[3534] 趣味の構造美の巻

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,400文字)


《♪時には娼婦のよ〜うに〜♪》

■わが逃走[129]
 趣味の構造美 の巻
 齋藤 浩

■歌う田舎者[48]
 わたしの初体験2
 もみのこゆきと

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  怒りのブドウ球菌 電子版 〜或るクリエイターの不条理エッセイ〜
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◎デジクリから2005年に刊行された、永吉克之さんの『怒りのブドウ球菌』が
電子書籍になりました。前編/後編の二冊に分け、各26編を収録。もちろんイ
ラストも完全収録、独特の文章と合わせて不条理な世界観をお楽しみ下さい。
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■わが逃走[129]
趣味の構造美 の巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20130829140200.html >
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私において美の基準とは、「機能する、意味のある構造か否か」をさす。さらに"装飾"を持たず、できれば作り手に下心がないことが加わればパーフェクトだ。

そんな構造美を見つける度に撮影していたところ、気がつけばかなりの量になっていた。それらをできるかぎり美しく=構造がわかりやすいようモノクロ表現に統一し、少しずつまとめている。

今回はその中から10年前に撮ったものを中心に何点かご紹介いたします。

由緒正しい木造商店建築。昭和の構造。くどいくらいに「たばこ」を主張する点はとくに評価していない。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/001.jpg >

道路と水路の関係。地形の美学。垂直に交わる道路と水路だが、橋に相当する部分に内輪差を見越した(?)微妙なナナメ面が追加されているところが面白い。水路の脇に無粋なネットやガードレールがない点も高く評価。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/002.jpg >

水とともに暮らす町では、水のありがたさと恐さを親から子へきちんと伝えていくのだ。そうすることにより、代々同じ景観を共有できる。これは素晴らしいこと。

円形の庇と柱。シンプルな美。門司港にて。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/003.jpg >

美トラス! 旭川にて。リベットのパターンも美しいし、なにより力を分散し、バランスをとりあっている様子が視覚的に伝わるところがイイ。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/004.jpg >

美灯台! 北海道だったことは間違いないんだけど、どこだったか忘れました。とにかくシンプルな構造と陰影が美しいと思い、シャッターを切りました。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/005.jpg >

風車。旭川から稚内へ向かう途中に立ち寄った風力発電用風車群。旅の途中、時間を変えて2度訪れたのだが、光の違いで印象がまるで異なることに驚いた。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/006.jpg >

ミニマルな構造美。最近はズームレンズを全く使ってなかったけど、こうしてみるといいものだなあ。

タイヤ。群馬県某所。構造美というよりも、無意識の構成美かな。ただ積んであるだけなんだけど、もしここに美しく積もうという意思が介在したら、けっして自然な印象にはならないはずだ。

ゴム臭を思い出しながら現像していたら、かなり濃いめに仕上がった。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/007.jpg >

階段。構造が美しいのはもちろんだが、トリミングがうまくいった! と思う。沖縄にて。
< http://bn.dgcr.com/archives/2013/08/29/images/008.jpg >

今回の写真はいずれもエントリー系の一眼レフ+高倍率ズームで撮影したもの。こうしてみると、構図に気持ちを集中していたなあ、と思う。

ここ数年、その緊張感から離れたくてレンジファインダーカメラばかり連れ歩いていたけど、機材が変わると写真も変わるものなのだなあと改めて認識いたした次第。

さて後から気づいたことなのですが、これらはいずれも撮ることを目的として出向いた結果ではなく、カメラを持って歩いていたときにたまたま見つけた物件です。

広告写真なんかは、最終的なイメージに向けて無作為を演じつつ作為的に撮るけど、無作為な構造美は撮影する側も最初から下心を捨てていた方が納得のいく絵が得られるような気がしました。

旅も目的地よりも、その過程の方が印象に残ったりするものだしね。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。


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■歌う田舎者[48]
わたしの初体験2

もみのこゆきと
< http://bn.dgcr.com/archives/20130829140100.html >
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♪口笛はなぜ〜遠くまで聞こえるの♪
♪あの雲はなぜ〜わた〜しを待ってるの♪

今日は白パンと黒パンのお話です。夏休みらしく、小学生が読んでも大丈夫な清々しいコラムになる予感がいたしますわね、皆さま。

あら、でもタイトルが「わたしの初体験2」ってことは、どこかに「わたしの初体験1」があるのかしら。えぇ、ありますとも。昔日の初体験は浅草ロック座でのストリップ体験についてでしたわ。

デジクリ「わたしの初体験」2010年11月12日
< http://bn.dgcr.com/archives/20101112140100.html >

前回がストリップだからって、何も身構える必要はなくってよ。今回は心洗われる真夏の清涼剤になるべく、爽やかなお話にしようと思っておりますの。

ハイジがアルムの山で食べていたのは固い黒パン。クララの家にきて、はじめてふわふわの白パンを食べました。優しいハイジは、歯の悪いペーターのおばあさんに食べてもらおうと、白パンをこっそりタンスに隠していたのですが、ある日、ロッテンマイヤーさんに見つかってしまいます。

「ア、アーデルハイド! これは何なのっ? えっ!? 山ではいつも黒パンだった? なんてことざましょ。良家の子女は白パンに決まっております。それなのに黒・・・黒パンだなんて・・・あぁ、恥ずかしくて気が遠くなりそう。アーデルハイド、恐ろしい子!」

そう、良家の子女は白パンなのでございます。黒パンなんてどこかのふしだらな女が身に着けるもの。もちろんわたくしのタンスの中にも、黒パンなんてありませんことよ。それにしてもハイジが黒パンだなんて、ちょっとイメージと違いますわね。いったいどういうことでしょう。

♪おし〜えて〜おじい〜さん〜 おし〜えて〜おじい〜さん〜♪

あら、おじいさんは赤い顔をして姿を隠してしまいましたわ。仕方がありません。自分で確かめてみるしかないわねぇ・・・。

そんなわけで、今、わたしの目の前にはレースの黒いパンティーがある。ターコイズのリボンがあしらわれ、なかなかに可愛らしくセクシーである。しかもTバック! 加えてガーターベルトとガーター用ストッキングもあるのだ。どうだ、参ったか。

なぜこのようなふしだらなものが目の前にあるのか説明して進ぜよう。それは去年の暮れのTwitterが事の発端である。わたしが友人J子にプレゼントした手作りパウンドケーキについての、まことにもって良家の子女らしいつぶやきから始まった。

J子がパウンドケーキのおともに紅茶のティーバックを・・・などとツイっていたので、「紅茶色のTバック、コレですね( ̄∇+ ̄)vキラーン」というつまらないツッコミを入れようと画像を探していたところ、Tバックには男性用もあるということを発見。どひゃー、マジですかい!

♪なんですかこれはなんですかこれは わからないなわからないな♪ 

未知との遭遇に、昔懐かしい米米クラブの歌が脳内でエンドレスリピートする。良家の子女としては、パソコンのモニタに釘付けになり、男性用Tバック画像を次々と検索しガン見していたのは言うまでもない。

しかしよく考えたら男性用Tバックの前に、女性用Tバックだってホンモノを触ったことがないのである。うーん、あんなに布切れの面積が少ないパンティー着けたら、尻が心許なくてそわそわするんじゃないのか。そんなことを呟いているうちに、Twitter上では関西人・横浜人・広島人が参戦し、くんずほぐれつの高尚なTバック談義となったのであった。

男子のTバックと褌の類似性についての比較文化論や、局部収納におけるTバックとトランクスの機能性、逞しい男子力プロデュースのために映画「ドッジボール」でベン・スティラーが見せたテクニックなど、誠に以てインテリジェンス溢れる会話がやりとりされているので、興味のある向きはこちらをご覧くだされ。
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このTバック談義に参戦していた広島人が、昨年11月のデジクリ「仁義なき戦いYKZ48」のあとがきを覚えておられたのである。

  ♪そうよ私は さそり座の女〜♪ あ、これこれ、遠慮するでない。
  誕生日のプレゼントは前後半年絶賛受付中であるぞ

いやはや、書いてみるものである。奇特な広島人は、前後半年絶賛受付中の誕生日プレゼントとして、黒パンセットをお届けくださったのだ。あぁ、夏枯れの脳みそにネタをありがとう。吾輩、もう広島に足を向けては寝られんわい。

省みれば、わが人生は良家の子女として道を外さずに生きてきた白パン人生である。黒パンなど購入したら、一族郎党に「なんとふしだらな! 男を誘っているも同然ではないか。家名に泥を塗りおって、この面汚しめ!」と糾弾され、反省文のひとつも書いて命乞いをしなければならなくなる。その上、形状がTバックなどであったら、スベタ、売女、ビッチ決定の上獄門晒し首である。

しかしながら、どうも世間の人々のガールズトークを聞いていると、黒パンだのTバックだのというものは、そのようなふしだらなアイテムではないようなのだ。

友人の中で一番真面目そうな瓶底眼鏡女子が「え、わたし、Tバック好きですよ。パンティーラインを気にすることもないからラクなんですよ。それに夏場は涼しいし」と、こともなげに言い放ったのを聞いたときは、「ものども、聞いたか! 黒パンやTバックは、男を誘うものじゃないみたいだぞ!」と一族郎党に教えを垂れてやろうかと思ったくらいである。

しかし、黒パンTバックを初体験するのに、四十路過ぎというのはいかがなものか。

♪And it's too late, Baby,Now it's too late
♪Though we really did try to make it

やはり遅きに失した感は否めない。これも良家の子女に生まれてしまった運命。めくるめく淫靡で背徳的な世界を覗くこともなく、人生は終わってしまうものなのだ。仕方あるまい。・・・そう思っていたのに、運命のいたずら・・・いや、デジクリのいたずらで、今、こうして目の前に黒パンセットがある。これも神の思し召しであろう。体験しなければ仏罰神罰キリスト罰が当たる。

だが、装着しようとして初っ端から躓いた。まずはガーターベルトなるものを腰に巻いてみたのだが、方向がわからない。ホックを止める箇所は腹側なのか背中側なのか? 留めるときは腹側なので、そのままでいいのか?

ちなみにガーターベルトとパンティーでは、ガーターベルトを先に装着してからパンティーを穿くらしい。パンティーがあとでないとトイレが面倒であろうというお説ごもっともである。

うーん、方向はどっちなんだよう! ガーターベルト装着がもっともわかりやすく解説されたサイトを見つけるのに30分もかかってしまった。

【ニッセン よくわかるインナー教科書】
< http://www.nissen.co.jp/cate005/event/PL07FA026_001_inner/index_02.htm#q5 >

カタログ通販の勇者ニッセンによると、ガーターベルトから下りる吊り紐の間隔が狭い方が前なのだそうである。さよか。逆ではないか。早速ホック位置を背中側に回す。

次はストッキングである。ガーターベルト用なので太もものあたりまでの長さで、上部は6cmほど総レースになっている。これをガーターベルトから下がる吊り紐の先のシリコンクリップで挟むらしい。

慣れないとなかなか骨が折れる。へんなところが筋肉痛になりそうだ。そしてTバックの黒パン穿いて完成である。うーん。やはり想像通り、初めてのTバックというものは、なんだかお尻を拭き誤って、ティッシュを挟んだままのような妙な気分である。

さて、それでは四十路の黒パンTバック+ガーターベルトという勇姿を鏡で観察してみようではないか。想像するだにイタそうで見るのが怖いが。

・・・おや? 意外とイケてるんじゃないか? 太ももまでくる長い黒ストッキングが、あたかもニーハイブーツのような雰囲気を醸し出し、ちょっと足長に見えるのである。オスカル様の軍服みたいなのだ。

しかし尻はマズい。なんといってもTバックというものは尻肉が丸見えなのである。意味もなく尻の筋肉に力を入れて、ぎゅぎゅっと偽装ヒップアップしなければ人様にお見せできない。え? 見せなくていいですか迷惑ですかそうですかすみません。

そのようなわけで、アルムのおじいさんが教えてくれなかったので、自ら黒パンの世界を初体験してみた次第であるが、やはりこれは着るものではなくて脱いで見せるものなのであろう。妖しいスポットライトを浴びて、巨大なオーストリッチの羽扇をひらひらさせながら、一枚ずつ脱いで行くというのが正しい使い方であるような気がする。

着れば誰でもバーレスクショーのダンサーになれる黒パンセット。日本中にあまたおられる良家の子女の皆々様も一度お試しになってはいかが。頼まれてもいないのに、意味もなくポーズを取ってみたくなる魔力に満ち満ちている商品である。

やはり四十路的テーマソングは ♪時には娼婦のよ〜うに〜♪ しかあるまい。わが尻を省み、ダイエットとセルライト撲滅の決意にもつながること請け合いである。ありがたくも得難い初体験であった。

※「アルプスの少女ハイジ 〜おしえて〜」
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※「なんですかこれは」米米クラブ
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※「It's too late」Carole King
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※「時には娼婦のように」黒沢年男
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

先週、久々に薩摩藩が全国ニュースのトップに躍り出た。8月18日の桜島噴火のニュースである。しかし、地元民としては「またかー。風向きこっちかよー」程度で、なんてこたぁない平常運転なのだ。久々に降灰量多いなってくらいで。掃除と洗車がめんどいとか、窓開けられないとかあるけど。

ということで、灰のひどい日にラジオから流れてきた歌。
「火山灰」柏木由紀
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編集後記(08/29)

●高校野球・甲子園の一試合の時間は2時間。それ以上かかる試合はすべて不合格。審判も高野連役員からダメ出しをくらうという。「甲子園は興行なんだよ。高校生のためにやっているんじゃない。だから、試合は消化すればいいんだ。役員の本音は『初球から打って、さっさと終われ。四球なんて出してんじゃねえ』。一日に4試合もあるんだから、主催者はサクサク終わる方がありがたい。早く帰れるし、ナイターになったら経費もバカにならないんだから」。三田紀房のコミックス「砂の栄冠」の巻末にあるコラム「甲子園研究所」にこう書かれていた。

甲子園大会の運営は高野連の大会役員、審判(経費節減のため9割が関西の人)、阪神園芸(グラウンド整備など)の"鉄のトライアングル"に支配されている。三者が一丸となって、一試合2時間以内の「甲子園タイム」を目指して、あからさまに選手をせかす。これは事実だろう。だから、彼らが花巻東の千葉翔太君が得意とするカット打法を、苦々しく思っていたのは間違いあるまい。ねばりにねばって出塁率8割なんて許し難いと。

「球数を多く投げさせることで、相手ピッチャーにダメージを与えることができる。自分は出塁することが仕事。小さいなりにできることをいつも考えています」という千葉。どんどん投げさせ、どんどん振らせて、能率良く試合を進めるのが甲子園審判の役目だから、追い込まれたバッターにはボールゾーンでもストライクを宣告する。そんな目論見がはずれたのが千葉という存在だ。

審判部は準々決勝の対鳴門高校戦が終わった後、花巻東の控え室に現れ、バントの定義を持ち出し、事実上カット打法をやめるよう勧告したという。グラウンドで堂々とジャッジするのではなく、卑劣にも密室で行った。しかも、正当なプレーに対して。千葉のファウル打ちはルール違反でも何でもなく、体格に恵まれない156センチの選手が体得したすばらしい技術である。それでも「甲子園タイム」に反することはやらせない。それが興行元の真意だ。花巻東は千葉の技術を封印され、準決勝で敗退した。

高校野球が「正々堂々とさわやかに」なんてうそっぱちだ。甲子園は興行なんだよ。高校生のためにやっているんじゃない。きれいごとを並べ、必死に美化しようとする朝日新聞ら興行元が、炎天下のもと高校球児を商売の道具にしているのだ。甲子園に棲む"魔物"とは「高野連」である、と門田隆将が書いている。また、「努力」と「試行錯誤」は無駄にならない、とも。(柴田)

< http://www.kadotaryusho.com/blog/index.html >
門田隆将オフィシャルサイト ブログ「夏炉冬扇の記」


●JINSでバーゲンをしていたので、度入りスポーツ用サングラスを買うことに。いくつも試着し、選び、検査待ちをした。検査中に店員さんは中座、ストックルームへ。5分以上待たされ、戻ってきた彼女から出た言葉は、私の視力では作れないということ。え?

店内ディスプレイに、一定以下の視力の人は作れないと書いておいて欲しかった。どんな度数でも、追加料金は0円といううたい文句があったから、作れるものだと思い込んでしまっていたわ。

買うのを諦め、いますぐ買う予定はないのですがと前置きして質問。室内だとクリア、室外だとサングラスになるモデルは、私の視力で作れますか? と。続く。(hammer.mule)

< http://www.jins-jp.com/functional/sports/lineup.html >
スポーツ用。偏光レンズやゴルフ用あり。