[2892] 「使えるモノはなんでも使う」が正解

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《プライベートな思い出まではPDF化出来ないですからね》

■ネタを訪ねて三万歩[67]
 「使えるモノはなんでも使う」が正解
 海津ヨシノリ

■グラフィック薄氷大魔王[229]
 僕的上京物語【直前まで編】
 吉井 宏

■デジアナ逆十字固め...[108]
 オンラインギャラリー「bitgallery」オープン!
 上原ゼンジ



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■ネタを訪ねて三万歩[67]
「使えるモノはなんでも使う」が正解

海津ヨシノリ
< http://bn.dgcr.com/archives/20100721140300.html >
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●iPadの不満が万年筆に化ける

ところで、先月予告したように、銀座で新しく万年筆を購入しました。発端はiPadに良いお絵かきソフトがあるのに、指を使うしかないのが現状。私はかなり不器用なため、指で絵を描くなんてことは出来ません。

6月にアップルストア銀座で行われたセッション当日に思い出し、少し時間があったのでセッション前に伊東屋へ向かい、かなりひつこく試し書きを繰り返した後に、ペリカン"Junior"という子供用の万年筆に落ち着きました。ペン先は中字です。本当は太字を買うつもりでいましたが、試し書きしたことにより私の求めていた太さが中字であることを悟ったからです。

今では買い物の多くはAmazonとなっている私でも、さすがに万年筆または筆記具の類のオンライン購入は出来ません。筆記具は相性というものがあるので、実際に試してみないと無駄遣いになってしまいます。ちなみに、インク色はペン先が太いので少しばかり薄めのロイアルブルーとしました。このあたりも実際に比べてみないと分らないですからね。また、ペンに付属で一本入っているカートリッジの色は選択できませんが、伊東屋では同時購入したカートリジの色に変更してくれました。このあたりが専門店の対面販売の良い点ですね。

このペンは、その後かなり気に入ってしまったので、2本目を購入してしまいました。四六時中持ち歩いていたいからです。こうなったらiPad風のメモ用紙と万年筆で、開き直ってしまうのも面白いかもしれませんね。直感的に面白いモノを追い続けるのが好きですから。多分ストレス発散になっているのだと思います。私はお酒で憂さ晴らしするタイプではなく、買い物で発散するタイプですね。そう考えるオジサンではなくてオバサン系(?)かも。

ちなみに「仕事で使うものは鉛筆と紙で充分」なんて嘯いた方がいましたが、私は「仕事で使うものは万年筆と手帳で充分」と思っているわけではありません。「使えるモノはなんでも使う」がクリエイターだと感じています。ですから、アナログとデジタルに線引きする氏の挑発に興味はないです。確かにあの問題発言は正論の域だとは思いますが、上品とは言い難い挑発的な態度はいただません。氏のような方には、もっと機知に富んだ思慮ある上品な表現をとって欲しかったですね。でも大先生なってしまったから無理なのかも......。

ちなみに某スタジオの初期作品は素直に楽しめて良かったのですが、最近のものは何か引っかかりが多すぎてスッキリ楽しめません。きっと私が凡人過ぎるから理解出来ないのでしょう。だから新作にもまったく反応できなくなっています。それよりも今見たいのは「トイ・ストーリー3」と「私の優しくない先輩」ですね。時間が欲しいです。

話を戻すと、実は私も現在のように猫も杓子もiPad絶賛だらけだと逆に不気味さを感じています。もちろん私もiPadは重宝していますが、手放しで絶賛するほどではないですね。ペンの問題やプロジェクター投影時に画面表示が出来ない仕様など問題は山積みです。Flashについては、アダルト産業が主要ブラウザにHTML5が対応したらFlashを捨てると公言してしまったので、現状の仕様を引っ張りつづけると未来はきついかもしれませんね。未来は誰にも分りませんが、傲慢種族と横暴種族は消滅して欲しいです。

とにかく我々は、メディアの情報に翻弄されすぎているように感じています。冷静に考えればおかしなことばかり。TVで本を裁断し、ScanSnapでPDF化させてiPadに入れる得意げな特集(?)を偶然見ました。5万円でも買えないような裁断機とScanSnap、そしてiPadで20万円ちかく出費して、本をせっせとPDF化させる必要のある人って一般ユーザーではないですよね。もっとも番組は途中から見たので、ターゲットについては冒頭で説明があったのかもしれませんが......。

確かにiPadは便利で、私もPDFをしこたま入れて持ち歩いていますが、わざわざ蔵書を裁断するまではしていません。昔の人間なので本を裁断するなんて事が出来ないからです。それも時間の問題だとは思いますが、突っ張れるだけ突っ張ろうと考えています。プライベートな思い出まではPDF化出来ないですからね。ただし事務的なカタログ類は容赦なくPDF化しています。当然ながら特殊印刷などはPDF化しようがないです......。

でも、「捨てる前にPDF化」という事を続けていると、今までであれば絶対に読まないモノまでPDF化するといった無駄が発生してきます。届いてもそのまま捨ててしまうようなDMなどがソレ。捨てる前にPDF化ではなく、直ぐに見る事が出来るようにPDF化し、オリジナルは保存という使い方が理想かもしれませんね。もっともそうなると、はじめにオリジナルを裁断しなくてはなりません。うまくいかないですね。将来その問題がクリア出来たとしても、本当に直ぐに見る事が出来るかについては少々懐疑的になっています。

面白い例として、私は多摩美術大学造形表現学部でコンピュータ画像処理論という講義を担当していますが、毎回授業の最後に昔のTVドラマやアニメ、マニアックな映画を少しだけ紹介しています。そして、その資料類を昨年まではプリントとして持参していましたが、今年からiPadに入れたPDFを表示させるだけだと張り切っていました。しかし、実際の授業であえなく撃沈。実際に使う段になって、電源入れてツールを選択して、該当PDFを起動させるまでに時間が掛かりすぎてしまうからです。

もともと授業の日は、機材一式をキャリーバッグに入れて大学まで通っているので、重たい荷物は問題在りません。どんなに軽いと言ってもプリント2枚とiPadの重量比較は話にならないですからね。以前、MacBookProだけではだめなのかと友人から質問を受けたことがありました。本体の他にタブレット、電源やケーブル類、そして仮想記憶用にも使える外付けハードディスクなど、鞄に入れてかつぐには限界を超えているからです。ですから3Kgほどの重さでも高速処理が可能であれば私は助かるのですが......。

結局、不特定多数をターゲットにしたツールに対する個人的な不満は永遠に解決しないわけです。大学の控え室にはそれなりの個人ロッカーも用意されているので、まだまだプリントアウした紙に囲まれたアナログ人生を謳歌といったところです。
余談ですが、プリントに失敗した用紙などが大量に余っており、誰かに渡したりするようなものでないかぎり、私はその用紙の裏面を活用しています。そのため、時々裏面の内容を思い出したように読み返すことで、新しい発見やアイデアが生まれてくることがあります。まさに「使えるモノはなんでも使う」が吉と出る瞬間です。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

"国境之南" by 范逸臣 in 2008
映画「海角七号」の中で主演の范逸臣が歌う劇中挿入歌。映画を見てしまうと頭から消えなくなってしまいます。

"海角七号(かいかくななごう)/君想う、国境の南" by 魏徳聖 in 2008(台湾)
60年前の復員船の中で書かれた7通の手紙と現代が交差する物語。でも決して反戦反日映画ではないのです。むしろその逆。主人公が手紙を読むナレーションは台湾映画なのに日本語という具合に。こんな親日的(もともと台湾は親日の国)な映画が台湾で作られ、それが台湾映画史上No.1の観客動員数となった事を知って驚きました。恋愛ドラマと言うより明るい喜劇で、台湾人の明るさや善良さ、優しさなどが伝わってくるこの作品を、某国では「媚日映画」「皇民化の影」と言った苦し紛れな理由で上映禁止になったそうですが、民意の低さに開いた口が塞がりません。とにかくそんな反日の国が500年掛けても作れない名作なのは確か。

ラスト5分......しかしエンドロールが3分なので、実質ラスト2分の静かな語りにカメラアングルと演出、そしてそこに流れる「野ばら」の曲で一気に号泣してしまいました。もしDVDなどで鑑賞する機会があれば、2回見て下さい。文化の違いで少々ギコチナク感じる前半部分も、2回目の鑑賞では払拭できます。

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■アップルストア銀座のセッション 8月16日(月)19時より

Hands on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol.49』
8月のこの回から偶数月はハンズオン形式となり、9月からの奇数月は従来通りのセッションとなります。詳細につきましては、随時私のサイトやBlogでもお知らせいたします。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター
yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >(renewed)
< http://kaizu-blog.blogspot.com >
< http://web.me.com/kaizu >

・間抜けな一方通行の礼節
長年にわたり礼節を重んじてきたのに、当の相手はそれを逆なでする行為をしていたことを知ったら、やっぱり怒り心頭ですよね。もっともこんな時に怒ると相手のペースにはまってしまうので、最近は知らんぷりでリセットするようにしています。正直、相手のポーカーフェイスが余計に腹立たしいわけですが、関わっても疲れるだけですからね。

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■グラフィック薄氷大魔王[229]
僕的上京物語【直前まで編】

吉井 宏
< http://bn.dgcr.com/archives/20100721140200.html >
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書きそびれてたけど、今日という機会は逃せない。ちょうど20年前の1990年7月21日は、7年4ヶ月間勤めていた名古屋のデザイン事務所を辞めてフリーになった日。そして上京の準備・部屋探しに東京に出てきた日なんです。

「思えば遠くへ来たもんだ」の「ふるさとはなれて6年目」よりはるかに長い20年! そんな実感まったくないです。こないだ東京へ来たばかり、さあやるぜ! って感じが今も続いてます。東京は中学の頃からのあこがれでした。っていうか東京に行くと決めてました。

というのも、マンガ家になりたかった僕は、東京へ行ってライバルや仲間たちとトキワ荘のようなアパートで暮らのを夢見てた、そのまんまバカだったのです。日本の中心の大都会で腕一本でやっていくのだ! と考えてました。すぐ成功しなくても、「男おいどん」のような貧乏だが夢は持ち続けるみたいなのもいいなとか。サルマタケは嫌だけど、ラーメンライスや守り神は素晴らしい。

ストーリーが作れずマンガ家は向いてないとわかり、同じく東京が「本場」の絵を描く仕事のイラストレーターに変更した高校時代後半、大阪の美大を薦められたこともあるけど、愛知県から見たら逆方向なのでぜんぜん興味わかなかった(最近になってその美大の出身者で活躍してる人がずいぶん多いと知り、ちょっともったいなかったな)。っていうか、当時はなぜか思いつかなかったけど、東京の学校に行けばよかったんだけど。

名古屋のデザイン専門学校を卒業するとき、東京で就職しちゃう手はありましたが、卒制ゼミの先生(っていうか師匠)の事務所に入ることになったので、一旦断念。そこでいろいろ覚えて3年くらいしたら東京へ行くつもりでした。父が単身赴任になったため、母一人残して上京しちゃうのはマズイだろうというのもありました。

就職から4年たった1987年、そろそろスタートしなきゃこのままじゃ一生地元だと焦りはじめた。同年代の若いイラストレーターが活躍し始めたり、父が帰ってきたなどいくつかの出来事が重なり、やはり東京に行かねば!と決意。忘年会後に一人残り、「会社を辞めて東京に行きたい」と師匠に言ってみたところ、「まだ早い。オレがいいと言うまで待て」と。OKが出るまでそれからまだ2年以上もかかるのでした。

日曜や連休を利用して、夜行電車で年に数度くらい東京に来てましたよ。展覧会やイベント、銀座のイエナ、神田神保町で古本の画集などを探したりするのが目的でした。東京は大きいなあ! 早くここに住みたい!と思いました。

1990年春、名古屋での総決算として「スペースプリズム」で個展開催。その時の絵など数10枚が東京攻略の武器になるはずでした。その頃は幻想・SF系のイラストでイケるなんて思ってたのです。すでに、怪奇幻想系の文庫本カバーの仕事を受け始めてましたし。

名前が出るイラストレーターとしてのデビュー作です。↓
< http://sites.google.com/site/thinkzink/Home/アンソロジー/ジャンル別/『ウィアード1』怪奇幻想小説シリーズ >

で、7月20日が退社と決まり、手帳のカレンダーの日付を一つずつ塗りつぶし、その日が来るのを待ってました。個展が終わってから退社までの数ヶ月、それはもう待ち遠しくて気が変になりそうでした。

東京のどこに住む? について。師匠から「港区以外ダメ」とのお達しが出てましたが、それは大正解でした。考えなしに安い部屋を探して東京近県の田舎に住み、そのまま朽ち果てる危険は数年たってから実感した。あぶなかった。あと、アルバイトで時間をつぶされず、かつ家賃分くらい出るようにと、出身校の渋谷校で講師できるように紹介してもらえました。

東京の不動産屋に条件に合う部屋のFAXをいっぱい送ってもらい、港区では最も安いと思われた田町・芝浦あたりに目星をつけ、退社の翌日に上京して現地で確認という手はずになってました。あれ? いったいどうやって東京の不動産屋を見つけたんだろ? インターネットなしの情報収集ってものすごい大変だったはずだけど、よくみんな普通にやってたなあ。

退社の日。送別会もしてもらったんだけど、なんかそれもぜんぜん記憶にないや。翌日の東京行きで頭がいっぱいだったんだと思う。帰りの電車で缶コーヒーを飲みながら、自由の身になったうれしさがじわじわとこみ上げてきたことだけ覚えてます。

7月20日午前。快晴。豊橋から新幹線こだま号に乗り、発車して速度が上がっていくときの興奮と爽快感! 頭の中では「空軍大戦略のテーマ」のファンファーレが鳴り響いてました。

・空軍大戦略のテーマ
< >

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com >
Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/ >

すいません。つまんないかもしれないけど、これは書いておきたいんで。次回じゃないかもしれないけど、あと何回か書きます。ところで、大型作品の第二弾を作ってます。発泡スチロール削りはニクロム線カッターをメインにし、静電気防止スプレーやシートで囲んだコーナーを工夫して削りカス問題をクリア。ところが、エポキシ樹脂塗りのどうにもならない地獄みたいな作業、その後のカッチカチの樹脂削りが難航。電動サンダーの作業は部屋中に粉が飛び、なんともどうしようもない状況に。基本的に作業場がないとムリです。早くなんとかしたい。

○「ヤンス!ガンス!」MUSIC ON! TVでオンエア開始。
< http://www.m-on.jp/regular/detail377.html >
○同じくMUSIC ON! TVの番組「George's Garage(GGTV)」のオープニングを
ヤンス!ガンス!のコラボで制作中。
< http://www.m-on.jp/blog/ggtv/2010/07/100710-4.html >
○「毎月1日は映画サービスデー」CMに「ヤンス!ガンス!」登場
映画館に行くと、本編上映前に必ず流れる「映画サービスデーの広告、兼、マナー広告」CMってありますでしょ。あのCMにヤンス!ガンス!が登場です。現在、都内の映画館のほぼ全館で見れるはずです。エリアは拡大予定。TVK(テレビ神奈川)で日曜18:25 〜 18:30放映中。music.jp、Wiiシアターの間でも配信中。

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■デジアナ逆十字固め...[108]
オンラインギャラリー「bitgallery」オープン!

上原ゼンジ
< http://bn.dgcr.com/archives/20100721140100.html >
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WEB上でのギャラリー「bitgallery」(ビットギャラリー)というのを始めた。自分が今見て欲しいという写真を公開する場であり、また私の好きな写真家にも声をかけて、コンテンツを充実させていきたいと思っている。

今までも自分のホームページやブログ、あるいは写真共有サイトなどで写真を公開してきたが、写真を見せるということに特化して、もう少し自分のイメージに近いギャラリーのシステムが作りたくなったのだ。

では、既存のシステムの何がいけなかったのか? まず、写真共有サイトの場合でいうとシリーズものをしっかり見せたいという場合には、ちょっと向いていないかなという気がする。たとえば、Flickrを例にとると、まず自分の写真をアップしたら、その中から写真をセレクトして「set」を作ることができる。

さらに、その「set」をいくつか組み合わせた「Collection」というまとまりを作ることもできる。だとしたら、シリーズとしての分類もできるわけだし、何の問題もなさそうだけど、作品を見せるということでいうと、ちょっとお手軽過ぎるかなという感じがするのだ。

私のFlickrの使い方としては、少し写真が溜まったら写真をアップして、既存のセットに組み入れたり、新しいセットを組んだり、という感じで、まあ自分の撮っている写真を気軽に公開する場として利用している。英語でのコミュニケーションは面倒くさいから、あまりコメントを付けたりということはしていない。あまり肩に力を入れず、日常的に写真を公開するための場として考えている。

ただ、ある程度の枚数がアップされていて、分類もされているので、仕事の依頼があった場合にメールでセットのアドレスを知らせれば、話が通りやすいというメリットはある。ちゃんと見たければ、スライドショーでフルスクリーンにしてみることも可能だ。機能自体は充実しているし、まるで問題なさそうだけど、やっぱり何かが違う。たとえば、そのフルスクリーンのスライドショー機能を使って見ている人って、あまりいないように思えるのだ。

そしてネットの利点というのは、次々にリンクをたどって移動していくことだから、サムネール画像をクリックしているうちに、どんどん違う場所に移動していっちゃうんじゃないかというおそれもある。Flickrであれば、当然別の人の写真に飛んでいくこともあるだろうし......。

つまり、ちょっとアップしてみたから、よかったら見てよ、というんじゃなくて、もう少しリキを入れた写真を、構成なんかも考えて公開したから、ぜひご覧ください、という場が作りたくなったということだ。

●写真集を作るシステムもイマイチ

WEB上には写真集を作るシステムなんていうのもあるから、そういうのも利用してみたけど、それもまたイメージとちょっと違った。デザインの雛形なんかもあって、気軽にカッコいいデザインの電子写真集ができちゃうんだけど、いざ自分の好みに合わせてカスタマイズしようとすると難しかったり、やたらと目立つ広告が入ってしまったりで、これもちょっと不満が残る。

で、しょうがないから自分でやってみようと思ったのだ。これは写真家が自分でギャラリースペースを借りて運営をする自主ギャラリーの発想に似ているかもしれない。自分の見せたい写真を、見せたい時に自由に公開するという意味で。ただブログにちょこっとアップするのとは違って、もう少し見せ方を考えてみようというのが、このギャラリーの主旨だ。

写真集を作るとなると金もかかるけど、WEBであればコストは相当抑えられる。しかも、世界中の人が簡単に見ることが可能だ。写真家の中にはWEBで写真を公開することを嫌っていて、「見たければ写真展を見に来い」という人もいるし、小さいサイズの写真しかアップしていない人もいる。しかし私はケチケチせずに、どんどん公開すればいいじゃん、と思うわけだ。

もちろん、著作権を放棄してどんどん使ってくださいということではない。でも、オリジナルとして価値があるのは、きちんとプリントされ、エディションの管理もされたようなものなわけだから、誰かがダウンロードしてプリントしたとしても、特に実害はないんじゃないかと思う。もちろんWEBで見るのに合ったサイズのものをアップするわけで、オリジナル画像をアップするわけではないのだし。

●ギミックなしでシンプルに見せたい

私が考えたのは、表紙や奥付も入れた写真集仕立てのスタイル。ただ紙の本じゃないんだから、見開きの必要はないし、ページめくりのギミックもいらない。シンプルで写真が見やすいということが重要だ。

いちおうそんなイメージは出来上がったが、残念ながらサイトを作り上げる技術自体は持っていない。そこで、テクニカル・ディレクションはトゴル・カンパニーの伊藤紀之さんにお願いした。一緒にやりましょうと持ちかけて、巻き込んでしまったのだ。

今後、少しずつだけど、コンテンツも増えていく予定。すでに自分の好きな写真家に声をかけ、オーケーも貰っている。私がこの連載で、紹介してきた写真家達だ。だから、あと何か月かすれば、私が好きで、みんなに紹介したいと思っている写真家の写真がじっくりと見られるようなギャラリーに育っているはず。今はまだ私と伊藤さんの写真があるだけなんだけど、ちょっと注目していて欲しいと思う。

◇bitgallery
< http://bitgallery.info/ >

【うえはらぜんじ】zenji@maminka.com
上原ゼンジのWEBサイト
< http://www.zenji.info/ >
< http://twitter.com/Zenji_Uehara >

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■編集後記(7/21)

・鈴木ともこ「山登りはじめました」を読む(メディアファクトリー、2009)。よくあるコミックエッセイである。この手の本(育児とか旅行とか)は娘や妻が好きなので、わが家でよく見かける。運動オンチ、体力ナシ、根性ナシの女性ライターだった筆者は、3年前の山との出会いをきっかけに、今では好きなものは山とビールとカレーと堂々と言えるようになった。これまでの山登り体験を、けっして上手いとはいえない、とぼけたタッチのマンガで表したのが本書。まずは高尾山か、初心者でもOK。のんきで平凡なマンガだと思う。木曽駒ヶ岳、立山、尾瀬・至仏山とくると体力も必要だ。ちょっと見直した。父母と一緒の鎌倉アルプスで一息ついて、またのんびりとした雰囲気に。ところが、次は富士山だ。ここに来て、それまでうすうす感じていたのだが、この筆者を嘗めていたことに気がつく。リサーチ番長の筆者は、じつに良く下調べをしている。5項目ある富士山登頂大作戦もおみごと。情報量はすごく多い。おきらくマンガと侮っていてすいませんでした。最後は同業者(たかぎなおこ)と担当編集者の4人で丹沢・塔ノ岳へ登る。女子が山に登ったよ、よかったよというただのうわついたレポートではない。それぞれの山のデータ、女子向け山のファッションやアイテム、山の装備、そして山登り講座など役立つ情報も多い。こんな絵なんだけど、感動するシーンもある。この本を読んだ女子なら(男子でも)きっと山登りしたくなる。入門書としてとてもいい本だ。娘や妻は、その後も山の話はまったくしていない。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840128170/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー12件)
< http://portal.nifty.com/2010/07/21/a/ >
『タッチ』全一巻を作ろう(Daily Portal Z)←笑える"自炊"生活

・「FileMaker Go」が気になる。自分自身はFileMakerを使っているわけではないが、お客さんによっては良さげ。「外部SQL データソースとの接続」がiPadやiPhoneででき、なおかつUI良ければ......と思ってしまうな。使ってみないことにはわからないし、FileMaker Proでの構築が必要になるみたいだけど。使い道はぱぱぱっと浮かんでくるけど、検証していないからここに書くのはやめとくぜ。/一ユーザーとしてフォローしてみる。iPadで良いと思ったのが、リビングでGoogleマップを表示させた時。うちの母と、とある道や場所の話をしていて、iPadを覗き込みながら、「こっちの方?」「そうそうこのあたり。で、こっち側には〜」と、お互い触り、画面を拡大したり、表示箇所を移動させたり。そう、ビジネスなら、お客さんが自ら参加している感じがして商談が上手くいきそうな気がしない? こっちの色の方がいいんだよね、とお客さんが自ら切り替えたりするの。カタログを見ながら商談するのと同じかそれ以上。これがパソコンなら、マウスを渡し合うか、モニタに向かって一人が指示する必要があったりする。ノートパソコンならモニタの角度なんかも気になる。一枚の板で対戦ゲームができるし、子供を膝に乗せての一緒に読書、なんてのもできそう。小さな子用だと、触ると音が出たり、映像が流れたりもするの。おお、いいかも。子供用の強固なケースと、べたべた汚れにも強い画面カバーが必要。もう少し軽くなったらいいのになぁ。そのうち初代iMacみたいなクリアカラーのポリカーボネート(強化プラスチック)iPadが出たりして。子供用防水モデル、とか? いや先にiPodやiPhoneでもいいな。シャーベットカラーで。とても身近になるね。難しいのかな。(hammer.mule)
< http://www.filemaker.co.jp/go/ >  FileMaker Go
< http://journal.mycom.co.jp/news/2010/07/16/063/ >
iPhoneカメラをiPadのカメラとして使えるアプリ!? 「EZ Cam Lite」リリース