルピアスは地球をイメージしています。
< http://hal-i.com/eldorado/sd002.html
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John Coltraneの演奏もどうぞ。
John Coltrane - A Love Supreme─1965
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●エスニックな気分を満喫するミートボール

今回は、言ってみればハンバーグのようなものですが、香辛料をたっぷりきかせて独特の風味を強く出しています。東南アジアへは行ったことはありませんが、噛みしめると気持ちはタイやベトナムにひとっ飛びです。香辛料は、インド旅行のお土産としていただいたクミンシード、コリアンダーパウダーをたっぷり使用しました。

合挽肉300グラムに香辛料のクミンシード小さじ2、コリアンダーパウダー小さじ1、塩、コショーをボールに入れ、良く混ぜ、卵1個とパン粉1/2カップ、オリーブオイルを加え、さらに良く混ぜて種は出来上がりです。これを一口大の小判型に丸め、オリーブオイルをひいたフライパンで表面にきれいな焦げ目を付けて焼き上げます。すべて焼き上がったら、同じフライパンで、パプリカ、レンコンなどの野菜も焼いて肉の上に盛りつけます。付け合わせは、キャベツを大きめにカットして焼き、塩、ブラックペッパーで軽く味付けしたものです。野菜を焼くと、茹でた野菜と違って甘みが増し、栄養素も逃げて行かないような気がします。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090223/01 >

今回は、食べる時に合わせるソースを2種類作りました。赤い方はトマトの缶詰め、または完熟トマトとニンニクのみじん切りをオリーブオイルで炒め煮詰めます。味付けは塩とチリペッパー、カエンペッパーです。もうひとつの白いソースは、プレーンヨーグルトにオリーブオイルと塩、ブラックペッパーを入れたヨーグルトソースです。どちらを使っても美味しくいただけますが、オーロラソースのように両方を混ぜて使うのも美味しいですよ。
< http://www.dgcr.com/kiji/20090223/02 >

【HAL_】横浜在住アーティスト hal_i@mac.com
Web < http://homepage.mac.com/HAL_i/
>
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>
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