クリエイターのための法務相談 デジクリ出張所[01]デジクリ出張所 本日開設!
── 高木泰三 ──

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日刊デジクリをご覧の皆さま、はじめまして。行政書士の高木泰三と申します。この連載では、クリエイターに知っておいて欲しい法律について、毎回ゲストからの質問に答える形で解説しつつ、一緒に考え、悩んでいきたいと思います。

今日は第一回ということで、スペシャルゲストhammer.muleさんと一緒に進めて行きます。hammer.muleさん、宜しくお願いします。

mule:宜しくお願いします。まず......行政書士って、どんなお仕事ですか?



高木:よくあるのは、名前の通り、行政関係の書類に関することです。建設業の許可申請や産業廃棄物関係、あるいはタクシーなどの運送業や外国人の在留資格など、書類作成から申請の代行まで行政書士の範疇です。もう一つの重要な仕事は、契約書など権利関係の書類について、依頼を受けて作成したり、作成のアドバイスや内容のチェックを行うことです。

mule:なるほど。今回は「クリエイターのための」とタイトルについているということは、クリエイターが産業廃棄物の申請をする際に......。

高木:......違います。そういったクリエイターさんも中にはいらっしゃるかもしれませんが、デジクリを読まれている方は、申請がいるような産廃処理をしたり運んだりといったことは、あまりされないと思いますので、契約や権利関係の法律を取り上げたいと思っています。

mule:まぁ、分かってて聞いたわけですが(笑)。実際、クリエイターからの相談は多いですか?

高木:件数はまだあまりないですね。セミナーなどを実施した際に話を聞くと、トラブルになるケースは多いようなのですが、それを専門家に相談して解決している、というのはあまり見えてこないですね。我々専門家側もしっかり門戸を広げて、相談に乗る姿勢をもっと示さないといけないように感じています。しかし、できれば、トラブルは発生する前に相談に来てほしいですね。トラブルを事前に防いでおかないと、発生してからでは大変面倒なことになるケースが多いものですから。

mule:そこで、この連載企画というわけですね。ただどうしても、法律家に相談、というと少しとっつきにくく感じてしまって。法律相談=弁護士、裁判、異議アリ! みたいな。

高木:うちは「気軽に聞いてください」というスタンスです。他は分かりませんが(笑)。でも確かにそうかもしれませんね。法律の専門家、と言っても様々ですし。

専門分野によっていくつかに分かれていて、簡単に言えば、まず、法律の中心的な資格といえば弁護士でしょうね。基本的に弁護士はオールマイティです。法曹三者というのがあり、それが弁護士、検察官、裁判官の三者。そして法律隣接職というのがあり、例えば我々行政書士や、司法書士、弁理士、社会保険労務士などがあります。司法書士は、主に登記関連や、最近では過払い請求問題なども取り扱っています。社会保険労務士は、社会保険関係の手続きなど。弁理士は、主に特許や商標登録や意匠登録。

ざっくり、こんな感じで分かれています。確かに行政書士はなじみが薄い印象はあり、最近では「街の法律家」という打ち出しもされていたりしますけれど、なかなかそこまで身近な存在になれていないのが現状ですね。

扱っている範囲が広いことも、分かりにくくしている要因だと思うので、今回のように例えば、クリエイターのための「契約」や「著作権」とテーマを絞ってアプローチしていくことも必要だと考えています。

●10月からはセミナーも

高木:10月から11月にかけて、私が教えているデジタルハリウッド大学大学院大阪サテライトキャンパスで、クリエイターのための法務セミナーを集中開催します。「クリエイターのための法律基礎知識」と「クリエイターのための契約基礎知識」が各4回ずつ、そして日刊デジクリ連動で「クリエイターのための法務対談スペシャル」を。詳細は下記告知ページをご覧ください。
< http://gs.dhw.ac.jp/event/090916.html
>

11月21日(土)、26日(木)には予約制で個別相談会も予定しています。また、契約については実務講座を別途、10月16日から毎週金曜日に、こちらも4回、メビック扇町にて開催します。これらの詳細は私までメールにてお問い合わせください。

mule:では、今回はこの辺でひとまず。次回も私が登場予定ですので、宜しくお願いします。

高木:引き続き、宜しくお願いします。次回もあることを信じつつ......。

【たかぎ・たいぞう】< mailto:info[a]takagi-office.biz >
< http://www.takagi-office.biz/
>

行政書士。文化庁登録著作権相談員。遺言・相続、外国人の在留資格などのほか、著作権登録や植物品種登録、契約書に関する業務も積極的に行なっている。契約・著作権の専門家として、コンテンツビジネスに従事する起業家、クリエイターをサポートする一方、関西を中心に公共機関や学校などで講演活動を行っている。平成20年度からはデジタルハリウッド大学大学院 大阪サテライトキャンパスの客員教授をつとめる。