[2890] 娘の自立・父の嘆き

投稿:  著者:  読了時間:27分(本文:約13,400文字)


《新党結成する!『幸福にしやがれ日本』》

■映画と夜と音楽と...[471]
 娘の自立・父の嘆き
 十河 進

■ところのほんとのところ[41]
 食わず嫌いだったハワイを楽しむ
 所幸則 Tokoro Yukinori

■歌う田舎者[13]
 ミステリアスな女
 もみのこゆきと



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■映画と夜と音楽と...[471]
娘の自立・父の嘆き

十河 進
< http://bn.dgcr.com/archives/20100716140300.html >
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                  〈千年の祈り/96時間/コマンドー〉

●中国とアメリカに離れていた父と娘の12年ぶりの再会

イーリン・ユーの短編集で「千年の祈り」は読んでいた。しかし、何となく淡々とした話だなあというくらいの記憶が残っているだけだ。映画化された作品(2007年)は、監督が「スモーク」(1995年)のウェイン・ワンだというので期待した。期待通り、しみじみとしたよい映画だった。ウェイン・ワン監督は小津安二郎ファンだという。確かに小津的静寂が漂う淡々とした物語だった。

しかし、監督は意図的に様々な言語を出して観客を挑発する。騒がしくはないけれど、英語と北京語とペルシャ語、それにロシア語まで飛び交うのだ。北京語とペルシャ語と片言の英語での会話があり、北京語とペルシャ語のときには字幕が出ないので、劇中人物と同じように相手が何を話しているのかはわからない。それがまた、微妙な効果を醸し出す。

中国とアメリカに住み、12年離れていた娘と父親が再会する。空港へ娘が出迎えにきていて、「お父さん」と静かに呼びかけるトーンが印象に残る。中国人の感情の表し方がどのようなものなのかは知らないが、この場面で父娘はほとんど表情も変えない。娘の声のトーンには戸惑いと、もっと深読みすれば迷惑に思う気持ちがあるのではないか。

預けていた荷物を受け取るとき、娘はバッグに赤いスカーフが結びつけられているのに気付く。「紅衛兵のスカーフじゃないの」と、非難めいた言葉を口にする。父親は「目印さ。いらなくなったものの再利用だよ」と答えるが、娘は「よく税関を通れたわね」とあきれたように口にする。彼女は紅衛兵のスカーフを見ただけで、嫌なことを思い出すのだろう。

娘が父親を見る眼に暖かさはない。冷たいわけではないが、この人はいつまでいるのだろうと思っているような視線だ。だいたい、今更何をしにきたのか。だが、父は娘の離婚を心配し、嫌いな飛行機も我慢してアメリカまでやってきたのだ。翌日、父親は娘のためにたっぷりと朝食を作るが、娘は「時間がないから」と冷蔵庫の中のものをバッグに入れて飛び出していく。

ここでも、父と娘のすれ違いがある。娘には娘の生活があり、ライフスタイルがある。娘の価値観があり、モラルがある。父親の価値観やモラルとは、大きく違うのだ。まして、アメリカで12年も暮らしていれば、中国でずっと生きてきた父親とは、全く違う人生観やライフスタイルを持つだろう。

だが、父親はいつも不機嫌そうで無口な娘が心配でたまらない。夕食を作って待つ。「こんなにたくさん作らなくても...」と言われる。娘は迷惑がっている。食事の間も会話はない。「たくさん食べなさい」と、レンゲで料理を取って娘の茶碗にのせると、「やめてよ」という目で見られる。娘は干渉されたくない。20歳前後で北京を出て、もう30を過ぎた。子供のように扱われることが耐えられない。

──人生が楽しくないのか? そんなに無口で。
──お父さんも昔は無口だったわ。不幸だったの?

ロケット工学の研究者だった父は仕事のことは口外できず、家庭ではいつも無口だった。娘にもかまわなかった。老人になり妻を亡くし、30を過ぎた娘を訪ねてきた父親は、罪滅ぼしのように娘の幸せを願い、口を出す。その姿は、僕から見ても最近の人の言葉で言えば「うざったい」と見える。

●すれ違う父と娘の微妙な感情を描いて秀逸

「千年の祈り」は、すれ違う父と娘の微妙な感情を描いて秀逸だった。父は娘のいない日中、近所を散歩していて、イラン人の老婦人と親しくなる。その老婦人はイラン革命で故郷を出たのだろうか、片言の英語とペルシャ語と北京語が飛び交う会話の中で、老婦人がイランで娘を亡くしたことがわかる。

その婦人は、息子が医者になり、今は大きな屋敷で優雅に暮らしているらしい。ある日、友人の車に送られて公園にやってきた老婦人は、息子に孫が生まれて病院にいくところなのだと告げる。しかし、なぜか、それから老婦人は公園には現れなくなる。

老婦人の友人が、いつものベンチにやってくる。その友人は「あの人は病院にいったんじゃないの」と打ち明け、「老人ホームよ」と気の毒そうな顔をする。老婦人の息子は、母親が孫の面倒を見たがるのを嫌い、老人ホームに追いやったらしい。その老婦人も子供に疎まれていたのだ。

中国人の父親が「私は、よい父親ではなかった」と、告白するシーンがある。告白というほど大げさには見えないが、おそらくその言葉を口にするのは彼にとっては初めてのことだ。決意したカミングアウトなのだ。それは、イラン人の老婦人に向かって、たどたどしい英語で発せられ、理解したのかしなかったのか、老婦人は悲しそうにうなずく。

中国人の父親は、様々なことをくぐり抜けてきたのだろう。イラン人の老婦人も長い人生を生き、歴史の波にもまれてきたに違いない。中国もイランも動乱の歴史を持つ国だ。価値観が百八十度ひっくり返る事態も起こった。中国では紅衛兵が反革命分子を糾弾し、イランではイスラム原理主義が復活し自由化が遠ざかった。中国人の父親はインテリであることで糾弾され、イラン人の老婦人は女であることで革命の餌食になった。

そんな彼らが老後を迎えて、人生を穏やかに締めくくろうと思うとき、子供たちのことだけが気がかりなのに、子供たちは親の気持ちとは食い違い、行き違う。彼らは疎まれ、いなくなってほしいとさえ思われるのだ。実際、イラン人の老婦人は、苦労して育てたであろう息子に放逐される。

ある日、不倫相手のロシア人教師に送られて帰ってきた娘を問い詰める父親に、娘は離婚の原因はその相手だったし、彼にはモスクワに妻子がいると告げる。「お父さんのモラルでは許せないわよね」と冷笑めいた表情を浮かべる。父親を怒らせるために、娘はすべてを告白しているのか。

案の定、父親は娘の不貞と不倫を嘆き、つい非難する口調になる。そのとき、娘は父親を傷つけてもいいと思ったのか、父親に向かってある秘密を知っていたと口にする。娘とは友だち同士のように仲の良かった母親も、そのことは知っていたのだと...。そのときの父親の表情が悲しい。

「千年の祈り」を見ながら、僕は身につまされることが多かった。「私は、よい父親ではなかった」と告白するところ、娘のささやかな仕草から父親を疎んでいるのがうかがえる場面...、それらが僕を責めていた。我が身のことのように思えた。しかし、それでも親子だ。もつれた関係であっても、どこかに強い愛情があるはずだと願う。

●娘を愛する強い父親はアクションもののひとつのパターン

「96時間」(2008年)の父親は超人的だ。それに、娘を愛している。最愛の娘が誘拐されたと知ると、どんな手段を使ってでも救出しようとする。彼が娘をどれだけ愛しているか、孤独な部屋で娘の5歳の誕生日のビデオを見ているオープニングシーンでわかる。彼は妻とは離婚し、娘とは別れて暮らしている。だが、娘は彼の唯一の宝なのだ。

娘の17歳の誕生日、彼は歌手になるのが夢だった娘のために、カラオケ装置を抱えて大きな屋敷にいく。妻の再婚相手は金持ちだ。娘は彼のプレゼントに喜ぶが、かつての妻は「歌手になる夢は12歳のときのことよ」と皮肉な口調で言う。さらに、義父から本物のポニー(子馬)をプレゼントされ、驚喜する娘を見て複雑な気持ちになる。

ある日、娘に呼び出され喜んで出かけるが、娘の目的が友人とふたりでヨーロッパ旅行に出るための許可をもらうためだと知り、「危険だ」と反対する。母親は「大丈夫よ」と口を出す。未成年だけの海外旅行には、親が許諾した書類を出さなければならないらしい。彼は「先に相談すべきだろう」と娘に甘いかつての妻に言い、「相変わらず頑固ね」とうんざりされる。そのシーンが強い既視感を伴って僕に迫ってきた。

心配した通り、娘と友だちは男たちに誘拐される。そのとき、娘と携帯電話で話していた父親は、相手の特徴を聞き取り、誘拐犯と交わした会話を録音する。彼はそれを昔の仲間のところに持ち込み、その言葉がアルバニア語であり、彼らは若い女たちを誘拐して売り飛ばす犯罪組織だと教えられる。「猶予は?」と彼が訊くと、「96時間」と昔の仲間が答える。

リーアム・ニーソン演じる父親は、かつては政府の情報機関で働くスパイであり、プロだったのだ。彼は、すぐに娘の義父のプライベートジェットでパリに飛ぶ。彼の仲間には情報通もいるし、パリの昔なじみは情報機関の高官になっている。彼のやり方を知っている高官が「無茶はするな」と言ったとき、彼はこう答える。

──必要ならエッフェル塔を壊す。

僕は、思わず拍手した。「凄い」と声を上げそうになった。その気持ちはわかる。娘は薬漬けにされ、娼婦のための性的なテクニックを仕込まれて、どこかに売られるのだ。一分一秒が彼を苛む。一刻も早く助け出したい。唯一の希望は娘がバージンであることだ。情報通の仲間は「どこかの金持ちに高く売られるだろう。それまでは大事にされる」と言う。

そこからは、父親の超人的な活躍を描くアクションシーンが続く。こんな話、どこかで見たな...と思った。「タイムリミットの設定、元殺しのプロ、誘拐された娘」で記憶を検索したらアーノルド・シュワルツェネッガー主演「コマンドー」(1985年)が甦った。菅原文太主演「犬笛」(1978年)も思い出した。原作は、西村寿行の「娘よ、涯なき地に我を誘え」である。

どちらの映画も、娘のためなら何でもやる、手段を選ばない父親の話だった。しかし、どちらも誘拐される娘たちは、まだ幼く自立はしていない。牧歌的な父と娘の関係が、まだ壊れてはいなかった。だが、「96時間」の17歳の娘は父親の束縛をうざったく思い始めている。自立した大人の女である「千年の祈り」の娘は、父親を疎んでいる。父親は、嘆く他に何ができる?

●小説の主人公に託して描いた娘への心情

3年前、あることがきっかけになって書いた500枚のミステリは、娘を亡くした父親の物語だった。その小説は、江戸川乱歩賞に応募して三次選考の20数編には残ったが、大沢在昌さんが選考委員をしていた最終選考の前で落ちてしまった。自分でもミステリとしてのプロットは弱いと思っていた。しかし、僕と同年に設定した主人公の心情だけは書き込んだ。

僕は、ストーリーやプロットを考えて書き始めたのではない。あるシーンが浮かび、その情景を書き進み、そのまま流れにまかせていたら物語ができあがったのだ。都会の雨の夜、レストランのテーブルにひとり座った50半ばの男がいる。4年前の同じ日、娘の大学合格と18回目の誕生日を家族で祝ったテーブルだ。

外村と名付けた主人公は、雨のしずくがつたわる窓に映る自分の顔を見ながら、4年前に殺された紗英という娘を回想する。「雨だった...」と、僕は書き始めた。それが初めて完成させることができた長編小説になるとは、そのときには思っていなかった。僕は娘への思いを、小説に託して書き連ねていった。


雨だった。

細かな雨が降っていた。何もかもが濡れていた。濡れた歩道に街の明かりが映っている。濡れて都会の夜の光を反射していた。遠くの明るい通りを色とりどりの傘がいきかう。「シェルブールの雨傘」の曲が浮かんだ。紗英が好きだった。「それが永遠に奪われたとしても、私は待っている」と、英語版の歌詞を訳して喜んでいた。

窓ガラスに絶え間なく水滴が付着する。水滴が少しずつ膨らんでいく。膨らみ、重くなり、ガラスを伝い、いくつかつながった水滴が、やがて滴る。そのガラス窓に映っているのは、疲れた顔をした中年過ぎの男だ。髪は短く刈り上げ、四角い顎が目立っている。生きている理由もなく、生きる目的もない男の顔だった。だからといって簡単には死ねない。死ねないから生きている。

不意に「死んだ子の歳を数える」という言葉が浮かんだ。「無意味なことをする」「愚かなことをする」という意味で捉えられている。過去がいつまでも忘れられず、くよくよと未練たらしく悩んでいる...。まったく、その通りだと思う。だが、子供を亡くした親の気持ちを、これほど逆なでする言葉はない。忘れられるものか。忘れられるはずがない。生きていれば今頃は...、と思わない親はいない。

10年近く前、有名な喜劇俳優が長男を亡くし、その葬儀の時に悲痛な声で息子の名を叫び、慟哭していたのをテレビで見たことがある。その喜劇俳優はすでに80歳を越え、長男は50半ばだった。50半ばで死んだ子の名を呼び慟哭する。それも大勢の参列者とマスコミのカメラ群の前で...。いくつになっても子供に先に死なれるほど悲しいことはないのだ、と思ったものだった。

外村は「この人は、名優だったんだよ」と、オフィスに出かける前にテレビのワイドショーを見ながら紗英に話しかけたことを覚えている。紗英は中学生でセーラー服姿だった。「50歳を過ぎた子が死んでも、親はあんなに悲しむものなの。私、お父さんより先には死ねないね」と、紗英は明るく笑った。しかし、目尻に涙が浮いていた。──泣きそうになると、必ず明るい声を出す子だった。


娘が生まれたときの情景、中学生のときに背後から駆け足の音が近付いたと思ったらいきなり腕を組んできたこと、家族で食事にいったとき「家族団欒、家族団欒」とはしゃいでいたこと...。外村が回想する紗英という少女の思い出は、フィクションという形に変えた僕の思い出だった。そんな思い出があるだけ、僕は幸せなのかもしれない。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >
帰郷してきました。80半ばを過ぎた父親が免許を返上していたので、慣れない道を運転して父母を選挙の会場に送ったりしました。運転し終わって、ふと見るとまだ高齢運転者のマークが前後にしっかり貼られていました。どうりで、よく道を譲られたなあ。

●306回〜446回のコラムをまとめた「映画がなければ生きていけない2007-2009」が新発売になりました。
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●305回までのコラムをまとめた二巻本「映画がなければ生きていけない1999-2002」「映画がなければ生きていけない2003-2006」が第25回日本冒険小説協会特別賞「最優秀映画コラム賞」を受賞しました。
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■ところのほんとのところ[41]
食わず嫌いだったハワイを楽しむ

所幸則 Tokoro Yukinori
< http://bn.dgcr.com/archives/20100716140200.html >
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[ところ]は今日ホノルルから帰って来た。そう言うと、いいなあ休暇ですか?という話になりやすいがまったく違う。日本人にとってなじみ深いホノルルや上海、台湾だと誰も仕事だと思ってくれないようだ。今回も仕事です。

ホノルルを発ったのが現地時間14日の朝10時で、成田空港に着いたのが15日の昼12時30分。だいたい7〜8時間フライトするのだけど。なんだかよくわからないでしょう? 時差は19時間です。[ところ]はどうにもこういうことにまだまだ慣れない。時差で狂った体の調子を直すのに数日かかってしまう。

成田に着いたときは日本に帰れて嬉しいなと思ったのだけど、暑い! 熱い!ビックリだ。いきなり気温31度というけど、アスファルトの上は40度近いのじゃないか? 週間天気予報を見ても、金曜32土曜34日曜35月曜36火曜33と、どれもこれも凄い数字だ。

実際31度というのはホノルルでもたまに表示されることはあるけれど、28〜29度というのがもっともよく見る数字。昔からハワイは常夏の島といわれているから、東京人からしてみればハワイの夏はもっと暑いんじゃないかというイメージあると思う。現実はだいたい28〜30度が普通、風が気持ちよく、シャワーが降って服が少し濡れてもすぐ乾く。最低気温も23度前後で過ごしやすい。行ったことある人にとっては当たり前のことだけど、知らない人もいると思うので書いておきます。

今回は少しの気持ちの変化があって、海に入ってみることにした。[ところ]を知る人からするとビックリかもしれないですね。水温がちょうど良く、抵抗なく入って行ける。自分の足元がよく見えるし、泳いでる魚もよく見える。結局、短い時間ではあったけれど3回ほど海に入った。恐る恐るではあったけど、意外と楽しかった。アメリカにしては安全な感じもするし。ビーチに荷物をおいて不安ではあったけどなくなる事もなかったし、あ、もちろんカメラや財布はホテルの部屋ですけど。

ハワイに住むのもいいな、とかチラッと思った[ところ]でした。食べ物も日本のように選択肢は多くはないけれど、探せばそれなりに口にあうものもあるようだし。寿司屋に入ってスシモドキにトライしてみた。ドラゴンロールなども食べたし、普通の寿司も食べてみたが充分寿司でした。おいしいお米でしたね。和食に関してはコストパフォーマンスは悪いけれど、まあそれは仕方ないです。日本じゃないんだから。その代わりステーキは安くてうまいところもある。もちろん安くてまずいとこともあるけれど。450gのサーロインで2,000円とか。脂ものってて凄く柔らかいわけじゃないけど充分うまい。

今回はワイキキからアラモアナのエリアだけではなく、3時間程車を借りてホノルル周辺に連れて行ってもらった。観光客は随分来てるようだが、お店がなく、ゴミが見られない。だから自然が汚れていない。人が泳ぐと魚の方から無防備に寄ってくるという、保護された湾も見た。素晴らしくきれいだけれど、その湾に入るには、自然を大事にしている、しなければならないという主旨の映画を見なければならない。もちろん世界各国の言語で対応している。こういう徹底ぶりがは凄いなと思った。アメリカという国というか政府は嫌いなところもたくさんあるんだけど、こういうところは本当に見習いたいと思う。

最近いろんな国に行くようになって、体調も精神状態も不安定になったりするけれど、それまで知らなかったことを知り、考えさせられることもたくさんあって、自分の人生の中で大事なこの一年かもしれないと思っている[ところ]です。

ハワイで見た虹
< http://tokoroyukinori.seesaa.net/upload/detail/image/A5CFA5EFA5A4.jpg.html >

ほぼ毎週、日本時間で日曜日21時(たまに22時)から1時間。写真や美術、近況などを東京のアトリエか旅先のホテルでニコニコ動画生放送をしています。
所幸則 1sec(ONE SECOND)
< http://com.nicovideo.jp/community/co60744 >

・FACE BOOK < http://www.facebook.com/yukinori.tokoro >
・mixiコミュ所幸則〜幻想記憶館〜
< http://mixi.jp/view_community.pl?id=497437 >

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

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歌う田舎者[13]
ミステリアスな女

もみのこゆきと
< http://bn.dgcr.com/archives/20100716140100.html >
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6月の雨の日曜日、空港で茂田カツノリさんと密会した。雨の空港でさよならと言えば、当然わたしの脳内にはテレサ・テンの「空港」(※1)が鳴り響いている。翌月曜日の茂田さんのコラムには、こう書かれていた。

 │デジクリ2010.06.21
 │そして薩摩藩といえば、デジクリ著者の中でも特に謎の多い、もみのこゆ
 │きとさんがご在住。

そう、謎は大事よ。女はミステリアスじゃなければ生きていけないの。

 │デジクリ2010.06.21続き
 │いったいどんな方だろうと思っていたら、小さな赤いコルベットを飛ばし
 │て現れた、ラスベリー色のベレー帽をかぶった小粋な方であった。

コルベットの年式はもちろん1954年よ。♪き〜み〜の ほそい〜つめの〜ような〜 ラ〜イ〜ト〜は りゅう〜せんけい〜♪(※2)。
女は小粋じゃなきゃ生きる資格がないの。

そして、デジクリ配信日のtwitterでの茂田さんのつぶやき。

 │twitter 2010.06.21
 │@shigezo @m_yukito 多くの読者はオカマーなおぢさんだと思ってるでし
 │ょうが、それが事実かどうかも含め謎のままで

あぁ〜〜〜〜〜んっ! そんなこと言っちゃダメダメ〜っ!。アタシ、いつまでも謎の女でいたいんだから。

そう言えば、デジクリに書き始めるときに編集長に言われたわねぇ。「できれば仕事の話を期待したいところです」♪ダメ〜よ、ダメダメ......と言えば西川峰子(※3)。仕事の話なんてしたら、せっかくミステリアスな女で通してるのに台無しじゃない? あふん。でもアタシの仕事って、それ自体がミステリアスで、いったい何屋さんなのか、自分でも毎日謎なのよね。だから、ほんの少しなら仕事の話もいいかしらん。


まぁ、いわゆる世を忍ぶ仮の姿のアタシは、今、働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事なの。建設現場のプレハブ小屋なんかに行って話を聞いてると、時々、現場の男たちが出入りするのね。上半身裸よ、裸。うふ。陽に焼けた厚い胸板に、首からかけた白いタオル。汗ばむ浅黒い肌に固い筋肉。あぁん、そんなもの、もう何百年見てないかしら。でもインテリゲンツィアの白い華奢な指先も捨てがたいの。ほどよく脂肪の乗ったお腹なんかもステキよね。あら、いやだ。アタシのこと、男なら誰でもいい売女だとか思ってるんじゃないでしょうね。冗談じゃないわよ、パンチパーマの男だけは願い下げよ。

もとい、そんなことはどうでもいいわ。がんばって働くおじさん・おばさんを、みんなに紹介するのが仕事なんだけど、がんばってても紹介できない業種があるのね。たとえば金貸し、パチンコ。記事にはできないから、アタシの取材メモとしてノートの片隅に残されるだけなんだけど......。


町で金貸しをしてる青年は言ってたわ。
僕はちいさな頃によくいじめられてました。かわいそうだから親には言えないけど、金貸しの息子だって石を投げられるようなこともあったんです。でも、知ってますか? 金貸しって、世界で二番目に古い職業なんですよ。小さな会社の人たちに、銀行はお金を貸さない。そんなときに、会社の命をつなぐためにお金を都合する。僕らの仕事を必要としてくれる人たちはいるんです。

6月に改正貸金業法が全面施行されたでしょう? 政府は僕ら小さな金貸しを潰して、銀行系の大手貸金業者だけを残そうとしてる。利息が高すぎるって指摘があるのも、もちろんわかってます。だから、町の人にもっと気軽に使ってもらえる金貸しになるには、貸し付けるお金を自己資金で持たなきゃいけない。でなきゃ金利を押さえられないですから。そのために、いま一生懸命お金を貯めてるところなんです。


パチンコ屋のおじさんは言ったわ。
これからの季節は駐車場に気をつけなきゃいけないんだよね。夏の車の中はエンジン切ったら蒸し風呂だしね。店に遊びに来てもらえるのはうれしいけど、子供を車に置きっぱなしってのはね、困っちゃうよね。だから従業員が当番で一時間おきに見まわってる。たまに車内に子供がいるの、見つけることあんだよ。親はあっけらかんとしてたりしてね、弱っちゃうよね。

パチンコ依存症になっちまう人もいる。リカバリーサポート・ネットワークって相談窓口もあってね。トイレにポスターとか貼ってんだけど、意外とそれ見て電話相談する人も多いみたいだね。タダだしさ。景気かい? よくないねぇ。1円パチンコとかやったって、なかなか利益にゃならないよ。それに最近のパチンコ台ってのは機能が高度化してて価格が高いんだよね。仕入れるのも一苦労だよ。こう景気が悪いと、資金繰りに四苦八苦してる店も多いけど、あたしらみたいなパチンコ屋は、お金借りたくても信用保証制度の対象外だろ? まぁ、ほめられた職業じゃないのかもしれないけどさ。従業員の生活だってかかってんだよね。都会のでっかいチェーン店に踏み潰されてくしかないのかねぇ。


アタシね、ホントはパチンコも金貸しも大嫌いよ。できれば一生関わりたくないわ。金貸しなんてシャイロックみたいな奴ばっかりだと思ってたし、パチンコはアタシにとって不倶戴天の敵なの。だって世を忍ぶ仮のダディーとマミーが喧嘩する原因は、いつもパチンコとお金だったんだもの。ダディーのパチンコ狂いで、借金だってしてたわよ。小学生の頃なんて、二人の罵り合う声を、泣きながら階段の陰で聞いてたわ。あら、やだ。思い出したら涙が出てきちゃった。マスカラが流れちゃったじゃないの。やだ、ちょっとそこのランコムのマスカラ貸して。目力は大事な女子力よ。

でもね、目の前で話してるパチンコ屋のくたびれたおじさんや、金貸しの青年を見てたら、何も言えなくなっちゃったのよ。彼らはその仕事で、生きて、暮らしてるのよね。もちろんこんな人たちばかりじゃないわ。金さえ入ってくりゃ何やったっていいって人もいる。ヤクザとしか思えない人とかね。それなのに、気付いたら涙でファンデーションがよれよれよ。ちょっと、そこのファンデーション取って。ミステリアスな女は小ぎれいにしてなきゃね。スポンジじゃなくて自分の指で叩き込むことが大事よ。

IT企業の人が下請け孫請けで仕事したあげく、お金払ってもらえなくて、支払いが出来ずに、死にたいなんて話も聞いたわ。契約書はちゃんと取り交わさなきゃダメよ。お金もらえなかったら、下請代金支払遅延防止法ってのもあるの。泣き寝入りなんかしちゃダメよ。子供たちがあなたを待ってるでしょ? 死んで花実は咲かないわ。やだ、つけまつげが落ちちゃったじゃないの。

こうして、働くおじさん・働くおばさんのとこに行っては、思わず涙しちゃうのがアタシの仕事なの。

あら、いやだ。もうこんな時間? なんだか湿っぽくなっちゃったわね。雨が来る前に洗濯もの干さなきゃ。ホント、最近のお天気ったら、雨降りばかりだけど、皆さんのところはいかが? 心まで曇り空になっちゃダメよ。♪エンジン・フードで 卵が焼けるほど〜♪(※4)のピーカンな夏はもうすぐそこよ。じゃ、お肌のお手入れ、忘れないでね。日焼け止めは必須よ。

※1「空港」テレサ・テン
< >
※2「コルベット1954」松任谷由実
< >
※3「あなたにあげる」西川峰子
< >
※4「稲妻の少女」松任谷由実
< >
貸金業法等改正の概要
< http://www.fsa.go.jp/policy/kashikin/01.pdf >
下請代金支払遅延等防止法関係
< http://zenkyo.or.jp/law/prev/index.htm >

【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事の窓際事務員よん。かつてはシステムエンジニア。既に参議院議員選挙は終わっちゃったけど、投票日にコレやってみたのね。毎日新聞の「えらぼーと」。
< http://mainichi.jp/select/seiji/eravote/10votematch/etc/ >

21の質問に答えると、自分がどの政党の考えにもっとも近いか判定してくれるの。アタシ、やってみたらビックリしちゃったわよ。一番近いのが「幸福実現党」で、二番目が「たちあがれ日本」。やっだー。マジでぇ? アウトオブ眼中よ(古っ)。アタシと全く同じ結果になった友人のA子が言ったわ。「新党結成する!『幸福にしやがれ日本』」。

それにしても、どこに入れていいのかわかんなくて、投票所のブースでかなり悩んじゃったわよ。誰の名前も、どこの政党名も書けないんだもの。マイミクさんのボイスを見てたら「ろくなやついねえから『西郷隆盛』って書いた」って人がいたわ。この調子じゃ『坂本龍馬』って書いた人は100倍以上いるわね。

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■編集後記(7/16)

・ここのところ、夕食が6時半からになった。いつもは7時である。なぜかというと大相撲名古屋場所の実況中継が中止になり、NHKで6時半から幕内全取り組みをまとめて放映しているからだ。実況中継がないのは物足りないが、このまとめ番組はテキパキ進んでなかなか見やすい。次の場所からは、実況中継に加えてまとめ番組もやってくれるとありがたいと思う。知らなかったが、goo大相撲サイトでは場所中、幕内・十両の取組映像をストリーミング配信中だった。また夕方の民放のニュースでも取り組み結果は報道される。しかし、絶対見ない。6時半からがわが家の本場所なのだ。それにしても、地デジで見る大相撲は美しい。いや、すべての番組がアナログよりは美しいんだけど。先日、NHKを含む全局が一斉に1分間の地デジ化テストを放送した。アナログでは「2011年7月24日あなたのテレビはこうなります」と砂嵐イメージを見せ「こうなる前に地デジの準備をお願いします」と脅かす。恐怖訴求。ネガティブキャンペーン。なんだかいや〜な気分に。政府がそのうち「こうなる前に消費税のアップにご理解をお願いします」なんてやり始めたらどうしよう。(柴田)

・「グーグルが不適切と判断したAndroid Marketのアプリを、単に配布できないようにしたのみならず、世界中のAndroidケータイの内部へと勝手にリモートアクセスし、該当のアプリを根こそぎ削除していきましたよ!」え、何これ。記事を読むと、ウィルスチェッカーサービスみたいなものなんだけど、削除前に理由と今から消すよというアナウンスが欲しいよね。しかしリモートアクセスされたとどうやって知ったんだろう。あるはずのアプリがないから問い合わせたのか? Androidの自由なマーケットは、将来iPhoneを越えるかもと思っているのだが......。/「iPhone Video Converter」。29ドルの製品キーコードを7/26まで無料配布中。AVI、MPEG、MOV、OGG、WAVなどをiPhone3G〜4までで見られるMP4、M4V、MP3などに。MacならTiger以降、WindowsはNTや2000からvistaまで。同じく「FLV Converter(25ドル)」のキーコードも無料配布。「DVD to iPhone」は無料予告あり。(hammer.mule)
< http://news.livedoor.com/article/detail/4883249/ >
Androidは自由の天国だと思い込んでる?
< http://www.iskysoft.com/flv-converter-windows.html >
FLV Converter