[4791] 東京はシド・ミードの夢をみるか?◇新しいディスプレイの前兆?

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《ブレードランナーの画稿が神々しい》

■ユーレカの日々[72]
 東京はミードの夢をみるか?
 まつむらまきお

■グラフィック薄氷大魔王[610]
 新しいディスプレイの前兆?
 吉井 宏




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■ユーレカの日々[72]
東京はミードの夢をみるか?

まつむらまきお
http://bn.dgcr.com/archives/20190522110200.html
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「シド・ミード展」が東京で開催されている。いやもう、これは行かねばなるまい。ということで、他のイベントと合わせてひさしぶりに上京した。
会場:東京 秋葉原 アーツ千代田3331
会期:2019年4月27日(土)〜6月2日(日)
https://www.3331.jp/schedule/004722.html

●ビジュアル・フューチャリスト

シド・ミードを知ったのは、大学生の頃だろうか。多分、雑誌『スターログ』の記事だと思う。79年公開のスター・トレックのヴィジャー、82年公開の、ブレードランナーのスピナー、トロンのライトサイクル、85年のエイリアン2など、80年代SFブームの未来デザインを一手に引き受けていた人だ。

小学生の時にサンダーバード、中学時代にヤマト、高校時代にStarWarsとガンダム、大学時代にマクロスという世代なので、実在するメカより架空メカが大好き。これらの中でも、シド・ミードの描くシンプルで美しく、印象的なフォルムは圧倒的な存在感だった。

ミードの過去の展覧会は行ってないので、原画を見たのは数年前のStarWars展が最初だった。画集「star wars visions」に寄稿されたミードの作品は『荒廃したシスの惑星』というタイトルで、宇宙空間に浮かぶ、円筒形の構造物のイラストだ。

荒廃したシスの惑星
https://www.inside-games.jp/article/img/2015/04/30/87274/573218.fullscreen.html

よくよく見ると、円の中心にコンパスの穴が開いているのを発見。家に帰ってから画集で確認すると、やはり、堂々と穴が写っている。さすが大物、コンパスの穴など気にしないのだなぁと、妙に感心した。

さて、今回のミード展。会場は秋葉原のアーツ千代田3331。30分ほど待たされてから入場すると、正面の壁の、大きくプリントされた未来都市が目に入る。もう、この時点で心が震える。

原画もあり、とても精緻な仕事なのだが、ミードのビジョンは、映画で慣れ親しんでいるからだろうか、壁一面に大きくひきのばされたパノラマ風景が、ああ、ミードの世界に来た、と思わせてくれる。

各時代の作品がずらっと並ぶが、入ってすぐに、ミードの最初の画集『SENTINEL』の表紙が目に飛び込んでくる。

洋書の画集『SENTINEL』が出たのは40年前。1979年で、ぼくが高校3年だ。LPジャケットサイズの正方形で、同じシリーズのロジャー・ディーン画集『views』とならんで、あこがれの画集だった。

学生の身には高価であることと、洋書なのでシュリンクされていて、中が見られず、なかなか買うことができなかった。2年くらい迷ったあげく、臨時収入があった時にイエナ書店で買って、下宿でシュリンクを開け、本が壊れないように大切に見た憶えがある。

画集は当時の製版の限界だろうか、けっこうぼやけていたのだが、今回原画をくっきりHD画質で見られて満足。

Steel Couture Futurist Sentinel 1978
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/9063325916/dgcrcom-22/

SENTINEL〈2〉 1987/5
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062023229/dgcrcom-22/

Views 2009/3/1
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0061717096/dgcrcom-22/

●ブレードランナーの絵

そして、やはり『ブレードランナー』のデザイン画コーナー。いろんな雑誌や本に収録されて、何度も見てきた絵だが、これらの絵は、他の作品とは違うオーラを感じる。なんだろうと思い、ふと気がついた。「この絵が描かれた時、この世界にはまだ、ブレードランナーという映画は存在していなかった」のだ。

いや、すごい。この人はブレードランナーという映画を見ずに、これを描いたのか! と、当たり前のことに感動してしまう。

『エイリアン2』、『2010』などのデザイン画もあったが、あとあとの影響力を考えるとやはり、ブレードランナーの画稿は神々しい。

10年ほど前のStarWars展で、ジョー・ジョンストンと、ラルフ・マッカリーの絵を見た時も、これが描かれた時に、まだスターウォーズは無かったのだと気づき、心が震えた。

これらの小さな絵が、イメージの源泉となり、世界を変えてしまうほどの影響力を持つ作品となる。なのに、芸術作品の作家たちとは違い、一般の人たちは、この絵の作者名など、まったく知らない。

そういえば、シド・ミードもラルフ・マッカリーも、デザイン画だけでなく、マットアート(画面で合成するための、背景画)を直接本人たちが手がけている。ブレードランナーのデッカードのアパートの前の通りのショットや、デッカードがベランダから下を見下ろすショットなどがたしか、ミード自ら描いてたはず。

「こんな絵、スタッフが再現無理って言ってるから、あんた描いてよ」
「えー、しゃーないなぁ」
というような会話があったのか、なかったのか。

●一流は仕事を選ばない

スターログの推しが影響したのか、シド・ミードは日本でたくさん仕事をしている。

今回の展覧会でも印象的だったのは1983年、フジサンケイグループ主催の国際スポーツフェアのポスター。巨大なロボットのドッグレースがおこなわれているスタジアムの様子が描かれている。

なぜスポーツイベントのポスターがシド・ミードのロボットの絵なのか、当時も今も、首を傾げてしまうのだが、この絵は当時、駅貼りポスターになって、都内の各地で目にすることができた。

めちゃくちゃ欲しかったのだが、人の多い都心で剥がして持って帰るわけにもいかず、当時のスターログに折込口絵として収録されたのがうれしかったのを覚えている。

展覧会では触れられていなかったが、80年代にシド・ミードがデザインした魔法瓶があった。

この頃、海外のプロダクトデザイナーに日本のメーカーがデザインを依頼するのが流行っており、イタリアのマリオ・ベリーニはヤマハのカセットデッキと象印の魔法瓶、大阪ガスのファンヒーターなどをデザイン、同じくイタリアのデザイナー、ジウジアーロはカセットテープだとか、エアコンだとか。

それぞれがデザイナーの名前を出して宣伝していた、いわゆる「デザイナー家電」だ。そういった流れで、シド・ミードの魔法瓶が登場したのだ。

タイガー魔法瓶の製品で、オリジナルはもう販売されていないが、調べてみると、今でもマイナーチェンジを重ねているそうだ。見比べてみると、たしかにオリジナルデザインを見事に継承している!

バブル期に有名デザイナーに依頼した、ちゃらいプロダクトかと思っていたが、そうじゃなかったんですね。タイガー魔法瓶、すばらしいです。

オリジナル
[80’s Syd Mead/シド・ミード デザイン「とら~ず」ポット]
BLOG|Graphio/büro-stil グラフィオ/ビューロスタイル
http://www.graphio-buro.com/blog/industrial/syd-mead-for-tiger.html

現行商品
[ステンレスエアーポット〈とら〜ず〉MAA-C | 製品情報 | タイガー魔法瓶]
https://www.tiger.jp/product/jug/MAA-C.html

●私だけが知っているミードの『つかしん』

この時期のミードの仕事で、ほとんど知られていないものがある。『つかしん』という、兵庫県尼崎市に西武(当時)が開発した、大型ショッピングセンター。1985年オープン、西武グループがブイブイ言わせていた時代で、西武の関西進出の足がかりとして計画された。

このショッピングセンターのパース(完成予想図)を、シド・ミードが手がけており、オープン当時、ポスターなどで使われていた。

よくあるマンション売出しポスターと同じような、ショッピングモールとその周辺の鳥瞰図なのだが、パースがきつく、ちょっと変わった雰囲気がある絵で、なんだろうとよくよく見てみると右下にシド・ミードのサインが入っていて、びっくりした。この絵が表紙のパンフレットは今でも大切に保存してあるが、そこにはシド・ミードという名前は一切出てこない。

おそらく、ショッピングモールのデザインには、かかわっていないだろうから(当時めずらしかった斜行エレベーターがちょっと未来っぽいが)、単なるパース描きとして、ミードに依頼したことになる。

さすがバブル期、ブイブイいわせていた西武の絶頂期である。この仕事はネットで検索しても出てこないので、気がついた人も少ないのだろう。Twitterに写真あげておくので、興味のある人は見てみてください。


●手で描くためのデザイン…なのか

展覧会では、最後に日本のアニメ『ヤマト2520』(ビデオシリーズ)(1995)と『∀ガンダム』(1999)のデザインワークが紹介されている。

ハリウッドのSFヒット作で活躍するミードのデザイン。この二本は、まだCG作画ではなかった時代で、ミードの複雑なデザインを手描きでアニメにするのは、さぞかし大変だったろうなぁと思う。

今回、展示はなかったが、『トロン』のライトサイクルや戦車、空中戦艦のデザインは、ごくシンプル。これは当時のコンピューターの性能上の制限からだと思う。

とすれば、手描きアニメ用にもっとシンプルなデザインをオーダーできたはず。なんだかこのふたつのデザインが、アンモナイトの異常巻のように、極端に進化した絶滅動物のように見えてしまったのは僕だけだろうか。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%83%E3%83%9D%E3%83%8B%E3%83%86%E3%82%B9

●あと半年でブレードランナーに追いつく

展覧会を見た後、神田に呑みに行ったのだが、神田祭の神輿をかつぐ人々も、JRの高架も、なにもかもがシド・ミードに見えてしまう。ああ、そういえば、あと半年で2019年11月がやってくる。そう、ブレードランナーの舞台となった時が近づいているのだ。巨大なビルの間を複雑に走る高架はミードの絵のようだけど、そこにはスピナーは飛んでいない。

大学時代からミードの絵はずっと追いかけてきたが、自分自身では、ミードのように描きたい、デザインができれば、と思ったことは、不思議と一度もない。

まぁ、最初から無理と思わせるほどの技量なのは言うまでもないが、それ以上に、ミードの描く世界はあまりにも美しく、希望に満ちていて、毒がない。

どのメカも、絶対に故障なんかせず、人間はみな聡明で、完璧に機械をコントロールできる世界。それを描くことは、ぼくには無理だ。機械は常に不調で、部品はツギハギ、街には壊れたメカが打ち捨てられている。そういう世界しか想像できない。

ああ、そうか。2019年になった今、世界がまだ、ミードの描いた未来にはなっていないのは、科学技術の問題ではない。人間の問題なのだ。

ガンダムのイラストで、戦闘シーンを描いたものがあるが、これらの絵は驚くほど、魅力に欠けている。

ブレードランナーやエイリアン2などの絵は、デザインは一緒だけども、映画で描かれたような、生活感や生死をかけた戦いの場面ではなく、美しく理想的な場面ばかり。

スピナーの絵でも、パイロットは地上を見下ろして笑みを浮かべているのだが、映画では強力わかもとの芸者以外、だれもそんな幸せそうな笑顔を見せない。そう、ミードの絵には、毒がないのだ。

うらみ、ねたみ、ひがみ、つらみ。人間がそういった業から逃れられない限り、ミードの描く世界はやってこない。そして、そういった業から人間が逃れられる時は来ないだろう。

でも、それこそが人間の面白さだとも思う。ミードの描く世界はとても魅力的だが、そこにぼくの居場所はなさそうだ。大丈夫、ぼくはミードの描く美しい世界も大好きだが、薄汚れたこの世界が、もっと好きなのだ。


【まつむら まきお/まんが家、イラストレーター・成安造形大学教授】
twitter: https://twitter.com/makio_matsumura
http://www.makion.net/
mailto:makio@makion.net

世間の改元フィーバー(死語)にうんざり。平成史を振り返るって、みんなそんなに元号で認識してた? この前まで80年代、90年代って、西暦で言ってたじゃん!

ポスターなどで日時をわざわざ元号で書いているのを見て、ほんとうんざり。こうなったら自分では元号……じゃなかったJIS歴を一切使わないぞ、と決心する(前からできる限り使わなかったが)。

書類に元号があらかじめ書いてあっても、抹消して西暦…じゃなかったISO歴で表記してくれるわ! と決心したのだが、そう意識すると、OCRの選択肢でJIS以外選べない書類のなんと多いことか。うんざりだ!


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■グラフィック薄氷大魔王[610]
新しいディスプレイの前兆?

吉井 宏
http://bn.dgcr.com/archives/20190522110100.html
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●国際宅配便に手間取る

GW前に作業してた展覧会参加用の立体作品を、ヨーロッパへFedExで送った。東急ハンズへ梱包材料を買いに行ったのを含めて、2日もかかって準備。webで料金や所要時間のシミュレート、何が悪いのか見積もりが0円になってしまったり、送り状やコマーシャルインボイスの記入もたいへん。電話サポートや集荷の人にいちいち聞きながら書いて、ようやく発送できた。

普段、EMS等で送るときはそれほど苦労してないはずだけど、EMSだと紛失が多い地域ってことで(現地の委託会社の問題らしい)、高いけど安全と言われてるFedExを初めて使ってみたのだった。

EMSや郵便でも壊れたり紛失の「全損」は今のところない。ただ、梱包が乱暴に開けられた跡があったり、封筒が破れてたり水浸しになったりしたことはある。粉末紅茶の缶が破裂して、袋の中に散乱してたこともあったな。

あと、送った荷物(立体作品)が理由なく税関で止められて「金を払え。さもないと、ずっと止めておくぞ」になったこともある(送り先のギャラリーが一か月間も抗議してようやく解決)。

FedExではそんなトラブルはないことを期待。とはいえ、安心しきってるわけではなく、出品作品と同じものを予備として7割ほど完成させてあるのだった。予備を送らずに済めばいいのだが……。

●新しいディスプレイの前兆?

Apple暫定純正ディスプレイのLG UltraFine 5K 27インチが、オンラインのAppleストア(米国)で品切れが続いているらしい。純正ディスプレイがようやく復活する前兆?

次期Mac Proといっしょに6Kの31.6インチディスプレイの登場が噂されてるが、4Kの21インチは廃番になりそう。その21インチ「LG UltraFine 4K Display」はめちゃ気に入ってるのに、ちゃんと活かせてないのが残念なのだが、先日、日本のAppleオンラインストアから消えてるのは把握してた。

「ちゃんと活かせてない」は、メインマシンの黒筒Mac Proに接続できないため(USB-Cが無い)、MacBook Pro 13(2016)でしか使えてないから。

GPUがオンボードなので、PDFなどの表示が重い。リフレッシュレートが低くなるのか、Photoshopでドローイングのカーソルがパラパラになって、描きにくいことがある。

何にしても4Kで作業するのはツライため、若干ボケる「低解像度モード」で使ってる。4Kで作業してて困るのが、Photoshopで「100%表示」が半分のサイズになってしまうことや、スクリーンショットが2倍のサイズになってしまうこと。なかなか慣れない。

21インチはサイズ的には最高なんだけどなあ。普段はフルHD相当で使って、いざというとき27インチ相当で使う。最大4096×2304で使うことだって可能(文字が小さすぎてツライけど)。精細表示の4Kも必要なときには使いたい。スピーカーの音も意外にイイよ。

27インチの広い画面に戻りたいこともあるけど、コンパクトな画面は気が散らずに作業できるのが良い。だから、現在はEIZOのColorEdgeの24インチを使ってる。外付けディスプレイやスピーカーの煩雑さは、iMacを買えば解決しそうだけどね。

◯追記 原稿送って半日後、LG UltraFineの23.8インチ4Kディスプレイ「24MD4KL」が、海外の一部Apple直営店で販売されてるというニュース! 27インチの品切れは純正ディスプレイではなくこれのため?? 21インチは気に入ってるけど、24インチ版があればほしいなって思ってたところだった。
https://www.gizmodo.jp/2019/05/lg-23-7-inch-ultrafine-display.html

◯追記2 そのまた半日後の今朝、そのLGの23.8インチが日本のオンラインAppleストアで発売されてた! えらく現在進行形な記事になっちゃったなw
https://apple.co/2HLNhwC

21インチは気に入ってるけど、24インチ版があればほしいなって思ってたところだった。ただ、「ちゃんと活かせない」のは24インチでも同じなので、悩むところ……。


【吉井 宏/イラストレーター】
HP http://www.yoshii.com
Blog http://yoshii-blog.blogspot.com/

FedEx、無事に届いたそう。よかった! 何度も何度も追跡番号照会するくらい心配だったw

○吉井宏デザインのスワロフスキー、新製品がいくつか出ました。

・見ざる聞かざる言わざるの「三猿」
https://bit.ly/2UF4LzF

・フクロウHOOT、踊りたい気分! 「HOOT LET’S DANCE」
https://bit.ly/2Dc6p4Z

・恋に落ちたフクロウHOOTたち「HOOT WE ARE IN LOVE」
https://bit.ly/2BlyBC4


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編集後記(05/22)

●偏屈BOOK案内:「壊されつつあるこの国の未来」2

「新聞は本気でLGBTを守ろうと思っているか。」が読ませる。わたしは本気でLGBTの問題を考えたことがなかったからだ。辛坊が「ナゴヤ未来会議」というイベントの司会を務めた時、「LGBTが輝く街作り」というテーマがあって、討論の過程で「それは違うんじゃないの」という違和感を覚えたという。もちろん、司会者として議論に冷や水を浴びせるのは役目ではないから指摘はしない。

その違和感とはある人物が「LGBTってバナナが好きとかリンゴが好きとかいう話で、人それぞれ好みってものがあるんだから、それを認めるのは当たり前だ」と発言し、それに対して会場を埋め尽くした600人の聴衆が拍手で応えたところを見ると、この問題に対しての一般人の考えも「ほぼ同じ」ということだろう。だが、LGBTを論じるにあたって、これを「好みの問題」というのは違うと思う。

この問題を単なる「好みの問題」とするなら、それに行政が関与し、学校教育で取り上げるべきという話にはならない。現実には「好みの問題」を肯定的に言うと賛同され、否定的に言うと炎上するが、これはマスコミや識者のダブルスタンダードを象徴する出来事である。それが「趣味嗜好」のレベルの問題にとどまっている限り、行政の関与や、教育で肯定的に取り上げるのは間違いだ。

そもそも性的嗜好を公言すること自体、一般的には社会的タブーである。日本は同性愛については歴史的に寛容で、制度的に酷い迫害を受けたなんて話は聞かない。日本国憲法では異性間の結婚しか想定していない。日本語の「両性」とは「男女」の意味しかない。辛坊は、「だからLGBTの結婚は禁止しろ」というつもりはない。9条があるから「自衛隊をなくせ」と主張しないのと同じだ。

名古屋のシンポジウムで紹介されたデータによると、LGBTに属する人は日本でおよそ13人に1人いるそうだ。予想外に大きな数字である。結婚制度がもたらす恩恵を、同性カップルが受けられないのも事実である。本気で日本がLGBTの人たちが住みやすい国を目指すなら、「そのための本質的な方法論は憲法改正じゃないですか?」。「元凶」の憲法の規定を変えることを主張すべきである。

朝日が「『性的な多様性を受容する社会の実現』を目指しているというのなら、まずは党内をまとめ、議員立法を提出したらどうか。それができないとすれば、党の公約も見解も、うわべだけの言葉と言わざるを得ない」と政権を批判するが、憲法改正の主張はない。本気でLGBTの人たちのことなど考えていない。

「私はこの問題に関して、朝日新聞の本気度を疑っています。朝日新聞はLGBTに寄り添う社の姿勢を紙面で示していますが、額面通りには受け取れません。朝日新聞はどこまで本気でこの問題に取り組もうとしているのでしょうか。『性的な多様性を受容する社会の実現』を目指しているというのなら、まずは社内をまとめ、憲法改正を主張したらどうですか。それができないとするなら、記事も社説も、うわべだけの言葉と言わざるをえません。」と辛坊は書く。

この文体は朝日の社説のパロディではないか。朝日新聞は本気でLGBTを守ろうと思ってはいない。問題の本質をそらしている卑怯者だ。それにしても、公開討論会に「LGBTが輝く街作り」なんて、タイムリーというより生煮えのテーマを持ち出すんだから、名古屋の人ってめちゃんこ無謀だと思うが……。(柴田)

「壊されつつあるこの国の未来」辛坊治郎 KADOKAWA 2018
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404604098X/dgcrcom-22/


●ドラマ「きのう何食べた?」の続き。以前、友人がダイエットメニュー本を買い、食材の多さ、それぞれ使う分量の少なさに憤慨していた。手間がかかりすぎて、普段の生活には向かないとも。独り暮らしで食材が余り、使い回そうにもダイエット目的なので、本のメニュー中心となり、なかなか難しいらしい。

脱線した。とにかく「鶏肉のトマト煮」を作った。最後に、余り物のピザ用チーズを入れるところが決め手となった。そりゃ美味しくないわけないわ。

分量はテキトー。記憶にある主人公の独り言を頼りに、味見しながら調味料を足していく。合ってるかどうかわからないけど、美味しかったわ。作れたこと自体に満足(笑)。

後で知ったが、レシピ本が出てるのね。これ書いている時点で、アマゾンの本総合ランキング8位、簡単レシピカテゴリ1位、料理番組カテゴリ1位だった。漫画を真似して作り、分量含めたレシピを公開している人たちもいたよ。

でもって、このドラマでもう一つ気になるのが分量。それで足りるの? って。女の人二人ならわかるんだけど。(hammer.mule)

公式ガイド&レシピ きのう何食べた? シロさんの簡単レシピ
https://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4065151325/dgcrcom-22/