[4468] 気を治める者、心を治める者、変を治める者

投稿:  著者:  読了時間:15分(本文:約7,300文字)



《なくても困らないが便利と言えば便利、Google Home mini》

■まにまにころころ[129]
 ふんわり中国の古典(孫子・その9)
 気を治める者、心を治める者、変を治める者
 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito

■クリエイター手抜きプロジェクト[526]IoT IchigoLatte編
 関数を使う
 古籏一浩




━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■まにまにころころ[129]
ふんわり中国の古典(孫子・その9)
気を治める者、心を治める者、変を治める者

川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito
http://bn.dgcr.com/archives/20171204110200.html
───────────────────────────────────

コロこと川合です。ついに12月。師走です。孫子も走ります。私も走ります。いや肉体的には運動不足が極まって、走るに走れない感じですが……。

気持ちは走ってる、というか、気忙しいというか。でも気持ちが焦るほどに、実際は逆にあれこれ滞ってしまったりして、平時よりパフォーマンスが低めになりがちな今日この頃です。

そんな時こそ、孫子の教えが役に立つんだろうと思いはするものの、そう上手くは行かないものです。

仕事も日常も「風林火山」といければいいんですけどね。実際は、風に煽られ林に火がついた山のような状態です。(笑)


◎──『孫子』軍争篇(五〜七)

古い兵法書に、「言っても聞こえないから、太鼓や鐘を使え。手では見えないから、旗や幟を使え」とある。これらの道具は兵士の耳目をひとつにするためのものである。

統率が取れていれば、勇んだ者も勝手に独断で進んだりせず、また臆病な者も独断で退却したりしない。これが、大軍を動かす方法である。

夜戦に火や太鼓を多く用い、昼に旗や幟を多く用いるのは、味方の耳目を統一すると共に敵の耳目を惑わすためである。

こうして敵軍の気力を奪い、敵将の心を奪う。人は、朝の気力は鋭く、昼には衰え、暮れには尽きるものだ。だから戦上手は、相手の気力が鋭い時は避けて、衰え尽きてから撃つ。これが、気を治める者、である。

整った状態で敵の乱れを待ち、静かに敵の動きを待つ。これが、心を治める者、である。

近くに布陣して遠くから来る敵を待ち受け、休息を取りながら疲れた相手を待ち、食事をとって空腹の敵を待つ。これが、力を治める者、である。

正々の旗、堂々の陣を正面から迎え撃つことはしない。これが、変を治める者、である。

また戦闘においては、

・高陵の敵に向かって攻めてはいけない

・丘を背にした敵を迎え撃ってはいけない

・偽りの退却に釣られてはいけない

・気勢の鋭い敵を攻めてはいけない

・おとりに釣られて食いついてはいけない

・帰国途上の敵を引き留めてはいけない

・包囲した敵には必ず逃げ道を開ける

・窮地に陥った敵を追い詰めない

これが、戦の原則である。


◎──『孫子』軍争篇(五〜七)について

前回の一〜四の流れから、そのままですね。上手いこと場を制す方法というか。

いつもベースにしているダイヤモンド社の「『全訳『武教七書』」では軍争篇はここまでなんですが、岩波文庫の『孫子』では、最後の七段目は、次の九変篇に入っています。項目もここに挙げた八つではなく九つで。経緯の説明込みで。他にもこの辺りは他篇との整理含めて諸説あるようです。


◎──『孫子』九変篇(一)

将軍が君主から命を受け、兵を集め軍を編成して戦地に赴くにあたって、

・行軍の困難な地に駐留してはいけない

・諸国の勢力が入り交じる地では外交に気をつける

・敵地深くに留まってはいけない

・囲まれたときは計略で抜け出せ

・絶体絶命の場面では戦うしかない

また、

・道には通ってはいけない道もある

・敵軍には攻撃してはいけない軍もある

・城には攻めてはいけない城もある

・土地には攻めてはいけない土地もある

・君命には従ってはいけない君命もある


◎──『孫子』九変篇(一)について

この部分、なんとなく、最後の君命のところをいちばん強く言いたいだけって気もします。(笑)

前に紹介した、王の愛妾を用いた調練で愛妾を斬った話のように、ひとたび命を受けた将軍は現場の全責任を負い、君命と異なれど自身による現場の判断を優先すべき場合があると。


◎──今回はここまで

少し短いですが、今回はここまでにします。ここからの九変篇は現代でも役に立ちそうな話が多く面白いところなので、次回にひっぱります。

まあだいたいどの部分の話も、解釈次第で現代に役立つ感じに仕立てられるのが、『孫子』なんですけどね。

ビジネスにおいても、戦略的思考がどうのこうのってよく言われるように、兵法書ってビジネスとそもそも相性が良いんですけど、あまりに具体的に執筆当時の状況を踏まえて書かれていると、現代の話に転用しにくいですよね。

その点『孫子』は、比較的そうでない部分が多く、また、具体的な個所でも現代風に読み替えやすいので、一番人気なんだと思います。

いつか『孫子』以外の兵法書も紹介したいです。「武教七書」全部を今の調子で紹介していては何年かかるか分からないので、もう少し端折りつつ。いや、『孫子』もこんなに長引かせるつもりじゃなかったんですけどね。

興が乗ってきて深みにはまって抜け出せなくなったというか……

あれ?『孫子』が役に立ってない?


【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
https://www.facebook.com/korowan
https://www.facebook.com/caputllc
http://manikabe.net/

○イベントのお知らせ

以前デジクリにも寄稿されていた深川正英さんが、毎年主催していた大阪でのクリエイター新年会「味園で新年交流会」が、次の第10回で最終回とのこと。最終回、なんと長髪の深川さんが断髪式も行われるそうです。

・最後の味園で新年交流会&断髪式
http://last-misono.peatix.com/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■クリエイター手抜きプロジェクト[526]IoT IchigoLatte編
関数を使う

古籏一浩
http://bn.dgcr.com/archives/20171204110100.html
───────────────────────────────────

今回は、関数について説明します。LEDを点滅させるプログラムで、キーが押されたらすぐに終了できるようにするために、必要なのが関数です。

JavaScriptの関数は、必要な値を渡すと何かしらの処理を行い、結果を返します。関数は使用する前に、処理内容を定義する必要があります。

JavaScriptで関数を定義するにはfunctionを使います。IchigoLatteでの関数定義も、一般的なJavaScriptと基本的には同じです。関数定義は以下の構文になります。

function 関数名(パラメーター1,...,パラメーターN){
何らかの処理
return 戻り値
}

場合によっては、パラメーターがまったくないこともありますし、戻り値がないこともあります。

まずは、簡単な足し算をした結果を返す関数を作ってみましょう。2と5を足した結果を返すプログラムは、以下のようになります。

function add(a,b){
var c=a+b;
return c;
}
var n=add(2,5);
log(n,"\n");

function add(a,b){ のaddが関数名になります。aとbが関数に渡された値を入れる変数になります。

ちなみに、この変数aとbは関数内でのみ有効な変数です。このような特定の範囲内でのみ使える変数を、ローカル変数と呼びます。

関数内では変数aとbの値を足した結果を、変数cに入れています。その後、returnで計算した結果を返しています。

関数は定義しただけでは実行されません。また、一般的なJavaScriptでは、関数はプログラムのどこに書いても動作しますが、IchigoLatteでは呼び出す前に定義されている必要があります。

つまり、以下のようにするとIchigoLatteでは動作しません。

var n=add(2,5);
log(n,"\n");
function add(a,b){
var c=a+b;
return c;
}

プログラムを実行すると、2+5の結果である7が表示されます。

lash>ms .
7
lash>■

今回のように決まった値を計算するだけでは、関数を定義した意味がありません。そこで、ユーザーが入力した値に5を足した結果を、返すようにしてみましょう。まず、関数を以下のように変更します。

function add(a){
var c=a+5;
return c;
}

これで、5を足した結果を返す関数になります。

次にユーザーからの入力ですが、IchigoLatteではユーザーからの数値入力を行うinput()メソッドが用意されています。一般的なJavaScriptであれば、prompt()メソッドに該当します。

IchigoLatteのinput()は、10進数の値しか入力できません。0xで始まる16進数や8進数などは入力できません。入力しても予期せぬ値になることがあります。

ユーザーから入力された値に5を足した結果を返すプログラムは、以下のようになります。

function add(a){
var c=a+5;
return c;
}
var b=input();
var n=add(b);
log(n,"\n");

関数はいくつでも定義できます。と書きたいところですが、IchigoLatteは使えるメモリが少ないため、変数や関数などの合計が一定数を越えるとエラーで動作しなくなります。

どこまで使えるかは、IchigoLatteのバージョンによっても異なりますが、だいたい32個ほどと考えておけばよいでしょう。

もうひとつ、関数には制約があります。それは関数名は最大7文字まで、ということです。実は名前の長さが7文字までというのは、関数だけでなく変数名も同じです。

とにかくメモリが少ないので、IchigoLatteにはこのような制約があります。他にもオブジェクトで定義できるメソッド・プロパティは4つまでなど、いろいろな制約があります。

制約はありますが、やはりJavaScriptで手軽にプログラムできるのは便利です。ですから多少の制約は仕方ないでしょう。

次回は、、LED点滅のプログラムを改良しキーが押されたらすぐに終了できるようにします。


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
http://www.openspc2.org/

Google Home mini。なくても困らないけど、他の仕事しながら問いかけに答えてくれるので、便利と言えば便利。一番使うのはタイマー。次は天気。質問には答えてくれないことが多いけど、一応問いかけたりはします。

教育用のコンピューター「Micro:bit(マイクロビット)」認識しない原因が判明。様々なマシンに接続して、3つのマイクロビットとも認識しないので、残っている原因はmicro USBケーブルしかない。

電源は入るし、動くけど、デバイスとして認識されない。で、新品の新たなケーブルを購入し接続したら、あっさりとUSBドライブとして認識されました。IchigoJamとかでは問題なかったのに(IchigoJamは電源系ラインしか使ってないからという理由もあるかも)。

何にせよ、これでマイクロビットで遊べそう。

・InDesign CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/InDesignCS6/ref/

・Photoshop CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/PhotoshopCS6/ref/

・Illustrator CS6 JavaScript Reference
http://www.openspc2.org/reibun/IllustratorCS6/ref/

・みんなのIchigoLatte入門 JavaScriptで楽しむゲーム作りと電子工作
https://www.amazon.co.jp/dp/4865940936
[正誤表]
http://www.openspc2.org/book/error/ichigoLatte/

・After Effects自動化サンプルプログラム 上巻、下巻
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397591
https://www.amazon.co.jp/dp/4844397605

・IchigoLatteでIoT体験
https://www.amazon.co.jp/dp/B06X3X1CHP
http://digiconcart.com/dccartstore/cart/info/2561/218591

・みんなのIchigoJam入門 BASICで楽しむゲーム作りと電子工作
http://www.amazon.co.jp/dp/4865940332/

・Photoshop自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00W952JQW/

・Illustrator自動化基本編
http://www.amazon.co.jp/dp/B00R5MZ1PA/

・4K/ハイビジョン映像素材集
http://www.openspc2.org/HDTV/

・クリエイター手抜きプロジェクト
http://www.openspc2.org/projectX/


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(12/04)

●「荒野の用心棒」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン」はずっと前にテレビかVHSで見たはずだが、内容はほとんど覚えていない。「ドル箱三部作」と呼ばれていることを初めて知ったが、そのセルジオ・レオーネ監督作品「ウエスタン」を見た。1968年製作のイタリア・アメリカ合作映画である。

レオーネは伝統的なウエスタンの、よくある神話を題材としたという。それは、報復する人間、ロマンティックな悪党、豊かな地主、犯罪的な実業家、娼婦という五つのシンボル的な存在である。ということを、かつて何かの本で読んだ。わたしはウエスタンをあまり見ないが、これだけはよく覚えている。

その五つのシンボル的な存在をキッチリ配置しているではないか。見終わってよくわかった。じつに丁寧に作られている。それにしても、2時間45分という長さには参った。とにかく物語の展開がすごく遅い。ワンカットが長い。うんざりするくらいスローペースなのだ。おかげで話は分りやすいような気がする。

それまで善意の役しか演じたことのないヘンリー・フォンダが、卑劣で野心ある悪党フランクである。敵対する山賊のシャイアンはいい味出した年配の悪党。ハーモニカを吹く謎のガンマン。そして気丈な未亡人(嫁ぎ先に着いたら一家全員が〈フランク一味に〉殺されて葬式の最中だった)実は元娼婦。クラウディア・カルディナーレが演じる。意志が強く、険しい表情の方が多い女である。

夫となるはずだった男は豊かな地主だった。しかも都市計画まで立案していた、たいした先見の明。だから列車に住んでいる大金持ちの実業家から消されたのだ。では、報復する人間とは誰か。ハーモニカを吹いて現れる、マンガ的設定の謎のガンマンのことだと最後に判明するが、そのハーモニカの理由が切ない。

報復される人間とは誰か。フランクである。悪党の実業家が裏で糸を引き、フランクを裏切った部下が銃撃してきたとき、ハーモニカが助太刀してフランクを助ける。フランクは「敵なのになぜだ、お前が生きていると落ち着かない」とハーモニカに決闘を申し入れる。ウエスタンお約束のシーンである。

悪人は倒されるのもお約束。正体不明だが、悪人ではなさそうなハーモニカが勝つ。つい「う〜ん、マンダム」ってつぶやくわたしは陳腐であるが、あの人チャールズ・ブロンソンが勝つ。やはりウエスタンで決闘のシーンは見せ場だ。スペインロケだけど。ブロンソンの顔のアップ、アップ、クローズアップ。

なぜ彼がハーモニカを吹くのか、決闘中なのに回想シーンが挿入され、その理由がはっきりわかる。若き日のフランクはやはり極悪非道の悪党だ。そのリンチの悪辣さは類を見ない。ハーモニカはまだ少年といっていい年頃だ。ハーモニカを吹く男が現れた時点で、復讐者だと気がつかないフランクが鈍いのか。

ものすごく金がかかった映画であろう。ラストの方の鉄道敷設に携わる労働者の数は半端ではないし、実際にSLを何台も走行させている。稀に見る大規模なロケである。忍耐の2時間45分がようやく終わった。解説つきの2時間45分も用意されている。けっこう面白い話が聞けるのだが、もういいです。 (柴田)

「ウエスタン」
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KUNZSSQ/dgcrcom-22/


●「気持ちが焦るほどに、実際は逆に」って、わかる〜!

/ヨウコウさんのを読んでの続き。原稿が届いたら届いたで、情報不足で「こんなので作れないよ〜。叩き台を作れってことだな、これ。あーたぶんここに修正入るだろうなぁ、なんで○○がないんだろう、後から追加とかないだろうなぁ」なんて思いながら作る。

担当者に聞いても、「わからない。回答は後日に。でも先に仮のでいいから出して」なんて言われるのがオチ。

出せば、「え、今頃?」だらけで、次から次に修正が来る。レイアウトを大幅に変えないといけないものまで来る。ちゃんとしたところももちろんある。原稿にミスなしのところ。再校でOKのところ。

もうこれは担当者が、どれだけきっちりした人かによる。新人でもきっちりした人はゴール用意してから出してこられる。そうなの、人なの。続く。 (hammer.mule)