[5008] 東京の戦々恐々 ― コロナよ、来るなよ!

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《もう限界なのだと思う》
 
■Otakuワールドへようこそ![330]
 東京の戦々恐々 ― コロナよ、来るなよ!
 GrowHair
 



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■Otakuワールドへようこそ![330]
東京の戦々恐々 ― コロナよ、来るなよ!

GrowHair
https://bn.dgcr.com/archives/20200515110100.html

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●分からないことだらけだが

光学顕微鏡にも映らないほどのちっこいやつに侵入されて、またたく間に大増殖され、肋骨が折れるほど咳が出て、本来まだまだ続いたはずの人生があえなくゲームオーバー、なんて目にはぜったい遭いたくない。とは言え、世界でもうすでに30万人がそういう目に遭っている。くわばらくわばら。

しかし、ただやみくもに恐れているだけでは、何のプラスにもならない。敵の素性や現在の感染状況をできる限り客観的に把握して、それに応じて、当面の生活スタイルとして続けていける範囲内で有効な対策をとり、感染確率を最小化して備えたい。

幸い、今のところは、熱もないし、咳も出ないし、味覚も嗅覚もちゃんとある。しかし、住んでいるのは、日本でも突出して感染者数の多い東京都である。都内でも、区市町村別の感染者数で第8位の中野区である。職場は第2位の新宿区内にある。

東京都23区市町村別感染者グラフ
https://stopcovid19.codeforshinjuku.org/


ウイルスなんて、もうそこらにうじゃうじゃいる感覚がある。ここにいること自体、危険度が高い。台風19号のときは、ふざけ半分に「学童疎開」などと称して、セーラー服を着て広島へ逃げたが、さすがにこの状況下で同じことをしたら、笑って済まされない。

罹る、罹らないは、運の要素が大きい。感染確率が低くても、運が悪けりゃ罹る。感染確率が高くても、運よくすり抜けられることだってある。罹ってしまった事実からさかのぼって、それは用心が足りなかったせいだ、と推論するのは正しくない。じゃあ、対策を打って確率を下げる心がけには意味がないのか。そんなことはない。これから起きるかどうか分からないことについては、その心がけに意味がある。

有効な対策を練るうえで、客観的な情報は非常に重要だ。ところが、こいつがどうも、分からないことだらけでたいへん困る。分からないことは分からないと認識することが、正しい認識ってもんである。宙ぶらりんの状態だけど、我慢していることが大事だ。耐えられなくなって、なんでもいいから適当な情報にすがって安心したいと思うのは、心の弱さの表れである。

その弱さには、間違った情報や、意図的に流布されたデマや、怪しげな信仰につけ入られる隙がある。生活用品を買い占めたり、お湯を飲んだり、ウイルスの愛を信じたり。信仰は自由だから、他人のことはとやかく言わないけど、私は仲間ではない。アマビエの絵を描いて人に見せるのは、かわいいのでよしとしよう。

  松久 正『ウイルスの愛と人類の進化』ヒカルランド(2020/3/26)

分からないことがいろいろある中で、いちばん心配なのは、いまこの時点で緊急事態宣言を解除して、自粛の水準を緩めたら、比較的低い感染率・死亡率を維持できるのか、それとも欧米諸国並みに爆発的感染が起きてしまうのかである。2020年5月12日(火)の現時点において、新型コロナによる死亡者数は、米国が8.0万人、英国が3.2万人、イタリアが3.1万人であるのに対し、日本は670人と、2桁少ない。

チャートで見る世界の感染状況 新型コロナウイルス 【日本経済新聞】
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-chart-list/


まず、この数字が実態と一致しているのかという疑問がある。仮に、だいたい合っているとしても、低い理由が分からない。なので、緩めたらどうなるか、読みづらい。情報が決定的に不足している中で、意思決定はとにかくしなくてはならない。経済活動をいつまでも止めておくわけにはいかないという、焦燥感も押し寄せてきている。

●感染者数を国別に比較すると、二分化される

国別で比較するなら、感染者や死亡者の絶対数をみるより、単位人口あたりの相対数でみたほうが、より公平である。札幌医科大学が、国別と都道府県別に、すばらしくよくまとめてくれている。

人口あたりの新型コロナウイルス感染者数の推移【札幌医科大学】
https://web.sapmed.ac.jp/canmol/coronavirus/


X軸が時間の推移を表し、Y軸が感染者数または死亡者数の絶対数、または人口あたりの相対数を表す。Y軸が対数目盛りの片対数グラフで示されている。片対数グラフでは、指数関数は直線になる。

感染の初期段階においては、感染者数にせよ死亡者数にせよ、絶対数にせよ、相対数にせよ、たいていの国で、指数関数的にばーっと伸びていき、その傾きはだいたい同じである。

感染が、同じペースで指数関数をたどるならば、さほど時間を要さず、全人口を超えてしまう。さすがにそうはなりようがないので、必然的に、ペースが緩んでくる。これを「サチる」という。"saturate" から来ている。ふつうの日本語では「飽和する」なんだけど。技術屋は「サチる」が好きだ。

欧米諸国だと、人口100万人あたりの感染者数が、だいたい200人を超えたあたりから拡大ペースが緩み始め、まだ増加中ではあるが、だいたい1,000人から4,000人の間のどこかで水平になりそうにみえる。

対照的に、それよりもずっと低い水準で、ほぼ水平になっているか、なりかけているようにみえる国が9つほどある(※)。タイ(43人)、中国(58人)、日本(125人)、韓国(213人)、ニュージーランド(238人)、ギリシア(249人)、スロベニア(266人)、オーストラリア(272人)、ブルガリア(282人)である。ほとんどがアジアの東から東南寄り。あと、東欧。

※人口の少ない国やまだ伸びている国は私の感覚で省いたので、正確ではない。心配なら、ご自身で確認してください。

「トラジェクトリー解析」も、グラフの読み方さえ理解すれば、非常に見やすくてよい。時刻をt、感染者数または死亡者数の絶対値または相対値をxとすれば、xはtの関数である。これが指数関数である場合、xをtで微分した値dx/dtはxに比例する。比例定数は、拡散の係数にあたる。なので、横軸にxをとり、縦軸にdx/dtをとって、両対数グラフにプロットすれば直線に載るはずである。xはtに対して単調増加なので、時間の経過とともに、右へ右へと移行する。

指数関数から外れてくると、ピューっと下がってくる。倍々ゲームから降りたのが、一目瞭然である。

●欧米でも集団免疫まであと2年

ウイルス感染症が発生した場合、初期の封じ込めに失敗したら、後は、最終的に集団免疫に行き着くしかないと言われている。

集団免疫とは、全人口の一定数が感染症に対して免疫を有することで、1人の感染者が新たに何人に感染させるかという「基本再生産数」を1未満にし、感染拡大を抑える戦略である。

仮に、基本再生産数が2.5程度とした場合、全人口の少なくとも60%程度が抗体を保有する必要がある。つまり、1人が2.5人に感染させようとしても、そのうち60%にあたる1.5人はもう感染済みなので、差し引き1人にしか感染させられない、というわけだ。

先ほどみたように、欧米諸国では、人口100万人あたりの感染者数が、1,000人から4,000人の間のどこかで水平になりそうにみえる。

また、ロックダウンなどの強制措置をとったタイミングで急激に指数関数から外れる振る舞いを見せたりせず、全体的に自然な曲線を描いている。曲線の具合がお互いに似ている。ということは、サチるまで歯止めがかからず、集団免疫にいたりつつあることを示しているのだろうか。

実は、まだまだそこにはほど遠い。まず、ダイレクトに数値を眺めれば、人口100万人に対して感染者数が1,000人から4,000人ということは、感染率0.1%~0.4%ということで、集団免疫の条件の60%に対して微々たるものである。

しかし、この読み方は、検査数の少なさが考慮されていないので、正しくない。もし全数検査しての結果だったら、これでよかったのだが。検査数のデータは、"Our World in Data" がまとめてくれている。

Our World in Data
Coronavirus (COVID-19) Testing
by Joe Hasell, Esteban Ortiz-Ospina, Edouard Mathieu,
Hannah Ritchie, Diana Beltekian, Bobbie Macdonald and Max Roser
https://ourworldindata.org/coronavirus-testing


例えば、スウェーデンでは、人口1,000人あたり、17.58人に対して検査している。スウェーデンは、国の方針として、さっさと集団免疫を達成して、新型コロナ禍に決着をつけようとしている。全国的な移動規制や外出制限をしない、という独自路線を貫いている。人口100万人あたりの感染者数は、先ほどの札幌医科大学のウェブサイトから取ってきて、2,640人である。

この陽性率をそのまま適用して全数検査の結果を推測すると、感染率は15.02%になる。もちろん、この計算は正しくない。サンプリングの偏りが考慮されていないので。検査対象者の選定が、無作為抽出によるものだったら、これでよかったのだが。

現実に検査対象者を選ぶ際、罹ってなさそうな人を重点的に選ぶということはありえない。なので、検査対象者に対する陽性率は、全人口に対する感染率の真値に対して、必ず大きくなるはずだ。過大な値に基づいた推測値はやはり過大になる。先ほどの15.02%は、多めに見積もってもこれを超えることはない、という上限値として利用することができる。こんな結果が出た。

19.26%:シンガポール
16.79%:フランス
15.27%:イギリス
15.02%:スウェーデン
14.42%:アメリカ
13.99%:スペイン
12.62%:イタリア
10.96%:ベルギー
9.55%:スイス
8.94%:アイルランド
7.06%:日本
6.19%:ドイツ
5.00%:ポルトガル
3.95%:ノルウェー
3.81%:ロシア
1.60%:韓国
0.79%:オーストラリア

Excel データ:
https://drive.google.com/open?id=1RhhcFzPC0Zddz2tMjOG9a2Nl1UKiaY92


つまり、どの国でもまだ集団免疫にはほど遠いのである。また、一国全土にわたって、感染率が均一であるということはありえない。この「ムラ」が非常に大きいとみてよい。

「抗体検査結果によると、同じニューヨーク州でも、都市部のニューヨーク市は21.2%と高いが、ローカル地域では3.6%と大きな差がある」というレポートがある。

5/2(土)8:40
Yahoo! ニュース 国際
「新型コロナ、最悪のシナリオ」米大学研究機関が予測
飯塚真紀子(在米ジャーナリスト)
https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200502-00176425/


蔓延の中心的な一部の区域に限れば、集団免疫に達しているところもあるのかもしれないが、広域でみると、どこもまだまだなのである。向こう1年~3年かかるという見方が強い。

●封じ込めに成功した中国、デジタルツインの勝利か?

単位人口あたりの累計感染者数の推移において、欧米諸国よりも1桁低い水準で、水平化させることに成功した国々に、中国、韓国、オーストラリアなどがある。

おそらく、一部の地域へ封じ込めることができており、残る広大な地域へは、ウイルスの流出を一匹たりとも許していないのであろう。あるいは、封じ込めた地域内でも、感染者と非感染者との共存分離ができているのかもしれない。きめ細かな分離に成功したのには、驚く。都市丸ごとの「デジタルツイン」の勝利だと思う。

「デジタルツイン」とは、元はと言えば、ものづくりを効率化するための方策であり、「製品、製造機器、およびオペレーションに関するデータを蓄積および解析するソフトウェアソリューション」のことである。

「サイバー空間上に実際の製品や製造工程を再現したシステム」と言える。従来のシミュレーションは、目的に応じて、現実の姿を単純化した仮想のモデルで計算していたが、さらに進化させ、現実のあるがままの姿を細部まで忠実に、仮想世界へ反映しようという構想である。

未来的な構想として、都市を丸ごとデジタルツイン化してしまおう、というのがある。ICT技術の進化の指向は、どのみち、そっちへ向いており、いずれは、この世の森羅万象がデータに反映される社会がやってくる。

この方面において、中国の進み具合がものすごい。中国は全人民の行動を恒常的に追跡するシステムを確立しており、2019年12月以来、「健康コード」制度を導入している。健康コードアプリはAlipayやWeChatなど、中国のほとんどのスマホに入っているアプリの追加機能として作られている。

武漢市に入るときや、ホテルにチェックインするときや、地下鉄に乗るときなど、要所要所でポスターのバーコードをスマホで読み取ることが求められ、立ち上がったアプリで、緑色が点灯すると通してもらえる。

もし赤が点灯したら、すでに陽性判定されているか、症状があって検査の結果待ち状態であることを表す。もし黄色が点灯したら、地下鉄で「赤」の他人と乗り合わせるなどして、たとえ本人が気づいていなくても、近くにいたことを表す。

誰かが感染していたと判明すると、その人が過去2週間にどこに行ったか、近くに誰がいたかが自動的に調べられる。近くにいた人は黄色に格下げされる。黄色になると、1週間外出禁止になる。マンションの玄関で管理人が検問しているので出られない。検査を受けて陰性判定が出れば、緑に戻してもらえる。

2020年5月4日
田中宇の国際ニュース解説
中国式とスウェーデン式
田中 宇
http://tanakanews.com/200504sweden.htm


国家が全人民の一挙手一投足を一元管理するシステムが実現できているのは、国家権力が不当に強すぎ、人民はプライバシーをすべて明け渡す以外に選択肢がないからこそであって、そんな恐ろしい国は嫌だなぁ、という意見もあるだろう。

でも、当の人民は、さほど気にしていない。10年くらい前の中国社会では、社会のルールを守らずズルするやつがたくさんいすぎて、人々はうんざりしていた。システムによって、ズルをしようにもできなくなったのはありがたいなぁ、と思っている。

私自身も、中国からはすっかり懐柔されており、いいじゃん、と思っている。国家権力の問題ではなく、テクノロジーの進展ぶりの問題だと思う。

写真:中国から懐柔されるセーラー服おじさん
https://goo.gl/photos/YaruwK4eXdjYAPhMA


●ニッポンのパラドックス

明らかにコロナの法則を遵守していない国が、ひとつだけある。日本である。ジャパン・パラドックスと呼ばれている。ケーキやチーズをよく食べるフランス人女性にスリムな人が多いことを、「フレンチ・パラドックス」という。小さめの布マスクを全国民に2枚ずつ送る政府の対策が、それほど絶大な効果をもたらしたとも思えないのに、なぜか感染者数が低く抑えられている。死亡者数はいっそう顕著に少ない。

「プレジデント」誌の記事は、統計の本職が書いているだけあって、読み取れることはすべて読み取ってやろうという貪欲な姿勢が感じられて、たいへんよい。データをよくよくしゃぶって、特徴を見つけ出そうと、いろいろな観点から目を凝らして観察している。

2020/05/07 19:00
PRESIDENT Online
世界中で日本だけ「コロナ感染のグラフがおかしい」という不気味
絶対的な死者数は少ないのだが…
本川 裕(統計探偵/統計データ分析家)
https://president.jp/articles/-/35219


私がみるに、日本は、感染の初期段階から、拡散の係数が低いのがおかしい。また、他国はたいていグラフがきれいな曲線上によく載っているのに対し、日本はふらふらしていびつである。

これは、実態がそうなっているのが表れているのではなく、データのクオリティが低いことを示しているのだと私は思う。母数の大きなデータは、統計にきれいにしたがうもので、原因もなくふらついたりなどしない。

トラジェクトリー解析のグラフでみると、3月16日(月)~ 25日(水)の間、不自然に下へズレているようにもみえる。東京オリンピックの延期がアナウンスされたのが30日(月)なのだが。

作業を自動化し、ミスや改竄を許さないテクノロジーの遅れもあると思う。なーんか、FAXと電話で集計してる、なんて話もあるし。

2020.05.11 09:26
中央日報/中央日報日本語版
「コロナ検査結果はファックス、電話で集計」…IT後進国日本の素顔
https://japanese.joins.com/JArticle/265781


話はずれるけど、教育において、新型コロナへの対策として、各国がデジタル技術・ネットワーク技術をどのくらい活用しているかを調査した結果をOECD(経済協力開発機構)が報告している。

『2020年 新型コロナウイルス感染症パンデミックへの教育における
対策をガイドするフレームワーク』
https://www.fu-edu.net/sites/default/files/archives/2020/archive-20200423-13256.pdf


世界における日本の位置づけは、もはや落ちこぼれだ。おそらく、国の意思決定の場において、世界の動向をろくに把握しておらず、しかも、専門家の言うことに耳を傾けず、ただただ国内の政治の力学だけでここ30年ばかりやってきた結果が、この落ちぶれっぷり、取り残されっぷりなんだろうなぁ。

教育がこのひどさだったら、この先、長期にわたって、どんな未来が待っているか、だいたい想像がつく。日本はすでに滅びているかもね。

話が脱線した。データの質が低いということは、日本の感染状況の実態は、妥当な精度をもって把握することができないということである。それは、緊急事態宣言を解除するなどの意思決定に際して、頼りになる根拠が薄いってことである。

検査の実施件数がそもそも少なすぎるだろう、という批判を聞く。そこは仕方がないだろうと私は思う。当初からそういう方針で来たのだ。
・検査の的中率が高くない
・検査工程が技術者の腕に依存し、キャパに限りがある
・抜本的な治療法がなく、陽性でも陰性でも、その後の対応は同じ
・検査自体が感染の機会を高める
という理由があり、ごもっともである。この方針自体には反対しない。

ただ、検査数を抑える代償として、必然的に、感染実態の把握は手薄になる。そこを、別の観点から推測できないだろうか。

死亡者数は、感染者数よりも信憑性が高いだろうと言われている。何万人という単位の死亡者をそうそう隠しておけないので、米国並みの感染状況に陥っていなのは確かだろう。

ただし、国内での肺炎による死亡者は、ふだんの年でも年間10万人を超える。1日あたり270人である。新型コロナによる死者をこっちへ組み入れてしまえば、カウントされないことになる。

「超過死亡(excess death)」という指標がある。「過去の同じ時期の死亡者数と比べ、どのぐらい死亡者数が増えたか」をみる。死因は問わない。感染症の疫学において、最も信頼できる指標と考えられている。

更新日:5月4日
Quora
国際比較に使える唯一の指標「超過死亡」で明らかになる実態
Kenn Ejima
(URL は長すぎるので省略。検索されたし)

FINANCIAL TIMES が欧州の14か国を調査したところ、4月27日時点で122,000人の超過死亡が観察され、これは公式の COVID-19 死亡 として報告されている77,000人よりも60%ほど高い数字となっている。

日本はどうかというと、国立感染症研究所の5月4日(月)の発表によれば、超過死亡はないとのこと。ないのか?! 間接的な推測値でもいいから、実態をつかみたい、という努力は、なかなか報われない。

低い水準で推移しているのは、さすがに見せかけということはなかろう。近所の火葬場も、ウハウハに繁盛して笑いが止まらないというふうではなく、いつも通りだ。

あの欧米でさえ感染率は20%に満たず、集団免疫までの道のりはまだまだ長いというのだから、日本はなおさらだ。

日本もまた、地域ごとの不均一性が大きい。都道府県別の不均一性も大きいが、
東京都内に限ってみても、区市町村別の不均一性がまた大きい。23区だけをみ
ても、こんな感じ。

451:世田谷区
389:新宿区
308:港区
...
86:北区
78:荒川区
41:千代田区

累積感染者数グラフが水平化しているようにみえても、決してサチってそうなっているわけではなく、地区別の感染状況が不均一なのである。人々の移動の制約を緩めると、爆発的に感染が広がり、イタリアやアメリカの後を追うことになりかねない。

それともBCG接種が意図せずコロナにも効いているなどの理由で、日本人はそもそも罹りづらいのか。もしそうだとしたら、感染率は低い位置で水平化するはずであり、警戒を解いても爆発的感染は起こらない。

やはり、適確な判断を下すためには、信頼性の高いデータが重要だ。いちばんよいのは、無作為抽出して検査することである。100人抽出して、例えば6人感染していたのなら、1億人中では600万人が感染しているであろうと推測できる。

ただし、地域間の不均一性が大きいことを踏まえると、地域ごとに一定数ずつ無作為抽出するか、全域で相当数のサンプルを収集するかしないとならない。

ウイルス専門の医師からの発信によれば、現状でも検査のキャパはいっぱいいっぱいであり、調査目的の検査をやっている余裕はなさそうだ。

2020/05/12 6:00
東洋経済 ONLINE
「PCR 検査せよ」と叫ぶ人に知って欲しい問題
ウイルス専門の西村秀一医師が現場から発信
大崎明子(東洋経済 解説部コラムニスト)
  https://toyokeizai.net/articles/-/349635


慶応大病院で新型コロナ以外の入院患者を対象に検査したところ、5.97%で陽性が出たという報告がある。

2020年4月22日 
医療維新 m3.com
慶應大病院「新型コロナ以外」入院患者、5.97%で陽性
院内感染対策として入院患者全員に PCR 検査
橋本佳子(m3.com 編集長)
https://www.m3.com/open/iryoIshin/article/759411/


このパーセンテージを全人口に対してあてはめるなら、発表された数字よりも遥かに多くの感染者がいるという推測は当たっていそうだ。ただし、集団免疫にはほど遠い。

地域間の不均一性が大きいということは、どのみち、これからの戦いが長くなる。かといって、経済活動の停滞が長期化するのは、それはそれで、たいへんまずい。今のレベルの自粛をこの先も続けていくのは、ちょっとつらい。気が緩んできたということではなく、もう限界なのだと思う。

そろりそろりと蛇口をあけていき、結果的に感染爆発にいたらなければ、ハッピーなのだが。しかし、コロナ禍が沈静化してからも、ハンコとFAXとリアル会議の元に戻すのだけは、やめようよ。


【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。
http://www.growhair-jk.com/


Tomozo さん、日本にもこんなやついます。
https://hbol.jp/218908



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編集後記(05/15)

●最近の読売新聞の報道内容が悲しいほど貧弱でつまらない。テレビはもともと正午のNHKニュースと夕食時(18時前後と異様に早い)の報道番組しか見ないが、それらの報道番組も品質が著しく劣化してつまらない。評論家でもない市井の論客・前田正晶さん(わたしより少し年上)のご意見が実に正しい。

〈安倍総理以下に敢えて再度申し上げておきたいことは「専門家会議のお医者様たちを政治判断に巻き込むのは見当違いである。彼等が如何なる分野の専門家であるかと、もう一度考えて見るべきでは」なのだ。私のビジネスの世界の経験でも、「自分の担当とその関連の分野の事以外となると、素人以下の役にしか立たないもの」だったのだ。この国難とでも言いたいこの時期に、総理が「俺こそがこの件のリーダーだ。俺が全責任を持つから、君らは思いきって事に当たってくれ、俺も自分の責任範囲は自分だけでやっていくぞ」というような固い決意を表明があっても良くないのか。〉仰る通りだ!(柴田)


●通天閣が緑にライトアップ。大阪モデルを7日連続クリアで緑になる。前日までは黄色になっていた。油断はできないけれど、とても嬉しい。

/何度も書いているが、バターが売ってない。棚は縮小されていっている。生クリームも売ってない。生協の抽選は、二ヶ月前に応募するようになってから、毎週ハズレ。

給食がないから牛乳が余っているという話なのだが、なぜか値上がっている。余っているならバターをという声はあるが、同時にできる脱脂粉乳の過剰在庫が問題なのだそうだ。

バターが足りない今、テレビやネットで、脱脂粉乳は健康やダイエットにいいっていうブーム作って(笑)。

脱脂粉乳を使ったレシピを検索。ヨーグルトや、パンがあり、料理やお菓子作りにも使えるとのこと。続く。(hammer.mule)

森永スキムミルクを使ったレシピ
https://www.morinagamilk.co.jp/recipe/result.php?fw=&pi=252


レシピ(Jミルク)
https://www.j-milk.jp/recipes/list/berohe000000ayli.html