[2727] iPhoneアプリ探検隊・その1

投稿:  著者:  読了時間:24分(本文:約11,900文字)


《今の若いもんはすぐ楽することに走って云々かんぬんぶつぶつぶつ》

■MKチャット対談
 iPhoneアプリ探検隊・その1
 笠居トシヒロ&まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[196]
 加藤和彦、オール・トゥゲザー・ナウ
 吉井 宏


■MKチャット対談
iPhoneアプリ探検隊・その1

笠居トシヒロ&まつむらまきお
< http://bn.dgcr.com/archives/20091021140200.html >
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かさい: まいどー、笠居です。ムスメのほうのインフルエンザが収まったと思ったら、今度は息子の学校が学級閉鎖だそうだ。まだまだ流行っとるねえ>インフル

まきお: どもども、まつむらです。うちの娘の小学校も学級閉鎖ですわ〜〜〜はよ収まって欲しいねぇ

かさい: といっても、息子自身は風邪も引いてないので、我が家的には病気の人間は居ないんだけどね

まきお: やっぱり遺伝子か〜〜〜っ!

かさい: さぁ(笑)

まきお: 献体しろーっ(笑)


かさい: そんなもん(抗体)ないってw 皆さんも気をつけてくださいね〜 あー、そういえば先日の日曜日、京都の精華大であったドットフェスには行ったんですか?

まきお: どっとはらい...なんですか?

かさい: しらんのか(^_^; これこれ> < http://dotfes.jp/ >

まきお: あ、今週だったのね。仕事だったので言ってません〜

かさい: 行ってないわなあ。Webの祭りなんかw

まきお: とは書けない(笑)


●FlashでiPhoneアプリ


かさい: (笑)ま、Flash関係もいろいろとあったみたいですが

まきお: ほうほう

かさい: やっぱり大きな話題というと、アメリカのMAXでスニークプレビューされた、FlashCS5で、iPhoneアプリ書き出し、ってやつでしょうかね

まきお: ネットでもいろいろ報道されてましたなぁ。FlashでiPhoneアプリが作れるようになる、と

かさい: iPhoneではFlashが動かんので、はやいことiPhoneOSで対応してくれんかと思ってたんだが、逆の発想できましたね>あどび


まきお: iPhone用Flashプレイヤーが出来る、ということではなく、Airのプラットフォームができるわけでもなく、ああ、なんて中○○端な...

かさい: アドビのせいというよりはアップルのせいだけどねえ。ていうかジョブスのせい?

まきお: iPhoneでFlash lite不可、フルプレイヤーができるなら問題ないわけで、Appleのせいではないのでは〜?

かさい: Liteじゃなくてフルできるだろ

まきお: 実用にならないっていうんで、NGだしてんでしょう?


かさい: safariが走ってんだからできるさ。技術的には可能なはず。実用云々は、いいわけだよ。iPhoneの中に自分らの管理の及ばないプラットホームができるのは容認できないって事でしょ

まきお: その論拠は? わたしの言っているのはAppleの公式見解だと思うが、違う?

かさい: 公式見解だろうね。表向きの

まきお: ウラ向きの公式見解なんかあるんか(笑)

かさい: だからさー、先に書いたとおり。Flashのフルプレイヤー許しちゃうと、iTunesストアでの独占市場が崩壊しちゃうから、困るってことよ。FlashのゲームやらアプリがiTunesストア通さずに配布できるってことだもんね

まきお: だれが無料配布したいわけ? 無料配布は今でもできてるし。それでストアが崩壊するとは思えないけどな

かさい: 無料配布なんて言ってないぞ(^_^; iTunesストアを通さずに配布できる、だよ。もちろん有料のアプリもね

まきお: Flash製の有料アプリ? いまいち、ピンと来ないなぁ


かさい: いずれにせよ、CS5で iPhoneアプリ書き出しってのは、アップルにとっても、いい解決策だったと思うよ。Flashで作ったとはいえ、できあがるものはiPhoneアプリだし、iTunesストアで流通するわけだし

まきお: 正直言って、全然ピンと来ないですわ。Flashのそういう面には。Flash開発者は仕事の可能性が増えるから歓迎なのはわかるけど。それでiPhoneが面白くなるとも、Flashが面白くなるとも思えない。つか、面白くなる要因があったら教えてくれ(^_^;


かさい: おもしろいコンテンツができるかどうかは、これからやってみないとわかんないでしょう。まぁ、オレは作らないと思うけど、つーかよーつくらんけどw でもまぁ、実際に作られたもん見てから評価すればいいんじゃないか?

まきお: 一本配布されてたので見てみたけど...おもんなかったよ(笑)

かさい: サンプル一本で評価すんの? らしくないぞw

まきお: いや、ダメちゅーてるんじゃないよ。面白そう! と思える要因がないと。どっちかってーと、そんなもんまで無理してFlashで作らなくてもいいんじゃないの?というのが正直なところかなー

かさい: ムリムリな感じで作らなきゃいけないようなもんだったら、自然に消えていくさ


まきお: それを言ってるのです(笑)Flashの歴史で多々あったから(笑)「わー新機能だ、すごーい」と言えるほどもう若くないのさー(笑)

かさい: 年は食ったなぁ、お互い(笑)ま、だからこそこれからやってみようってものは温かく見守ることにしたのさ、オレはw 出る杭叩いても、その反動で上に行く力ももうないのでなーw

まきお: いやね、若かったら(笑)すなおに開発キットいじくってると思うのよ、わし。それをFlashで、というのがなんかね〜きにくわん(笑)今の若いもんは、すぐ楽することに走って云々かんぬんぶつぶつぶつ

かさい: よーするに年寄りのヒガミやないか。。。

まきお: ばかもーん(笑)ヒガミぢゃないやいっ(`ヘ´)

かさい: ヒガミにつきあって時間食ってしまった (-.-)y-゜゜゜


まきお: あと、インターフェイスがねぇ... iPhone独自の二本指操作等のAPIは用意されてるらしいけど、同じコンテンツをパソコン用、iPhone用と作るのは結局、手間かかるんじゃないのかねぇ。ロールオーバーがないとか。iPhoneとFlashじゃあ、インターフェイスが違いすぎる...シンプルなもんなら問題ないけど、それならFlashじゃなくても...いや、わからんけどさ(^_^;)

かさい: そのあたりは出てきてからでないと分からんねえ

まきお: 出てきてもわしらじゃわからん(^_^; 専門家にまかせる(笑)


かさい: 一つだけいえるのは、これを口実にiPhoneを新規購入したり、3GSに機種変更したFlashクリエイターが、相当数いるだろうってことだなwこれからって奴らも相当いるはずだ!

まきお: 欲しいんやったら、買うたらええやん、人のせいにせんと(笑)

かさい: (笑)そんなiPhone新規ユーザーのあなたのために、今夜はまつむらさんがおもしろそうなiPhoneアプリを紹介してくれるそうですw

まきお: 素直じゃないなぁ(笑)


●iPhoneのカメラアプリなど


かさい: オレにも教えてくれw オレはiPodTouchだけどw

まきお: まぁ、iPhone買ってから半年ほどたつけど、あまり語ったことがないので、この機会に紹介しましょー。といっても、あらゆるジャンルがあるから、人によって興味は色々だと思うけど、笠居さんが「もし」iPhone買ったら、どのジャンルのアプリに興味があるの?

かさい: んー、やっぱTouchではできないこと、かな。カメラ関係と、GPS、3G通信が必要なもの、ってことになるわな。ゲームはそんなに興味ないんだな、意外に


まきお: カメラはデジクリでもおかださんが色々紹介してくれてたけど、じゃあ、まつむらが使ってるのを紹介しましょう。まず、標準カメラがわりに使ってるのが「EziSnap Zoom」
(以下、URLでiTunesが起動します)
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=326099922&mt=8 >

かさい: 標準のカメラとどう違うのか? といっても標準のカメラもよく知らないから、違いが分からんかもしれん

まきお: これは標準カメラにはないズーム機能と手ぶれ防止機能が使えるシンプルなカメラアプリ。それぞれ単機能のものはいろいろあるんだけど、このふたつがくっついて、無料というので、常用してます

かさい: ふーん、ズームのほうはまあデジタルズームだから分かるけど、手ぶれ補正なんてどうやってソフトだけで実現してんだ?


まきお: 以前からあるアイデアなんだけどね、振動センサー使って、カメラが安定した時点でシャッターが切れるの。だからシャッター押してから撮影までタイムラグがあってもいい場合のみなんだけどね

かさい: あー、じゃぁ年寄りには向かないなあw

まきお: 手ふるえてるんか、あんた(笑)

かさい: オレは年寄りではない、(`ヘ´) プンプン。

まきお: その手ぶれセンサーも、オフ、弱、強の三段階が切り替えられる。望遠でもそのおかげでかなりシャープに撮れるよ。弱点はカメラロールを閲覧できないところかなー

かさい: 撮影データの再生機能がないってことか


まきお: 次にわりと使うのが、「Polarize」かな。
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=301027161&mt=8 >

かさい: ポラロイド写真風に加工するソフト?

まきお: そそ。撮るのも、加工もできる。トイカメラ系はいろいろあるんだけど、これは設定が全然ないシンプルな点がいいっす

かさい: 設定がないとは?

まきお: 通常、トイカメラアプリだと、色合いやら、レンズ周辺の暗さとかを調整できたりするの。使いこなせばいいんだけど、かえって面倒だったりもするってことですわ

かさい: てことは、毎回同じ加工がされるわけね

まきお: だと思うよ。ポラ風パラメータで固定ってこと。あと、ポラ風フレームが付いて、フレームの下にはマジック風フォントでメモ書きまでできます(笑)

かさい: 写真の中にもかけそうな感じだけど、違うの?

まきお: 位置は固定だなー

かさい: ふーん、他は?


まきお: 静止画で普段つかうのはこの二つかな。カメラアプリとはちょっと違うけど、最近お気に入りは「iMotion」。これはコマ取りアニメが撮れるカメラアプリ。ちゃんとオニオンスキンで前のコマをオーバーラップさせながら、位置合わせして撮影できるの
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=329296658&mt=8 >

かさい: ほほう、iPhoneでストップモーションムービーが作れるわけだ

まきお: このアプリ内で再生もできるし、gifアニメファイルに加工することもできる。これがかなりお手軽でおもしろーい
< http://www.makion.net/temp/imotiondemo.gif >

かさい: うん、これはおもしろそうだな。

まきお: 問題はiPhone用三脚ってのがないことかな(笑)まぁ、精度を追求するもんじゃないという前提なので、楽しく撮れるってのもありますわ

かさい: 三脚ねえw


まきお: 撮影したあと便利なのが、まず「Koredoko」。フィルムロールに入ってる写真の撮影場所を調べてくれる
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=286765236&mt=8 >

かさい: ああ、iPhoneで撮った写真はジオタグ付だから

まきお: そそ。で、人に写真見せてる時って、「これどこ?」って話になることが多いでしょう? 場所説明するのが楽なわけ

かさい: なるほどね。しかし「これどこ」って聞いてるほうは、地図上の位置を確認したいわけじゃないことのほうが多いと思うけどね(笑)

まきお: あ、もちろん、細かい位置を説明するときよ(笑)

かさい: ううん、話をふくらます意味で聞くんだろうから、地図が出てきてそれで話がふくらむならそれでいいんだと思うよw

まきお: そうだよ、ふくらむんだよ(笑)いきなり地図は出さないよ(笑)つか、酔ってうまく説明できないときに、出すんだよ(笑)

かさい: iPhoneで写真見せてるときは、いつも酔ってんじゃんw


まきお: はい(笑)あ、カメラアプリひとつ忘れてた。特殊カメラ系の「JotNot Scanner」。これは撮影後、超ハイコントラストモノクロに現像してくれる。リコーのカメラについてる、文字撮影モードみたいなやつ
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=307868751&mt=8 >

かさい: あー、それでスキャナーってわけね

まきお: そそ。レシートとか、名刺とか。で、これのいいのは、ここからすぐに、evernoteに送れるところ。ちょっとしたメモ書きとか、ホワイトボードとかの記録とるのが便利っす

かさい: なーるほどね。evernoteに連動してるのは便利そうだな。でも、学校の授業で生徒が全員iPhone出して、ホワイトボード撮影してる絵はぞっとしないなーw


まきお: ふつーに携帯でやってるのでは?(笑)お遊び加工系でおもしろかったのが、「PhotoFunia」
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=321240709&mt=8 >
任意の写真をスケッチ風とかに合成加工してくれるんだけど、iPhone内ではなく、サーバ側でやってるってことで、スタイルが非常に豊富人が前に立っている、ビルボードの中に合成したりとか。かなり芸コマです。Webからも使えるよー
< http://www.photofunia.com/ >

かさい: ということは、撮った写真をサーバに送って、サーバ側で加工して、さらにそれを受信する、ってことか。要するに送受信アプリと言うことね

まきお: ですね。あとは撮影した写真は「eye-fi」で転送、って感じっすかね
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=306011124&mt=8 >


かさい: カメラばかりだと読者に怒られそうなので、別ジャンル行きますかw

まきお: はいはい(笑)リクエストはなんかある?

かさい: んーそうだな。フィットネス...は、まつむらさんに聞いてもアカンなwじゃあユーティリティか仕事効率化関係で何か

まきお: 万歩計入れてるけど使ってない(笑)スケジューラ行きましょうか。スケジューラ、いろいろ試して、今は「Pocket Informant」ってので落ち着いてます
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=302503702&mt=8 >


かさい: これはGoogleカレンダーと同期できるの?

まきお: もちろんでさぁ。で、これの特徴は、TODOサービスであるToodledoともシンクして、カレンダー内にTODOを表示してくれるところ

かさい: Toodledoちゅーのを知らんのだが。というか、オレはほとんどToDoを使わないので

まきお: だったねー。わたしは必須なので。「Pocket Informant」はWinモバでは有名なソフトらしいですよ

かさい: ふーん、WindowsMobileでもTodo使ってないから知らんわw

まきお: いや、Pocket Informantはスケジューラのみでも高機能ですよ。表示も洗練されているし。定番「さいすけ」より、ぼくはこっちの方が馴染めました。


まきお: 次は「Good Reader」。PDFやらExcelファイルやらを見るためのソフトですが、Dropboxの時にもちょっと書いたけど、他のソフトよりもPDF表示がはやい
< http://itunes.apple.com/WebObjects/MZStore.woa/wa/viewSoftware?id=306277111&mt=8 >

かさい: ファイルはどこに保存すんの?

まきお: このアプリ内なんだけど、通常はwifiでiPhoneに転送するのだが、こいつは、WebのURLや、WebDAVから直接ファイルをダウンロードできる上に、safariで開いたPDFやExcelファイル(Web上)のURLのあたまに「g」を追加して「ghttp://〜」としてやると safariからこのソフトにファイルを渡して、こちらでダウンロードしてくれる

かさい: へえ、なんかちょっと特殊な感じだが、便利そうだな

まきお: WebDAVサーバは共有サーバとして使ってるので、便利っす

かさい: ScanSnapでPDFにした書類とか持ち歩きに使えそうね

まきお: そそ。evernoteとかでもそれはできるんだけど、ちょっとでかい、ベクター系PDFだと重たくてねぇ。これはかなりサクサク。


かさい: とまあ、こんなもんかな? ゲームとかやらなかったねえ。次回も続けようか?

まきお: ゲームはそれほど入れてないけどねー。はまるのははまる(笑)どうも穴を掘るゲームが好きらしいと最近自覚した(笑)

かさい: (笑)墓穴まで掘らないように注意せよw

【笠居 トシヒロ/WEBクリエイター・デザイナー、デジハリ大学院客員教授】
< http://www.mad-c.com/ > < mailto:kasai@mad-c.com >

メインのデスクトップが不調。もう使い始めて5年目だし、そろそろリプレース考えなきゃいけないのかしらん。とはいえ、すぐには無理なので、とりあえずシステムリストアするべえ。

【まつむら まきお/まんが家、イラストレーター・成安造形大学准教授・TSUTAYA会員】
< http://www.makion.net/ > < mailto:makio@makion.net >

加藤和彦さんの訃報に呆然。中学時代にミカバンドに出会ったことがぼくに与えた影響ははかりしれない。合掌。

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■グラフィック薄氷大魔王[196]
加藤和彦、オール・トゥゲザー・ナウ

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20091021140100.html >
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加藤和彦さんが亡くなった。僕は彼の音楽は狭い範囲しか知らないのですが、非常に大きな存在でした。それで書き始めたんだけど、ダメだ、知識がなさすぎる。ちゃんとしたファンの方には申し訳ない。

繊細すぎたんでしょうか。また、「二度と同じことはしない」という厳しさが自分に向いてしまったんでしょうか。あんなに隅々まで神経使ってカッコよく振る舞っていたら疲れるかもしれないですね。あと、鬱病と自殺の関連がこんなに知られてきているのに、あちこちの掲示板やコメントなどで無神経なことを書く人が多いのに驚きました。

加藤和彦。初めて意識したのは、1981年、デザイン学校に入ってすぐ、貸しレコードをカセットテープに録音しまくっていた頃。スネークマン・ショーのアルバム「急いで口で吸え」に入っていた「メケ・メケ」。「おう亀、シンナーに気をつけて壁塗んな!」のギャグに続いて、これ以上ないタイミングで加藤和彦(Dr.ケスラー名義)が歌う「メケ・メケ」につながります。やたら陽気なYMOのバッキングと加藤和彦の明るい歌声。一発で気に入りました(「メケ・メケ」は美輪明宏の歌とは知ってはいたけど、昨日初めてオリジナルをYouTubeで聞けました。っていうか、加藤和彦作品も追悼アップも含めてたくさん上がってますね。何でも聴ける。YouTubeってスゴイなあ)。

「メケ・メケ」があまりに良かったので、他にないか探したら、ありました!1979〜1980年のアルバム「パパ・ヘミングウェイ」「うたかたのオペラ」「ベル・エキセントリック」、これを「三部作」といいます。ヨーロッパ三部作ともいうようですが、ラテン音楽の印象が強いのでヨーロッパと言い切るのは抵抗あります。詳しくはGoogle検索していただくとして、ラテンやカリブやヨーロッパのエッセンスが満載の、不思議な音楽でした。

ロックが苦手だった僕に、ロック的ニュアンス抜きのポップミュージックの可能性を見せてくれました。生活臭が漂うフォークも苦手でしたが、氏の音楽は洗練されてて都会的だった。YMOのメンバーやその他大物ミュージシャンを引き連れて、バハマ、マイアミ、ベルリン、パリなどで録音。現地で暮らしながら作ったそうで、ゴージャスな音でした。

聴き直そうと思ってiTunesに入ってる加藤和彦作品を探したら、「メケ・メケ」だけでした。あれ〜? おかしいな。どうやら、1981年にダビングしたカセットテープとLP、90年代前半にMDにダビングしたものでしか聴いたことがなかったようで、CDは買ってないみたいです。iTunesストアでは三部作さえ揃わない(パパ・ヘミングウェイが抜けてる)。

三部作は本当によく繰り返して聴きました。全編傑作揃いなのですが、歌がメインでない3つの曲が特にお気に入りでした。「アンティルの日」はその後カリブ音楽とスティールドラムへ興味をつないでくれることになったし、1920年代風の「ソフィーのプレリュード」のクラリネット風シンセの至高のアンサンブルは僕の中で「歴代美しい曲」堂々ベスト1、「Je Te Veux」はずっと触ってなかったピアノを一時復活するきっかけになりました。たぶん坂本龍一が弾いてたんでしょうけど、当時はエリック・サティの曲とは知らなかったので楽譜があると思わず、耳コピして弾いてました。ほんと、豊かな音楽が詰まってましたよ。金子國義のジャケット画にもハマり、画集を買ったりしました。

三部作の次のLP「あの頃、マリーローランサン」では、歌詞がやけに成金趣味的に感じたことと、YMOが不参加で音が普通っぽかった。それで以降の作品は聴かなくなってしまった。結局、YMO絡みのちょっとヘンタイ音楽的なニュアンスが入ってないと興味がないという、非常にもったいない聴き方をしていたことになる。

っていうか、「帰って来たヨッパライ」はおいといても、ニュースで氏の代表作といわれる曲はほとんど興味なかったんです。今回検索してみて「あ、あれそうだったのか! これもそうか!」みたいに、とんでもなく多数のプロデュース作品があることを知りました。ちゃんと聴いてみよう。

62歳、もっとぜんぜん上だと思っていた。僕のイメージでは、サディスティック・ミカ・バンドでYMOに先駆けて海外で成功した偉大なミュージシャンであり、あこがれのYMOの三人でさえ頭が上がらない、実力がともなった大ボス、という感じ。現在につながる日本のポップミュージックの歴史の系統樹の最もルーツの一人、かな。僕が最もよく聴いていた頃の作品は氏が30歳代だったわけですが、当時19歳の僕には、とてつもなく「オトナ」に見えました。ああいうカッコイイ、オシャレなオトナになりたいと思いましたもん。

○余談1

ところで、1985年代々木競技場で行われた日本版ライブエイド「オール・トゥゲザー・ナウ」。当時、FMの特番で聴きました。その頃のメジャーなミュージシャンが総出演した大イベントです。はっぴいえんどの再結成もあったし、佐野元春が若手を代表するアーティスト的な扱いだったのもすごい。

中でも、サディスティック・ミカ・バンドの元メンバー(加藤和彦・高橋幸宏・高中正義・後藤次利)と坂本龍一、ボーカルに松任谷由実を加えた「サディスティック・ユーミン・バンド」ってのが極めつけでした。メンバー紹介〜ユーミン「ダウンタウン・ボーイ」と加藤和彦「シンガプーラ」に続いて各メンバーの代表曲メドレー。僕の中では古今東西全てのライブ演奏の中で最もカッコイイものと思ってます。エアチェックしたテープは宝物でMDにもコピーしましたが、YouTubeにもいろいろ出てますね。

小林克也によるメンバー紹介で「ユキーヒローーッ・タカーーハシーッ!」観客「おお〜〜〜〜!!」ってのが人数分続きます。YouTubeの動画ではわかりにくいですが、FMで流れた録音では加藤和彦のときにもっとも歓声が少なく、ありゃ〜? と思ったものでした。当時すでに、キャーキャー言われるアイドル的ミュージシャンの次元ではなかったのですね。直後の加藤和彦のFM番組で、ゲストの高中正義と何か愚痴ってたのを聞いた記憶があります。

○余談2

ヴァン・ダイク・パークスを聴き始めたのはここ10年以内くらいのものですが、最初に聴いたとき、「ああっ! 加藤和彦って、ヴァン・ダイク・パークスの歌い方に影響されてたんだ!」と思いました。少なくとも声質がそっくり。Google検索してもそのような記事は見つけられないですけど、世代的・位置的にも影響を受けてる可能性はあると思うんですが、どうなんでしょう?

【吉井 宏/イラストレーター】  hiroshi@yoshii.com

HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

すみません。今回ほど自分の知識の中途半端さを思い知らされたことはなかったです。勢い込んで書き始めたものの、こんなに思い入れはあるのに、何にも知らないことに気づかされてしまい、書いてて苦しかったです。まあ、中途半端な古い音楽マニアの思い出話ということで勘弁してください〜。
次回はPhotoshopとかOSXとか、自分でちゃんと詳しいことについて書こうっと。

●アニメ『ヤンス!ガンス!』放映中。
TVK(テレビ神奈川)金曜朝7:25と深夜25:25。

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■編集後記(10/21)

日本SF全集・総解説
・日下三蔵「日本SF全集・総解説」を読む(早川書房、2007)。「日本SF全集」という出版物は存在しない。この本は「架空の全集の解説」というスタイルで、日本のSF作家の業績をひとりずつ紹介したブックガイドで、「SFマガジン」で1999年から2006年まで連載した企画がもとになっている。この「全集」の第1期は星新一、小松左京ら第一世代14人、第2期は山田正紀、田中光二ら第二世代12人、第3期は新井素子、神林長平ら第三世代17人と、日本SF黎明期から1980年代前半までの43作家43巻+アンソロジー1巻という構成で、みごとな日本SF通史にもなっている。各巻の収録枚数は長編・短編とりまぜて1600枚以内と規定しており、そのスペースに作品を絶妙に配置しなければならない。つまり各作家のすべての作品を読み込み、枚数を把握しなければ編集できないわけで、気の遠くなるような仕事だが、著者はこんなおもしろい遊びは滅多にないと語る。各作家の著作を「全集に選んだのはこれとこれ」「残念ながら落ちたのはこれ」「他にお薦めはこれとこれ」とメリハリある解説をしているので、絶好の読書ガイドになる。わたしはこの全集の43作家中、読んだことのない作家は第2期に2人、第3期に6人もいる。いや、けっこういい成績のSF読みか。日本SF黎明期の作品はほとんど読んだ。もう内容はあらかた忘れたが。「全集」収録作品の底本一覧も巻末にあり、まことに行き届いた「総解説」である。(柴田)
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→アマゾンで見る(レビュー6件)

・テレビをつけるとドラマ「オトメン」。数か月前に行った自由が丘のカフェが舞台になっていて、連れていってくれたIさんに慌ててメール。見てたよ〜、同じ番組を見ていたのは嬉しいとのお返事が来て、上機嫌なワタクシ。Iさんはパンにこだわりがある。/OLの友人Sは、スイーツに詳しい。百貨店に入っているお店はもちろん、近辺のお店や催事のチェックも忘れない。いつ会っても違うお菓子やケーキを持ってきてくれる。以前は得意だったはずの現在の不得意分野なのでとても勉強になるぜ。どうせ口に入れるなら美味しいもの、食べたことのないものの方がいいもんね。(hammer.mule)
< http://www.stc-inter.co.jp/ >
セントクリストファーガーデン
< http://www.dtp-booster.com/vol08/ >
おなじみ上原ゼンジさんのカラーマネージメントセミナー!
< http://www.dtp-booster.com/vol09/ >
制作者のためのできるPDF