[2866] 「向谷実×中西圭三プロジェクト」が示す未来

投稿:  著者:  読了時間:25分(本文:約12,300文字)


《本来組むべき相手にようやくたどり着いた》

■子だくさんIT社長のFileMaker日記[16]
 「向谷実×中西圭三プロジェクト」が示す未来
 茂田カツノリ

■クリエイター手抜きプロジェクト 電子書籍編
 自炊したデータをiPadで読む
 古籏一浩

■日々これ徒然なり[03]
 PowerPCにワクワク?
 えむ

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■子だくさんIT社長のFileMaker日記[16]
「向谷実×中西圭三プロジェクト」が示す未来

茂田カツノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20100614140300.html >
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Twitter/Ustreamに代表される、ソーシャルメディアの革命がいままさに起きているわけだが、その中でも絶対に歴史的価値のあるUstream中継「向谷実×中西圭三プロジェクト」はクリエイターにとって大きな意義があるので、ぜひ注目してほしい。

カシオペアのキーボーディストとして一時代を築いた向谷実さんと、'92「Woman」を大ヒットさせZOOの「Choo Choo TRAIN」を作曲したシンガーソングライターの中西圭三さんが、Twitter/Ustreamをきっかけにタッグを組み、曲を作り、レコーディングし、一気に配信開始まで進んだという話だ。すごいスピード感なのだ。

6月8日からのスタジオでのレコーディングには、デジタルステージの平野さん、J-WAVEの人気DJで自身でもUstream番組を配信しているサッシャさんとDJ TAROさん、先日ニューアルバム『PHANTOM girl』をリリースした歌手の坂本美雨さんはじめ、いろんな人が集結。僕もちょっとだけ縁があったので、差し入れに訪問した。

●ピンとこない人にはきっと遠い話かもだが

Twitter凄いよ、Ustream楽しいよって言っても、ピンとこない人にはネットの世界で一部の人が騒いでる、くらいの話と思われているかもしれない。でもね、僕はこの動きは、もしかすると将来の日本という国のあり方に関わるレベルの話かもとすら思っている。

僕はある種の傍観者というか、道ばたの小石のような役割で、あくまでその立場からの話ね。

まず、2009年末くらいからTwitterが猛烈に盛り上がり、特に企業での利用が大変面白くなったという流れがひとつの出発点。このあたりについては、以下に詳しい。
・日系ビジネスオンラインのTwitter記事
< http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100115/212145/ >

さらに、動画の生配信が誰でも気軽にできる「Ustream」が、チャット機能をTwitterと統合したことで猛烈な盛り上がりをみせる。これについては、「ダダ漏れ女子」で有名なそらのさんの存在を置いて語ることはできない。
・ケツダンポトフBlog
< http://ketudancom.blog47.fc2.com/ >

僕もこの流れに混ざるのがなんとなく自然な流れと考えてて、自分の会社においてTwitter情報をFileMakerに取り込んで解析するツールを開発。そのオマケとしてTwitterアカウントの一覧から抽選を行う「がらぽん」というツールを作ったらこれが大好評。おかげであちこちのイベントに呼んでいただく、という幸運に恵まれた。

その中で、いつも熱い語りをUstreamで展開しているデジタルステージの平野さん主催のイベント「モーションダイ部『合宿』」に呼んでいただいたのが4月3日〜4日。この放送中に平野さんも面識まったくない向谷実さんがたまたまTwitterで反応し、呼びかけたら夜中に本当に自転車でいらしてしまった。

イベント2日目には、KNN神田さんが日本最速でiPadを入手して参加、そのiPadにピアノソフトを入れて向谷さんが演奏。その現場にいた僕は、厚かましくも放送に乱入し、数日後にiPadが16台届くのでそれ並べての演奏をしていただけませんかとお願いし、4月7日に本当に実現してしまった。

このあたりは以下に動画が残っているので、ぜひみてみてほしい。
< http://www.ustream.tv/channel/digitalstage-jp >

その後、向谷さんはご自身の語りを長時間Ustream中継し、そのお話の面白さにみんな引き込まれていった。その中継の中で、シンガーソングライターの中西圭三さんがTwitterで反応し、ご一緒に曲作りをすることになり、できた曲を演奏し録音し、配信に至るという流れなのだ。

Twitterにより、非常な高密度でコミュニケーションが取れるため、短期間でいろんなことが大きく動いた。

●これは偶然じゃないよ

このように、まるでその場のノリで物事が進んでいったかのような状態だが、これは決して偶然じゃない。Ustreamでとっても面白い番組を続けていた向谷実さんも、そこに反応した中西圭三さんも、何か新しい表現方法を常に考えていたからこそ、この流れに乗った。

サッシャさんとDJ TAROさんは、J-WAVEのパーソナリティなどで多忙を極めるというのに自分たちのUstream番組を作り、またJ-WAVEの放送風景をUstream中継するという、ラジオにおける新しいチャレンジをしてきていた。

そしてこのお二人の番組に駆けつけ出演した坂本美雨さんも、何かを感じ取るものがあったからこそ、であろう。

つまり、みんな世の中にすでに存在している仕組みやしきたりに、挑戦をしてきていたのだ。そのベースがあるからこそ、話がどんどん進むのだ。「たまたま出会った」というより、むしろ「本来組むべき相手にようやくたどり着いた」のだ。

●iTunesで絶賛配信中!

そして2010年6月10日、奇しくも茂田カツノリ45歳の誕生日のその日に(それは関係ないって)、iTunesに「Twilight Stream」と「21st Love Express」が配信開始!

マジで中西圭三さんのボーカル最高っす。ということでみんなも買おう。
< http://itunes.apple.com/jp/album/id377179354 >

Ustreamで経緯を知るものとしては、自分も参加しているような気分。そしてなんと、「Twilight Stream」はJ-POP部門で最高11位、アルバムに至ってはどうやら1位なのだが、iTunes側で2曲のみ収録のものをアルバム扱いにするかどうか混乱したらしく、1位に登場したり消えたりを繰り返して、関係者を振り回す(ううむ...)。

でも、とにかく大ヒットには違いないのだ。映画・ドラマ・CM等タイアップ一切なしで上位に食い込んでいるのだ。クリエイターがものを作り出す一部始終を、生で見せてくれた向谷さんに感謝っ!

でね、これを単に「音楽プロモーションの新手法」と捉えるのは、本質を見落としている。もっといろんなジャンルに影響を与え、ものづくりの流れ、そしてお金の流れを根本から変えるかもしれない方向性を示している。

●リンク
・向谷倶楽部
< http://www.mukaiyaclub.com/ >
・e-onkyo music(7/1よりDRMなし配信予定)
< http://music.e-onkyo.com/goods/detail.asp?goods_id=mmc0001 >
・向谷実さん
< http://twitter.com/minorumukaiya >
・中西圭三さん
< http://twitter.com/keizo1111 >
・DJ TAROさん
< http://twitter.com/DJ_TARO >
・サッシャさん
< http://twitter.com/sascha348 >
・坂本美雨さん
< http://twitter.com/miusakamoto >
・JUNS 山中潤さん(高画質&安定したUstream配信を実現)
< http://twitter.com/JUNS_JP >

○全国どこでも(海外でも)FileMaker講座しますっ!
< http://www.recrear.jp/ >

鹿児島県指宿市の熱心なユーザの方のおかげで、FileMaker講習が実現します。7名以上集めていただければ、同様の講習はどこでも開催可能です。
開催日:2010年6月19日(土)9:00〜18:00(予定)
開催場所:鹿児島県指宿市(会場は調整中)
※こちらは満席となりました、ありがとうございます。

【しげた・かつのり】FileMaker公認トレーナー/FileMaker11認定デベロッパー。システム開発およびコンサルティングが主な仕事だが、企画やIT系ライターもやってるので、最近は「ITジャーナリスト」の肩書きも加えることにしている。株式会社レクレアル代表取締役。45歳になりました。

Twitter (個人用)< http://twitter.com/shigezo >
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■クリエイター手抜きプロジェクト 電子書籍編
自炊したデータをiPadで読む

古籏一浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20100614140200.html >
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今回はさらりと短めで。というのも、そんなにiPadをいじっている(研究している)時間がとれなかった、ということで。

iPadが来たらやるべきこと(?)は自炊です。これは電子炊飯ジャー(これって死語?)に本を入れると、自動的にiPad用の形式に変換してくれるというナイスなもの。ではなくて、手持ちの本を裁断してスキャナで取り込んでiPadで読むというものです。

つまり、手持ちの本の電子化を自分の手作業でやるわけです。1986年より前のものだとDTP自体がないので、電算写植や活版印刷などのものしかありません。電子化するにしても、最初から入力し直すこと自体無理。結局、スキャナで取り込むのが最も無難と言えます。

ただ、私の場合は書籍は非常に少なく一番多い書籍は自分の本、という変わった状況にあります。そのかわり雑誌は結構あるので、これを裁断してスキャンスナップを使って取り込んでみました。

裁断機がないので安いカッターで切ったのですが、うまくやらないとスキャンスナップでひっかかったり詰まったりしてしまいます。漫画雑誌(ビジネスジャンプ)は、紙質が悪すぎて全く駄目。挫折しました。

次に、切り刻んでもまったく心が痛まない雑誌「PRESIDENT」を裁断してみました(どんどん薄くなるけど、この雑誌大丈夫なのか)。これは、非常にスムーズにスキャンされ、iPadに取り込むことができました。

さらに、切り刻んでも心が痛まない雑誌として「NEWTON」を選択しました。科学ネタはどんどん新しくなるので古いものを切り刻んでも問題なし、という判断です。NEWTONは紙を折り曲げてあるため、中央から切るとスキャンスナップで斜めに紙が送られてしまい、何ページかは失敗しました。

「日経サイエンス」も切り刻んで見ましたが、これはスムーズ。他の雑誌もやってみましたが、雑誌内にあるハガキには気を付けないといけません。取り忘れると詰まってしまったりします。

それで、iPadに取り込んでi文庫HDで見てみましたが......。「二度と読まないんじゃないか」そんな気がしてきました。

読みやすいとか言う問題ではなくて、読まない。雑誌なので読み切り、使い捨てといったところでしょうか。雑誌は「フロー」で蓄積しても意味がなく、書籍は「ストック」。書籍は手元にずっと残しておきたい、という感じ。雑誌などは、そのままPDFにして多少安価にしてApp Storeとかで販売した方がいいんじゃないかな、という気がしますが。

【古籏一浩】openspc@po.shiojiri.ne.jp
< http://www.openspc2.org/ >

手持ちの本(?)で切り刻めないものとしては明治時代の教科書。結構、いいこと書いてあったりします。文春ウェブ文庫がApp Storeにあったので購入してみました。モリサワフォントだから綺麗とのことですが、これなら紙の本を買った方がいいかなと。2倍以上高くても。文春ウェブ文庫は検索機能もあります。が、小説とか読むのは、検索できるとかそういうことじゃないような気がするんですが......どうなんでしょう。小説でなければ(ビジネス書)なら、そういう検索機能があった方がよいかなとも思いますけど。

裁断機を注文したら入荷が8月頃になるようで、まさにiPad効果。風が吹けば桶屋が儲かる状態でしょうか。わたしの親は、iPadで産経新聞読んだり映像見たりといった具合に使ってます。

・Adobe AIR2が出た。HTML5+CSS3使えるらしいけど...
< http://get.adobe.com/jp/air/ >

・Adobe Illustrator CS5使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/IllustratorCS5/ >

・Adobe Photoshop CS5使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/PhotoshopCS5/ >

・Adobe InDesign CS5使い方辞典
< http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS5/ >

・ハイビジョン映像素材についてアンケート(6月末まで)
< http://www.smaster.jp/Sheet.aspx?SheetID=28846 >

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集 発売中
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/ >

・電子書籍作成用ページ
< http://www.openspc2.org/eBook/index.html >

・1980年代からのmzユーザーに送るtiny XEVIOUS for 700の制作昔話(PDF, EPUB, AZW(Kindle), プレーンテキスト, i文庫HD用テキスト,InDesignファイル含む)
< http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/40462 >


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■日々これ徒然なり[03]
PowerPCにワクワク?

えむ
< http://bn.dgcr.com/archives/20100614140100.html >
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僕の主な仕事のひとつに、社内のコンピューターネットワークの維持・管理があります。社内のインフラを支える、まさに縁の下の力持ち的役割です。昨今は電気や水道と同様、インターネットにつながるネット環境は「普通に使えて当たり前」と思われるようになっていますが、やはり「コンピューターネットは電気や水道ほど信頼度は高くない」というのが僕の実感です。有線、無線ともにネットワークの技術は進化の途中にありますし、多少の不安定要素があるドラフトの段階でも先取りして使い始めたりしますからね。

最近では無線通信がいい例でしょう。枯れたと思う間もないまま次の新技術がリリースされ、古い技術は陳腐化するばかり。こんな「過渡期」は永遠に続くのではないでしょうか。より優れたものを追い求める人間の探求心って、つくづくすごいと感じます。

そう言えば今を去ること20年ほど前、僕が就職活動をしている最中に「ネオダマ」という言葉が使われているのをよく見かけました。ネットワーク、オープンシステム、ダウンサイジング、マルチメディアの頭文字をつなげたものでしたっけ。いずれも今やごく普通のことで、わざわざキーワードとして言及するのは恥ずかしすぎるほどです。それだけ技術が進歩したんですね〜。

技術が進歩することで私たちの生活全般が便利になるのは、一面では確かです。けれどもまた別の面から見た場合、必ず幸福につながるかというと、そうとは言い切れないんですよね。何ごとにも表と裏の両面があるわけです。

別にテクノロジーの進歩を否定するわけじゃありません。新しい技術や製品の登場にはもちろんワクワクしながら注目しますし、これからもずっとワクワクさせ続けてほしいと願ってます。

その一方で、ネットさえあればどこでも仕事ができる状況が幸せなのかどうか、外に出ずともiPadひとつで日常の用が足りてしまう生活が理想的なのかどうか、そんなことにふと思いを馳せる時、技術の進歩に追い回される、私たち人間の悲哀を感じずにはいられなくなります。

さて、ネオダマのひとつ、マルチメディアという言葉を聞くと、インターネット黎明期にあったネット上のとあるショッピングモールを思い起こします。コンビニや書店で買ったCD-ROMを使って、アクセスするタイプのサービスだったかと思います。確か、丸紅か伊藤忠あたりの大手商社が関わっていたはずです。まだモデムやTAでの通信が一般的だった頃で、テレホーダイの全盛時です。

僕自身はろくに使わなかったこともあって、サービス名称はすっかり忘れましたが、あのモールはその後どうなったんだろうと時々思い出します。名前も分からないのでそれ以上調べようもなく、いつも思い出すだけで終わってしまいます。

わざわざ人に聞くほどのことでもないけど気になる、こんなことってけっこうありますよね。適当に質問をつぶやいたらiPadが答えてくれる、なんていうのはちょっと幸せかもしれません。これがiPadでなく、マイクロソフトのOSが載ったデバイスだと「サーチエラー。パラメーターを指定してください」などと、無機質なコンピューターボイスが答えを返したりするかもしれませんねぇ。こんなのはちょっと御免こうむりたいです。さすがのマイクロソフトも、最近はここまでビジネスライクじゃないはずですけど。

マルチメディアということで、もうひとつ。Pippin @(ピピンアットマーク)は忘れちゃいけない存在だと思うんですが、業界関係者の皆さんにとってはどうなんでしょう? 林信行さんとか本田雅一さんだとどう言及されるのか、とても興味があります(どこかで書かれているのをご存知でしたら、是非ご一報をお願いします)。

パッとしないまま市場から消えていったピピン。このゲーム機には PowerPC603 66MHzが載ってたんですね。「PowerPC」って文字を改めて見せられると、なんだか感慨深く、懐かしささえ感じます。懐かしいと言っても、実は僕にとっては毎日身近な存在であり続けてるんですが、誰が何と言おうが時代はもはや「A4入ってる」なんです。ここでは「えーよん」と読まないでくださいね(ご存知ない方のために。A4はiPadに搭載されているCPUです)。

ついでのお願いで恐縮ですが、自宅のMacがPowerPC G5/2.5GHz×2の Power Mac G5だなんてことは、この際僕に思い出させないでください。Classic環境が動くPower Macの最終モデル一歩手前の機種ですし、自宅で使う分には十分パワフルで困ってないなんてことも思い出させないでください。Intel Macが登場して早3年半。PowerPC はもう十分すぎるほど懐かしい存在のはずなんですから。PowerPCを知らないMacユーザーも絶賛増殖中なんですから......。

そんなPowerPC系のCPUが3大ゲーム機のWii、プレステ3、Xbox 360にそろって塔載されているのは、きっと偶然じゃないんでしょう。技術面に明るくないので、どういう理由で3社ともPowerPCを採用したのか、正直なところよく分かりませんけど。ついでに言えば、なぜアップルがPowerPCからIntelに移行したのかも、ずっと気になっているくせに分からないままです。文系人間がこのあたりを追究するのには無理があるんだろうと勝手に解釈して、自分を納得させてます。

今思えばPowerPC搭載末期のMacにはどこか閉塞感が漂っていたようにも思えます。スペックアップした新機種が出ても、なぜかあまり前進したようには感じられませんでした。どこかしらワクワク感に欠けていた気がします。PowerPC への訣別は、ひょっとしたらジョブズ復帰以後のアップルにおける、最大の転換点だったのかもしれません。

■今週の一枚 オフコース「Still a long way to go」(1988年:32FD-7007)
オフコース最後のオリジナル・アルバム。同名タイトルのコンサートツアーのスタートと同じ1988年6月9日発売。オリコンチャート最高2位。

アマゾンのカスタマーレビューにはけっこう辛辣なことも書いてあるんですが、僕は大好きなアルバムです。オフコースのアルバムで一番好きかもしれません。「オフコースはこれからだ」という前向きな熱い思いを感じます。前作の「asclose as possible」(1987年3月発売)では「複数のバンドが集まったようなサウンド」だったのが、ここでは全11曲を通して一本スジの通った統一感のあるものになっています。

22年も前のCDなのに廃盤にもならず、また、一度も再発売されることなく、いまに至るまで現行商品としてカタログに残り続けている珍しいアルバムでもあります。音質面では拡がり感が不十分な「初期のCD」っぽい音をしていますが、聴くに堪えないといったことは全くありません。

「Still〜」の先行シングルとなった1曲目の「君住む街へ」(アルバムとは別バージョン)を初めて聴いた時には、それまでにないエキサイティングな構成に鳥肌が立ったことを今も覚えています。3人のメンバーが代わる代わるボーカルを取るのを聴いて、オフコースとして「新たな未来へ向けて突き進もうとしている」、そんなメッセージを感じ取っていました。

しかしそんな期待をよそに、メンバー間、特に小田和正の中では「オフコースとしてできることはやり切った」という思いが強まっていたようです。「Still〜」の発売から5か月ほど後、ファンクラブ会員に向けて解散が伝えられました。結果として「Still〜」はオフコースの第3期を締めくくることになりました。バンドのラストアルバムということでは、YMOの「サーヴィス」(1983年)の重要度と同じくらいの重みを持っているように感じます。

さて「Still〜」を聴いて、返す返すも惜しいと感じるのが、ビル・シュニーがミックスダウンを担当していないこと(ビル・シュニーは、1980年発売のアルバム「We are」以降、オフコースや小田和正の大半の楽曲でミックスやマスタリングを担当した腕利きエンジニアです)。打ち込みのシンセの音が至る所で聞こえる点は、この時代らしさを十二分に感じさせてくれますが、少々耳障りにも感じてしまいます。

同じ1988年の3月に、小田和正のソロアルバム「BETWEEN THE WORD & THE HEA-RT」が出ています。このアルバムは自前のスタジオを持ったばかりのビル・シュニーがミックスしています。全体的に落ち着いた雰囲気の漂うレコードです。「Still〜」の発売は、これのわずか数か月後です。おそらくはビルのスケジュールの都合によるものだったのでしょうが、「Still〜」のミックスをなぜ彼に任せられなかったのか(あるいはあえて依頼しなかったのか)大変気になります。

彼がミックスを担当していれば、「Still〜」はより普遍的で時代を越えて聴き続けられるようなサウンドになったのではないか、そうなれば、より多くの人に愛される秀逸な一枚になったのではないか、そんな考えをどうしても拭えません。

なお「君住む街へ」と、シングルカットされた「she's so wonderful」「夏の別れ」、そしてアルバムのラストに収められている「昨日 見た夢」の4曲は、後に小田和正がセルフカバーしています。

Amazon.co.jp : Still a long way to go : オフコース
< http://www.amazon.co.jp/dp/B00005EKUI/dgcrcom-22/ >

【えむ】 emuyama@gmail.com
< http://twitter.com/emuyama >
< http://emuyama.cocolog-nifty.com/ >

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■編集後記(6/14)

・インプレスグループの山と渓谷社と、集英社が共同編集する「週刊ふるさと百名山01 富士山」は、双方のコンテンツ資産と編集経験との「協創」といえる試みだという。新聞に2回も全面広告を出すという力の入れようだ。分冊百科初号マニアであるわたしが買わないわけはない。いままで見て来た分冊百科の中では最もよくできている。美しい富士山鳥瞰図や、1/47,000の広域図が地図マニアにはうれしい。豊富な写真と図版、行き届いた情報がきれいなレイアウトでぎっしり、さすが山渓、みごとな富士山ガイドブックだ。全50巻、山渓が選んだ百名山、この編集スタイルなら大いに期待できる。しかし、超低山ならともかく、もはや山登りは敬遠しているので、わたしにとっては猫に小判だ。今年の始め、埼玉県立浦和西高校生物部(←笑わない)の級友が、約20年かけて深田久弥版百名山を制覇したと、記念品を送ってくれた。百名山を意識しだしたのは50歳を過ぎてからで、朝日カルチャーの中高年登山教室を受講してから本格的に始めたという。いつも顕微鏡を覗いていた男のこの快挙。いつも捕虫網を振っていた男は50歳を過ぎてから、ほとんど毎日、長時間マックに向かう生活になってしまいこの為体(ていたらく)。過ぎ去った年月は取り戻せない。しかし、いま、毎日が猛烈な早さで過ぎて行く感覚が不可解だ。(柴田)
< http://www.shueisha.co.jp/weekly/furuhyaku/index.html >

・茂田さんのを読んでワクワク。/書籍が少ないとは......。古籏さん伝説再び。裁断機は必需品ですよ〜。重くてでかいの買いましたもん。雑誌読まないですね。捨てるのが忍びないので苦労してスキャンしたものは山ほどあるのに。ビジネス書は図書館で借りると、メモ化するので良い。スキャンしなくて済む。返却後に買った本は二冊のみ。/「フランキー・オンライン」? 高城剛さんの? あれは大手商社が係わっていたっけ? と調べてみたらインターネットマガジンの1995年8月PDFがあった。雑誌記事が保管されるのって恐怖だな......。/関西ローカルの番組に、かつみさゆりが企業訪問するコーナーがある。前回はネスカフェ。「ネスカフェバリスタ」と新しい香味焙煎の、レギュラーコーヒーの粒をインスタントコーヒーの粉で包むという新しい製法について、面白おかしく紹介していた。ネスカフェで、中東出身の照明さんが、普段飲むのは紅茶、メーカーはリプトン(ピー入り)と正直に言ったり。で、その番組中にリプトンとAGFのCMがしつこく流れていて、おおらかなのっていいな〜と思ったさ(たぶんスポットCM)。(hammer.mule)
< http://jumitaka.tumblr.com/post/355716807 >
「塩尻の怪人」古籏一浩とは
< http://i.impressrd.jp/files/images/bn/pdf/im199508-118-franky.pdf >
インターネットマガジン1995年8月号の記事
< http://jp.nescafe.com/product/hbs/barista/barista.asp >
カプチーノ美味しかった。瓶より詰め替えパックの方が高いのよね......
< http://onlineshop.nestle.co.jp/front/category/koumibaisen/ >
Webで先行限定発売。私はスーパーに来るまで待つ
< http://www.mbs.jp/seyanen/mechaure/backnumber.shtml >
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